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  • 発売日:2009/08/12
  • 価格:基本プレイ無料+アイテム課金
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「MMORPGはお任せします」「RMTがなぜまだ問題なのか分からない」「Microsoftさんからは返事がありません」ネクソンジャパン社長David K.Lee氏,大いに吼える
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印刷2007/12/28 23:57

インタビュー

「MMORPGはお任せします」「RMTがなぜまだ問題なのか分からない」「Microsoftさんからは返事がありません」ネクソンジャパン社長David K.Lee氏,大いに吼える

G★2007最大の注目出展,「マビノギ英雄伝」


画像集#012のサムネイル/「MMORPGはお任せします」「RMTがなぜまだ問題なのか分からない」「Microsoftさんからは返事がありません」ネクソンジャパン社長David K.Lee氏,大いに吼える
4Gamer:
 そんなこんなで,G★からだいぶ奥へ話が進んでしまいましたが。4Gamerが今回載せた100本以上のG★記事を通して,どの作品についての記事が一番PV(ページビュー)が高かったと思いますか?

David氏:
 ああ,私も記事は読ませていただきました。うちの作品についてだけですが(笑)。

一同:(笑)

David氏:
 分からないですが,希望としては「マビノギ英雄伝」か「カウンターストライクオンライン」のどちらかだとよいですね。

4Gamer:
 実はぶっちぎりで「マビノギ英雄伝」です。文字どおりケタが違っていました。

David氏:
 おお,そうですか。そこは韓国でもほぼ同様だったのですが,日本ではまだあまり「カウンターストライクオンライン」がニュースになっていないので,そちらになるかなあとも思ったら,そうでもないんですね。

4Gamer:
 「マビノギ」自体の強さも感じますねえ。

David氏:
 いやでも,インタビュー記事にも載ったとおり,完成度がまだ40%じゃないですか? これがコンソールゲームだったら自信があると思うんですけど,オンラインゲームとして本当にまだまだ先が長いので。残り60%は,そこでオンラインゲームとして成り立たせられるかどうかが決まる,重要な部分です。
 私としては嬉しいながらも,ちょっと心配といえば心配です。

4Gamer:
 すでに完成度が60〜80%なら,「自信を持って日本に持ってくるぜ!」という感じなんでしょうけどね。

David氏:
 でも,40%でそこまでの反響があったこと自体については,私として非常にありがたいです。Sourceエンジンを使っていますし,開発チームも実力のあるところですから,当初から期待していたのは事実なんですが。

4Gamer:
 ああいうゲームショウではいつも,一般の来場者の邪魔にならないよう,ムービーを撮らせてもらうのですが,このときは一般の方の列に混じって,普通にちんまりdevCAT Studioの方が並んでいて(笑)。

一同:(笑)

David氏:
 私も展示期間中,「マビノギ英雄伝」だけはプレイできませんでした。

4Gamer:
 いや,あの列はすごかったですね。

David氏:
 はい。試遊台が8台ありましたが,1台にずっと数人がついていましたね。正直うちでも,そこまでの人数が集まると思っていなかったです。試遊台の配置も,列の整理もとくに何も用意していなくて。いろいろお叱りを受けたのですが,正直予測できなかったのです。 オープンな雰囲気のブース作りで,ほかのゲームも注目してもらえたのですが,来場者の方にはちょっと不便をおかけしたなあと。

Sourceエンジンを生かした物理演算と,次々と敵を斬り伏せていく軽快なアクションが目を惹いた,「マビノギ英雄伝」
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4Gamer:
 「マビノギ英雄伝」は,どういう位置付けのゲームになると考えていますか? ターゲットプレイヤーとか。

David氏:
 いろいろなことが想定できるのですが,まず名前からいきましょうか。あのゲームを普通に見せたら,当然ながらMMORPG「マビノギ」とは全然違うという回答が返ってくるでしょう。ですが,あれは確かに「マビノギ」の延長線上に位置する側面があります。
 というのも,そもそも「マビノギ」の戦闘もけっこう複雑なんです。見た目が可愛らしいので,そうとは思わない人も多いと思うのですが,けっこうコアな戦闘システムを持っています。そこの延長線なんですね。

4Gamer:
 実際にプレイしている人であれば,そこは理解しやすいところかもしれませんね。

David氏:
 「マビノギ」の戦闘が,ある意味複雑すぎたので,そこをシンプルなキーボードアクションにして,7〜8個のキーですべてができる操作系で,かつ高いアクション性を備えたゲームを作りたいという意向が,開発スタジオ内にありました。そうした流れに沿って開発を進めています。
 ゲームのポジションはフタを開けてみないと分からないところもあり,打撃感などがどこまで高められるかにもよりますが,とりあえずグラフィックスとアクション性はなかなか良く出来ています。「Dungeon Fighter」のアップグレードバージョンというあたりだと思っています。

4Gamer:
 日本だと正直,「真・三國無双」プレイヤーにとって,一番ぐっと来るんじゃないですかね?

David氏:
 そうですね……「真・三國無双」とはまた若干違うとは思うのですが……。

4Gamer:
 編集部では「お,“マビノギ無双”だ」という声が(笑)。

David氏:
 いやいや,コーエーさんに怒られちゃいますから(笑)。オンラインゲームなので,敵があそこまで出てくることは想像しにくいですが,協力プレイやPvPといった,オンラインならではの違う楽しみが盛り込まれるものと考えています。それはまさに残り60%の開発部分ですから,どういうものになるかはっきりは言えませんが。

4Gamer:
 アクションRPGになる,ということですかね? 純然たるアクションではなく。

David氏:
 うーん,最終的にどうなるか,ですが。

4Gamer:
 割と定義が難しいですよね。

David氏:
 そう。今年うちが出したゲームは,割とどれも定義が難しいんですよ。逆にそれがちょっと自慢なんですけどね。

4Gamer:
 ジャンル分けして記事にする我々にとっては,たいへん困ったことなんですが,そこが強みでもあるわけですか。実際,「マビノギ英雄伝」に関しては,通常記事,インタビュー,ムービー,いずれも高い注目度でした。

David氏:
 ムービーはYouTubeにもさっそく上がっていましたね。とはいえ,ほかのゲームもなかなか面白いラインナップになったと,私は思っています。


小品にも秀作が揃う,Nexonの新ラインナップ


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4Gamer:
 カジュアルなパブリッシングタイトルである「ELSWORD」とかにしても,けっこう人が集まっていましたしね。

David氏:
 「ELSWORD」を作ったKOGとも,昔から関係が深かったですから。内部作品でも「Crazy Shooting Bubble Fighter」とか。あれはプレイできましたか?

4Gamer:
 ええ,しました。あれはキャラクターの動きからして楽しいですよね。

David氏:
 私はFPSが好きで,「Counter-Strike」については昔からかなりマニアックにやり込んでいました。それでも「Bubble Fighter」は,また別のものとして楽しかったですね。
 別に社長ではなく一人のゲーマーとしての視点でも,「ああ,これはやりたいな」と思いましたから。非常にシンプルで。女性も違和感なく,すぐに入っていけるんじゃないかな,と。

4Gamer:
 全然,殺伐としてないですからね。「Bubble Fighter」がNexonらしいタイトルということですか?

「BnB」「Kart Rider」でおなじみのキャラクターが,水鉄砲や水爆弾で戦うTPS,「Crazy Shooting Bubble Fighter」
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David氏:
 いまの段階では,一番Nexonらしいといえますね。

4Gamer:
 個人的には,掃除機で何でも吸い込んじゃう「Trash Buster」も,なかなか良いと思いましたけれど。

David氏:
 ああ,あれもよいですね。やったことのないジャンルなので,どこにポイントを置いて,どうサービスしていくか,内部でもいろいろ議論しています。

4Gamer:
 「塊魂」がありますから,比較的理解してもらいやすいのではないですか? あくまでイメージとして,ですが。

ゲーム内のオブジェクトを何でも掃除機で吸い付け,反動で(?)飛ばして戦う「Trash Buster」
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David氏:
 「塊魂」で面白いのは,視点が変わっていくことだと思うんですよ。「Trash Buster」にそれはないですが,掃除機で吸い上げるという,また別の面白さがあると思います。ただこの作品については,コンソールゲームのコントローラでできれば,それが一番かな,とも思います。

4Gamer:
 ああ,それはそうかもしれませんね。しかし韓国でゲームパッドって……。

David氏:
 それほど普及してないんですよ。そもそもコンソールゲーム機が,そこまで普及していませんし。日本であれば,プレイステーション2のコントローラを,誰でも1個は持っていると思いますし,秋葉原で1500円も出してPC用のゲームパッドを買えば,すぐに使えるじゃないですか。だからPCゲームもゲームパッドをサポートする必要が出てくるし,アメリカでもそうなんですけど。
 どうなんでしょうね。ゲームパッドでプレイすると,やはりテイストが変わってきますし,私はゲームパッドのほうが面白いな,と思うんですよね。

4Gamer:
 よく日本のパブリッシャさんに聞くのは,韓国の開発者がゲームパッドに触れたことがない,対応させてくれと言っても,全然ピンとこないと。

David氏:
 たいてい使ったことくらいはあると思うんですけど,なぜそれをサポートしなければいけないかについて,認識がないと思うんですよ。「キーボードとマウスでいいじゃない」という。
 日本のゲーマーから見ると,逆に「これをキーボードとマウスで操作するのは,厳しくないか?」という感じがするゲームも,たまにあるわけですよね。

4Gamer:
 ありますね,いっぱい。


Sourceでは重すぎる?「カウンターストライクオンライン」


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David氏:
 「ぜひゲームパッドを買ってください」とアピールしているゲームも,けっこう多いですしね。
 まあそういうわけで,ブースに展示された作品もそれぞれに面白かったと思うんですが,展示されなかった「カウンターストライクオンライン」も,私としては非常に面白いと思っています。

4Gamer:
 お。来ましたね。今日は語る気満々だという噂を聞きました(笑)。

David氏:
 内部でテストバージョンをやってみたんですけど,やはりFPSはこれでよかったな,という気がしました。昨年の「WarRock」は大人数でやるタイトルですし,「カウンターストライクオンライン」はチームでやるという感じ,それに対して「Combat Arms」は,展開の速いカジュアル寄りのタイトルです。こちらも反応はなかなか良いのですが,どこまで伸びるか,もう少し見なければなりません。

すべての銃声に,アメリカのシューティングレンジで録音した本物を使っているという「Combat Arms」のロゴ
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4Gamer:
 「Combat Arms」はカジュアルなんですか?

David氏:
 言葉どおりの“カジュアル”ではなく,ノリが「サドンアタック」とかに近いという意味です。さらにその下に「Bubble Fighter」があるので。FPSは,とにかく揃ったんじゃないかなと。

4Gamer:
 「カウンターストライクオンライン」と,最初に聞いたとき,当然みんな「いまからオンラインといわれてもなあ」と思ったと思うんですよ。そこはG★でだいぶ明らかになったと思うんですが,正直,想像していたより控えめなコンセプトだと感じました。

David氏:
 いやそこは逆で,地味じゃないように考えていったら,元の作品に対してかなり手を入れないといけないですし,それはやりたくなかったんですよ。
 実際にプレイしてもらえば,Steamバージョンじゃなく,昔のCounter-Strikeだなと,感じてもらえると思います。確かに内容は地味ですが,シンプルに聞こえるランキングやクランのサポートについて,それがいかに有効なソリューションであるか,分かってもらえることでしょう。

4Gamer:
 必要にして十分だと。

David氏:
 私としても,だんだんCounter-Strikeをプレイしなくなってしまったわけですが,それは同じことの繰り返しになってしまったからです。そこに手を入れるコミュニティ性ついては,確かに言われるとおり,プレゼンテーションに仕立てれば地味なものにならざるを得ない。
 でも,それを実現したゲームは,実際にプレイしてみれば非常に面白いと思うのです。

4Gamer:
 いやまあ,実は言わんとすることは「非常に地味だったので安心しました」ということなんですけどね(笑)。

David氏:
 ああ,なるほど(笑)。

4Gamer:
 あちこち変えられたら,それはCounter-Strikeではないわけで。

David氏:
 開発に当たっているスタッフにはCounter-Strikeのファンが多いですし,まあ私もそうなんですが,今回Valveさんも韓国にいらして,内部で見せたところ,「ああ,これは良いね」という話がありました。そのあたりは安心しています。

4Gamer:
 しかし,Source版がベースでないことは,ちょっと意外でした。

David氏:
 ああ,発表会でも説明があったとおり,最初から私はV1.6で行くしかないと考えていました。私が実際にプレイしているのも,昔のバージョンであるV1.6ですし。
 Sourceエンジンで作ればきれいになるんですが,それは「マビノギ英雄伝」みたいなゲームに合うんじゃないかと。

4Gamer:
 先ほどの話題というわけですか。

David氏:
 「Half-Life 2」エンジンでもいいけど,長く遊ぶには疲れるんですよね。まあ,とりあえず「カウンターストライクオンライン」がうまくいけば,それがValveさんとの関係の始まりですから,次にどうするかについて,いろいろ話ができると思います。個人的にはいま,「Team Fortress 2」も面白いと思っていますし。

4Gamer:
 あれ,面白そうですよね。絵柄がNexon向きな気もします。

「The Orange Box」収録タイトルのなかでも,人気が高いFPS「Team Fortress 2」
画像集#023のサムネイル/「MMORPGはお任せします」「RMTがなぜまだ問題なのか分からない」「Microsoftさんからは返事がありません」ネクソンジャパン社長David K.Lee氏,大いに吼える 画像集#024のサムネイル/「MMORPGはお任せします」「RMTがなぜまだ問題なのか分からない」「Microsoftさんからは返事がありません」ネクソンジャパン社長David K.Lee氏,大いに吼える

David氏:
 RPG的要素が入っていて,協力プレイをけっこう強調している。それぞれのクラスの役割がはっきりしているので,これはむしろ日本向きではないかと思ったんですね。絵柄は確かにコミカルでアメリカ的ですが,日本のゲーマーが欲しがる要素がすべて入っているから,仕組みとしてはいいかなと。

4Gamer:
 うんうん,確かに。


日本市場対策としてのBOT戦


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David氏:
 まあ,それはそれとして,とにかくこの冬に韓国で「カウンターストライクオンライン」を無事にサービスインさせ,中国,日本に展開するのが第一です。

4Gamer:
 日本でどのように展開していくことをお考えですか? ご承知のように,日本でCounter-Strikeが大流行したことはありません。もちろん熱烈なファンは,常に一定の数いますが。

David氏:
 そうなんですよね。ただ,ここまでの完成度を誇るFPSが無料でできること……いや,そもそもそれ以前に,やったことのある人が少ないと思うんですよ。つまり,どちらかといえば経験がないわけで,今回でそこが変わってくるんじゃないかと。
 周囲で誰もプレイしていない状況で,6000円なり7000円なり払ってプレイを始めることは難しい。

4Gamer:
 山ほどパッチを当てて,必要なツールを入れて,立っているサーバーを探して。

David氏:
 で,入ったらもう,ボコボコにされるし。

4Gamer:
 30秒も生き延びられなかったり。

David氏:
 何をどうするか分からないうちに,プレイが終わっちゃう……。だから日本ではほかの国と違って,チュートリアルか何かで改善する必要があるかもしれません。
 発表会でも触れられたとおり,「カウンターストライクオンライン」にはBOT機能があるので,自分で練習できる環境です。そこは日本で必要とされる部分だと考えて,入れてくださいということになったのですけれど。

4Gamer:
 そういう経緯でしたか。

David氏:
 心配としては,まさにそこなんですよ。日本にもうまいプレイヤーがいっぱいいますから,そうした方が入ってくると,新しいプレイヤーが入ってきても……。

4Gamer:
 狩りまくられてしまう。

David氏:
 そうなんですよ。そういう可能性が高いので,そこをどうやって守っていくか,なんですね。

4Gamer:
 最初にチュートリアルを導入したとする。前に「SPECIAL FORCE」とかをプレイした人なら,操作やルールがそれほど変わらないので,順調に慣れてくれる。ここまでの,いわば第一段階は良いと思います。ただし,続く第二段階として,一方的殺戮の時代が来るわけで。

David氏:
 そうですよね。

4Gamer:
 その一方的殺戮を,どのように防ぐお考えですか?

David氏:
 まずはBOTで,十分な練習を積んでもらうことがあります。今回のBOTは単なるダミー兵士ではありません。私は内部バージョンで,BOTだけを相手にプレイしてみましたが,やられました(笑)。非常にスマートなんですよ。
 もともと,「Counter-Strike: Condition Zero」でもBOTが入っていまして,それを生かしたので,なかなか良いものに仕上がりました。

4Gamer:
 Condition ZeroのBOTは,いま一つではなかったですか?

David氏:
 いや,どうでしょう。ほかのBOTよりは良かったんじゃないかと思いますが。あと,デスマッチに設定すると,かなり賢くなるんですよ。

4Gamer:
 なるほど。そちらに合わせたチューニングが入っていると。

David氏:
 チーム戦だと,いろいろ複雑な連携要素が入ってくるので,必ずしもうまくいきませんが,全員が敵のデスマッチだと,だいぶ賢くなります。実際やってみたら,かなり賢かったですし。

4Gamer:
 基本を徹底させれば強いんですね。

David氏:
 2回くらい,リロード中にナイフでやられましたから。

4Gamer:
 ……見てるんだ,ちゃんと。隙を見て。

David氏:
 そうなんですよ。それぐらい強くて,逆に「このお!」と思ったくらいです。
 それと,初心者配慮として重要なのは,ランキングです。これによる参加制限を考えるしかないですけど,やはり心配がないとはいえないですよね。

4Gamer:
 個人成績はきっちり見える形ですか?

David氏:
 ええ,ランキングもありますし,初心者保護の観点で,それは重要かな,と。

4Gamer:
 まあ,どちらのためでもありますよね。上級者は上級者で,不慣れな人に入って来られてもねえ,という感じでしょうし。

David氏:
 いやあ,上級者のなかにもけっこう,初心者を潰しにいく人が多いんですよ。

4Gamer:
 まあ,チーム戦とかだととくに,厄介な問題になりますよね。どちらもハッピーでない。

David氏:
 本当にうまい人はクランに属して活躍したほうがいいですよね。今回しっかりサポートできるようになっているので。PKが大人気の中国市場では,これによってけっこう盛り上がるのではないかと。これはこれで,固有のコミュニティ要素ですから。

4Gamer:
 V1.6をベースに,Counter-Strikeの良いところを失わないようにしつつ,必要な機能を補ってみましたというのが結論ですよね。

David氏:
 そうですね。

4Gamer:
 そうなると,古強者達も一緒に移ってくる可能性がある。結局彼らがまた全部仕切るんじゃないのという,ある種の危惧もあって。とりわけFPSはまぐれで勝てないだけに,負ける勝負はしたくない。だとすれば逆に,上級者お断りの部屋を作る必要もあるのではないかと。

David氏:
 そうした,いろいろな機能も入れているのですが,どちらかというと初心者でも活躍できる場面が欲しい。Counter-Strikeは,戦略が必要なマップばかりじゃないですか。
 そうした要素を意識せずに,ただ撃ち合いに徹するマップとか,そういうふうにカジュアル化する――ゲーム性を変えてカジュアル化するのではなく,新しいコンテンツを導入してカジュアル化して,馴染んできたらもっと上のほうに行けるような,そういう工夫が必要だと考えています。

4Gamer:
 なるほど,Counter-Strikeというワールド自体が,広がっていくわけですね。

David氏:
 そうなんです。発表会でもありましたが,マップが二つ増えますし,武器やアジア系のキャラクターなども追加されます。初めてCounter-Strikeに触れる人でも,馴染む機会となるのではないかと。
 まあ,やってみないと分からないですけどね。アメリカではFPSばかりなのに日本ではなぜFPSが流行らないのか。それを考えたとき,きっかけがなかったのかなあと。まあ,国民性というのも,あるかもしれませんが。
 正直,やってみないと分からないので,一つのチャレンジではあると思います。ただ,当社としては韓国と中国という手堅いマーケットがありますので。もし日本だけだったら,リスクが非常に高かったと思います。四か国をカバーしていれば,それくらいのリスクは取れるんじゃないかと。

4Gamer:
 Nexonさんらしい判断ですね(笑)。

David氏:
 ゲーマーとしての視点で言うと,こういったコンテンツは提供したほうがいいんですね。たとえリスクがあったとしても。まあ,ある程度の成功は収めるものと思っていますし。
 貢献,と言うと少し違うのですが,うちの強みはそういったところにあるのではないかと。これがもし他社さんで,日本市場のみを相手にしていたら……。

4Gamer:
 つらいですね,実に。

David氏:
 あまりにもリスクが高すぎます。


2008年夏の日本サービスに向けて


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4Gamer:
 日本のゲーマーから見た場合,いまネクソンジャパンにFPSってないですよね。最近日本のマーケットでは,ちょっと流行しつつあるわけですが。ネクソンジャパンからの初登場が「カウンターストライクオンライン」になる,と。来年(2008年)夏くらいになるんでしたっけ?

David氏:
 ええ,日本サービスは来年夏ごろです。

4Gamer:
 初めてで,いきなりすごいのが来ましたね。ワールドワイドで見たとき,プレイヤーがいったい何百万人いるんだろうという。

David氏:
 ワールドワイドでは,です。これをきっかけに,日本でもFPSが盛り上がっていくといいですね。

4Gamer:
 発表会ではe-Sportsに向けた要素についても説明がありましたが,日本向けには何か考えていますか?

David氏:
 いや,まだです。まず韓国と中国で成功しないことには,何も話が始まらないですから。あくまでベストケースとして考えるならば,国ごとの予選からアジア大会とかができたらいいな,とは思います。韓国ではそれこそテレビ中継されるでしょうし,日本でもビデオ・オン・デマンドのコンテンツとして,提供できたらいいと思います。

4Gamer:
 ライブ中継機能を付けるとかいった話がありましたよね。

David氏:
 そう。それはテレビ中継用で,それをWebでどうやって配信するかは,いまから勉強しないといけません。

4Gamer:
 うーん。いろいろな方が頑張っているとはいえ,日本でe-Sportsはまだまだ流行っていないですからねえ。

David氏:
 そうなんですよねえ。日本にはこれだけゲームがあって,良いコンテンツもあるのに,と思うんです。「バーチャファイター」しかり,「ウイニングイレブン」しかりで,コンソールゲームにもたくさんの格闘ゲームなどがあって,いろいろできると思うんですが。

4Gamer:
 ですが。

David氏:
 普通のケーブルテレビコンテンツを見てみると,これがつまらなくて仕方がない。だったらゲームのトーナメントやリーグ戦のほうが面白いんじゃないかと思いますが,なかなかそのあたりは……。

4Gamer:
 試合を見ていると,頂点に位置するプレイヤー同士とか,すごいですからねえ。たまたまE3で見た「Quake」の大会とか,もうとても自分と同じ人間が操っているとは思えないくらいで。
 もし「カウンターストライクオンライン」が,日本のe-Sports界――あるのかないのか,現時点では分かりませんが――のトリガーになれば,どちらにとっても非常に良い結果になるだろうなあと。

David氏:
 そうですよね。原動力として盛り上げることができるなら,やりたいという気持ちはあります。

4Gamer:
 ところで「カウンターストライクオンライン」は,アイテム課金制を採るのでしょうか?

David氏:
 そうなると思います。

4Gamer:
 何を売る形になりそうでしょうか。

David氏:
 現在韓国でサービスされているオンラインFPSと,似たようなものになると思います。ゲームモードが二つありますので,それぞれにバランスを取りながら,課金モデルを導入していきたいと。
 オリジナルモードでなく拡張モードについては,当初いらないとも考えていたのですが,よくよく考えてみると,RPG的な楽しみが加わるのは悪くないと。毎度同じ条件で始まるだけよりも,ゲームを楽しむモチベーションも上がってくると思いますから。

4Gamer:
 課金アイテムをめぐってもRPG的要素を,ということですか。

David氏:
 まあでも,いまはとにかく年末までにオープンβテストの準備を整えることが最優先で,開発サイドにそうそう細かい話もできないんですけどね。
 基本的に「すべての課金モデルに対応できる体制をとってくれ」とは伝えてあって,そのとおりになっているはずです。

4Gamer:
 なるほど。韓国での前評判はどうですか。「ついにきた」という感じなのか,案外冷静なのか,とか。

David氏:
 いやあ,どうなんですかねえ。やはりCounter-Strikeのコアなファン層がいますから,その人達には期待してもらえていますし,実際韓国では4〜5年間流行していたわけです。
 ところが,現在オンラインFPSを楽しんでいる層は,「え? Counter-Strikeって何?」という人が多いかと。正直なところ,中学生や高校生はもう知らないと思います。高校生くらいで「名前は聞いたことあるけど……」とか。

4Gamer:
 確かに,そのくらいの年数が経ってますよね。

David氏:
 だからこそ,楽しみだという部分もあります。いままでCounter-Strikeに触れたことのないプレイヤーが,「カウンターストライクオンライン」に出会って,どういう感想を抱くか。そこは非常に楽しみなんですね。
 武器のバランスや打撃感は,ほかのゲームと比べたとき,圧倒的に上なので,ハマる人もけっこう出てくるのではないかと。

4Gamer:
 そうか,まさしくジェネレーションギャップですねえ。それがどちらに作用するにせよ。

David氏:
 オンラインゲームでは,5年くらいが一つのジェネレーションだと思うんですよ。

4Gamer:
 うーん……3年,いや5年。確かにそのくらいかもしれません。

David氏:
 モバイルゲームもそうですが,変わってきたなあと思います。

4Gamer:
 Counter-Strikeを知らない……。いやあ,確かにそうなのかもしれません。著名だけどさすがに古い作品ですからねえ。

David氏:
 考えてみたら,もう10年も前の作品ですから。あらためて数えてびっくりしましたよ。大学卒業して,仕事始めたころが……とか。

4Gamer:
 あまりにも印象が強くて,古いことを忘れちゃいますよね。

David氏:
 そうなんですよ。ずっと隣にあったゲームですし。

4Gamer:
 そこに関連して一つお聞きしたいんですが,中国でも韓国でも,インターネットカフェでは従来のCounter-Strikeがけっこう導入されている気もします。「カウンターストライクオンライン」は,そこに割って入っていくわけですよね。

David氏:
 いや,韓国ではそれほど多くないですし,もちろんインターネットカフェでのサービスについては,すでに調整しました。
 そして,中国では逆に問題ないんですよ。なぜなら,違法コピー品が主流だからです。

4Gamer:
 ……ああ,なるほど。

David氏:
 インターネットカフェ事業者側に正当な権利がありませんし,こちらはこちらで,きちんと権利を獲得してサービスしますから,それ以上あえて気にする必要はないのです。

4Gamer:
 向こうの問題は,あくまで向こうの問題と。

David氏:
 そう。だからValveさんがあえて,中国を含めアジア全域の版権をうちにくれたのも,正直中国であまり儲かっていなかったからです。違法コピーを使い,LANでやっていますので。
 Valveさんにしても,アジアに浸透していくには新しいやり方をしないとダメだな,ということを感じて,ここまで来たんだと思います。

4Gamer:
 実はそこがカウンターストライク“オンライン”たるゆえんの一つなのかなあと,前々から思っていたのですが。中国市場を攻略するには,パッケージゲームやダウンロード販売では,おそらくダメだろうと。アジアできちんとお金を取れるシステム,それがオンライン版ではないか,と。

David氏:
 いや,そのとおりです。それも一つの意義です。今回このプロジェクトを進めながら一つ気付いたのは,北米で「オンラインゲーム」と呼ばれる作品のほとんどは,「ネットワークゲーム」なんですよ。

4Gamer:
 そうですね。

David氏:
 ピア・トゥー・ピア接続,マッチング機能だけで,ランキング機能もないし。だから先ほど話に出たように,オンライン化は著作権を守り,違法コピーを防ぐ一つの新しい方法ですよね。それはあり得ると思います。
 これはコンソールゲームでもそうだと思います。オンライン機能をサポートすることで楽しくなり,それがウリになるなら買うしかないと思いますし。

4Gamer:
 お,ちょっと気になる話題ですね。

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