テストレポート
最高のコストパフォーマンスを誇るマウスソールの代替品「カグスベール」を今さら紹介してみる
これは,FPSプレイヤーの間で長いこと使われてきている,“マウスソールの代替品”である。正直なところ,「何を今さら」「常識だろ」と鼻で笑う読者はかなりの数に上ると思われ,筆者も個人的にはその感情を支持したいのだが,2010年9月の時点で周囲に聞き込み調査を行ってみたところ,予想以上に,カグスベールというキーワードは知られていないようなのだ。
冷静に振り返ってみると,4Gamerの記事でカグスベールを正面から紹介したことはない。fumio氏が,対談のなかで名前も出さずに簡単に触れている程度である。それほど「当たり前」のものとして処理されてきたのだが,ひょっとすると,FPSを長くプレイしている人にとっては当たり前でも,最近FPSを始めたプレイヤーにとっては,当たり前ではないのかもしれない。すばらしい製品なのだから,もっと広く知られるべきだ。
……世のカグスベール愛好家諸兄諸姉と同じく,筆者もどこかの誰かが考案した使用法の恩恵を受けている立場である。決して筆者のアイデアではないということをお断りしつつ,知られているようで知られていなかった,カグスベールの魅力を,今回はあらためて語ってみようと思う。
マウスソールの代替品となるカグスベール
何のために使う製品なのかは,「カグスベール」という名前が雄弁に語ってくれているので,おおよそ想像はつくだろう。タンスやテーブル,イスといった家具の底面や脚にシートを貼ったりキャップを装着したりすると,滑らかに動かせるようになるというわけだ。
カグスベールの製品ラインナップは全部で26種類ほどあり,中には家具の滑りをよくするものだけでなく,ふすまなどに使用する小さなシールタイプのシート「トスベール」や,自分で加工して好みの用途に合わせる「フリーサイズ」などが存在。ホームセンターやスーパーマーケットなどに行けば,それぞれ350円〜1800円ぐらいで販売されているのを見つけられるはずだ(※一部「プロ用」とされている巨大なカグスベールは例外で,1万円以上するものもある)。
要するに,「材質が同じだから,カグスベールをマウスに貼れば,マウスソールと同じような効果が得られる」というわけだ。ただ言うまでもないことだが,「代わりに使える」だけでは,カグスベールを積極的に使う理由にはならない。
カグスベールは最強のコストパフォーマンスを持つマウスソールなのだ
先ほど,カグスベールには26種類ほどあると述べたが,オススメは先ほどもその名を挙げたトスベールとフリーサイズ。これらは,
- 形状が平らで,
- シールで貼り付けられるようになっており,
- 薄く,加工するのが便利
という条件を満たしており,マウスソールの代わりとして,最も適している。
トスベールとフリーサイズの実勢価格は,順に360円前後,560円前後。4Gamer読者には釈迦に説法かもしれないが,一般的なゲーマー向け交換用ソールには,2010年9月25日現在の市場価格で,たいてい1000円前後の値札が付けられている。
これに対してトスベールの場合,使い方は後述するが,1枚のシートから約1セットぶんのマウスソールを確保できる。トスベールの内容物にはこのシートが18枚入っているため,1袋から18セットぶんのマウスソールが作り出せるのだ。なんと,1セット約20円である。
数えたことはないが,フリーサイズで同じことをやれば,少なくとも30セット以上確保できるだろう。最近のゲーマー向けマウスで流行している大きめのマウスソールを切り出す場合でも,3セットはぶんぐらいは間違いなく確保できるはずだ。
要するに,市販のマウスソールとは比べ物にならないほど,コストパフォーマンスが圧倒的に高いのである。
もちろん,マウスソールは人によって滑りの好みが変わってくるものなので,「ほかのマウスソールよりもカグスベールのほうが優れている!」と断じるつもりはない。しかし,コストパフォーマンスという観点では間違いなく最高だ。この点だけでもカグスベールを選択する価値はあるだろう。
簡単に加工してマウスソールとして使用できる
とにかく安いという最大のポイントを語ったところで,使い方にも触れておこう。カグスベールは,当たり前だがマウスに貼ることを前提とした製品ではないため,自分で加工してやる必要があるのだ。……と,ここで尻込みしかけた人がいるかもしれないが,ちょっと待ってほしい。「加工」といっても,その手順は,
- カッターやはさみで切るか,穴あけパンチで小さな丸型に切り出すか,もしくはトスベールなら小型なのでそのまま使うか,とにかく貼りたい形状にする
- 裏面のシールを剥がす
- マウス底面の貼りたい位置に貼る
筆者としては,穴あけパンチを使用してトスベールから同じ形のソールを量産するのがオススメだが,大きく貼りたい人はフリーサイズをカットするのもいいだろう。
トスベールを穴あけパンチで加工する場合,きっちり円形に切り出すのなら4個前後,少しぐらい欠けた形になってもいいというのなら6個前後切り出せるはずだ。
一応,厚みが気に入らないのであれば,手間は掛かるがフッ素樹脂からコルクを剥がして,両面テープなどで貼ることは可能。ただ,そこまでするのならトスベールを使ったほうが楽といえ,その意味でより“安全”かつ“便利”なのはトスベールのほうだ。フリーサイズのほうが大きめに切り出せるというメリットは間違いなくあるのだが,使っているマウスのリフトオフディスタンスを把握しておく必要があるので,その点は理解しておきたい。
価格だけではないカグスベールのメリット
まず挙げられるのは,大量に用意でき,好きな形に加工できるため,さまざまなマウスに使えるということだ。マウスを買い換えたとき,マウスソールが変わってしまうと,今まで使っていたマウスとどちらが自分により向いているのかが分かりにくくなる可能性がある。同じ滑りで2種類以上のマウスを比較できるというのは,カグスベールの強みであると言っていい。
さらに,その安さから,重ね貼りによってマウスのリフトオフディスタンスの調整に使いやすいことも重要なポイントといえる。
リフトオフディスタンスが長くて使いにくいマウスも,マウスソールを重ねて貼れば,センサーとマウスパッドの距離を物理的に離せる。安価なカグスベールだからこそ気軽にできる使用法だ。
FPSなどでオンライン対戦を好むプレイヤーなら,やはりプレイ環境はベストなものを保っておきたいはず。つまり,定期的なマウスソールの張替えは必須となるわけで,コストパフォーマンスの高いカグスベールはその点で最適だ。「マウスソールを張り替えたら,調子がよくなってヘッドショットもバッチリだ!」なんてことになるかどうかはさておき,劣化したものを使い続けたりするよりは,新しいものに交換していくほうがスコアも安定するとは言えると思う。
もう1つ,入手し易いというのも,市販の交換用マウスソールに対する優位な点と言うことができる。ゲーマー向けマウスソールを購入しようと思ったら,基本的には専門店に行くか,通販サイトを利用することになる。一方,カグスベールなら,近所のホームセンターに行けば購入できてしまうのだ。
ちなみに,カグスベールをスーパーマーケットに探しにいくのはあまりおすすめしない。筆者の経験上,カグスベールを取り扱っているスーパーマーケットはあるのだが,どういうわけかトスベールとフリーサイズがピンポイントで置いていないということが多かったのだ。買いに行くのなら,ホームセンターのほうが品揃え的に安心である。
ここまで読んだのなら,とにかく使ってみよう
カグスベールのコストパフォーマンスや気軽に貼り替えられるなどのメリットは,ゲーマーにとって魅力的な点ばかり。今使っているマウスソールにこだわりがない限り,カグスベールを使わない理由はもうないはずだ。興味を持った人は,さっそくホームセンターに行って1つ購入し,その性能を確かめてほしい。
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