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[GDC2008#09]メーカー公認RMT業者「Live Gamer」が,自社サービスの安全性と意義を語る
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印刷2008/02/20 23:22

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[GDC2008#09]メーカー公認RMT業者「Live Gamer」が,自社サービスの安全性と意義を語る

画像集#001のサムネイル/[GDC2008#09]メーカー公認RMT業者「Live Gamer」が,自社サービスの安全性と意義を語る
壇上で,Live Gamerにはブラックマーケットの氾濫抑止効果があると解説する同社社長アンドリュー・シュナイダー氏(左)と,Ping0 Interactive社長のスティーブ・ゴールドシュタイン氏(右)
 Live Gamerは,Sony Online EntertainmentやFuncomなど,名だたるオンラインゲーム開発/サービス企業と提携する,RMTサービス業者の一つである(関連記事は「こちら」)。そのLive Gamerの社長Andrew Schneider(アンドリュー・シュナイダー)氏が,クライアントの1社であるPing0の社長Steve Goldstein(スティーブ・ゴールドシュタイン)氏と共に,「Learning to Love Virtual Item Sales」(バーチャルアイテムの売買を愛し始めて)と題したセミナーを行った。

 シュナイダー氏は,Live Gamer設立におけるミッションの一つとして,「健全で,法的に何の問題もない二次的マーケットを作ること」を挙げていたという。これを補足する形でゴールドシュタイン氏が加勢し,現在のゲームのシステム(主にMMORPGだろう)というものは,よりプレイに時間をかけた人ほど有利になることを例に出し,「多くの人は時間的な余裕がなく,仲間とのソーシャルプレイを尊重するあまり,アイテムやキャラクターの売買に手を出すことがある。また,より多くのコンテンツを楽しむために,強力な装備を買い取る人もいる」と話す。
 つまり,現在のオンラインゲームというのは,そもそもブラックマーケットを生み出すようなデザインになっており,プレイヤーのニーズに応じてブラックマーケットが誕生したのなら,いくら運営側がアカウント剥奪に力を入れても,アイテムの不正売買問題は決してなくならないというわけだ。
 それならば,Live Gamerのように企業公認のRMT業者が介入することで,ゲーム経済の主導権を維持したほうが,企業にとっては有益だろうと,彼らは論じているのである。

画像集#002のサムネイル/[GDC2008#09]メーカー公認RMT業者「Live Gamer」が,自社サービスの安全性と意義を語る
 Live Gamerは,P2P(プレイヤー間)の取り引きに限定し,10ドル以上のアイテム取引になった場合には,売り手から10%の手数料を徴収するというビジネスモデルになっている。ただ,P2P限定とはいえ,売り手がチートやBOTなどの不正行為を通じて巨額を得たゴールドファーマーである可能性は十分にあるわけで,「ファーマー排除」の原則が,確実に厳守されるとは限らない。
 しかし,それでも「路地裏の暗がりで手渡し」(ゴールドシュタイン氏)しているかのような,実際のゲーム世界でまかり通っているトレードをなくし,追加プログラム上での売買をサポートすることにより,より安全な商行為が行われるのは間違いないだろう。
 シュナイダー氏は,Sony Online EntertainmentがSony Exchangeでアイテム売買をはじめたところ,RMTに起因するカスタマーサポートへの苦情が30%減少したという実例を挙げ,公認RMTは,企業だけでなくプレイヤーにとっても意味があることだと力説する。Live Gamerは,RMT問題の抜本的な解決にはならないものの,少なくともブラックマーケットを減少させる効果は期待できるというのである。

 アイテム売買において,別の観点で問題になるのが「オーナーシップ」(所有権)である。Live Gamerのサービスとは直接関係はないのだが,今回のセミナーでは入場者の質問を含めて多くの時間が,アイテム所有権の話題に割かれる形となった。
 その折にゴールドシュタイン氏は,「Sony Online Entertainmentのように,EULA(End User License Agreement,使用許諾契約書)で明確に,オーナーシップとは何なのかを説明することには意義がある」と解説。ゲームの開発や運営に関わる人は,発表会から個人ブログまで,記録として残される場所では絶対に,ユーザーの所有権を認めるような発言をしてはならないと,会場に集まっていた開発者達にアドバイスしていた。
 なんでもLinden Labsの幹部は,以前公の場で,「Second Life」におけるユーザー側のバーチャル財産の所有権を容認する発言をしたことがあり,それが元で,ゲーム内の不動産売買で不正を働き,アカウントを剥奪された人物から訴えられたことがあるらしい。結局は双方の示談によって,問題は複雑化しなかったそうだが,そのアカウントや不動産の一切は持ち主に返ったことだけは明らからしく,Linden Labs側が大幅に譲歩したのは間違いないだろう。ゴールドシュタイン氏は,「一度でも,ユーザーのゲーム内アイテム所有権を認めるような発言をすると,次々と裁判を起こされるばかりか,サービスを終了することもできなくなってしまう」と警告していた。

画像集#003のサムネイル/[GDC2008#09]メーカー公認RMT業者「Live Gamer」が,自社サービスの安全性と意義を語る
現在,キャラクターやアイテム,ゲーム内通貨の売買が行われているソフト群
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「ブラックマーケット」と名指しされたItemBayとItemManiaが,ここ数年で急激な成長を続けたことを物語る図
画像集#005のサムネイル/[GDC2008#09]メーカー公認RMT業者「Live Gamer」が,自社サービスの安全性と意義を語る
このスライドでは,スタンフォード大学の有名なゲーム社会学研究者Nick Yee氏のモデルを用いて,「RMTはなくならない」ことを説明している

 バーチャルアイテムの所有権の話はともかく,Live Gamerが行おうとしていることは,運営側とユーザー側の仲立ちとなるRMTビジネスを健全化するという意味では評価できる。ゲームデザインによって通常のアイテム売買が許されている以上,プレイヤーの欲望や,それに群がる不正商行為をなくすことは難しい。ブラックマーケットの規模を縮小させつつ,ゲーム内経済のコントロールと,ユーザーの不満解消を同時に行える最大限の戦略的選択肢が,このLive Gamerというわけである。

 Live Gamerは,Sony Online EntertainmentのStation Exchangeに変わる新サービス,Live Gamer Exchangeを3月31日にローンチする予定で,まずは他社のゲームに先駆けて「EverQuest II」のユーザーが,同サービスを利用できる。ちなみに3月1日からは,Station ExchangeからLive Gamer Exchangeへのアカウント移行手続きが開始されるとのこと。Station Exchangeは3月27日をもってサービス終了となるので,同サービスを利用していたEQ2プレイヤーは,その点に注意してほしい。
  • 関連タイトル:

    EverQuest II

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