連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第697回「『〇〇総選挙』と『アーケードアーカイブス』について」
私,実はこの手の「〇〇総選挙」ってものがあまり好きではなくて。なぜなら,その総選挙が価値の順位付けに見えてしまうから。あ,別に○○総選挙で上位に入ったものがどうこうって話ではないです。それはそれで素晴らしいことだし,上位で悪いことは何もないでしょう。実際に価値があるから選ばれてるんだと思いますし。ただ,物事の価値って全部が全部順位付けできるものではないのですよ。
例えば,公共の場にあるトイレがきれいなのは掃除する人がいるおかげなわけで,でもそれって価値が一般には伝わりにくいわけですよ。逆にトイレが汚れていたら,「管理する人は何やってるんだ!」となって,存在を意識する。だけど,きれいな状態がキープされていたら,きれいにしてくれている存在に気付かないものなんです。逆説的に言うと,使う人に気付かせないようにする仕事なのですね。
そういうお仕事は世の中にいっぱいあります。プロレスの世界でもそうです。今回のプロレス総選挙は「すごいと思う選手」という基準があったみたいですが,プロレスにもお客さんには気付かれない「すごい」もあるので,見える部分だけの価値を順位付けするのは,やはりあまり好きではないなーと思ってしまった次第です。
ただ,事象として地上波でプロレスが取り上げられること自体は,決して悪いことではないし,上位にランクインした選手の商品価値が上がるのであればそれは良いことだし,逆にこのランキングに入らなかった選手が今後より頑張るための発奮材料になるならいいのかなーとも思いました。
あ,当然私は入ってませんでしたよ。余談だけど,私の場合,気持ち的に複雑なのですよ。仮に私がこの手のランキングに入ったとして,それは業界的にどうなのよ? と思う一方で,入らないは入らないで寂しい気持ちにもなる。二つ我にあり。
ということで,ランキングに入らなかったことで切ない気持ちになっているところで,今週はあえて私の秘めたゲイムライフをお伝えしたいと思います。なぜ秘めていたかというと,たぶん共感してもらいにくいだろうから。
ゲイムそのものだったら共感してもらいにくくても紹介したいのですよ。まず知ってもらいたいという気持ちがあるからね。ただ,自分のゲイムライフを語ったところで,ほとんどの人にとって「知ったことか」で片付いちゃう。でも,傷心の状態だから紹介したくなっちゃった。そういう次第です。
まず,根本的に私はお仕事で関わっているゲイムを紹介することに慎重になっています。忖度がはたらいちゃうのがイヤだから。私のゲイムのお仕事に関しては,現状ではこの連載が一丁目一番地,つまり始まりの地なのですよ。この連載を持たせてもらってるから,ほかのゲイムの仕事がある。そういう認識です。
なので,この連載で嘘をつくことはしたくない。ゲイム好きなプロレスラーが,遊んだゲイムについて思ったことを書く。ここを崩したくない。もちろん,お仕事で遊んだゲイムについて書くことはあるし実際に書いたこともある。ただ,その場合でもちゃんと自分が感じたことを書くようにはしている。ここは証明できない以上は信用してもらうしかないけどね。そんなわけで,お仕事で関わるゲイムに関して書くときは慎重になってる。
私,毎週木曜の夜に「アーケードアーカイバー」という番組に出させていただいてます。これは,「アーケードアーカイブス」(PlayStation 4 / Nintendo Switch)というシリーズで,1980〜90年代のアーケードゲイムをPlayStation 4とNintendo Switch向けに毎週復刻しているハムスターという会社がヤっている番組です。で,私はそのレギュラー出演者ってやつですな。
なので私は,毎週木曜日に発売されるアーケードゲイムの復刻作品を勉強がてら購入して遊んでいるのです。このある種のルーチンがね,楽しいのですよ。私は田舎の生まれだから,当時の生活環境の範囲内にゲイムセンターがさほど存在していなかったのですね。なので,昔のアーケードゲイムに関しての知識はほぼゼロ。
で,アーケードアーカイブスはただ過去の作品を復刻するだけでなく,5分間プレイしたうえでのスコアを競う「キャラバンモード」が追加されていて,そこでは全世界のランキングが表示されるのです。そのランキングに入ることを目標に遊ぶのが楽しいのですよ。
ぶっちゃけ,毎週新作がリリースされるので1週間遊んだあとは,なかなか起動すらしなくなるけど,その刹那がまた楽しいのです。
……ね? 共感しづらいでしょ? ただ,自分の知らなかった過去のゲイムを遊べるのはゲイマーとして単純に楽しいです。ルールは比較的シンプルで,でもかなり難しいゲイムが多くて。そういう今と違ったゲイムの文化をこの時代に知ることができること自体に,ある種の感慨深さを感じたりしています。今のゲイムに慣れた人にとってはきっと難しいので,必ずしもオススメはできないです。けど,毎週更新される昔の難しいゲイムを遊び続けてランキングに名前を残すっていう1週間のサイクルは,慣れると相当人生に食い込んできます。ありていに言うと,楽しいです。オススメはしないけど,オススメです。ぶっ続けでゲイムを遊んでいるとき,その合間の気分転換で遊ぶにはとくに。
今週はランキングというつながりで「〇〇総選挙」と「アーケードアーカイブス」について語ってみました。ただ,ランキングに入ろうとそうでなかろうと,人前に出る私の仕事は「見た人に何かを感じてもらう」ことが重要なわけで。
実のところ今の私って,多くの人に見てもらおうという欲よりも,見た人が「あー馬鹿馬鹿しかった,明日も頑張ろ」って思ってもらうことを突き詰めたい欲のほうが強く。数多くの人に見てもらったほうがそういう人も増えるんけど,見る人の数が多くなると賛否の否も増えてとがった活動がしにくくなるわけで。そのジレンマと戦い続けている令和4年でございます。
ゲイムもプロレスも,人生って難しくて面白いなあ。ではまた来週。
今週のハマりゲイム
PlayStation 5:「eFootball 2022」
Nintendo Switch:「グリムグリモア OnceMore」
iOS:「ロードモバイル」
iOS:「ウイニングイレブン カードコレクション」
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アーケードアーカイブス(PS4)
- 関連タイトル:
アーケードアーカイブス(Switch)
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