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「キネマ51」:第36回上映作品は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
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印刷2015/10/03 11:00

連載

「キネマ51」:第36回上映作品は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

画像集 No.001のサムネイル画像 / 「キネマ51」:第36回上映作品は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

 グラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏が支配人を務める架空の映画館,「キネマ51」。この劇場では,新作映画を中心としたさまざまな映像作品が上映される。第36回の上映作品は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」。今更だけど,やっぱり話をしておきたい大ヒット作。

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
配給:ワーナー・ブラザース映画
デジタルセル配信中
2015年10月21日 Blu-ray&DVD発売,デジタルレンタル配信開始
画像集 No.002のサムネイル画像 / 「キネマ51」:第36回上映作品は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」公式サイト



とにもかくにも大ヒット


画像集 No.005のサムネイル画像 / 「キネマ51」:第36回上映作品は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
須田:
 そもそもね,「マッドマックス 怒りのデス・ロード」は,ここで紹介する必要があるのか? というぐらいの大反響ですよ。

関根:
 もう,今更しゃべることがない,というかヘタなことは言えないです。熱心なファンが大量に生まれてますしね。

須田:
 リピーター続出ですよ。で,どうでした部長は。

関根:
 面白かったです。

須田:
 ですよね。最高でしたね。

二人:
 ……。

関根:
 でもそれ以上言うことないんだよなぁ。

須田:
 確かに(笑)。
 出来の良いアクション作品って,「面白かったー!」という以外,あんまり言葉が出てこないんですよね。

関根:
 そう。で,今回考えたんですよ。この2人でこの作品にまつわる小ネタを語ったりしても,読者の方々のほうが詳しいかもしれないし,パンフレットの出来があまりにも良いので,そちらを読んでいただいたほうがいいですし。

須田:
 パンフレット,内容充実ですよね。「北斗の拳」の原作者,武論尊先生のインタビューも載っていて。

関根:
 北斗の拳は「マッドマックス」の第一作に影響を受けた代表的な作品と言っても過言ではないでしょうね。海外でも人気ありますし。

須田:
 そのほかにも,マッドマックスがいろんなものに影響を与えていることがよく分かるパンフレットになっていますよね。

関根:
 そこでですね,この連載ならではというか,マッドマックスに影響を受けたゲームについて,話ができないかなと思ったんです。

須田:
 なるほど。ではまずですね,マッドマックス以前にも,こういった世界観を表現した作品があった,ということから。

関根:
 それはなんですか?

須田:
 「バイオレンスジャック」[1]です。

関根:
 なるほど,永井 豪先生ですね。1973年作品。マッドマックスが最初に公開されたのが1979年ですから,その6年も前の作品ですね。

須田:
 そう。マッドマックスはバイオレンスジャックの影響下にあるんですよ。おそらくね,ジョージ・ミラーが昔,日本に来た時に……。

関根:
 昔,日本に来たときに?

須田:
 バイオレンスジャックを読んで,なんだこれは! と,関東地獄地震とはなんぞやというところからインスパイアされて。

関根:
 なるほど,監督が昔,日本に来たという大前提でお話しされてますけど,まあいつものことだからいいでしょう。

須田:
 だからすべてのね,近未来バイオレンス&カーアクションの源流っていうのは,永井 豪先生なんですよ。で,それから約40年経ってようやくね,遂にバイオレンスジャックの実写版が完成したと,今回思ったんです。僕はその思いで,胸が熱いんですよ。

関根:
 確かに荒涼とした大地と,奴隷というか道具のように扱われる人々の姿なんかは,バイオレンスジャック感が出てました。

須田:
 そうそうそうそう。人犬は出てこなかったですけどね。

関根:
 でも,改造人間的な人達はいっぱい出てきました。

画像集 No.003のサムネイル画像 / 「キネマ51」:第36回上映作品は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」


話戻って影響下にあるゲームは?


関根:
 話を戻しますが,1979年のマッドマックスの影響下にあるゲームって,けっこうあるんじゃないかなと思って。

須田:
 なんかありますか?

関根:
 それ,むしろ僕が支配人にお聞きしたかったんですよ。

須田:
 うーん,ありましたっけ?

関根:
 あれ,意外とない……? あるんじゃないかと思ったんですけど。

須田:
 そうですねぇ。
 僕がマッドマックスで最初に思い浮かべるのは,カーアクション。

関根:
 ゲームのジャンルとしても考えられそうなイメージですね。

須田:
 それで考えると,「デストラクションダービー」(関連記事)から「バーンアウト」に至る,いわゆるカークラッシュアクションゲームの源流とは言えるかも知れませんね,この映画のシリーズは。

関根:
 なるほど。

須田:
 とくにバーンアウトは,僕の大好きなゲームの一つです。

関根:
 1980年代にそういうのってありませんでしたか?
 この映画に出てくるような,極悪カスタム車がでてくるようなゲーム。

須田:
 極悪カスタム車といえば,1975年制作の「デス・レース2000年」[2]っていう傑作映画。

関根:
 ありましたね。子供のときに見て,衝撃を受けました。テレビ東京の「2時のロードショー」でやたらと放送していた記憶があります。シルヴェスタ・スタローンが敵役で出てくるB級映画ですね。

須田:
 その映画の影響を受けて作られたであろうATARIの「DEATH RACE」という,車で人を轢き殺してポイントを稼ぐゲームもあるんですけど,それはマッドマックス公開以前,1976年の作品なんですよね。

関根:
 なるほど,では支配人のお気に入りカーアクションものはどちらかというと1990年代後半以降のタイトルが多いんですかね。
 そういえば,今作のパンフレットにも書いてありましたが,NESで1990年に一度ゲーム化されているみたいですね。

須田:
 そうですそうです。まぁ,あとカーアクションゲームの最新作で楽しみにしているものもあるんですが,その話は後ほどしようかと。


いまさら話すことがないとはいえ,やはりついつい


画像集 No.006のサムネイル画像 / 「キネマ51」:第36回上映作品は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
関根:
 また話が戻りますけど,今回のパンフレットに再掲されているんですが,マッドマックス第1作の日本版パンフレットには,永井 豪先生がイラストを寄稿されているんですよね。

須田:
 さすが,やはりオリジナルをリスペクトしてくれていますね。

関根:
 このイラスト,もうちょっと髪の毛をばーってやって,顔をガーってやればバイオレンスジャックになりますよね。

須田:
 本当だ。ばーってやって,ガーっとすればなりますね。かなり雑ですけど。

関根:
 でも,伝わりますよね。

須田:
 大丈夫です。でもバイオレンスジャックの影響下と言っておいてなんですけど,マッドマックスって第1作目はそこまで近未来感むき出しじゃないですよね。

関根:
 設定は近未来ですけど,世界観を描くにも制作上の限界はあったのかなと。あらためて見ると,出てくる車は「ティーンズロード」[3]に載ってた改造車みたいですよね。めちゃくちゃかっこいいんだけど。

須田:
 それが1981年の2作目,「マッドマックス2」からガラッと変わって,近未来感がグッと出てくるんですよ。この1から2への劇的な変化がすごいじゃないですか。最高に格好良かった。当時,かなり興奮しましたよ。

関根:
 1が大ヒットしたからお金もかけられるようになって,監督の頭の中にあった世界が再現可能になったのかもしれませんね。やりたい放題という感じで。

須田:
 でもよく言われていることですが,1985年の3作目「マッドマックス/サンダードーム」でちょっとテンション下がっちゃって。

関根:
 今見ると面白いんですけどね。

須田:
 劇場に見に行ってかなりダメージ受けましたよ,あれは。
 だから4作目にあたる今作は,みんなが見たかった本当の3作目って考えてもいいのかもしれません。

関根:
 パンフレットにも書いてありますけど,サンダードームを反面教師として30年越しでちゃんと答えを出したジョージ・ミラー監督,素晴らしいですね。

須田:
 物を作っている人は,同じ物を二つ作りたいとは思っていないと思うんですよ。その結果ファンが期待していたのとは違うものができあがってしまうこともあるでしょう。それは仕方のないこと。
 でも,そこで終わることなくまだまだ新しくて凄い作品を作ってやろうと,70歳の監督が立ち上がった。しかも世界中が熱狂するアクション映画を完成させてしまった。
 今回の連載で紹介したいのは,マッドマックスというよりは,ジョージ・ミラー監督だっていうくらいの気持ちですよ。

関根:
 そうかもしれませんね(笑)。
 しかし,支配人突然火がつきましたけど。

須田:
 同じように物を作る人間として大いに刺激を受けたので,ついつい興奮してしまいました。

関根:
 伝わりました。

須田:
 あ,あと,このサウンドトラックを担当しているジャンキーXL,僕,大好きなんですけども,ゲーム音楽もけっこうやっているんですよ。「ニード・フォー・スピード」とか「The Sims 2: Nightlife」とか。あと,先ほども言いましたけど,僕の大好きなバーンアウトも。

関根:
 この映画,支配人に刺激を与えるスタッフが集まっているといっても過言ではないわけですね。

画像集 No.004のサムネイル画像 / 「キネマ51」:第36回上映作品は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」


ゲームはもう,これで決まりというものが


須田:
 この映画と一緒に楽しんでほしいゲームはね,もう決まってますよ。

関根:
 そうなんですか。

須田:
 先ほどもちょっと触れましたけど,カーアクションゲームの最新作。

関根:
 楽しみにしてるとおっしゃったやつですね。

須田:
 そうです。「マッドマックス」PC / PlayStation 4 / Xbox One)のゲームが出たんです。

関根:
 そういうことですか。

須田:
 マッドマックスの映画も制作しているワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントから先日発売されたんですが,オープンワールドなんですよ,これが。
 オープンワールドで,カーアクションが楽しめるなんて。しかも,映画と同時に作っていたらしく,がっつり同じ世界観なんですよ。

関根:
 あの果てしない砂漠でカーアクションですか。永遠にまっすぐ走り続けちゃいそうです。

画像集 No.007のサムネイル画像 / 「キネマ51」:第36回上映作品は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
画像集 No.008のサムネイル画像 / 「キネマ51」:第36回上映作品は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

須田:
 ワーナー・ブラザースは映画とゲームを一緒に作ることを非常に得意とする会社なんですよ。なんでしたっけ,あれ。「ロード・オブ・ザ・リング」。あれ? あれはEAでしたっけ? あれ,じゃあ,違います。

関根:
 劇場版とリンクする三部作はEAですが,2012年に発売された「ウォー・イン・ザ・ノース:ロード・オブ・ザ・リング」PC / PlayStation 3 / Xbox 360)はワーナー・ブラザースですね。

須田:
 「バットマン」もそうですよ。まぁ,とくに映画とはリンクしてないんですけどね。

関根:
 さっきからなんか説得力がない感じが……。

須田:
 いや,まあ,なんというか,今,ワーナーのゲームって世界的にも非常に評価が高いんです。

関根:
 そうなんですか。

須田:
 発売タイトル数を絞り込んで,一つの作品に対するプロモーションを集中的にやるんです。良い物をきちんと作って,きちんヒットさせようというポリシーがあるんですね。
 「バットマン:アーカム・ナイト」PC / PlayStation 4 / Xbox One)も凄い出来ですし。そうそう,去年ゲーム関連の賞をたくさん獲ったのは,「シャドウ・オブ・モルドール」PlayStation 4 / PlayStation 3 / Xbox One)という作品で,ロード・オブ・ザ・リングの中つ国を舞台に繰り広げられるオープンワールドアクションRPGでした。
 今年もマッドマックスで賞を獲るんじゃないかと言われてますし。

関根:
 やっと納得できました。

須田:
 実体験ですから。「LOLLIPOP CHAINSAW」PlayStation 3 / Xbox 360)もプロモーションがすごく良かったですよ。それで感じていました。

関根:
 それは説得力ありますね。

須田:
 ところでね,映画,ゲーム,漫画,アニメなんかでこれまでにもの凄い数の個性的なキャラクターが生み出されてきたと思うんですよ。でもね,まだこんなキャラがいたかっていうインパクトを受けたんですよ,敵役のイモータン・ジョー。

画像集 No.010のサムネイル画像 / 「キネマ51」:第36回上映作品は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

関根:
 確かに。衣装のディテールの凝りかたも半端じゃないですよね。設定資料を読むとめちゃくちゃなんですけど,奇妙な格好も納得できてしまう圧倒的な力が感じられるというか。

須田:
 ちょっと遠目でみたらグフ[4]ですよ。

関根:
 (笑)。

須田:
 きっとね,ジョージ・ミラーが昔,日本に来たときに「機動戦士ガンダム」を見てね,これだと思ったんですよ。

関根:
 ジョージ・ミラー,よく日本に来てますね。

須田:
 絶対そうですよ。しかしグフって格好いいですよね。

関根:
 話が飛びましたけど,仕方がないですね,あれはかっこいい。

須田:
 僕,あれも好きですよ,第08MS小隊[5]のグフカスタム。ノリス・パッカードが乗ってたやつ。

関根:
 確かに格好良かった。

須田:
 第08MS小隊のメカは全部いいですね。きっと08好きはマッドマックスも好きですよ。陸戦好きということでもね。

関根:
 強引ですけど,そこは共感します。

須田:
 いやぁ,話が尽きないから無理やり戻しますが,ビデオゲームともめちゃくちゃ相性のいい映画だなと。僕,先ほどからしつこくバーンアウトが好きって言ってますけど,そもそもカーアクションゲームが大好きなんですよ。カーレースゲームのタイムアタックにはあまり興味なくて。相手を叩き潰すっていうのが好きなんです。

関根:
 何となく分かる気がします。

須田:
 タイムアタックって現実にもできるじゃないですか,レース場を使えば。でもカーアクションはできませんからね。相手の車に突っ込むなんてことしたら,いろんな意味で人生終わりますからね。

関根:
 ですね(笑)。
 タイムアタックって,結局“早食い”みたいなものじゃないですか。

須田:
 そうそうそうそう。

関根:
 大食いと違うんですよ。

須田:
 そう。大食いとは違うんですよね。
 ギャル曽根ちゃんは早食いじゃなくて大食い。

関根:
 そう,タイムアタックじゃなくて,カーアクション。

須田:
 だからきっと,ギャル曽根ちゃんは人気があるんですよ。
 サービスエリアでたくさん食べる彼女を見たいんですよ。芸人さんが驚くのを横目にね。

関根:
 そうなんですよね。さすが支配人,分かっていただけましたか。ゲームのことはよく分かりませんが,大食いに例えたらこんなにスッと入ってくるとは思いませんでした。

須田:
 それもどうかと思いますが。でも本当に,早食いじゃなくて大食いを見たいんですよ。横で驚くロバートを見たいんですよ。ロバートは天才ですよ。

関根:
 秋山さんが頑張ろうとするんだけど,頑張りきれない感じとかね。

須田:
 秋山さんは最高ですよ。あと,僕,太ると秋山さんに似てるって言われるんですよ。だから余計感情移入しちゃって。

関根:
 マッドマックス=カーアクションゲームとギャル曽根ちゃんの親和性については,いずれまた考察したいですね。

須田:
 ですね。イモータン・ジョーとロバートの親和性もね。

4Gamer:
 やりませんから! ていうかゲーム関係ないし!

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