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GeForce 8800
  • NVIDIA
  • 発表日:2006/11/09
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価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド
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印刷2008/05/02 21:05

レビュー

価格が下がってお買い得に。2008年5月のミドルハイクラスGPU購入ガイド

GeForce 8800 GT
GeForce 9600 GT
ATI Radeon HD 3870
ATI Radeon HD 3850

Text by 宮崎真一

»  ミドルハイクラスのGPU戦線が熱い。高いコストパフォーマンスを謳う「GeForce 9600 GT」が2008年2月に登場したのを受け,ミドルハイクラスのGPUを搭載したグラフィックスカードが軒並み値を下げているからだ。では,ゲーマーにとって,2008年5月時点の最適解はどれだろうか? 2007年末にミドルクラスGPUの序列を整理した宮崎真一氏が検証する。


 2007年末に「年末年始に懐が温かいあなたへ捧げる,4万円以下のGPU購入ガイド」と称して,ミドルレンジの価格帯に存在するGPUの中からどれを選択すべきかを考えたが,あれから4か月。2〜3万円台のミドルハイクラスGPU市場に大きな動きがあったことを受け,2008年5月時点でゲーマーにとってのお買い得なGPUはどれなのかを,あらためて考察してみたい。


GeForce 9600 GTの登場を皮切りに

ミドルハイクラスGPUの価格が軒並み下がった2008年春


 さて,先の記事で筆者は,2007年12月末時点の結論として「3万5000円程度の費用を出せるのであれば『GeForce 8800 GT』,出せないなら『ATI Radeon HD 3850』」と述べたわけだが,あの後にあった大きなトピックとしては,GeForce 9シリーズのミドルクラスGPU「GeForce 9600 GT」の登場が挙げられよう。
 GeForce 9600 GTは,GeForce 8800 GTや,2008年5月時点のウルトラハイエンドGPU「GeForce 9800 GTX」「GeForce 9800 GX2」のG92コアをベースにしたG94コアを採用し,ミドルクラスGPUとしては非常に高い性能を発揮する。登場直後は価格がやや高かったのだが,すぐに下がったことでコストパフォーマンスも上がってきた。

 なら,GeForce 9600 GTで決まりかというと,話はそう単純でない。GeForce 9600 GT搭載カードの価格下落と歩調を合わせるように,GeForce 8800 GTやATI Radeon HD 3850,そして「ATI Radeon HD 3870」といった,既存のミドルハイクラスGPUを搭載したグラフィックスカードの価格も下がってきたからだ。乱暴にまとめるなら,2007年末の時点と比べて,全体的に5000〜1万円下がったイメージである。
 また,発売から時間が経ったことで,カードベンダー各社からクロックアップモデルが複数リリースされたのも重要なポイントだ。付け加えるなら,クロックアップモデルの価格も下がり気味なので,予算が許せば,こちらも十分に選択肢となり得る。

 そこで今回は,リファレンスクロックモデルの実勢価格が2万円台,クロックアップモデルでも3万円台前半までという範囲で,GPUごとに2モデルずつ用意。2万円〜3万円台前半で販売されているミドルハイクラスGPUのなかで,ゲーマーにとって最善となる回答を探ってみようというわけだ。試すグラフィックスカードは以下に示す8製品である。

画像集#002のサムネイル/価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド
GV-NX88T512HP
Zalman製クーラー搭載のクロックアップモデル
メーカー:GIGABYTE UNITED
問い合わせ先:リンクスインターナショナル(販売代理店) TEL 03-5812-5820
画像集#003のサムネイル/価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド
ELSA GLADIAC 988 GT 512MB Crysis
リファレンスデザイン&リファレンスクロック仕様となるCrysis推奨モデル
メーカー&問い合わせ先:エルザジャパン TEL 03-5765-7615
画像集#004のサムネイル/価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド
ZOTAC GeForce 9600GT AMP! Edition
リファレンスデザインで高クロック動作
メーカー:PC Partner(ZOTAC)
問い合わせ先:アスク(販売代理店) [email protected]

画像集#005のサムネイル/価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド
GV-NX96T512H
Zalman製クーラー搭載の静音仕様
メーカー:GIGABYTE UNITED
問い合わせ先:リンクスインターナショナル(販売代理店) TEL 03-5812-5820
画像集#006のサムネイル/価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド
H387Q512NP
クラス世界最速を謳う3870搭載製品
メーカー:Hightech Information System
問い合わせ先:恵安(販売代理店) [email protected]
画像集#007のサムネイル/価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド
SAPPHIRE ULTIMATE HD 3870 512MB GDDR4 PCI-E
ファンレス動作のHD 3870
メーカー:Sapphire Technology
問い合わせ先:アスク(販売代理店) [email protected]

画像集#008のサムネイル/価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド
H385QX512N
HD 3850史上最速を謳う
メーカー:Hightech Information System
問い合わせ先:恵安(販売代理店) [email protected]
画像集#009のサムネイル/価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド
EAH3850/G/HTDI/512M
オリジナルクーラー搭載の静音仕様
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) [email protected]
画像集#010のサムネイル/価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド
SAPPHIRE ULTIMATE HD 3870 512MB GDDR4 PCI-Eのみファンレス仕様のため,カード裏面の放熱フィンを紹介しておきたい。4本のヒートパイプを装備する

 用意したカードのスペックは(表1)にまとめたとおり。調達スケジュールの都合上,クロックアップモデルは必ずしも最高クロックではないが,なるべく高いクロックで,かつ比較的入手しやすいものを選択したつもりだ。

画像集#011のサムネイル/価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド

 テスト環境は表2のとおり。ドライババージョンを揃えるため,GeForce 8800 GTでは「ForceWare 174.53 Beta」を利用している。テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション5.2準拠だ。
 なお,以下とくに断りのない限り,グラフィックスカードの製品名ではなく「GeForce」「ATI Radeon」を省略したGPU表記を行い,クロックアップモデルはGPU名の後ろに[OC]と付記することで区別する。

画像集#012のサムネイル/価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド


純然たるパフォーマンスでは8800 GTが優位

9600 GTと3870は一進一退の攻防を見せる


 ではさっそくテスト結果に移ろう。グラフ1,2は「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)の結果だが,やはりというか何というか,8800 GTのスコアが高い。「標準設定」の1024×768ドットだとそう大きな違いにはなっていないが,高解像度,あるいは「高負荷設定」だと差は開く傾向にあり,地力では8800 GTが勝る印象だ。
 9600 GTとHD 3870のスコアは標準設定でほぼ互角。高負荷設定では前者がやや優位か。HD 3850はリファレンスクロックだと一段落ちる。

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 続いてグラフ3,4は,FPS「Crysis」の平均フレームレートをまとめたものだが,同タイトルでは8800 GTの優位性が3DMark06以上に顕著となる。また,NVIDIA製GPUへの最適化が進んでいるタイトルということもあり,9600 GTとHD 3870では全体的に9600 GTが有利。高負荷設定では9600 GTがHD 3870[OC]をも凌(しの)いでいる。

画像集#015のサムネイル/価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド
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 レギュレーション5.2準拠のため,FPS「Unreal Tournament 3」(以下,UT3)のテスト結果は標準設定のものだけになるが,UT3のような描画負荷の低いタイトルだと,ミドルハイクラスGPUでもCPUボトルネックが発生してしまう(グラフ5)。今回のテスト条件では110fps前後で,8800 GTと9600GTのスコアが頭打ちとなっている。
 高解像度に目を移すと,1600×1200ドット以上でHD 3870[OC]のスコアが9600 GTや9600 GT[OC]のそれを逆転する。UT3においてはHD 3870の動作クロック引き上げがパフォーマンスに好影響を及ぼすようだ。

画像集#017のサムネイル/価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド

 さらにFPSから,グラフ6,7は「Half-Life 2: Episode Two」(以下HL2 EP2)の結果である。HL2 EP2でも低解像度ではCPUのボトルネックが確認できるものの,高解像度や高負荷設定では8800 GTが頭一つ抜けた印象だ。9600 GTとHD 3870では,標準設定において,リファレンスクロックだと9600 GTのほうが若干高いスコアを示すものの,クロックアップモデル同士ではほぼ互角。その一方,高負荷設定になるとHD 3870/3850のスコアが大きく落ち込むことは憶えておいたほうがいいだろう。

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 TPS「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」(以下,ロスト プラネット)から,実際のゲームプレイ時に近い平均フレームレートを取得できる「Snow」のスコアをまとめたのがグラフ8,9だ。
 ロスト プラネットでは,ドライバのバージョンが進むごとにHD 3800シリーズのパフォーマンスが改善されてきているが,ATI Catalyst 8.4ではとうとう,高解像度でHD 3870が8800 GTと互角の勝負に持ち込めるほどになった。クロックアップモデルではさらに顕著で,標準設定の高解像度ではHD 3870[OC]が8800 GT[OC]のスコアを上回る。ここまでのベンチマークで比較的蚊帳の外に置かれがちだったHD 3850も,9600 GTと互角以上に立ち回っている。

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 RTS「Company of Heroes」の結果がグラフ10,11となる。Company of Heroesの傾向はざっくりまとめるならCrysisと同じ。8800 GTの強さが目立ち,HD 3870のスコアは今一つパッとしない。

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アイドル時の消費電力はHD 3800シリーズ

高負荷時は9600 GTがそれぞれ有利


 ワットチェッカーによるシステム全体の消費電力検証に入ろう。OSの起動後,30分間放置した直後を「アイドル時」,3DMark06を30分間リピート実行し,消費電力が最も高かった時点を「高負荷時」として,各時点の消費電力をまとめたのがグラフ12だ。
 まずアイドル時だが,省電力機能である「ATI PowerPlay」を備えるHD 3870/3850に一日の長がある。HD 3870[OC]でもシステム全体の消費電力は100Wを切っており,かなり優秀といっていい。一方,高負荷時の消費電力では9600 GTが優位で,9600 GT[OC]すらほかのGPUより低いところに収まっているのは魅力的といえる。

画像集#024のサムネイル/価格が下がってお買い得に。2008年春のミドルハイクラスGPU購入ガイド

 グラフ12の時点におけるGPU温度を,モニタリングソフト「ATITool」(Version 0.27β3)で測定した結果がグラフ13となる。テスト時の室温は22℃。PCケースに組み込んでいない,バラック状態での検証結果だ。また,上述のとおり,HD 3870リファレンスクロックモデルとして試用したSAPPHIRE ULTIMATE HD 3870 512MB GDDR4 PCI-Eは,ファンレス製品だ。当然,GPU温度は高くなるため,参考程度に留めてもらいたい。冷却ファンを当てれば低くなるはずである。
 さて,クーラーがそれぞれまったく異なるため,データはすべて参考程度になるが,高負荷時でも50℃を下回るGV-NX96T512HのGPUクーラーはかなり優秀といえよう。

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ミドルハイクラスの勝者は依然として8800 GT

価格重視なら9600 GT,省電力性重視でHD 3870か


 以上の結果を踏まえるに,3D性能を重視したとき,最近では2万円台で販売される例も珍しくなくなってきた8800 GTが間違いなく第一の選択肢となる。スコアがリニアに伸びているクロックアップモデルも魅力的で,予算と見合うなら,積極的にクロックアップモデルを選択したいところだ。そのときは,カードベンダー独自の,冷却能力の高さを謳うクーラーを搭載しているかどうかもチェックしておきたい。

 9600 GTとHD 3870についていうと,前者は製品によって2万円前後で購入できるという安価さ,後者は性能で9600 GTといい勝負で,かつゲームをプレイしていない“普段遣い”時の省電力性に優れる点がポイント。それぞれ目的意識を持って購入するのであれば,大いに幸せになれるだろう。ただし,クロックアップモデルを選択することで追加のコストを払うくらいなら,素直に8800 GTを選ぶべきだ。クロックアップモデルを選ぶことに意義があるのは,リファレンスクロックモデルと価格差がない場合に限られる。
 一方,HD 3850についていうと,9600 GTの登場によって,コストパフォーマンス面でメリットを見いだせなくなってしまった。HD 3870との価格差も小さくなり,積極的に選ぶ理由は残念ながらほとんどなくなったといっていい。

 まとめると,2008年5月時点においても,ミドルハイクラスにおける最良の選択肢は8800 GTで,よりお勧めできるのはクロックアップモデルだ。徹底してコストパフォーマンスを重視するなら9600 GTのリファレンスクロックモデル,9600 GTとほぼ同等の3D性能と省電力性も求めるならHD 3870リファレンスクロックモデルも十分にアリだろう。
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