［インタビュー］「メイプルストーリー」総括Dに聞く新章「NEW AGE」。キーは“6次転職”，それに伴う新スキルと育成システム

　2023年12月13日より，ネクソンのPC用オンラインRPG「メイプルストーリー」では新章「NEW AGE」が順次実装される。今回は単なるアップデートの1つではなく，「新しいメイプル、新しい時代。」をコンセプトに掲げ，タイトルの生まれ変わりを目指したものだ。


　4Gamerでは，20周年施策のオフラインイベントに合わせて来日を果たした，総括ディレクターを務めるカン・ウォンギ氏に話をうかがう機会を得た。先行実装されている韓国における「NEW AGE」の評判や日本のメイプラー（プレイヤー）の印象などを聞いている。

「メイプルストーリー」総括ディレクターのカン・ウォンギ氏。12月3日に開催された「Super Maple Party」の合間にインタビューの時間をいただいた

「メイプルストーリー」公式サイト

4Gamer：
　まずは「メイプルストーリー」の20周年おめでとうございます。長い年月ではありますが，これまでの道のりを振り返って楽しかったことを教えてください。

カン・ウォンギ氏（以下，カン氏）：
　やはり，メイプラーの皆さんがアップデートごとに声援を送ってくれることですね。それが私自身のやりがいでもあります。
　世界中を見回しても20年間，プレイヤーの方々が愛してくださっているゲームは多くないでしょうが，「メイプルストーリー」がその中の1つになったことをとても誇らしく思っています。

4Gamer：
　一方，大変なこともあったと思います。

カン氏：
　20年もの歴史があるゲームですから，そのぶんコンテンツ量が膨大になっており，管理が難しくなっていることでしょうか。それでも，「NEW AGE」以前のコンテンツも含め，コンテンツ量の多さが1つの長所になるよう改善しながら作ってきています。

4Gamer：
　20年間のうち，メイプラーとのコミュニケーションで印象的だったことを教えてください。

カン氏：
　最近行われたオフラインでのコミュニケーションが記憶に残っています。4月に韓国版「メイプルストーリー」の20周年記念として「MapleStory FAN FEST」を行ったのですが，メイプラーの皆さんが送ってくれた声援が，とても記憶に残っています。
　そして，12月2日と3日に日本で行われた「メイプルストーリーコンサート：終わらない冒険」と「Super Maple Party」でも，日本のメイプラーの方々からそれ以上の熱気が伝わってきて嬉しかったです。今後は「メイプルストーリー」を展開しているすべての国で，できればオフラインイベントによりメイプラーとのコミュニケーションを持続的に増やしていく予定です。

4Gamer：
　カンさんから見て，日本のメイプラーの特徴を教えてください。

カン氏：
　日本のメイプラーの皆さんは，素直で礼儀正しいと思います。感情も適切にうまく表現していただき，ステージに立ち，イベントを準備する立場として力になる，良い反応をいただいたと思います。
　また，メイプラーの方々が自分の好きなキャラクターのコスプレをしたり，名刺やグッズなどを作って配ったりする方がほかの国より多く，積極的だと感じました。

4Gamer：
　Super Maple Partyでは，メイプラーと撮影＆ハイタッチ会を行っていましたね。かなり多くの人が待機列を作っていたようです。

カン氏：
　時間の都合で人数を限定する形になってしまいましたが，できることなら並んでくれる皆さん全員と撮影したかったです。今後もこのような機会を設けて，なるべく多くのメイプラーとお会いして，皆さんとの接点を増やしていきたいと考えています。大事な時間を使って来場していただくわけですから，楽しい思い出になるように何でもやりたいです。

「Super Maple Party」には1700名を超えるメイプラーが来場した

4Gamer：
　12月13日より実装される「NEW AGE」について教えてください。今回は，単なるアップデートではないと聞いています。

カン氏：
　「新しいメイプル、新しい時代。」をコンセプトにしているように，「NEW AGE」を機に「メイプルストーリー」が生まれ変わります。キーとなるのは「6次転職」です。すぐに6次職に転職できるように，キャラクターをレベル260まで「ハイパーバーニング」で一気に育成できたり，必要な経験値量を従来の半分にしたりしています。
　また，転職後も新システムの「HEXAマトリックス」によって6次スキルを習得・強化したり，これまでとは成長経験がはっきりと異なる形のゲーム性をお見せすることができると思います。もちろん「NEW AGE」以降のアップデートでも，6次転職以降のコンテンツをいろいろ追加していく予定です。


4Gamer：
　韓国では先行して「NEW AGE」を実装していますが，メイプラーの反応はいかがですか。

カン氏：
　ここ数年のあいだに行われたアップデートに比べて，メイプラーの皆さんの満足度と各種指標も良いアップデートでした。
　「NEW AGE」の名にふさわしく，「メイプルストーリー」のプレイ経験を新たにワンランク引き上げることができたと捉えています。

4Gamer：
　メイプラーの動向はどうでしょう。

カン氏：
　新規・復帰メイプラーの方々が全般的に多くゲームに入ってくださいました。また韓国では外部指標としてネットカフェの占有率が多く用いられますが，該当順位はオンラインMMORPGの中で1位，全体ゲームの中で3位をキープしていました。
　韓国で「メイプルストーリー」は，休みにたくさん楽しんでくださいましたが，「NEW AGE」アップデート以降は休み期間以降にもたくさん楽しんでくださっていると思います。

4Gamer：
　どのコンテンツが評価されているのでしょうか。

カン氏：
　新規・復帰メイプラーからは，「ハイパーバーニング」や必要経験値量の削減など，キャラクターの育成速度を上昇させる部分が高く評価されています。また既存・コアメイプラーからは，6次職の「オリジンスキル」のクオリティが大きく評価されました。
　全体的には先ほどお話したHEXAマトリックスを構成する2つの要素，HEXAスキルの獲得・成長と，HEXAステータスによる能力値強化で，キャラクター育成のモチベーションが高まったという声も多く届いています。


4Gamer：
　「NEW AGE」のコンテンツには，日本独自の調整を施しているものはありますか。

カン氏：
　日本独自の職業である「ハヤト」と「カンナ」の6次スキルですね。また日本に限った話ではないですが，先行して実装した韓国で「ここは不便だ」とフィードバックがあった部分を改善し，より良い体験を提供させていただく予定です。
　とはいえ，各国でなるべく同じ体験ができるように，それほど大きく手を加えているわけではありません。

4Gamer：
　日本でも，いよいよ「NEW AGE」が実装されます。今後，どういった形で「メイプルストーリー」を盛り上げていくのでしょうか。

カン氏：
　まず実装日の12月13日に「ハイパーバーニング」と，大型イベント「夏と冬の島イデンティスク」が始まります。その2週間後，12月27日には6次転職が可能となり，6次スキルが使えるようになります。
　以降はSuper Maple Partyで発表したとおり，新規地域とそれに伴うストーリー，また専用コンテンツも順次追加していきます。ぜひ期待してください。

4Gamer：
　最後になりますが，日本のメイプラーにメッセージをお願いします。

カン氏：
　ぜひお伝えしたいことは，私たち開発陣が日本の「メイプルストーリー」を格別に大切な存在だと捉えていることです。小規模のチームから始まり，現在では大きな組織となりましたが，20年にわたって「メイプルストーリー」のサービスを日本で続けて来られたことが今でも信じられません。
　これは日本のメイプラーの皆さんがいなければ，決して成し得なかったことですから，非常に感謝しています。20年間，「メイプルストーリー」を愛してくださっているメイプラーの方々と4Gamer読者の皆さま，本当にありがとうございます。

4Gamer：
　お忙しい中，お時間をいただきありがとうございました。

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