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「ネオスチーム」イラストレーター李 KPA氏に聞く,“第三の立場”の意義
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印刷2006/12/27 22:49

旧特集

「ネオスチーム」イラストレーター李 KPA氏に聞く,“第三の立場”の意義

李さんが最初に手がけたという,日本版ネオスチームのイメージ画像
 ハンビットユビキタスエンターテインメント(以下,HUE)が,日本人クリエイターを積極的に採用しているのは,多くの読者が知っているだろう。「グラナド・エスパダ」小林智美さん久保田修さん「With Your Destiny II」高田明美さんやYURIさん,そして「ネオスチーム」では,李 KPA(すももけいぴーえい)さんGOOD-COOLさんを起用している。
 どれも韓国産のゲームでありながら,いや,韓国産のゲームであるからこそ,音楽やグラフィックスという「印象」に大きな影響を与える部分で日本人を起用するというのは,HUEなりの,ローカライズクオリティに対するこだわりなのだろう。
 当然これら日本人クリエイターは,音楽なら音楽,イラストならイラストと,自分の得意とする分野で活躍しているのだが,……一人,その分野をはみ出して,いや,正確にいうと,得意分野を拡大して,多岐にわたる活躍をしている人物がいる。李KPAさんだ。彼は「ネオスチーム」で,単なるデザインにとどまらず,新規キャラクターや新アイテムの提案,4コマ漫画での作品PRといった活動をブログで展開している。またネオスチームの熱心なプレイヤーでもあるため,ブログの内容も,どちらかというとプレイヤー寄りの立場で書かれており,多くの支持を集めている。

 今回4Gamerでは,この李さんに,チャットによるインタビューを行った(実際に会いに行きたかったのだが,青森県に住んでいるとのことで,今回は断念)。ネオスチームのこと,公式サイト内「すちぃまぁず☆かふぇ」でのブログのこと,そして今後,李さんがネオスチームでやりたいことなどについて,聞いてみた。

■仕事はすべてネットで
■青森と東京,そして韓国とのコラボレーション


李さんの自画像。ブログでもお馴染みのキャラだ
4Gamer:
 こんにちは,本日はよろしくお願いします。まずは,簡単に自己紹介してください。

李さん:
 こんにちは,李 KPAです。読み方は「すもも けいぴーえい」です。生粋の日本人,青森県人です。よろしくお願いします。

4Gamer:
 今も青森県に住んでいらっしゃるんですよね。まぁ青森話は追々するとして,ネオスチームのイラストを担当することになった,きっかけを教えてください。

李さん:
 きっかけですか。実は突然,HUEの岡澤さんからメールが来て,「やらないか?」という感じでした(笑)。

4Gamer:
 またなんとも,あっさりとした展開ですね……。

李さん:
 まぁ,僕が東京にいた数年前に,彼とは何度か会っていまして。ある程度の顔見知りではあったんですよ。これも,人脈ですよね。東京には10年間いたんですが,人脈を作りに行ったようなモノです。
 で,なぜ僕に白羽の矢が立ったのかは,岡澤さんに聞いてください。まあ,多分「早い」「安い」ってことがメインではないでしょうか。

4Gamer:
 牛丼屋さんと同じで,「うまい」もあったからだと思いますよ(笑)。
 しかし,青森県にお住まいだと,コミュニケーションが大変ではないですか? 打ち合わせなども,そう簡単にできませんよね

李さん:
 いや,まったく問題ないですよ。すである程度人脈はあるし,今はネットも十分普及したし速度も速いですからね。
 できないのは,“実際に商品を見て”買うことくらいで,高い家賃を払って都心に住み続けるよりも,物価も家賃も安い地元に,仕事を持って帰ろうと思ったんです。案の定,東京で仕事をしていたときとまったく変わらない生活です。
 もちろん,直接会っての商談,打ち合わせなどはできませんけど,これまでそれで不便を感じたことはないですね。

4Gamer:
 ネットの普及は,確かに大きいですよね。確かに大抵の用事が,家にいながら済ませられますので。

李さん:
 そうですね。東京にいたときも,仕事を受けるのは主にメールでした。完成した原稿やデータも,FTPやメールで送れますからね。
 ちなみに,仕事をいただいて以降,HUEの方とは一度もお会いしたことがないんですよ(笑)。

4Gamer:
 うわ,そんなことってあるんですねぇ。……あ,そういえば4Gamerでも,何人か,編集者の誰も実際に会ったことがないライターさんがいるようです(笑)。そういう時代なんですね。

李さん:
 岡澤さんとは,一日中メッセンジャーを立ち上げてずっと話をしていますし,その話の中でアレどう? コレどう? といった感じで,まぁ常にミーティング状態ですね。
 実は,武器デザインの件も,岡澤さんが「オープンβテスターのプレゼント用武器をデザインしなきゃいけないんだよね〜」というふうに困った感じで言っていたので,“ぶんどった”……というのが真相です(笑)。「それおれにやらせてくれ」と。楽しそうだったもので。
 やったことのない仕事って,つい手を出したくなるんですよね。

当初に描いたという,イメージ画のラフ。最終的に,現在のピンクを基調とした柔らかなイメージのものが採用された


毎週好評の4コマ漫画「ねおすちーむ激ジョー」。ゲームを知らない人にも楽しめるかも
4Gamer:
 そのようにして,どんどんネオスチームの仕事に関わっていったんですね。では,現在はどのようなことを主に手がけていますか?

李さん:
 今は,4コマや,イベントに参加したときのレポートなどをブログで掲載しています。あと,武器などの装備品のデザインですね。実装されるかどうかは別にして,依頼を受けたものを,思いついたまんまどんどん描いては岡澤さんに送りつける,というようなことをしています。
 あんまり,仕事だという意識はないですね。楽しいので,どんどんやっちゃうんですよ。お金はそういう活動についてくれば,それでいいと思っています。

4Gamer:
 岡澤さんが李さんに依頼した理由が,なんとなく分かった気がします(笑)。

李さん:
 ね,「安い」でしょ?(笑) あとは,とにかくブログで表現をしようと思っています。「想いの強い妄想は具現化する」を地でいこうかと。妄想の具現化(編注:李さんがブログで描いた“妄想”デザインが,ゲーム内に実装されることを意味する)は,無理なこととはあまり思えないんです。打率は低いかもしれませんが。
 それと,近いうちに毎月1枚ずつ,壁紙などの,ラフではないきっちり描き込んだイラストを描くことになっています。



■ネオスチームのキャラクターデザインコンセプトについて

クローズβ参加者に配布された,李武器第1弾の一つ,シルフィード。初心者から装備できる人気アイテムだ。現在はアイテムモールを通じて購入が可能
4Gamer:
 キャラクターのデザインにあたって,コンセプトのようなものは何かありますか?

李さん:
 もちろん最初のキャラクターデザインは私ではないのですが,日本版ネオスチームの絵のデザインという意味では,多少,心がけていることがあります。もともと,日本版の絵を描くにあたっては,「萌えの要素をある程度入れてほしい」という注文があったんですね。僕は,コンセプトや媒体によって絵柄を数種類描き分けているんですが,今回は,アニメ風のデフォルメキャラで,塗り込みすぎない,あっさりとしたものになるよう,注意して描いたんですよ。

4Gamer:
 今ちょうど手元に,HUEさんからいただいたイメージイラストがあるのですよ。可能ならば,キャラクターごとのコンセプトについても,教えてください。

李さん:
 分かりました。ネオスチームには4種のクラスがあるのですが,それぞれ,所属する国家によってもイメージが違うんですね。そのため,基本的には国家別にコンセプトを変えて描いています。
 ではまず,エリアッド側のエルフを。実は僕が絵を描く段階では,詳しい設定や資料があまりなかったため,「こんなんだろうな」と長いブロンドヘアーを描いたのですが,実際にはモデリングの制約でそれが無理で(笑)。まぁ,あくまでイメージイラストですから,いいとは思うんですけどね。

4Gamer:
 確かこのエリアッドエルフが,最初に李さんが描いたネオスチームキャラクターでしたよね。

李さん:
 ええ,そうです。なので,萌えっぽくという注文を,一番意識して描いている……はずです(笑)。目は大きめがいいだろうなと思いました。神秘国家でもあったので,柔らかそうな感じで描きました。

4Gamer:
 なるほど。次に描いたのは,エリアッドのヒューマンでしたよね。

李さん:
 はい。エルフが男の子向けに描いたものなので,ヒューマンは,女の子向けとして描きました。これはログウェルのヒューマンも一緒ですが,女性向けゲームが好きな女性に見てもらって,調整したりしました。やはり男性と女性とでは,感性が違いますからね。
 次に描いたのが,エリアッドのタルン。ああいう半獣モノは描いたことがなかったので,初めはえらく苦労しました。凄く好きなんですけどね……。エリアッドのタルンのモデルは虎なので,虎の資料とにらめっこでした。
 いわゆる“逆三角の肉体美”が出せればと思って描きました。デカイ武器が一番似合っていれば,うまく描けたってことでしょうか。

4Gamer:
 ポムはいかがでしょう?

李さん:
 ポムを描くときにまず思ったのは,「韓国版は可愛くない」ということ。それが,起点となりました。ネオスチームのマスコットになるべき存在にもかかわらず,鼻の穴しかり,むき出しの歯しかり,多すぎるふさふさ毛しかり,でかすぎる手しかり,バランスがまるで可愛くない! ……と思ったんです。

4Gamer:
 なるほど,言われてみたらそうですねぇ。

李さん:
 そう思っているうちに,「おれならここはこう描く」という「案」が自然にわいてきました。そうして,4コマなどに描いている,簡略化したポムの原案になった「立ち絵のポム」が出来上がりました。
 なので,鼻の穴はよく見ないと見えないくらいだし,あと手は比較的小さめで,たれ耳はウサギばりに大きめに描いています。あと,口はもっと「ω」っぽく描きました。
 まぁ,実際ちょこまか走っているポムは,歯がむき出しでも可愛いですけどね。1回描いたらかなり気に入ってしまいまして。今では,歯むき出しポムはお気に入りのキャラです。

エリアッドのキャラクターデザイン。国家色の青を基調に,全体的に柔らかなイメージになっている


クリスマスに合わせてデザインしたという,サンタ衣装。各国でも実装され話題だとか
4Gamer:
 では,ログウェル側もお願いします。

李さん:
 基本的なコンセプトは,エリアッドと一緒です。ログウェルのエルフは,エリアッドとは対照的なツンデレ系にしました。目の大きさや髪の毛の毛羽立ち感を,そんな感じで描いてみました。つり目でアクティブな髪の毛……ですかね。
 ログウェルのヒューマンも,とにかく女の子向けに。コンセプトはエリアッドのそれと同じです。ただ,ログウェルのヒューマンはエリアッドに比べて,“Sさ加減”を少し強めに描きました。女の子が「叱られたい」と思えるようだったら,うまく描けたかなと思います(笑)。

4Gamer:
 私は男なのでそうは思えませんが(笑),その狙いは成功していそうですね。

李さん:
 ありがとうございます。そしてタルンのコンセプトですが,エリアッドのタルンとほとんど同じですね。が,マズルがうまく表現できず,かなり四苦八苦しました。どうしたものかと試行錯誤を繰り返しまして。結果あんな感じになりました。
 最後にポムですが,これもエリアッドのポムと一緒です。どちらも同じような毛並みに描いてしまっているんですが,今見返すと,エリアッドの毛並みはどちらかというとふわふわ長毛種の豊かな毛並みという感じで,ログウェルは固めの荒々しい冬のダブルコート(編注:動物の毛の生え方)という感じに見えますね。もう一度描く機会があったら,ちょっと描き分けてみようかと思っています。 

4Gamer:
 なるほどなるほど,よく分かりました。三つめの国家「タクシャン連合」が実装される日が,より楽しみになりました。
 あと,ぜひアイテムデザインに関しても,コンセプトのようなものがあれば教えてください。

李さん:
 まぁこれは先ほどもお話ししたように,ある日,岡澤さんが「GMから『ラフでいいから武器描いて』て言われてさ」なんて話をしていたんですね。で,大変そうだったので手伝ってあげることにしました。

4Gamer:
 あれ,さっきと話が違うような……。

李さん:
 はい,ウソです(笑)。「それクレ! おれにやらせろー」って言って,無理矢理奪いました。
 もともと依頼されたわけでもなければ,お金が発生することもない絵だったんですが,凄く楽しそうだったので。なんというか,専門分野以外の仕事って好きなんですよ。挑戦するというか,試行錯誤をするというか,経験のないことをクリアしていく感じが非常に楽しいです。

4Gamer:
 ちょっと仕事じゃなくなっている気もしますが(笑),それも,ある種のプロ根性なんでしょうねぇ。ちなみに,今までにどのくらいのアイテムデザインを手がけられたのですか?

李さん:
 すでに,すべての武器で,4〜6種類ずつくらい描いていますよ。……実装されるかどうかは分からないんですけどね。
 実は,マントやメガネ,背中装備などもデザインしてあります。いつかは実装されるんじゃないでしょうか。あと,そのうちアバターや防具,盾なんかも描きたいですね。絵に関することは,なんでもしたいです。

4Gamer:
 いろいろと描かれているんですね。HUEの人に聞いたところでは,日本だけでなく,中国や韓国でも好評だとか。

李さん:
 そのようで,嬉しい限りです。違う文化で自分の絵がどう評価されるか,興味があるんですよね。それが好評でも,酷評でも,いいです。違う考えの人に何か言ってほしいんですね。
 そうそう,シルフィードにぱっくんそーどやオーディーンがあったように,ほかの武器にも必ず1個,ジョーク武器を描いてあります。それらも,実装されるといいですね。どれもアホ臭いものばかりですよ(笑)。

ログウェルのキャラクターデザイン。こちらも国家色の赤を基調にデザイン。ワイルドな仕上がりが特徴的だ


■無から妄想,そして実装へ。“第三の立場”としての活躍

ブログの中で展開され,話題のキャラクター(あくまで妄想)
4Gamer:
 では,ネオスチームの公式サイトで続けられているブログについても,話を聞かせてください。結構力が入ってますよね,あれ。

李さん:
 ええと,その前に,この場を借りて一つお詫びさせてください。TB(トラックバック)は,できればすべてにお返事したいのですが,忙しい週は,つい忘れてしまうんですよね……。すみません。

4Gamer:
 忙しい週って,文字どおり忙しいんでしょうから,仕方がないような気も……。

李さん:
 いえいえ,それでもできるだけ,返事したいんですよね,やっぱり。というわけで,近いうちに,お返事書き込みます。
 さて,ブログの件ですが……正直,趣味です。気がついたらああなっていたという感じです。僕はHUEの人間ではないので,そのへんのしがらみはありませんし,好き勝手に書けるんですよ。また,それがウリだということも,理解しています。

4Gamer:
 HUEの人では書けなさそうなことも,ときどきサラッと書いていたりしますものね。プレイヤー側ではないけど,運営側とも少し違う。そういう意味で,いい立ち位置ではあるかもしれませんね。

李さん:
 ええ。HUEのスタッフだと,会社批判となってしまいそうなことも書いているので,プレイヤーから見ると,「おれもそう思うんだよ」と思ってもらえるかもしれません。そのあたりが,プレイヤーに近い立場にいると言われている要因かもしれませんね。
 もっとも,こういうポジションですら,やはり書きにくいことも存在しまして,そのへんをうまく表現する方法として使っているのが,「妄想」です。

4Gamer:
 ブログを見ている人にはある程度分かると思いますが,一応,詳しく説明をお願いします。

李さん:
 つまり,李KPAが勝手に考えてるんだよーということにして,ブレインストーミング的に,お気楽にいろいろとアイデアをでっち上げているんです。絵で描く,話題にするなど,見せ方はさまざまですが。
 一般のファンサイトよりは,比較的口径のでかい大砲ではありますので,空砲だとしても,鳴らすのと鳴らさないのでは,インパクトが違うってものです。やっぱり大砲は撃たなきゃ。絵は描けるなら描かなきゃ,です。

4Gamer:
 な,なるほど。……なんとなく分かりました(笑)。そういえば,ブログで展開している架空のキャラクターにも,人気があるそうですね。あれが妄想なんですよね?

李さん:
 ええ,まったくの妄想です。でも,架空では終わらせないつもりです。またやってるよ,と言われても,継続しなくては実らないと思いますので,実装されるまでやり続けますよ。で,実装されたらされたで,正式キャラとして,大手を振ってやり続けます(笑)。
 ネオスチームは現状,ポムを除いて,性別が種族ごとに固定なんですよ。で,ある日,ゲーム中には存在しない,タルンの女性を描いたんです。僕はタルンを「わんわん」と呼んでいたので,女性キャラということで萌えキャラの呼称(?)「○○たん」をつけて,「わんわんたん」。略して「わんたん」という風に命名したのですが,思いのほか反響が大きかったので,嬉しかったです。

4Gamer:
 ああいう妄想は,みんな一度は頭に思い描いたことがあるだろうし,それを李さんの絵で見られるというのは,やはりプレイヤーにとって嬉しいと思いますよ。

李さん:
 こういう妄想,大好きですね。女性タルンのときは,普通の人顔に耳をつけただけの,いわゆる“ネコミミ”系の顔と,マズルを有する完全な「獣人の雌」系の2種類描いたんです。で,人気があったのは,圧倒的に「獣人の雌」……というか,悩殺系の豊乳だからかもしれませんが。

4Gamer:
 うーん,みなさん正直というかなんというか。

人気の高い李武器。実装時/企画時で若干仕様が変更されている


同じく李さんのブログ中での妄想作品“デコトラ仕様スチームライダー
李さん:
 まぁ,苦労した甲斐があるというものです。獣人なので,身体は毛で覆われているだろうと思ってはいたものの,その毛で覆われた胸にブラをするべきか,しないべきか。ショーツ類も付けるべきか付けないべきか。大事なところは毛で覆われているから見えないにしても,その上からブラをつけたら,ブラからはみ出た毛で余計エロくなっちゃわないかとか(笑),色々考えた末,ショーツのみの今のデザインになりました。

4Gamer:
 なるほど……。その結果が,あの絵なんですね。

李さん:
 はい。まぁ,みなさんが,わんたんのどこに引かれたのかは千差万別だと思いますが,多くの人に指示いただいている事実は,非常に嬉しく思っており,感謝しています。
 「妄想」を形にするためには,大変多くの方の声や熱意が必要です。まだ形にはなっていませんが,非常にそれを強く感じています。その声は,私がブログを書く(描く)うえでの,糧そのものです。
 私に正式にデザイン依頼が来たとき,この妄想が終わり現実になるときだと思っていますので,それまで一緒に嘆願してやろうじゃないの! という方がおられれば幸いです。

4Gamer:
 プレイヤーにとっては,心強い言葉ですね。ぜひがんばってくださいませ。
 では,次の質問です。ブログを書くにあたって,ほかに何か,注意していることはありますか?

李さん:
 あとはとにかく,スクリーンショットをたくさん撮るようにしています。それを載っけてHTMLで直接ブログを組むと,あっという間に,今のボリュームになるんですね。
 最近忙しくて,ショットが多すぎる気もしますが……。できれば,汎用スチームライダーの妄想を繰り広げたときのように,いろいろありもしない絵を描きたいんですけどね。

4Gamer:
 毎回毎回ある程度のボリュームがありますが,あれを継続するのは大変ですよね。

李さん:
 公式サイトって,どんなゲームでも,そんなに頻繁には見ないと思うんですよ,実際。でも毎週ブログを読んでもらえるなら,自然と,公式サイトのお知らせなども目に入ると思うんです。
 あと,RvRが実装されるまでの間,いったんプレイをお休みしていても,ブログだけはしっかり見ているという方もいるそうなんですね。そういう,休眠状態にあるプレイヤーとネオスチームがつながっている唯一の接点が私のブログだとしたら,なおさら,「バカなことをやっているぞ李は」といった感じで(?)見たくなるブログを続けていきたいと思います。

4Gamer:
 ブログを見るために継続的に公式サイトを訪れてくれていれば,ゲームに何か大きな変化があったときに,早く気づいてもらえますし,そういう活動は結構重要かもしれませんね。

李さん:
 ええ,そう思っています。ただ,20回目を超えたくらいから,そろそろ書く(描く)ことが決まってきちゃっているなー,とも感じています。鮮度は重要ですから,何か面白そうなこと,新しいことを,ブログでできればいいなと思っています。……そう簡単ではないでしょうけどね。

4Gamer:
 期待してます。

左:李さんの提案により実装を果たした,特殊スチームライダー“ププライダー 右:李さんのキャラが,自身のデザインした装備をゲーム内で身に着けているところ


■一プレイヤーとしての,提言

サンタ衣装でも好評だった翼が,近日実装される予定。メガネについては,現在検討中とのこと
4Gamer:
 ところで,先ほどスクリーンショットをたくさん撮るといった話が出ましたが,ご自身でも結構ネオスチームで遊ばれているようですね。

李さん:
 ネオスチーム,好きですから。いや,社交辞令抜きで好きです。その割には全然レベルが上がっていないんですけどね。今ちょっと忙しくて,潜れる時間も限られちゃって。
 ともあれ,何かイベントなどがあるときは,必ずレポートがてら,どこかに潜っていますよ。

4Gamer:
 ちなみに,プレイヤーとして,自分でデザインした武器や防具を装備してみて,どう感じましたか?

李さん:
 やはり,凄く嬉しかったですね。以前,仲間が,ほかのゲームのキャラのマスコットをデザインしていて,それがゲーム内で表示されているのを見て非常にうらやましく思ったことがあるんですね。それもあって,この仕事を奪ったわけですが(笑),奪って良かったなぁと思いました。

4Gamer:
 となると,先ほど話に出た,妄想キャラ達の実装も,待ち遠しいですね。

李さん:
 ええ,一刻も早く,あのキャラ達を具現化したいですね。
 ただ,こちらの考えを,開発側に伝えるのは難しいんですよ。細かい設定は付けるものの,基本的には絵を送るだけですので,うまくニュアンスが伝わらないことがあるんですね。実際に開発現場にいたら,「もっとこのパーツは大きく!」とか「位置が違う」とか言えるのになぁ,と思うこともあって。なので,どうやって描けば,細かい部分まで開発スタッフに伝わるのかということを,最近考えるようになりました。

4Gamer:
 日本人と韓国人という違いもあるので,余計大変でしょうね。ところで,開発スタッフへは,デザイン以外に,アイデアなどを伝えることもあるんでしょうか?

李さん:
 アイデアはあります。ですが,僕が考えていることは大抵,HUEのスタッフも考えていまして,会議にかけたり本国へ打診したりされているようでした。
 ただ,相当あり得ない,でもかなり「それいいなあ!」っていうようなことも考えていたりします。ププライダーがいい例ですね。

4Gamer:
 なるほど,確かにあり得ないかもしれないけど,実装されたら嬉しいですね。

李さん:
 そういったものが,実装されるかどうかは,日本という市場のプライオリティ次第だとも思っていまして。プライオリティを高くするために,売り上げを伸ばす方法も考えないといけないかもしれませんね。
 もちろん,ブログからあがる声も大きな原動力になるでしょうから,がんばって妄想を続けようと思います。あと,いい武器描きます。

4Gamer:
 分かりました。応援しています。
 では続いて,一プレイヤーとしてネオスチームで遊んでいる李さんから見た,ネオスチームの不満点を教えてください。……HUEの人には聞きにくい質問ですが,李さんなら正直に話してくれるかな,と(笑)。

李さん:
 残念ながら,そんなに悪いことは言いませんよ(笑)。確かにクライアントはかなり重いですが,もうすぐ軽量化クライアントが出るそうなので,まぁそこまでの辛抱かな,と。
 あとまぁ,悪いと思うところは,そのまま挙げるのではなく,改善案として,今後も出していきたいと思います。

4Gamer:
 改善案について,具体的に何かありますか?

李さん:
 例えば,巨大なモンスターが現れるイベントで,「レベルが低いキャラクターでも参加できます」なんて謳っていることがあるんですが,実際には,そんなイベントにも,必ずコアレベルがあるんですよ。
 結局のところ,レベルが高くないときつかったり,逆に高レベルの人にはつまらないものになっていたりするんです。初級者向けのイベントに,高レベルの人が参加して,褒賞アイテムを露店で売りまくってボロ儲けしている……なんてこともありますしね。
 なんで,この手のイベントは,必ず対象レベルをキチッと示したり,もしくは,レベル帯別に狩り場を分けたりする必要があるんじゃないかな,と。

4Gamer:
 なるほど。プレミアムアイテム(有料アイテム)に関してはどうですか?

李さん:
 プレミアムアイテムですが,アイテムを直接購入するのではなく,まずクエストを購入し,それをクリアすることで優れたアイテムが手に入る,というシステムはどうでしょう? 現金ですぐに買えるのは,アバターだけでいいと思うんですよね。
 とくに,強い武器などは,クエストの報酬という形のほうが面白いと考えています。元々武器には,対応レベルが設定されていますので,クエストも必然的に対象レベルが決まってくるはずですしね。

4Gamer:
 そういえば,李さんのデザインされたものは,プレミアムアイテムが中心ですね。

李さん:
 現在はそうなっていますね。新アイテム,課金ものだけではなく,超レアアイテムとしてドロップオンリーのものも,そろそろ欲しいかなあとも思います。
 でも例えば,日本側でそういったリクエストを出しても,結局それを決めるのが開発なら(編注:今まで実装されたものは,基本的には3国共通。そこから想像するに,最終決定は開発側が行っている可能性が高い),やはり日本のプライオリティを上げるしかないんだろうなぁ,と思ったり。

4Gamer:
 そのほかには何かありますか?

李さん:
 まだアバターが弱く,そのへんでキャラの個性があまり出せないので,ちょっと寂しいですね。装備も一緒ですし。
 そのあたりも,「デザインしろ」と言われれば,いくらでもするので,ぜひアバターの強化は図ってほしいと思います。……というか,させてください(笑)。
 一つ一つの部分では及第点に達しているのに,「もうちょっと,もうちょっと」の積み重ねで,全体的には「惜しい」ゲームだと思いますので,ぜひ完成度を高めるためのお手伝いをしたいな,と。

4Gamer:
 デザインに関しては,李さんの得意分野ですからね。

RvRで実装されるタンクと,人型機動兵器。現時点では,李デザインが採用されるのかは未定という


■ネオスチームでの今後の活動について
4Gamer:
 さて,今後の活動について少し聞かせてください。今後実装されるもので,未公開の装備などがありましたら,支障のない範囲で教えてもらえますか?

李さん:
 えーと,メガネはいいのかな? あと,背中アイテムで翼とか,そういうアバター系とか……。って,HUEさんになんの断りもなく,勝手にベラベラしゃべっちゃっていますけど,大丈夫ですかね?(笑)

4Gamer:
 とくに根拠はありませんが,大丈夫です(笑)。あと,RvRなどの導入も近いようですが,今後のアップデートで,何かデザインを担当されたりするのでしょうか? 李版人型ロボットとか,見たいという要望もあるんじゃないかと思うんですが。

李さん:
 残念ながら,まだ依頼されていないですね。……「まだ」って表現でいいのかな?(笑) 戦車とか描きたいですねー。あと,移動砲台とか。巨大ポムロボとかって,世界観崩すかしら?

4Gamer:
 ぜひHUEさんに発注していただきたいところですね。ほかに何か,これ描きたい,ってものありますか?

李さん:
 何でも描きたいです。それこそ「わんたん」だけじゃなく,新しいヒューマン女性やその初期衣装だったり,新たな移動手段だったり。
 武器だけじゃなく,防具も描きたいですね。僕なりにカッコいい,可愛い,変な防具とか。ププライダーに次ぐ何か新しいもの。あと,ペットですね。
 今後,2次職業なんかあったら,それもデザインさせてほしいですね。召喚獣も数が少ないので,もっとあってもいいんじゃないかなーと思います。どうですか? 新たな召喚獣。

4Gamer:
 もう,先に描いて,ブログで公開しつつ,開発側に送りつけちゃうのはどうでうか(笑)。では最後に,ネオスチームのプレイヤー,およびその候補者に対して,メッセージをお願いします。ではまずは,現役プレイヤーへ。

李さん:
 軽いクライアントも,すぐそこまで来ているようです。RvR実装もすぐだし,これからが本番ですね。
 また僕もこの立場を生かして,みなさまの「あったらいいな」の実現のために,できる範囲で努力していきます。ぜひ,ブログへのトラックバックや,ネオスチームの世界で声をかけてください。まだレベル50に達していない方は,来るべきRvRに向けてガンガンレベルを上げて,一緒に戦いましょう!

4Gamer:
 続いて,プレイヤー候補者へのメッセージをお願いします。

李さん:
 ネオスチームは無料ですので,気軽に初めてみてください。その独特な居心地の良さは,きっと気に入ってもらえるはずです。
 また,近々RvRという国同士の戦いも実装されます。とても迫力のある戦いが期待できますので,ぜひレベルを上げて参加してみてください。僕も一プレイヤー「李 KPA」としてそのへんをうろうろしています。見かけたら声をかけてみてくださいね。ブログでやってほしいことや描いてほしい絵なども受け付けています。ぜひお暇なときには,李 KPAのブログのある「すちぃまぁず☆かふぇ」にご来店ください。

4Gamer:
 長時間,ありがとうございました。


 インタビューを通じて感じたのは,李さんのネオスチームに対する熱い思いだ。もちろん,“仕事”に対して真剣に取り組んでいるというだけでは,当たり前の話である。しかし李さんの場合,ネオスチームを仕事として見ていない。仕事の一段上(生活のレイヤーだ)に置いて,取り組んでいると感じた。だからこそ,彼のブログはプレイヤー達に人気なのだろう。
 また,この人気を保ち続けることで,李さんの発言力も増していくのも,容易に想像できる。それにより,彼の妄想は徐々に具現化され,ゲーム内に実装されていくのではないだろうか。そう期待させるインタビューだった。

 印象的だったのは,李さんが不満な部分は,それをそのまま言葉にするのではなく,改善案や“妄想”という形で表に出す,という姿勢だ。プレイヤー達から見ればよき代弁者だし,HUEから見れば,よきアドバイザーというわけである。李さんは今後も,この立ち位置をうまく活用して,内から外から,ネオスチームの進化に貢献してくれるのではないだろうか。(4Gamer編集部,Illustrated by 李 KPA)

(2006年12月22日収録)

  • 関連タイトル:

    ネオスチーム

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