プレイレポート
A-Stationやハウジング要素がついに実装。「AION」“Episode3.0 キミのドラマ”先行プレイレポート【後編】とMCタナベ氏へのインタビューを掲載
Episode3.0のアップデート内容のうち,主にベテランプレイヤー向けとなる新要素については,先日掲載したプレイレポート【前編】で紹介したとおり。後編となる本稿では,初〜中級者にも大きく関わってくるアップデート情報を紹介していこう。
また,先週末に都内のネットカフェで開催されたAIONのオフラインイベントにおいて,同社のMCタナベ氏に直接話を聞くことができた。Episode3.0の見どころや,不正対策を含めた今後の展開についても話が聞けたので,本稿の後半でその内容をお届けしよう。
「AION」“Episode 3.0 キミのドラマ”先行プレイレポート【前編】
「The Tower of AION」公式サイト
低〜中レベル帯のキャラクター全員集合!
画期的なワールド共通チャンネル“A-Station”
プレイヤーの操作は簡単で,ゲーム内でA-Stationへのチャンネル移動を行うだけ。オープンチャットやパーティ募集といった基本的な機能も普通に使えるので,いつもどおりの感覚で他ワールドのキャラクターと冒険を楽しめる。
共通チャンネルということで,キャラクターネームの重複が気になるところだが,A-Stationに滞在している間は,キャラネームの隣にワールド名が併記されるので,仮に同じ名前のキャラクターがいても問題はないという。
このA-Stationの導入によってもたらされる最大のメリットは,低〜中レベル帯のキャラクターがパーティ編成を行いやすくなることである。たとえば現在のAIONでは,“炎の神殿”をはじめとする低〜中レベル帯のコンテンツが,「メンバー集めが面倒」という理由で楽しみにくくなっている。現在ある5つのワールドから人を集めることで,そういった問題はかなり改善されるだろう。
なおA-Stationは,低〜中レベル帯キャラクターのマッチングに重きの置かれた共通チャンネルなので,上級者向けのコンテンツへはアクセスできない。具体的には,キャラクターレベル1〜45の範囲に限られる。広域エリアに関しても,レベル50以上を対象とした「龍界」以降をはじめ,首都エリア(エリュシオン&パンデモニウム)と,インタルディカ&ベルスランには移動できない。それ以外なら,広域エリアやインスタンスなどを意識することなく,普通に冒険できる。
筆者も取材時に,テストサーバー上で実際にプレイしてみたが,通常のワールドとまったく変わらない感覚で遊べた。細かいところでは“レギオンチャット”に限り,A-Station内でも従来ワールドとの間でやりとりが行えたのが面白い。
現在エヌ・シー・ジャパンは,新規プレイヤーの獲得に向け「A-Stationで逢おう!」というキャンペーンを展開している。長期運営を続けるMMORPGにとって,低〜中レベル帯のキャラクターの空洞化は大きな課題となっているが,それに対する一つのアプローチとして,A-Stationの動向に注目する価値があるだろう。
AIONの超美麗なグラフィックスで楽しめる“ハウジング”
MMORPGでは総じて人気の高いコンテンツだが,AIONクラスのグラフィックスで部屋のコーディネートが楽しめるとなると,注目度もさらに高まりそうだ。
今回のハウジングの導入に伴い,天族用に“エリアン”,魔族用に“ペルノン”という専用エリアが用意される。これらの土地に家が直接建てられているのだ。
厳密に言うと,家はランク分けされており,レベル21以上のディーヴァなら誰でも所有できる「テラスハウス」は,インスタンス扱いのアパートである。それ以外の「一戸建て」「上級住宅」「高級住宅」「豪華邸宅」は,エリアンやペルノンのマップに建てられているのだ。
テラスハウス以外の家の入手方法はオークション制となっている。ランクによって,家の大きさや立地条件などが異なっており,最高ランクの豪華邸宅は,ワールド内にたったの4軒しか存在しない。はたしてオークションの際に,いったいどれだけの値が付くのか気になるが,全体では1000軒以上の家が存在するそうなので,まずは気軽にオークションへ参加してみるといいだろう。
自分の家をデコレートするだけでもたっぷり楽しめそうだが,屋内にあるオブジェクトの中には,冒険時に役立つ効果が得られるものもある。たとえば,家具にアイテムを収納したり,“ポッティ”や“ポーラ”といった植物を栽培してアイテムを採集できたり,登録した知人の家との間でワープができたり,NPCを雇ってそこで躍らせたり(?)することもできる。
エリアンとペルノンのエリアそのものにもさまざまな仕掛けがあるようで,採集を行ったり,NPCからバフを受けたり,新たに登場する“乗り物”をNPCから購入したりできる。ごく稀にモンスターが出現するそうだが,そういったイベントも含め,従来のダンジョン攻略などとはひと味違った楽しみが得られそうである。
A-Stationによって生まれる“キミのドラマ”を楽しもう
AIONの現在と今後について,MCタナベ氏にインタビュー
4Gamer:
まずはEpisode3.0のサブタイトル「キミのドラマ」ですが,MMORPGのアップデートとしては珍しいネーミングですね。
AIONはこれまで,PvEやPvPを軸とした,どちらかというとMMORPGとして順当なアップデートを続けてきました。しかしEpisode3.0で登場するA-Stationやハウジングにより,プレイヤーの遊び方そのものが想像以上に大きく広がります。その魅力をシンプルかつ的確に伝えたいなという思いから,このタイトルになりました。
4Gamer:
韓国版のEpisode3.0のサブタイトルは“約束の地”,欧米版は“Ascension”と,割とストレートな名前でしたね。
MCタナベ氏:
確かに“約束の地”という名前はカッコいいんですけど,それだと運営側からのメッセージが強すぎるかもしれないという話になりました。当然のことですが,主役はやっぱりプレイヤーなんです。なので今回はプレイヤー視点のタイトルでお届けしました。
4Gamer:
なるほど。このサブタイトルもそうですけど,最近の日本のAIONって,良い意味でセンスがちょっと独特ですね。
MCタナベ氏:
良いのか悪いのか分かりませんが,常識にとらわれる必要なんて全然ないと考えています。実際に遊ぶ人にとって楽しいと思えることは,積極的にやっていきたいですし,そういった姿勢がキャッチコピーやFSの活動などにつながっていると考えています。
4Gamer:
そういえばA-Stationのネーミングセンスも独特ですね。
MCタナベ氏:
これまでは別のワールドで遊んでいたプレイヤー達が集まる「ターミナル」,というのがA-Stationのコンセプトになっています。実は,初めはもっとふざけた名前だったんですが,当然のように却下されました(笑)。
4Gamer:
私もテストサーバーで確認させてもらいましたが,実際にターミナルとして機能してしまうのはすごいですよね。
最初に見たときは私も驚きました。キャラクターを作成してポエタやイスハルゲンの初期エリアに立ったその瞬間から,A-Stationへ行けるんですよ? 従来のMMORPGでは,時間の経過と共に初期エリアが寂しくなっていくことが多いと思いますが,AIONではA-Stationのおかげで,いつでもワイワイとゲームをスタートできるわけです。
4Gamer:
そのあたりを上手くアピールできれば,新規プレイヤーの獲得にもつながりそうです。
MCタナベ氏:
取得経験値が+30%される特典があるので初心者プレイヤーが集まるし,既存プレイヤーもいつだって遊びに行くことができる。運営側にとっても理想といえるシステムではないでしょうか。仮に新規のプレイヤーを100人呼び寄せることができても,5ワールドに20人が分散されるのと,1ワールドに100人が集まるのとでは,遊びやすさがまるで違いますから。
4Gamer:
概念的には「ギルドウォーズ」の“International District”が近いですが,あれは人数が限られるMOでした。それだけに,A-Stationのキャパシティや,ラグなどが気になるところです。
MCタナベ氏:
韓国版の導入当初は若干トラブルがあったようですが,現在はすでに解決しています。もちろん日本版では,最初から問題が改善されているバージョンを実装しますし,テストサーバーでも大きな不具合は見られません。キャパシティに関しては,通常のチャンネルと同等の規模なので,心配ご無用です。
4Gamer:
画期的なシステムですが,同時に懸念もあります。A-Stationを通じて他ワールドの人と仲良くなっても,レベル45を過ぎると会えなくなるわけですよね。
MCタナベ氏:
お別れですね。切ないですね。これも含めてドラマですね(笑)。ただ新規の方に対しては,そういった部分に対するアナウンスを随時していく予定です。
4Gamer:
まぁ,別れもドラマの一部かもしれませんが,何とかしてほしいと思う人も少なくなさそうですよね。ワールド移動……とか?
MCタナベ氏:
その点については,今は実施するのが難しいと思います。なぜかというと,仮にワールド移動が自由に行えてしまうと,種族間のパワーバランスに悪影響が出る可能性が高いからです。もし,コミュニティの呼びかけで初心者が一つだけのワールドに集まってしまうと,長期的に見ればとんでもないことになります。
4Gamer:
なるほど,確かに。
MCタナベ氏:
ご存じのように日本のAIONは,サービス開始後から長い間,天族へキャラクターが集中してきていました。“Episode2.5”でグラフィックスをリニューアルするなど,さまざまな施策を続けてきて,最近になってようやく改善の兆しが見えてきたところなんです。
4Gamer:
なにかと引き合いに出されるイズラフェルの魔族に関しても,ちょっと前までは「何をやってもダメ」という感じでしたが,最近は大分盛り上がっている印象がありますね。
ちなみに,Episode3.0でレベルキャップが60に引き上げられると,A-Stationの上限が45というのはちょっと低い気もしますが,その点についてはいかがでしょうか。
MCタナベ氏:
そこは,プレイヤーの動向を見て私からも拡張提案を行っていきたいですね。レベルキャップの引き上げもそうですし,インタルディカ/ベルスランといった広域エリアについても,ゆくゆくはA-Stationで使えるようにしたいですね。
4Gamer:
ちなみに,Episode3.0のアップデート項目の中に,日本独自要素はあるんですか?
MCタナベ氏:
日本独自仕様といいますか,正確には「韓国版のEpisode3.0からのプラスα」になりますが,インスタンスダンジョンの「サトラの秘密倉庫」および「サドハ ドレドギオン」の追加,「種族保護」の撤廃といったところになります。
4Gamer:
種族保護の撤廃については,A-Stationの導入が影響しているのでしょうか。
MCタナベ氏:
そうです。A-StationではPvPが行えない仕様で,初心者プレイヤーにはこちらに集まっていただくことを想定しています。ですので,従来のサーバーを過度に保護する必要がなくなったのではないか,ということになりました。
4Gamer:
二つのインスタンスダンジョンについても,可能な範囲で教えてください。
MCタナベ氏:
サトラの秘密倉庫は,ティアマランタの“根源”を一つ以上占領している勢力が挑戦できるダンジョンです。内部の仕様は「アビスの上層ID」に似た感じですね。もう一つのサドハ ドレドギオンは,キャラクターレベル56〜60向けにアップグレードされた“ドレドギオン”になります。
4Gamer:
“ティアマランタの目”についてはいかがでしょうか。
MCタナベ氏:
ティアマランタの目は,根源を二つ以上占領した勢力が進入できるエリアです。内部には最強のネームドモンスター「アングリー スナヤカ」が待ち受けています。鍵を入手して宝箱を開けたりもでき,占領戦を制した勢力へのご褒美といった内容になっています。
要塞戦をイメージする人もいるかもしれませんが,個人的には似て非なるモノだと考えています。占領戦の前には必ず龍族所有に変更されるため,従来のPvPvEとは一味違った展開になるので,期待してください。
4Gamer:
なるほど,楽しみにしております。それと,不正行為への対策についてもお聞きしておきたいのですが。
MCタナベ氏:
アカウントハックに関しては,ワンタイムパスワードの導入により大分減りました。ワンタイムパスワードそのものの利用率を増やすのが,今後の課題ですね。
BOTに関しては,残念ながら撲滅させるのは難しい状況です。AIONのゲーム仕様では,キャラクターが高レベルになると一気にゲーム内通貨が稼ぎやすくなるので,できるだけ効果的な対策を専門部署で行っています。今後も引き続き,不正行為者と徹底的に戦っていきます。
4Gamer:
期待しています。最後に,欧米版のAIONでは,Episode3.0の導入直後に,ビジネスモデルが“基本プレイ無料+アイテム課金制”(F2P:Free to Play)に移行します。こういった流れは,とくに欧米のMMORPGで目立っていますが,日本版のAIONがF2Pに移行する予定はありますか?
MCタナベ氏:
F2Pが良いか悪いかというのは,運営状況によって変わってきますね。仮に日本版でF2P制を導入したら,当然プレイ人数は増えるでしょうけれど,さまざまな弊害が生じるのも間違いありません。AIONプレイヤーの中には,「定額で遊べる」ところが気に入っているという人も大勢いるでしょう。そういう点を踏まえ,現時点で日本では移行すべきではないという結論に至っています。
4Gamer:
それを聞いて安心する既存プレイヤーも多いと思います。本日はありがとうございました。
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