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印刷2007/10/17 15:56

レビュー

待望の「Half-Life 2: Episode Two」を含む,ボリュームたっぷりなセットパッケージ

ハーフライフ2 オレンジボックス

Text by 奥谷海人

»  「Half-Life 2」シリーズ3作に加えて,「Team Fortress 2」「Portal」が同梱された「The Orange Box」に関して,同シリーズをずっと追ってきた奥谷海人がレビューする。「Episode Two」の見どころのみならず,パッケージとしてのお買い得度にもぜひ注目してほしい。


待ちに待った,Half-Life 2の新作がついに登場


画像集#001のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
前作から1年半もかけて開発された「Half-Life 2: Episode Two」だが,「The Orange Box」という形で合計5本のソフトをワンパッケージにすることで,遅延による批判そのものを払拭するかのごときボリューム感。そしてEpisode Twoを含め新作3本は,どれもなかなかの出来だ
 「The Orange Box」(邦題 ハーフライフ2 オレンジボックス)の名で知られるValveの新作パッケージが,ついにリリースされた。The Orange Boxは,前作から1年半を費やした「Half-Life 2: Episode Two」(邦題 ハーフライフ 2 エピソード 2)のほかに,チーム対戦専用のオンラインFPS「Team Fortress 2」そして,壁や床に自由に穴を開けつつ進める“パズルアクション”「Portal」という,3本の新作を核にしたパッケージ。「たかだか6〜7時間しか遊べないEpisode 2の開発に手間取りやがって」などと言うなかれ。十分にお買い得なボリューム感なのだ。

 前作「Half-Life 2: Episode One」(邦題 ハーフライフ 2 エピソード 1)がリリースされたのは,2006年5月末のこと。それと同時に,「その年のクリスマスシーズンまでにはEpisode Twoを投入する」と開発元のValveは意気込んでいたものだが,フタを開けてみるといつものように「作り込みすぎで開発は遅延」と関係者から発表があり,発売予定日が2007年夏に再設定された。ところが2007年2月には,新たな販売元となっていたElectronic Artsが「The Orange Box」および「Black Box」の存在を明らかにし,さらに2007年秋へとプッシュバックされるに至ったわけだ。
 Black Boxは結果的にキャンセルされたものの,The Orange Boxのほうは「Half-Life 2: Episode Two」(以下,Episode Two)並びに「Portal」,そして「Team Fortress 2」をも含めたパッケージとして, 10月10日にPCおよびXbox 360に向けて無事リリースされた。パッケージとはいうものの,Valveのオンラインサービス「Steam」を利用すれば,それぞれ別個にダウンロード購入可能となっている。そしてSteamでのダウンロードでも,これまで同様日本語化がすでに行なわれているバージョンが楽しめる。

 Episode Twoは,「Half-Life 2」から続くエピソディック形式のゲームソフトの第2弾(本編から数えれば3番目のお話)に当たる。エピソディック型式とは,いわばテレビ番組のように小刻みにシリーズ化する仕組みであり,開発期間を短くできたり,ファンの要望を次回作に盛り込みやすかったりという利点がある。すでに述べたとおり,Episode Twoのリリースには皮肉にも1年半を要したのだが,ゲームを立ち上げた直後に前作のクライマックスシーンを編集した短編ムービーが流れるようになっており,エピソディックゲームらしい工夫は見られる。

 しかし,そもそもValveが開発したSourceエンジン仕様の Half-Life 2が発売されたのは3年前,2004年11月のこと。「Unreal Tournament 3」「Crysis」など最新のグラフィックスを重視したゲームの発売が近づき,DirectX 10対応ゲームの話題も増え始めた昨今では,さすがにいくらSourceエンジンをチューンナップしようとも,Episode Twoにはグラフィックス面での旧式化が,あちこちに見られるようになった。
 もっともグラフィックスエフェクトの設定を最高にした状態でも,現行の平均的なPCで快適に作動するのは利点といえなくもない。Half-Life 2の短所とされていたローディングタイムの長さや,直線的すぎるゲーム展開などについては,可能な限りの改良が行なわれている。

画像集#002のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
フラッシュライトを顔に向けると,眩しそうに目を覆う仕草。今回は,SourceエンジンにDynamic Shadowsの技術が取り入れられて,フラッシュライトの光が当たったオブジェクトの影がリアルになった
画像集#003のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
City 17の跡地には崩壊後のシタデルが無残な残骸を晒しているが,コンバイン軍の巨大ポータルは依然として存在しており,まだまだ地球は異生物侵略の危機から解放されていないのだ
画像集#004のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
ゲーム開始直後から,陸橋が破壊されるような壮絶な物理効果を見せてくれるEpisode Two。鉄筋のよじれ具合なども緻密に描かれており,ギリギリと崩れ落ちる様子はかなりのインパクトがある
画像集#005のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
七つのチャプターに分けられたゲームの前半は,このような洞窟や坑道の中をひたすら突き進んでいくマップが多い
画像集#006のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
ところがゲーム後半になると,ドッジ・チャージャーを駆って美しい針葉樹林の森を駆け回るような展開になる
画像集#007のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
ゲーム前半でプレイヤーのお伴をしてくれるボーディガント。洞窟内部の壁もそうだが,肌のヌメヌメ感が強調されている


舞台はCity 17郊外の森や坑道へ


画像集#008のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
以前はミニ・ストライダーと呼ばれていた新モンスターのハンターが,ストーリーやゲーム性に新鮮な息吹を吹き込む要になっている。地下室であろうが屋根の上であろうが,プレイヤーの行くところにはどこにでも高速で尾いてくるし,ゲーム中では最大3匹のグループで行動する難敵だ
 Episode Twoのストーリーは,City 17を脱出した主人公ゴードン・フリーマンが,シリーズを通して次第にキーパーソンとなり始めているアリックスと共に,反乱軍の本拠地があるWhite Forestに向けて落ち延びるというもの。Episode Oneでは「Half-Life 2のCity17マップの使い回しか?」といった揶揄もされていたようだが,本作では舞台をCity 17の郊外に移し,針葉樹林や坑道などが舞台となる。
 Episode Oneでは,手榴弾を握ったまま突進してくるゾンビ化したコンバイン兵“ゾンバイン”が初登場したが,コンバインやゾンバイン,ヘッドクラブ,アントライオン,バーナクル,ゾンビ,マンハック,そしてストライダーといった敵役のレギュラー陣は今回も登場する。これに加えて今回の目玉となるのが,以前は“ミニ・ストライダー”として知られていたハンターである。このハンターは,おそらく身長2.5mほどの3本足ロボットで,高速で動き回りながら次々と小型爆弾を投射してくる厄介な敵だ。集団で行動し,近づくと頭突きを試みるなど,プレイヤーはハンターを倒すまでに銃弾をかなり消耗することになるだろう。

 いろいろ手が入っているEpisode Twoだが,全体の進行としてはマンネリ化を免れていない。シリーズが長引けば仕方のないことであろうが,暗い建物の中に行けばゾンビがおり,ちょっとしたパズルを解いたあとに坑道に下りてアントライオンと戦い,さらにパズルを解いてコンバインの伏兵に会う……というようなお決まりの展開から,脱却できていないのだ。
 ただそうしたなかでハンターの存在だけは,たとえ1匹が相手でも緊迫感のある銃撃戦が楽しめるという意味で,このシリーズの延命に大きく貢献している気がする。

 物理効果を利用した,シリーズ特有のパズルにはまったく文句はない。今回はゲーム中盤での,崩れ落ちそうな鉄橋を使ったものがユニークで,ゲーム後半では広大な森の中を駆け巡るのに必要な1969年式ドッジ・チャージャーの改造車を,反対側に移動させるための難題を解く。
 以前に巨大クレーンでコンテナを動かして回ったときにも似た,ゲーム以外ではありそうにない無茶な設定なのだが,それが逆にこのシリーズらしいフレーバーとなっている。ちょっとしたシーンであっても,敵を倒したあとで爆発用ドラム缶が意図的に配置されていたのに気づき,ゲームをリロードしてやり直してみるなんてことは,なにも筆者だけの行動ではないだろう。

画像集#009のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
近づきすぎると頭突き攻撃をしてくるハンターには,チャージャーでの突進が有効。アクセルを踏むゴードンの足が描かれていないのは,主人公は鏡でも描かないという,Half-Lifeシリーズ独特の掟のため
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少し分かりにくい画像だが,アントライオン・ワーカーという新モンスターも登場する。名前や生息地からしてアントライオンの一派のようだが,見た目はシロアリのようで,器用に飛び回りながら攻撃してくる
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もう定番すぎるゾンビ。アントライオンやコンバイン兵のように,登場してくる場所はだいたい予測がつくくらいだ。ゾンビの周囲には必ずといってよいほど,可燃性のドラム缶があるというのもお約束だろう
画像集#012のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
コンバインの一団が大挙して北上中。座って見ている場合じゃない。森は遠くまで続いているようだが,実際には壁や岩で行動の自由が制限されている
画像集#013のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
Half-Life 2本編の海岸線にもあった「ストンパー」が設置された,多くのアントライオンが登場してくるマップ。アントライオン・キングとの決戦もある
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もう一つ初登場となるのが“アドバイザー”と呼ばれる,巨大うじ虫のようなボスキャラ。主人公達に妙な目くらましを喰らわすなど,今後の障害になりそう


個性溢れるキャラクター達に彩られた独特のゲーム世界


画像集#015のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
Half-Life 2シリーズで最も評価されるのは,やはりデザインやアニメーションを含めたキャラクター技術全般だろう。ストーリーやキャラクターとのインタラクションを重視しているわけだが,映画を真似ただけのような嫌味はまったくない。あくまでゲーム的演出手法の一つとして結実している
 Half-Life 2シリーズの本質は,やはりアニメーション技術に見られるキャラクターとのインタラクションであり,これに関しては依然として右に出る作品がないほど,Valveの開発能力は突出している。AI(思考ルーチン)は改良されているようで,アリックスや反乱軍の兵士達は,より有利な場所から攻撃しようと高所に上ったり,銃撃戦が派手になると遮蔽物に身を隠したりと,実に複雑な動きをする。これまでは同行するアリックスが進行方向や視界を塞いで邪魔に感じることもあったが,今回はすんなりと道を空けてくれる。
 アニメーション表現も豊富で,アリックスがチャージャーのドライバーシート側から車体をよじ登って助手席に滑り込むといった行動を取ったり,背中の傷を痛がるような仕草をしたりする。ゲームの前半部分は無名のボーディガント(異世界Xenを追われ,反乱軍と行動を共にするエイリアン種族)がサイドキックとして付き添ってくれるのだが,このボーディガントも遠距離攻撃だけではなく,近づいてきたゾンビを持ち上げて投げ落とすようなアクションも備えている。

 キャラクターの個性を際立たせることにも成功していて,NPC達の会話やムダ話の中に,これまで以上に世界の広がりを感じられる。ゴードン・フリーマンがどこへ行っても救世主のように讃えられていた前作までとは異なり,「フリーマン博士,喧嘩をするつもりじゃないけど,あなたが来るまで静かだったんですよ」という兵士がいたり,ストライダーを素手で倒したと言い張る通信兵がいたりするのだ。
 今回,White Forestを切り盛りする科学者のリーダーの1人としてマグナソン(Mugnasson)博士という新キャラクターが登場するが,苦虫を噛み潰したような顔で周囲を怒鳴り散らしている。彼は事件の発端となったブラック・メサ研究所の反量子スペクトラム実験炉を製作した人物なのだが,それを破壊した張本人として,フリーマンのことを毛嫌いしているらしいのだ。
 Episode Oneでは,ほぼアリックスの独り言でストーリーが展開されていたのと対照的に,今回はさまざまなところでEpisode Threeへの伏線を匂わせる演出を,より自然な形で見聞きできた。

 クライマックスで描かれるストライダーとの死闘が,実際にどんなものなのかは,プレイヤー自身に体験してもらうしかない。ただ一つ言えることは,これまでの直線的なゲームプレイを打ち破るかのような,かなり広大なマップでのゲームが楽しめるだろうということだ。FPSやRPGでオープンエンドなゲームが主流になり始めているなか,そうした流行に対するValveなりの回答や,先にも述べたようなマンネリ化への対策が十分に感じられる。まあ,すべてがここに懸かっていることの是非はともかくとして,だが。

画像集#016のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
今回初登場するマグナソン博士。周囲にも常に怒鳴り散らしているキャラで,発明品に自分の名前を付けるほどの目立ちたがり屋さん
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敵の手に渡ると厄介な秘密があるらしい幽霊船Borealisという,新たな伏線も登場。「Portal」に登場するAperture Scienceに関連するという
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メチャメチャ強いボーディガント。ゴードンに変わってGマンに雇われてもしっかり仕事をしてくれそうなほどの勢いで,手助けしてくれる
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本作では拍子抜けするほどマイナーな役回りになっていたコンバイン兵士。シタデルの崩壊によって統制がとれなくなっているのか
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前半はアントライオンに始まってアントライオンに終わる。これまでキリル文字“風”だったサインの羅列も,今回は確実にロシア語で解読可能に
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ピストルでストライダーを破壊!? このタネ明かしは,ぜひプレイヤー自身でお楽しみいただきたい。今回のストライダー決戦も,なかなか緊迫感があるのだ


質の高さが光る「Portal」と「Team Fortress 2」


画像集#022のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
The Orange Boxには,「Half-Life 2: Episode Two」に加えて,まだ前作をプレイしていない人のために本編「Half-Life 2」と「Half-Life 2: Episode One」,そして付属ソフトとして「Portal」と「Team Fortress 2」の2作が加わり,ボリュームたっぷりなパッケージになっている。もちろん,それぞれSteamでの単体購入も可能だ
 さて,単独でレビューしてもよいほどの「Team Fortress 2」と「Portal」についても紹介しておこう。まずPortalのほうだが,これは一人称視点による一風変わったパズルアクションゲームだ。使用できる“武器”は,ASHPD (Aperture Science Handheld Portal Device)と呼ばれる,Half-Life 2本編で有名なグラビティガンに似た機器のみ。これを利用して,それぞれ入り口および出口となる青とオレンジのポータルドアを,コンクリート製らしき壁や床,天井に空けられるのだ。
 左クリックで作った壁のブルーポータルに入れば,同じ部屋の天井に右クリックで開けたオレンジポータルから落っこちてくるといった仕掛けになるので,壁やシールド設備があって行けないはずの場所に行ったり,ボタンを作動させるための箱をちょっと思いつかない方向に動かしたりといったことが可能になる。

 主人公はシェル(Chell)という女性であり,何の記憶もないままApature Scienceという企業の実験施設で目を覚ますところから,物語が始まる。GLaDOSという機械的な女性の声に導かれるように,合計で19階(19ミッション)をこなしていき,階を追って障害が増えるなど,難度が上がっていく。
 シングルプレイヤー専用で,ゲームそのものは3時間もあれば終わる。しかし,1度するとクリアChallengeモードが出現して時間制限がつく,Advancedモードで障害物が増えるなどといったやり込み要素が用意されている。おそらくは今後もアドオンやMODの形で,追加マップなどが制作されていくだろう。

画像集#023のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
主人公シェルの足には,高所から飛び降りてもダメージを受けないというスプリングが装着されている。それでモルモットよろしく,数々の実験をさせられるのだ
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画面に見える二つの玉は実は一つ。オレンジポータルの手前の世界が,ブルーポータルの中に映し出されているわけだ。複雑に感じるが,遊んでみると分かりやすい
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階下に開けたオレンジポータルに飛び降りると,別の場所のブルーポータルから加速しながら飛び出すことが可能。敵はいないので,失敗を恐れず挑戦できる

 もう一つのTeam Fortress 2は,元来「Quake」のMODとしてアマチュアによって開発された,最大24人のチーム対戦専用ゲームであり,プレイヤーはBlueもしくはRedチームのメンバーとして,スカウト,ソルジャー,パイロ,デモマン,ヘビー,エンジニア,メディック,スナイパー,そしてスパイという九つのキャラクタークラスを選択してプレイする。
 特筆すべきは,クラスによって異なるプレイスタイルや,キャラクターモデルのユニークさだ。ある意味Valve作品らしくないカートゥーンシェーダを利用し,3Dグラフィックスながらもフラットでコミカルな雰囲気に仕上がっている。非常に明るく楽しいノリで,誰でも遊んでみたくなるはずだ。
 クラスが多いので簡単にジャンケン関係が成り立つわけでもないが,ヘビーとメディック,ソルジャーとデモマンのように,味方同士で相性の良いクラスはある。グレネードはデモマン以外使用できなくなったのが,原作たる「Team Fortress」のファンには少し残念な変更点だろうか。

 プレイヤーごとに,各クラスでのプレイ時間をはじめ,平均得点や最長生存時間などの統計チャートが表示され,プレイの成果や修練度が詳しく分かるようになっているのは良い。ただし,リリース時に用意された対戦マップは六つのみ。マップが今後増えていくのは当然と考えても,BOTなどの機能がなく,現時点ではどこか物足りない感じがするのは否めない。

 PortalとTeam Fortress 2のどちらも,The Orange Boxを購入するとHalf-Life 2シリーズに付属する形で手に入るが,Steamユーザーであれば単体での購入も可能となっている。それぞれにクオリティが高く,確かに単品で販売する意味のあるものだ。The Orange Boxを買った人は「付属ソフトには興味ない」などと考えずに,ぜひプレイしてみることをお勧めする。
 Episode Twoを筆頭に,これだけのボリュームであれば,Half-Lifeファンでなくとも十分にお買い得といえよう。

画像集#026のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
もともとはQuakeのMODとして1996年に制作され,やがてHalf-Life用にコンバートされたのが「Team Fortress Classic」。その後6年を経て,ついに第2弾が登場した
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ローンチ時点では,Control Pointの取り合いとCapture the Flagの2種類のゲームモードしか用意されていない。6種類しかないマップも少々物足りない気がする
画像集#028のサムネイル/「Half-Life 2:Episode Two」を含む「The Orange Box」のレビュー記事を掲載
FPSとして独特の雰囲気があるうえに,9種類あるクラスのプレイスタイルもそれぞれに異なり,いろいろ組み合わせを試したくなる。今後の拡充やサポートにも期待したい

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発売元 サイバーフロント
発売日 2007/10/09
価格 8925円(税込)

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