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[GC 2006#14]自由度を高め,より現実感を表現したシングルRPG「Gothic 3」プレイアブル出展
本作のストーリーは,「Gothic II」のエンディングから続く形でスタートする。主人公は,故郷である大陸へ戻ってはみたものの,そこはオークに占領されてしまっているという設定だ。だが最終的な目的はとくになく,RPGの定石通り(?)オークを退治して大陸を人間達の手に取り戻してもいいし,オークに取り入って仲良く一緒に暮らしてもいい。もちろん,決してこの2択というわけでもなく,オークのことなど放っておいて自由気ままに暮らしても構わない。
主人公の職業は,プレイ開始時に決定するわけでなく,プレイの仕方によって徐々に得意なこと,不得意なことなどが決まっていく。経験したことによって,その後の方向性が変化していくというのも,本作の「現実感」の演出の一つなのだろう。
また,街ゆく人々の反応もプレイヤーの行動で大きく変わる。話をしている最中に武器を構えてみたところ,それまでフレンドリーに話していた相手も戦闘態勢を整え,一触即発の状態へと変化した。これは決して一部のキャラクターだけに設定されているのではなく,本作に登場する700人のキャラクターすべてがこのようにプレイヤーの行動に合わせて反応するという。
この700人すべてが物語に深く関わってくるわけではないが,戦闘をしかけて殺してしまえば,そのキャラクターに関わって暮らしていたほかのキャラクターの生活も微妙に変わっていく。つまり,一見物語の本筋に関係がないキャラクターに思えても,殺すことによって,主人公の行く末が大きく変わることもあり得るのだろう。
実際にプレイしていて気になったのは,最初のロード時間だ。計ったわけではないが,余裕でカップラーメンができあがるほど待ったような気がする。この点はJoWooDのマネージャーであるStefan Berger(ステファン・ベルガー)氏も認めており,今後発売に向けての改善点に挙げていた。
ただ同氏は,最初に一度ロードしてしまえば,マップの移動によるロードは発生しないとも述べていた。75平方キロメートルに及ぶという広大なマップを読み込みなしでプレイできるというのは驚きである。最初のロード時間はぜひとも短縮してほしいが,途中でロードが必要がないという長所も,できればそのままで発売してほしいところである。
「現実感」はグラフィックスにも現れており,炎や水の処理などにもかなり力が入っていた。とくに,たいまつを手に持ってほかの人物を照らしたときの影のゆらめき具合などはかなりリアル。こういった細かい点でもリアルへのこだわりが感じられた。
本作の開発に携わっている人の数はわずか20人ほどだという。ゲームの規模を考えるとかなり少数といえる数だ。ベルガー氏は本当に技術力がある少数精鋭で開発に臨むことで,作品のクオリティを保つことに成功したと話していた。
2003年の秋に発表された本作は当初,2006年第1四半期の発売が予定されていたが,現在は2006年の秋にずれこんでいる(手元の資料では2006年秋となっているが,ベルガー氏は,欧州での発売日を10月30日と話していた)。こだわりは重要だが,あまりファンを待たせてしまい,興味が失われてしまうといったことがないように,これ以上の延期がないような日にちを発表してもらいたい。
残念ながら現時点では日本での発売予定はないが,今後のシングルRPGの方向性を占う意味でも本作は重要なポジションにあると思えるだけに,発売後も本作の動向に注目していきたい。(noguchi)
- 関連タイトル:
Gothic 3 日本語マニュアル付英語版
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