インタビュー
サービス2周年を迎えた「マビノギ英雄伝」,運営開発チームにこれまでの振り返りと今後のアップデートについて聞いた
- ネクソンコリア 英雄伝室 室長 イム・ドックビン氏
- ネクソンコリア 海外PM4チーム キム・ヒョンジュン氏
- ネクソン 運用本部 本部長 山崎克臣氏
- ネクソン 運用部 運用1室 室長 石川奈緒氏
堅調なサービスが行われてきたこれまでの2年間
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。マビノギ英雄伝は日本でのサービスインから2年を迎えましたが,開発チームとしての所感を教えてください。
これまでの2年間,サービスを提供できたのは,プレイヤーの皆さんのおかげですから,大変感謝しています。マビノギ英雄伝は,オンラインアクションゲームの最高峰であると自負していますので,今後もその座を死守します。
キム・ヒョンジュン氏(以下,キム氏):
この2年の間,プレイヤーの皆さんからはさまざまな助言やリクエストをいただきました。今後も皆さんのご意見に沿うようなゲームを提供していければと考えています。
4Gamer:
日本のプレイヤーの印象はいかがでしたか?
キム氏:
日本の皆さんは,ストーリー性の高いイベントや,繰り返し遊べるコンテンツを好む傾向にあると感じています。そうしたリクエストにいかにして応えれば良いかは,常に頭を悩ませている部分です。
イム氏:
意外だったのは,PvPコンテンツのバランスに関するフィードバックが多数寄せられたことですね。と言うのも,以前,日本では「PvPはあまり人気がない」と聞いていたので,それほどの要望をいただけると思っていなかったんです。現在はご期待に沿えるよう,急いでPvPのバランス調整を進めています。
4Gamer:
これまでアップデートを重ねてきた中で,思い出深いコンテンツはありますか?
キム氏:
日本で展開した「マギ」と「ソードアート・オンライン」の,タイアップイベント用のアイテム製作に苦労した覚えがあります。マビノギ英雄伝は,リアルなキャラクターや衣装が特徴ですが,ここにアニメのキャラクターの衣装を,マビノギ英雄伝らしさを残しつつ実装するのに試行錯誤しました。結果,プレイヤーの方に,大変喜んでいただけたので,苦労が報われました。
イム氏:
私は,日本でアバターの「ゴールドパンダ」に人気が集まったことに衝撃を覚えました。開発チームでは,それほど魅力的な外見だと思っていなかったので(笑)。
それと,インナーアーマーの好みも日本独自の傾向があるので,日本の運営チームからいろいろアドバイスをもらわないといけませんね。
4Gamer:
インナーアーマーですか。日本人の好みというのは,どういったものになるんですか?
人気があったのは,セーラー服をモチーフにしたものですね。韓国では,学生の制服など未成年を連想させるようなデザインは,露出が高いと規制の対象になってしまうので,そもそも実装できないデザインだったりします。
4Gamer:
日本は未成年じゃない人でも制服のコスプレしますからね。
では,運営チームとして,2周年を向かえた所感はいかがでしょう?
石川奈緒氏(以下,石川氏):
本作は,これまでネクソンが扱ってきたものとは違うタイプの本格的な3Dアクションゲームとして,良好なスタートを切れました。現在は,アクティブプレイヤーの動向やシステム面など,非常に安定したタイトルになっているのですが,今後はさまざまな施策で新規プレイヤーの獲得と休眠プレイヤーの復帰を促そうと考えています。
山崎克臣氏(以下,山崎氏):
私は,サービスイン当時は運用部長として,現在は運用本部長として,ずっとマビノギ英雄伝に携わっています。本作は,2年が経過した今も堅調なサービスが続いていることを,嬉しく思います。ネクソンのほかのタイトルと比較したときに,アバターやインナーアーマーなどで,日本オリジナル要素が受け入れやすいという印象もありますね。
さわやかさと男らしさを両立させ,キャンセルスキルを武器に戦う「ハルク」
4Gamer:
直近のアップデートでは,12月18日に新プレイアブルキャラ「ハルク」が実装されますが,彼について教えてください。
イム氏:
マビノギ英雄伝の7人めのキャラクターとなるハルクは,大剣を武器に戦う非常に攻撃的なタイプです。「ヘルズチェイン」スキルを使うことで,通常攻撃やスマッシュなどの攻撃スキルでコンボが可能になり,コンボをつなぐほど攻撃力がアップしていきます。
4Gamer:
コンボというのは,これまでのキャラクターの連続攻撃とはまた違うものなんですか?
イム氏:
ええ。ほかのキャラクターは,複数回攻撃した後のフィニッシュにスマッシュを入れることが多いのですが,ハルクはヘルズチェインにより,一般攻撃,スマッシュ攻撃,敵に邪魔されず攻撃可能な「アサルトダンプ」,先制攻撃が可能な「アタックブレイク」を,絶えず繋げて攻撃することができるんです。
また,モンスターの攻撃を回避するのではなく,攻撃を弾くスキルを持っているのも,ハルクの特徴ですね。操作面では,プレイヤーのテクニックを要求する上級者向けのキャラクターと言えます。
4Gamer:
攻撃を弾くスキルというのは,ガードスキルという意味ですか?
イム氏:
いえ,カウンターでモンスターの攻撃をキャンセルさせるような感じです。ベラには,回避につながるカウンタースキルがありましたが,ハルクの場合は相手の攻撃モーションをキャンセルし,反撃のチャンスを狙うという,非常に男らしいスキルになっています。このスキルを使ったあとにスマッシュが決まると,かなり爽快ですよ。ハルクでボスモンスターと戦うときは,このスキルをうまく使うことが必須といっても,過言ではないでしょう。
キム氏:
ほかにも,敵の攻撃を耐えると,次のスマッシュ攻撃が強化される「ブラッディロード」も面白いスキルです。このスキルを使ったあとスマッシュが決まると,与えたダメージの分,ハルクの体力を回復することができます。
4Gamer:
先行して実装された韓国でのハルクの評判はいかがでしょう。
イム氏:
やはり「キャンセルスキルが強力だ」という大きな反響がありました。その後,調整を施したことで,現在は比較的安定したバランスとなっています。
また大剣を使う男性キャラクターということで期待が高かったのですが,さらにルックスが良いということで話題を呼びました。非常に盛り上がっていただけたキャラクターなので,私達としてもうれしいです。
4Gamer:
ハルクを企画する上でこだわった部分は,どういった点になるのでしょうか。
イム氏:
まず最初のコンセプトとして,以前実装したカロックとは異なる“男らしさ”を表現しようと考えたんです。カロックがマッチョのイメージなら,ハルクはよりさわやかで格好いい印象になるよう,デザイナーがハリウッド俳優の顔を研究していました。デザイナーがハルクの顔をブラッシュアップしていくにつれて,開発室の女性スタッフが色めき立っていくのが面白かったですね(笑)。
4Gamer:
ハルクの実装以降,2014年のアップデート予定に関してお話いただけることがあれば,ぜひ教えてください。
キム氏:
2014年3月頃,2つのコンテンツを実装する予定です。まず1つが「PvPアリーナ」です。これはサバイバル形式の勝ち抜き戦で,プレイヤーが1対1で対戦するシステムになっています。アリーナは4つあるのですが,それぞれ対戦の様子を観戦することもできるので,その内容を見てどのプレイヤーに挑戦するか決めることもできます。
もう1つが「チャールズトレイン」というもので,これはチャールズレースの第2弾となります。銃座の付いたトロッコに乗り,鉱山内の鉱石を打ち落としていくシューティングゲームになっています。
なお,2014年実装予定のEpisode4をもって,SEASON2は幕を閉じる予定です。キャラクター間のバランス調整なども予定しているので,楽しみにしていてください。
運営チームの人員を1.7倍に増強し,インゲームイベントやタイアップに注力
4Gamer:
運営チームとしては,これからのマビノギ英雄伝のサービスについて,どのようにお考えですか。
昨今,さまざまなプラットフォームのゲームが人気を集めている中,プレイヤーのニーズも多様化してきています。ネクソンが扱っているPCオンラインゲームでもプレイヤーの方からさまざまなご要望をいただいており,これまでと同じ考え方ではこれに対応できないと感じています。そこで現在のプレイヤーニーズに応えるため,本作を含むいくつかのタイトルにリソースを投下し,新しい取り組みを積極的に行い,さらに活気づけようというプロジェクトがスタートしました。
4Gamer:
その中でマビノギ英雄伝が選ばれた理由は何でしょう?
山崎氏:
マビノギ英雄伝に関しては,サービスが堅調であること,そしてネクソンの中で比較的新しいタイトルということで,まだまだ多くの人に興味を持ってもらえる可能性が高いタイトルというのが理由になります。
取り組みとしては,まず,ネクソン社内では,これまで広告宣伝と企画運用とでフロアが分かれていたのですが,このプロジェクトで各部署の専任スタッフが1つの場所に集まり,「どうすれば皆さんに楽しんでいただけるか」ということを一緒に考えながら,今まで以上に密に作業を進めています。
また,運用スタッフの数はこれまでの1.7倍以上に増えているので,今までにできなかったようなことが可能になるというのが,大きなポイントです。
4Gamer:
それはプレイヤーにとって,どういったメリットが生まれるのでしょう。
石川氏:
運用スタッフが増えたことにより,運営チームがプレイヤーの皆さんと接する機会が増えます。例えば,従来のネクソンのサービスでは,GMと言うとユーザーサポートや不正の取り締まりを行う裏方のイメージでしたが,今後はより前面に出て,Twitterやインゲームで情報を発信したり,コミュニケーションを取ったりしていきます。実際に,露出するGMキャラクターの人数やGMイベントもこれまでより増えています。ほかにも,新規プレイヤーの獲得や休眠プレイヤーの復帰を促せるよう,話題作りをしていきたいです。
4Gamer:
具体的なアイデアはもうあるんですか?
引き続き,タイアップ企画は推進していこうと思っています。これまで,アニメ作品2タイトルとタイアップしてきましたが,ほかの親和性の高いジャンルも視野に入れています。将来的には,マビノギ英雄伝初のオフラインイベントなどもやってみたいですね。
山崎氏:
この取り組みがうまくいけば,順次,ネクソンのほかのタイトルでも対応していくことになるかと思います。
4Gamer:
分かりました。それでは,今後のマビノギ英雄伝に期待する人に向けて,メッセージをお願いします。
イム氏:
繰り返しになりますが,これまで2年間,このタイトルを支持してくださった皆さんには大変感謝しています。今後も3年4年と遊んでいただけるような,プレミアムなゲームを提供できるよう最善を尽くします。
キム氏:
これまでが皆さんからご意見やリクエストをいただく期間だったとすると,今後はそれをもとに改善し,優れたゲームを提供していく期間となります。今後の展開を楽しみにしていてください。
石川氏:
皆様からのご意見は,今まで以上にしっかりとヒアリングし,開発チームに伝えていきます。また,新規のお客様や,休眠中のお客様に対しては,遊んでよかったと思えるサービスを提供していきます。体制強化によって「これまでとは違う」と思っていただけるよう,努力していきたいと思います。
山崎氏:
今回のプロジェクトにより,実際にプレイされている皆さんにきちんとメリットを提供できるところまで,マビノギ英雄伝を成長させることができればと考えています。まだ,どういったことができるのかは,私達自身未知数ではありますが,期待していてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
新キャラクターのハルクは,12月18日の実装となる。ハルクは,これまでの6人のキャラクター以上の非常に攻撃的な戦闘スタイルを持つということで,豪快に敵を倒していきたいという人は期待してよさそうだ。開発チームによれば,ビジュアルにも非常にこだわったキャラクターになっているとのことなので,そちらも楽しみにしておこう。
「マビノギ英雄伝」公式サイト
- 関連タイトル:
マビノギ英雄伝
- この記事のURL:
キーワード
Copyright(C)2011 NEXON Korea Corporation and NEXON Co., Ltd. All Rights Reserved.
- マビノギ オリジナル・サウンドトラック
- ミュージック
- 発売日:2005/12/22
- マビノギ 公式ガイドブック (4GAMER BOOKS)
- 本
- 発売日:1970/01/01
- マビノギ ナオ (1/8スケール PVC塗装済み完成品)
- Toy
- 発売日:2006/01/28