レビュー
Test Drive Unlimited
» ハワイ,オアフ島に住んで,レースで得た資金で邸宅を購入したり,高級車を買ったりしてのほほんと過ごす異色のレースゲーム,「テストドライブ アンリミテッド 日本語版」。そんな本作を,車モノのといったらこの人しかない,と言われるUHAUHA氏が解剖した。私生活でも割とセレブっぽい彼に,ハワイのセレブ暮らしはどう見えたのだろう?
レースゲームの常識を超えたレースゲーム
それがテストドライブ アンリミテッドだ
日本人に人気の南の島,ハワイのオアフ島を丸々再現し,その中を自由に走り回れるテストドライブ アンリミテッド。筆者はオアフ島に一度だけ行ったことがあるので分かっちゃうのだが,オアフ島の再現度はかなり良い感じ。ハワイの空気を感じつつ,夢のカーライフを満喫しよう! |
そうしたレースゲームの常識を覆したといっても過言ではないかもしれないのが,テストドライブシリーズ最新作「テストドライブ アンリミテッド 日本語版」(以下TDU)だ。プレイを開始した数分後には「おぉ,こりゃ今までのドライブゲームと違うぞ!」と軽い衝撃を感じさせてくれるはずだ。
TDUの舞台となるのは常夏の島,ハワイ。ハワイといえば年間約700万人もの日本人が訪れる泣く子も黙る大人気観光地のメッカの大御所。ハワイとはいってもピンからキリまでいろんなハワイがあるが,TDUに登場するのは広さ約1600平方キロメートルのオアフ島だ。オアフ島にはハワイ州の州都ホノルルがあるほか,有名なビーチや観光スポットも多く,日本からの直行便は一部を除いてホノルル国際空港に到着するという,まさにハワイの玄関口である。
当サイトでは以前,TDU海外版を使った週刊連載「あぁ,憧れのハワイ道路」にてゲームの魅力をお伝えしてきた。覚えてます? もともと海外版なのに日本語テキストが表示可能という“日本語でオッケーです”のハワイらしい仕様だっただけに,すでに本作をプレイしているという読者も多いだろう。とはいえ,9月28日にイーフロンティアからちゃんとした(?)日本語版も発売され,専門のショップだけでなく量販店などでも普通にハワイが買えるようになった。というわけで,もっと多くの人々にオアフ島に来て遊んでもらいたいところである。
セレブな仲間と共にオアフ島を駆け抜けよう
オアフ島には最大8人のプレイヤーが現れて自由に走り回っている。単独で走ってもいいが,やっぱりツルんで走ると面白さは格別。ワールドワイドなので言葉の壁はあるものの,先頭車に付いて爆走しているだけで気分爽快なのは現実のツーリングと同じだ |
オアフ島では自分以外の世界中のプレイヤー達が,何を急いでいるのか凄い勢いですっ飛ばしていたり,数台で連なってツーリングを楽しんでいたり,道路脇にクルマを止めて黄昏れていたりと自由気ままなカーライフを楽しんでいるわけだ。もっとも,サーバーに繋いでいる世界中の人すべてがマップ上に現れるわけではなく,自分の近辺にいる最大8人のプレイヤーが自動的にマッチングされて同じオアフ島に登場する仕組み。
誰とマッチングされるかはサーバー側に委ねられており,プレイするたびに知らないプレイヤーと出会いのあるゲームシステムが面白い。出会い系ゲームといってもいいだろう。冗談だけど。半面,友達と合流したい場合にもうまくいかないなど,使いにくい面もある。このへんは人気(ひとけ)の少ないエリアを待ち合わせ場所に選ぶなどして,マッチング確率を高めるといった誰でも気がつく高度なテクニックもあるので,現地で試行錯誤してみるといいだろう。
実際に走り回っていると,ツーリング中の集団からロックの申し出を受けたりする。そのまま飛び入り参加で同行させてもらうなんてことは多い。一人で一時間もドライブするのは精神的につらいが(筆者はさびしがりである),仲間と走り回っていると一時間なんてあっという間に過ぎてしまうから楽しい。これがツーリングの醍醐味というものだろう。
もちろん,正面衝突してきたり追突してきたり,暴走族よろしく集団で取り囲んで威圧してきたり,そんなことを繰り返す人達もやってくる。あまりしつこいと正直イラっと来るが,べつにクルマが壊れるわけではないし,うっとうしければマップを開いたりして再マッチングしたりすればいいだけだ。逆にこういう人達の存在も,これが世界のいろいろな人が操っている車でありゲームなんだなあと感じさせてくれる要素だといえるかもしれない。いや,強がりじゃなくて本気。
便利機能満載のオアフ島へようこそ
道が覚えられない! 方向が分からない! なんて人(筆者だ)も,目的地をセットすれば矢印でルートを案内してくれるカーナビ機能が付いている。自分の車(本物)のカーナビを使っても道を間違って遠回りしたりする筆者だが,まさかゲームでも同じ目にあうとは…… |
目的地までのルートが分からなかったり,筆者のように人生でもマップでも方向を見失いがちな人のために,目的地を設定するだけでルートを案内してくれるカーナビ機能(GPS)が付いている。一方通行まで判断してルート検索するし,ルートから外れると別ルートを再検索機能してくれるしで,なかなかお利口である。ちなみに,一度走ったことのある道路へは直接ワープできるという時空を超越した機能もある。
さて,知らない人もいるかもしれないがハワイはアメリカなので,道路は右側通行だ。街中にはきちんと信号を守り,交通ルールに則って走行している真面目な一般車もいる。こちらが交通ルールを守って走っている分には気にならないが,交通ルールを無視してぶっ飛ばしているときやレースの最中には一般車の存在が非常に邪魔になる。なかなか際どいタイミングで車線変更なんかしてくるのはリアルだが,そんな一般車を華麗にかわして突っ走るテクニックも身につけておきたいところだ。
ちなみにパトカーもオアフ島の中を走り回っており,なぜか信号無視,スピード違反,追い越しにはおとがめなしなのだが,一般車に接触すると警戒レベルが上がってしまう。警戒レベルが3を超えたり,パトカーに追跡されて車を押さえ込まれたりすると「逮捕」となる。逮捕されると被害の程度やキャラクターレベルに合わせて罰金を支払わなければならない。警戒レベルは追跡されずにある程度時間が経つと自然に下がっていくので,その間はパトカーに見つからないようにコソコソ行動した方がいいだろう。
「オアフ島でセレブ暮らし」という見果てぬ夢を叶えよう
現実では買えないような往年の名車や最新スポーツカーまで,ガンガン購入して思う存分乗りまくれる。外観だけでなく車内まで忠実に再現されており,購入時にはボディ色,ホイールだけでなく,内装のカラーリングまで指定できる場合も。車好きはニンマリできるはずだ。ああ,ニンマリ |
車は一部の車種を除いてカーディーラーで購入できるが,ほかのプレイヤーが売りに出しているトレード(マイホームで利用できる)で新車/中古車を格安で入手するという手もある。排気量によりクラス分けがされており,チャレンジ/ミッションの中にはクラス限定や車種限定のものもあるので,一通りのクラスを揃えておくと行動しやすい。
挙動については全体的にシミュレータとアーケードの中間といった印象だ。車種ごとに加速性能,ハンドリング性能,足回りの違いが再現されており,それぞれの挙動の違いを感じながら運転できるものの,ギア比などのセッティングの変更はできないため,上級者には物足りなく感じるかも知れない。タイヤの空転を制御するTCS(トラクション・コントロール・システム)機能は,初心者向けの「ドライブ」,中級者向けの「スポーツ」,上級者向けの「ハイパースポーツ」,そして完全オフの四つをゲーム中に自由に切り替えられるため,初心者でも簡単に乗り回せるはずだ。
なお,プレイヤーレベルがチャンピオンになると,さらにシミュレータよりの挙動再現となるハードコアドライビングモードがプレイできる。かなり手強い挙動に変貌するが,シミュレータ寄りのゲームを好む人や腕に自信のある人は挑戦してもらいたい。さすがにキーボードやゲームパッドでは難しいので,ハードコアドライビングモードではステアリングデバイスの使用をオススメしておこう。
さまざまな資金獲得法があるので,お父さんも安心だ
ツーリングだの仲間だのはイヤだ。俺はレースがしたいんだ,いう人にも,さまざまなタイプのレースが用意されている。優勝賞金でガシガシお金を稼げ |
チャレンジには指定されたルートを走破する「タイムアタック」,ルート上に設置された計測ポイントをできるだけ速く走り抜けていく「スピード」,ライバルカー(CPUカー)とストリートレースを行う「レース」の3種類が用意されている。マップ中に点在するチャレンジ開始ポイントに行けばプレイできるが,当然ながら開始ポイントによってルートや賞金が異なる。
レースとは異なり,依頼された目的を達成するのがミッションチャレンジだ。とくに預かった車やバイクを目的地まで搬送する「トランスポート」は,依頼された車やバイクを傷つけないように目的地まで安全運転するだけで高額の報酬が得られるため,序盤で挑戦すると懐も温々(ぬくぬく)になる。一方,ヤバい荷物を目的地まで運ぶ「クーリエ」は成功すると報酬が得られて大喜びなのだが,失敗すると補償金を支払う悲惨なハメに陥る。トランスポートとクーリエは一度クリアすると再挑戦は不可なので,クリア直前で「こりゃダメだ」と思ったらリトライしたほうが無難。高額報酬の取りこぼしは意外とお財布に響くのだ。
また,道ばたにいるお姉さんやお兄さんを目的地まで送迎する「トップモデル」と「ヒッチハイカー」もある。制限時間内に送り届ければ報酬としてクーポンがもらえ,このクーポンはショップでマイキャラを着飾る洋服やアクセサリーに交換可能だ。オンラインモードではほかのプレイヤーに見られるので,プレイヤー本人はどうしようもないが,マイキャラの容姿はこだわりたいところである。
「ドライブイン」では独自にルートや条件を設定したタイムアタックやスピードチャレンジを作成して,世界中のプレイヤーに遊んでもらうこともでき(報酬も得られる),「クラブ」ではフレンド登録した仲間達だけでレースをするといった,オンラインプレイだけに用意されたレースモードも用意されている。
ちなみに自動でマッチングされたメンバーには,うしろからパッシングすることでインスタントレースを挑める(当然,挑まれることもある)。レースをやるかやらないかは相手次第で,ルートも挑戦を受けた側が自由に設定できる仕組み。自分がクラスFの車に乗っているのに,上位のクラスAの車で明らかに勝ち目がない相手に対して申し込んでくる不届き者もたまにいるが,インスタントレースを誰かに挑むときは,そのへんのことも考えた方が楽しめるはずだ。
とまあ,いろいろなレース,つまり資金の獲得方法があることは分かってもらえただろう。「うー,こんなにあるのか,どうしよう」という雰囲気だが,こうして文章にするとまだるっこしいものの,実際にプレイしてみればすぐに理解できるはずだ。要はまあ,車をぶっ飛ばすだけですからね。オンライン/オフライン問わず,できることの豊富なバラエティも間違いなくTDUの魅力だろう。
車のある暮らしを自由気ままに楽しめる新しいゲーム
オアフ島の道路は全体的に激しい勾配がつけられており,一般車ですら腹を擦って火花を散らしている始末。峠道ではルートを覚えていなければ派手にジャンプしてガードレールへ直行する。高速道路ですら派手にジャンプして,着地でバランスを崩すことも多い。オアフ島は危険な島だ。為政者出てこい! |
そんなことまったく気にせずレースに明け暮れたり,お気に入りの車を購入するために資金稼ぎに徹したり,オアフ島の隅々まで仲間たちと心ゆくまで走り回っても全然オッケーであるところがTDU。どこに楽しみを見つけるかはプレイヤー次第なのだ。
TDUの最大の魅力は,広大なオアフ島の中をほかのプレイヤーとワイワイと走り回れるところにあると思う。オアフ島の観光名所を回ったり,ツーリングをしたりするのは,ストイックに順位を争うレースゲームとはまた一味違った楽しみだ。ここまで自由度が高く,コミュニケーション要素を重視したドライブゲームは今までにお目にかかったことがなく,ある意味,MMOドライブゲームと呼んでも間違いではない。「レースとか苦手なんだよなぁ」と,ドライブゲームを避けてきた人でも楽しめると思うので,ぜひプレイして,本作ならではの独特の面白さを味わってみてはいかがだろうか。
ちなみにXbox 360版ではすでにダウンロード販売(DLC)という形で多くの追加車種がリリースされているが,ことPC版については,そういったサービスは現在のところない。ちょっぴりがっかりだが,実は公式サイトからダウンロードできるアップーデートパッチ 1.66Aにおいて,“Audi RS4”と“Nssan Skyline R34 GT-R”の2車種が追加されているので,Xbox 360版をうらやましがっている場合じゃなくて,パッチを当てておこう。なんでもいいけど,今後もたくさんの追加車種が出てくることを願いたいところだ。
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テストドライブ アンリミテッド 日本語版
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