連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第495回「『ファミスタ』と個性」
らしさって,要は個性だから。
あ,でも勘違いしないで。個性が伝わりやすい人と個性が分かりづらい人,それぞれ世の中にはいるのよ。で,個性が伝わりやすい人のほうが偉くて,伝わらない人が劣っているってわけではない。ここは声を大にして言いたい。
ただ! 個性が伝わりやすい人のほうが話題にはなりやすいし,目を引く存在になるのは仕方がない。個性が強いと目立ってしまうわけだから。そして,個性が伝わりやすい人のほうが,批判も受けやすくなる。それこそ,個性が伝わりやすい人が批判をする側に回ったとしても,批判をしたこと自体がさらに批判されてしまいがちでしょう?
で,個性の伝わりやすい人が批判を避けようとすると,個性を削っていくことになりがちなの。だから,とくにエンターテイメント産業で言われる「昔のコンテンツのほうが個性があった」という意見については,そりゃそうだわなと。一人一人の意見が可視化できる現代では,文句を言われたくない人が物を言わなくなるのよね。もちろん,批判すること自体が悪いって話ではないわよ。ただ,それが個性を削っている側面があることは,無視しちゃいけない。ま,逆に言うと大衆の批判を気にしない人が,飛び抜けて注目を集める人になったりもするわけで。
何が言いたいかというと,批判を気にする人は個性を出しづらい世の中だってことね。これは良い悪いではないわ。そういう世の中なのは事実だから。その中で良くも悪くも「あ,あの人らしいな」って思われることがどれだけ貴重なことか。
どちらが優れているかという優劣ではないけれど,ソフトとして考えた場合,個性が伝わったほうが消費者は自分に合うかどうかを判断しやすいので,選びやすくもなるわよね。で,結果的に「●●らしい商品だね」って思われるまで個性が周知されていれば,それはとても素晴らしい武器になるんじゃないかと思うわけです。
私,毎作この連載で言ってる気がするけど。でも,実際そうなんだからしょうがない。言ってしまえば,リアルな野球じゃないのよ。ただ,ちゃんと野球のゲイムだし,何より楽しい。ほかの野球ゲイムは配球だったり,選手の造形やフォームを忠実に再現したり,リアルな野球の駆け引きの楽しさを提供しているわ。
でも,ファミスタに関しては,投げる,打つ,走る,守る……こういう野球の大ざっぱな楽しさをゲイム化しているのよね。そこがファミスタというゲイムのスタートであり,最大の武器でもあるの。それを,毎作突き詰めようとしている。結果,面白い。
まあ,批判がないというのもそれはそれで気にしたほうがいいとは個人的に思うんだけどね。それこそ,個性の角が取れているってことだから。ファミスタはファミスタとして,これからもとがっていてほしいなあ。いちユーザーの勝手な希望ながら,心よりそう思っております。
というのも私,リアルなスポーツゲイムも好きなんだけど,ゲイムでしかありえないようなスポーツゲイムもまた好きなのよね。ゲイムって,現実とフィクションの境目にあって,その塩梅を楽しむものだと思うから。程良いリアリティと現実離れした世界観。ゲイムにはこれからもそれぞれの作品が持つ個性を見せつけてほしいなって。
さて,今週はファミスタと個性の話をお届けしてまいりました。そして,先週報告した現実世界で私がベルトを獲ったって話だけど,今週の火曜日にさっそく失ってしまいました。私に残ったのは肩の痛みのみでございます。でもいいんだ。まだチャンスはあるし,ゲイムショウは近いし,こうやって生きている。
つらいことも多い世の中だけど,つらいことを数えるよりはつらくないことを楽しんだほうがいい。具体的には,ゲイムをヤって楽しめばいい。うまいもん食って,楽しい時間がありゃ,人生上々ですよ。気にすんな。らしく生きればええんや。他人になるべく迷惑かけないように,でもちょっとだけ迷惑かけて,楽しい時間過ごせばええんや。他人に伝わろうが伝わらなかろうが,目立とうが目立たなかろうが,あくまで自分らしく。そんな感じでまた来週。
今週のハマりゲイム
PlayStation 4:「ファイヤープロレスリング ワールド」
Nintendo Switch:「プロ野球 ファミスタ エボリューション」
iOS:「PUBG MOBILE」
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プロ野球 ファミスタ エボリューション
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