男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第756回「分かりやすさは何をするにもめちゃくちゃ大切だって話」

著者近影

　分かりやすさが大切なのは，どの業界もそうなんじゃないかな？　例えば飲食店にしても，お店の場所が分かりやすいかどうかで売上が変わるわけです。例えば何を売るにしても，値段が分かりやすいかどうかで売り上げが変わります。値段が分からないものにお金は出しづらいからね。例えば誰かに趣味を紹介されたときに，その趣味の面白いところが分かりにくいと感情移入できません。ええ，このまま例え話を続けてもいいんですが，要するに「分かりやすさ」は何をするにもめちゃくちゃ大切だって話です。
　分かりやすさが大切だという事例は，その気になればいくつも出てきます。ただ，その「分かりやすさ」を実現するのは意外と難しかったりします。仮に，めちゃくちゃ扱いやすい掃除機があったとしても，扱い方を説明するのが難しい場合，それは分かりやすくない商品になります。簡単に説明できて，実際に簡単に扱えるものが「分かりやすい」商品なのです。

　これはエンターテインメントの世界でも同様。私の持論ですが，基本的にエンターテインメントビジネスには新陳代謝が必要だ，というものがあります。新規で入ってくる人を定着させなければいけません。でないと，お客さんは減っていく一方です。とはいえ，いわゆる古参の人にもなるべく，い続けてもらわないといけません。その両立はなかなか難しいです。
　ただ，エンターテインメントに従事する人も人間ですから，同じことを繰り返す自分に対して飽きが出てくるんですよ。で，新しいことをヤろうとしてしまう。結果，古参の人に向けてしまいがちなんですよね。
　それが悪いことだとは思いません。遊園地でも季節によって出し物が変わるように。映像技術や演出技術を最新のものに対応するように。見る人に対して，常に新鮮な驚きを与えるための変化は必要です。ただ，その場合でも「分かりやすさ」は必要です。初めて見る人をなるべく意識した変化である必要があります。……分かっちゃいるけど難しいんだよねえ。

　これは余談だけど，アイドルだったり芸人さんだったり，もちろんプロレスだったりのライブ型エンターテインメントはとくに難しかったりします。なぜなら，舞台に上がる人間自体が商品の一面があるからです。歳をとるし，怪我もする。ひょっとしたらスキャンダルに巻き込まれることもあるし，ネットで炎上もする。急に犬を飼うことになるケースだってある（あんまりない）。
　だから，人間が商品のエンタメの場合だと，みんなが自分のことを知ってもらっている前提で話を始めたりするんですよ。初めて見る人はそこがスタートになるわけで，それって分かりやすい状態とは言えない。
　その点，作った人の顔が直接見えないエンタメは説明ができるという利点があるんですね。まさにゲイムがそうなんだけど。ただ，それでも説明しすぎると世界観が壊れたり，テンポが悪くなったりもする。難しいよねえ。「分かりやすい」が大切なのはみんな分かってはいるけど，それを無理なく実践するのは難しいんです。


　さて，今週は「Vampire Survivors」（PC / Xbox Series X|S / Xbox One / iOS / Android / Switch）について。これ，最初は家庭用ゲイム機ではなくSteamで配信された作品なんだけど，Nintendo Switchでも発売されていたからヤッてみた。うん，めちゃくちゃ面白い。何が面白いって，これでもかというほど分かりやすいんですよ。
　プレイヤーがヤるべきことは，なるべく長く生き延びること。で，操作としてはほぼ方向キーで移動するだけ。敵がどんどん集まってくるんで，キャラを動かして生き残るっていうゲイム。攻撃は一定のテンポで自動的に繰り出されるから，タイミングを見て武器の攻撃範囲に敵を誘導するように自分を動かすわけです。操作はこれだけ。でも，奥深い。


　何が奥深いって，レベルアップすると自分が強化されるんですけどね，その強化方法がランダムで（基本は）3つ提案されるんです。その中から1つを選ぶわけだけど，その際に攻撃力を上げるのか，守備力や最大HPを増やすのか，もしくは新たな武器を得るのか。とにかく選択の幅が広いのですよ。
　迫りくる敵はだんだん強くなるわけで，そうすると弱い武器のままでは攻撃しても倒しきれなくなって，すぐに囲まれて死んじゃう。攻撃力を上げたいけど，違う武器を手に入れて攻撃範囲を広くもしたい。でも守備力も上げたいなあ……的な悩みと選択が必要になるんです。これによって，毎回同じようなプレイにはならない。つまり，何度も繰り返しプレイできるわけです。
　また，基本的に一度死んだらステータスは元に戻るんですが，お金だけは持ち越しなのでそれを使ってキャラクターの基本性能を上げられます。なので，ヤり甲斐もしっかりと担保されてる。このゲイム，マジでおススメです。分かりやすさと面白さの共存が，めちゃくちゃ高いレベルで実現されてますね。個人的にコストパフォーマンスでは今年一番じゃないか，とさえ。


　……ここまで書いて気づいたんですが，今回の記事は「分かりやすさって大切だよね。そういう意味でVampire Survivorsはすごいよ」ってことが言いたいだけ。でも，この記事は……分かりづらいよね。やっぱり分かりやすいって難しいなあ。
　ちょっと関係ないかもしれないけど，ショート動画が流行しているのは分かりやすさが求められてるからでしょうな。私もこの連載は，なるべく「分かりやすい」を意識して頑張ります。具体的にはムダに長くしないように気を付けて……。ではまた来週。

今週のハマりゲイム
PlayStation 5：「eFootball 2024」
Nintendo Switch：「Vampire Survivors」
Nintendo Switch：「ピクミン4」
iOS：「ロードモバイル」
iOS：「ウイニングイレブン カードコレクション」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ ディーノ選手が所属するDDTプロレスは，10月14日（土）18：00より，北海道・サッポロ・イーワン・スタジアム大会「God Bless DDT 2023 TOUR in SAPPORO【DAY1】」を，翌15日（日）13：00より北海道・サッポロ・イーワン・スタジアム大会「God Bless DDT 2023 TOUR in SAPPORO【DAY2】」を開催します。ディーノ選手は14日に彰人選手，須見和馬選手と，15日には平田一喜選手，岡田佑介選手と3WAYマッチで対戦します。「これは……3WAY職人としての手腕が問われているんですかね？」とぼやいていたディーノ選手ですが，先日noteを開始しました。この連載はPCで，noteはスマホでケータイ小説として書くことで差別化を図っているそうです。