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  • 発表日:2007/11/19
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Phenom+AMD 7+Radeon HD 3800。秋葉原で開催されたAMD Spiderプラットフォームイベントレポート
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印刷2007/11/24 12:49

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Phenom+AMD 7+Radeon HD 3800。秋葉原で開催されたAMD Spiderプラットフォームイベントレポート

 11月23日,日本AMDが主催する「“ネイティブ”だけじゃない 〜 進化し続けるプラットフォーム”Spider”」と題されたイベントがカフェソラーレ リナックスカフェ秋葉原店にて開催された。
 ATI Radeon HD 3800シリーズ(以下,Radeon HD 3800),AMD 7シリーズチップセット,そしてPhenomとSpiderプラットフォームの構成要素がすべて発売された直後のイベントということで,連休初日にもかかわらず多くの人を集めていた。とくに,ラストに組まれたお馴染みの土居憲太郎氏によるPhenomの紹介時には,通りにあふれるほどの人が集まり,その注目度の高さがうかがえた。

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「AMDの英国紳士」森本竜英氏がRadeon HD 3800シリーズを紹介。Crysisのテクノロジーデモも


日本AMDマーケティング本部 森本竜英氏
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 イベントのスケジュールは既報の通り。各マザーボードベンダーの担当者による自社のAMD 7シリーズ搭載マザーボード紹介に続き,この種のイベントには初登場という日本AMDマーケティング本部 森本竜英氏が壇上に立ち,Radeon HD 3800の紹介を行った。
 なんでも「AMDきっての英国紳士」といわれているのだそうで,実際に物腰は実に柔らか。この業界にはあまり見かけないタイプで,AMDの新しい顔として今後の活躍を期待したいところだ。
 Radeon HD 3800に関して,とくに新しい情報がもたらされたわけではないが,森本氏は各社のRadeon HD 3800のグラフィックスカードの紹介を交えながら,Radeon HD 3800の省電力,DirectX 10.1対応,クァッドグラフィックス構成が可能といった特徴をアピールしていた。

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 続いて,マイクロソフト Windows本部 コンシューマWindows製品部の森 洋孝氏が登場。Direct3D 10テクノロジーの解説を行った。
 4Gamerの3Dテクノロジー系の記事に目を通している読者ならお馴染みの内容だろうが,ジオメトリシェーダの役割,その機能を用いたステンシルシャドウボリューム(陰影を描画する技法)やファー(髪の毛のようなオブジェクトを描く技法)などを取り上げるなど,一般向けのイベントとしては珍しく丁寧に解説していたのが印象的だった。

 圧巻だったのは,DirectX 10対応ゲームの例として再生されたCryENGINE 2.0のデモムービーだ。
 CryENGINE 2.0は注目のゲーム「クライシス」に採用された最新鋭のゲームエンジンで,DirectX 10に対応し,従来にない強力な3D表現が可能なエンジンとして注目を集めている。
 会場で再生されたムービーはテクノロジーデモとして作成されたもののようで,CryENGINE 2.0がサポートするモーションブラー,木漏れ日などを表現するアンビエントマップ,パーティキュラーを用いた埃や煙の表現などを個別に紹介していく内容。GDCのデモ用に作成されたものらしい。筆者は初見だったので,その圧倒的な表現力に驚かされた。おそらく会場に詰めかけたPCユーザー達も,その美しい画像に感心したに違いない(編注:Crytek公式サイトで公開されている。内容のすべてにDirectX 10が関係しているというわけではないが,一部の効果はDirectX 10ならではのもの)。
 森氏は「Crysisを始めとするDirectX 10対応のゲームをSpiderプラットフォームでぜひ楽しんでほしい」とDirectX 10の解説を締めくくった。

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 最後に森氏から,「このイベントで初めて告知する内容」というマイクロソフト主催の年末イベントが紹介された。まず「マイクロソフトがSecond Lifeに進出」するのだそうで,11月30日20時からSecond Lifeのマイクロソフトのブースでプレオープンイベントを行うという。リアルの会場で行われているほかのイベントをSecond Life内のブースに中継するという内容だそうだ。
 Second Life内マイクロソフトブースの正式オープンは12月1日。森氏もいるので「ぜひ訪れてほしい」とのこと。
 また,12月2日には今回と同じカフェソラーレ リナックスカフェ秋葉原店にて「最新PC,最上位PCでPC Gameを楽しもう」と題するマイクロソフト主催のイベントが開催されるという。Games for Windowsをテーマにしたイベントで,AMDから土居憲太郎氏も参加するという。リリースが相次ぐDirectX 10対応ゲームも紹介されるそうなので,スケジュールが空いている読者は出かけてみるのといいのではないだろうか。

Microsoft Japan SIMは森氏が一人で作ったらしい。右はOS擬人化プロジェクトの協力による「Vistaたん」
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AMDの兄貴が熱くPhenomを語る


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 今回のイベントでもっとも注目を集めたのは,最後に組まれた"兄貴"こと日本AMDマーケティング本部 土居憲太郎氏によるPhenomの紹介だろう。事前発表会で使われたスライドを交えつつPhenomを語るスタイルはいつも通りだが,今回はPhenom発売直後ということもあり,実戦的な内容を含んでいたのが特徴だ。


CPUコアが4個でGPUが4個だからSpider……というのは土居氏がこじつけたものだそうだが,もともと名前に深い理由はない名前だそうだ
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 会場に詰めかけた人に「PhenomとAMD 7シリーズ搭載マザーボードを買った人はいませんか」と呼びかけたあと(残念ながら手を挙げた人は少なかった)買った人への注意としてPhenomのメモリコントローラからサポートされた「Ganged」モードと「Unganged」モードを取り上げた。
 両モードについては4Gamerでもすでに報じているが,Gangedモードは従来でいうデュアルチャンネル(128bitアクセス),Ungangedモードは64bit幅で2つのメモリコントローラを動作させ2組のメモリモジュールにパラレルアクセスするモードだ。
 Ungangedモードは,従来のアプリケーションやBIOSからはシングルチャンネルのように認識されるが「アプリケーションによってはUngangedモードのほうが高速に動作する」そうで「Ungangedモードで使うときにはBank InterleavingをAuto(またはEnabled)にし,Unganged Mode supportをEnabledにしてほしい」と設定法を紹介していた。

メモリバンクインターリーブは,複数のメモリチップにばらしてアドレスを振ることで,読み込み時に必要な遅延時間を埋めるアクセス方式。通常「Auto」にして出荷されるだろうにと思われる部分なのだが,とくに念入りに注意が行われていた。先日発表したテストの機材では,このあたりに問題があったのかもしれない? (記事を見ると分かるとおり,この部分はAutoになっているのだが)
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 さらに「消費電力が大きいというベンチマークが出ているようですが」と前置きしたうえで「AMD 790FX」シリーズ搭載マザーボードで実測したというPhenom 9500とAthlon 64 X2 6000+/3.0GHzの比較を掲げ「4コアをフルロードさせても6000+とほとんど変わらない」とCool'n'Quiet 2.0の効果を強調。消費電力が大きいといわれたことが,よほど不本意だったのだろう。このあたりで土居氏の口調が急に熱を帯びたのが印象的だった。
 また,マザーボードのBIOSにまだ問題があるそうで「C3ステートでは本来800MHzまで落ちるはずだが,1GHz程度までしか下がらない」と述べ,BIOSのアップデートでさらに低消費電力になるはずだ,と述べていた。
 その上で,Windows ムービー メーカー,Adobe LIGHTROOMの両ソフトを,会場に用意されたPhenom 9500/2.2GHz搭載機とAthlon 64 X2 6000+搭載機で実行させ,Phenom 9500のほうが高速という実演を披露。「消費電力は変わらず性能は伸びている」と,Phenomのパフォーマンスをアピールした。

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 確かにAhtlon X2 6000+と比較すれば納得の結果ではあるし,コア数分のスレッドを立ち上げるソフトを使用すればPhenomが有利になるのは事実だろう。しかし,PCユーザーがPhenomと比較するのはライバルIntelの製品であって,AMDの製品ではないというのも,また事実だ。
 そのIntelについてだが,一部で報道されているように前日22日にインテルの“神様”こと天野伸彦氏も訪れたというマザーボードベンダー主催のオーバークロックイベントで,Core 2 Extreme QX9650が4GHz越えを達成したことに触れ「ドラッグレースの車みたいなもの。直線番長だ。バランスが取れたCPUはPhenom」と述べて会場を沸かせていた。
 もっとも,イベントでは森本氏によるAMD OverDriveの実演も行われ,その多彩なオーバークロック機能をAMD 7シリーズの魅力とアピールした後の出来事だっただけに,オーバークロック批判とも取れる発言には自己矛盾めいたところもある。ライバル製品ほどのオーバークロックマージンが望めない一方で,オーバークロック機能をマニアにアピールしなければならないという,Phenomの難しさが端的に出たシーンだったかもしれない。

AMD OverDriveのNovice ModeとAdvanced Mode。Novice Modeは8歳の子供でも扱えるという。とりあえず,会場に設置されたPCでは,HyperTransportは倍率がX10までサポートされており,2GHzのHT3.0が正しく動いていることが分かる
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左は,現在の状態をまとめたページ。初期状態が分からなくなったら,ここを見て当たりをつけろとのこと。右はメモリの詳細な設定項目。オーバークロッキングのチャンピオンを入社させて作ったツールというだけのことはある
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左は,CPU1を100%使用に設定してテスト動作させてるところ。右は,Stability Testの様子。時間はかかるが,自動設定では,Stability Testを繰り返して,最適なセッティングを見つけてくれるという
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 土居氏の締めくくりは,いつものロードマップ紹介である。大筋では新しい情報はなかったものの「Phenom FXが来年の第1半期になる」というのは今回が初出ではないだろうか。当初Phenom FXは2007年中とされていたが,Phenom事前発表会の時点では「時期未定」だった。2008年第1半期ということは,事実上の延期だが,既報のエラッタ問題などを考えれば延期はやむをえないところかもしれない。


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 イベントのラストは恒例のじゃんけん大会が実施された。日本AMDやイベントの参加したマザーボードベンダーから多くの商品が用意され盛り上りをみせていた。
 ご存じのように,現時点では「実に微妙」といわざるをえないテスト結果が出ているPhenomだが,イベントに詰めかけた大勢のPCユーザーの姿にPhenomへの期待の高さがうかがわれる。そういうPCユーザーのためにも,AMDは早期に既報のエラッタ問題などをクリアし,高クロック版をスケジュール通りに投入してと思ったイベントであった。
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