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  • 発表日:2004/04/14
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1枚でGeForce 6800 GT SLIの巨大グラフィックスカード「Extreme N6800 GT Dual」を試す
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印刷2005/06/23 22:20

テストレポート

1枚でGeForce 6800 GT SLIの巨大グラフィックスカード「Extreme N6800 GT Dual」を試す

ASUSTeK Computerの「Extreme N6800 GT Dual」。ごく普通のグラフィックスカードのように見えるが,実は1枚でNVIDIA SLI動作を実現する変わり種カードだ
問:ASUSTeK Computer
 Quantum3Dの「Obsidian2 X-24」(Voodoo 2×2)やATI Technologiesの「RAGE FURY MAXX」(RAGE 128 PRO×2)など,1枚のカードに複数のグラフィックスチップを搭載してパフォーマンス向上を図る製品はめずらしくない。最近だと「マザーボードにバンドル」という少し変わった仕様で,GIGABYTE TECHNOLOGYが2個のGeForce 6600 GTを搭載するグラフィックスカード「GV-3D1」を発売したのは,記憶に新しいところだ。
 さて,今回採り上げるASUSTeK Computer(以下ASUSTeK)製「Extreme N6800 GT Dual」(以下EN6800GT Dual)はGV-3D1に近い製品コンセプトである一方,搭載するグラフィックスチップがGeForce 6800 GT×2と,ハイエンド寄りになっているのが特徴。COMPUTEX TAIPEI 2005の会場では,「こちら」で紹介したように,GeForce 6800 Ultraを2個搭載する製品を展示していたASUSTeKだが,それとは微妙に仕様が異なるので注意してほしい。
 いずれにせよ,製品化されるかどうかは未定だ。今回はあくまで,1枚でGeForce 6800 GTのNVIDIA SLI(以下SLI)を実現するグラフィックスカードの試作サンプルから,その可能性を評価するものであることを最初に断っておく。



■とにかく巨大なEN6800GT Dual
カードの高さがブラケットの高さを大きく上回っており,そんな大きなカードを支えるため,ブラケットからカード裏面に補強レールが伸びている
 EN6800GT Dualを見ると,まずその大きさに驚かされる。カードの全長は300mmに達し,高さも155mmで,増設ブラケットのサイズを軽く超えている。これだけ大きいと,自重によるカードのたわみが懸念されるが,EN6800GT Dualではカードに金属製の補強レールが取り付けられ,対策されている。
 これほどの大きさなので,一般的なPCケースでは組み込むことすら不可能な場合が多いだろう。実際に,横幅が210mmの,ごく標準的なATXミドルタワーケースベースの自作PCに差してみたところ,なんとかケースに収められたものの,PCI Express用の6ピン補助電源コネクタが干渉し,側板を閉めることができなかった。

上段左:グラフィックスカードとしては比較的サイズの大きい,GeForce 6800 Ultra搭載カード(ASUSTek製「Extreme N6800 Ultra」,奥)だが,EN6800GT Dual(手前)と比べると非常にコンパクトに見える
上段右:EN6800GT Dualの高さは,VIA TechnologiesのMini-ITXマザーボード「EPIA-M」の横幅(170mm)とほぼ同じ
下段左:本文で触れたATXケースに組み込んでみたところ。3.5インチのシャドウベイに当たるか当たらないかギリギリのサイズでなんとか納まっている。当然だが,シャドウベイにHDDを搭載していると干渉してしまって装着できない
下段右:組み込んだ後,側板を閉めようとすると,6ピンの補助電源コネクタが出っ張ってしまった。ケース側はできれば230mm以上の横幅が欲しいところだ


 もう少しカードを細かく見てみよう。グラフィックスメモリはSamsung製の「K4J55323QF-GC16」が16個(512MB分)搭載されているが,実際には8個,つまり256MBずつ各グラフィックスチップと接続されているため,実質的なメモリ容量は256MBとなる。また,前述の6ピンの補助電源コネクタは2個用意されており,それぞれが各GeForce 6800 GTチップ用となる。ASUSTeKによれば,EN6800GT Dualの動作には550W以上の電源ユニットが必要とのことだ。

上段左:EN6800GT Dualのヒートシンクを取り払ってみた。「GeForce 6600 GTを中心にグラフィックスメモリが扇状に8個並んでいる」のが,カード上に二つ並んでいるイメージである
上段右:搭載するグラフィックスチップはご覧のようにGeForce 6800 GT。リビジョンはA1だ


■"1枚でSLI"の仕組み
 通常のSLIは2枚のグラフィックスカードで実現されるのに対し,EN6800GT Dualでは1枚で実現可能。では,SLI対応のマザーボードでなくとも,PCI Express x16スロットが1本あればEN6800GT DualでSLIを利用できるのだろうか?
 この点はまだASUSTeKも十分な検証を行なっていないのか,不明な点が多い。実際にASUSTeKのIntel 955X Expressマザーボード「P5WD2 Premium」にEN6800GT Dualを差してテストを試みたところ,SLI動作はおろか,そもそもシステムが立ち上がらなかった。一方で,同社のnForce4 SLIマザーボード「A8N-SLI Deluxe」では問題なく動作したので,SLI対応マザーボードでなければ動作しない,という可能性は高い。
 なお,A8N-SLI Deluxeが用意する,2本のPCI Express x16スロットのPCI Expressレーン数を変更するサブカードを「Dual Video Cards」(2本のPCI Express x16スロットをいずれもx8動作に変更するモード)に設定して,EN6800GT Dualを差してみたところ,OSからは片方のグラフィックスチップしか認識されなかった。カード上のグラフィックスチップはそれぞれ8レーンずつPCI Expressバスと接続されているものと思われる。
 EN6800GT DualにはDVI-I端子が2個設けられているが,これらはそれぞれ各グラフィックスチップの出力となる。このため,1枚のグラフィックスカードで,デュアルディスプレイとSLIを(システムの再起動は必要だが)必要に応じて切り替える,といった使い方も可能だ。

■シングル動作時にx8接続のデメリットはない
 さて,ここからはベンチマークテストで,EN6800GT Dualのパフォーマンスを検証していこう。
 今回,比較対象にはASUSTeK製の"シングルGeForce 6800 GTカード"「Extreme N6800 GT」(以下EN6800GT)を用意。EN6800GT Dual,EN6800GTともにコア350MHz,メモリ1GHzで動作する。機材調達の都合上,SLI動作における比較は行えていないので,この点はご了承いただきたい。このほかテスト環境は表のとおりだ。
 テスト結果はグラフ1〜5にまとめたが,一つ言えるのは,x8動作となるEN6800GT Dualのシングル動作(グラフ内では「EN6800GT Dual(シングル)と表記」)のパフォーマンスが,EN6800GTとほぼ互角のパフォーマンスを持っていることだ。つまり,各グラフィックスチップがPCI Express x8接続であるデメリットはほとんどないわけである。「3DMark05 Build120」や「DOOM 3」,あるいは「Unreal Tournament 2003 DEMO Ver.2206」のFlybyにおけるSLI有効時のスコアも順当だ。「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」でSLIのスコアがふるわないのは同ベンチマークソフトがSLIに対応していないためで,EN6800GT Dualが原因ではない。




■消費電力,騒音ともに増大
 前述したようにEN6800GT Dualは,ASUSTeKいわく550Wの電源ユニットが必要だ。そこで,OSを起動し,そのまま放置してから数分後と3DMark05 Build120の実行時をそれぞれアイドル時,高負荷時としてワットチェッカーでシステム全体の消費電力を測定した。結果はグラフ6のとおり。予想はしていたが,EN6800GT DualでSLIを利用すると,高負荷時におけるその消費電力は242Wとかなり大きい。550Wの電源ユニットが必要というのもうなずける結果である。
 最後に,GeForce 6800 Ultraを搭載したASUSTeKのグラフィックスカード「Extreme N6800 Ultra」を2枚用意し,冷却ファンの騒音を計測した結果をグラフ7に示した。カード2枚によるSLIでは46dBAであるのに対し,EN6800GT Dualは47.3dBAと,騒音レベルはカード2枚よりもわずかながら高いという結果になってしまっている。大きなファンが1個だけなので,静かになりそうと期待していたのだが,実際にはかなりうるさい印象だ。ちなみにテストを行った室内の環境騒音は21.8dBAだった。

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