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印刷2009/04/06 16:45

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Intel,Xeon 5500番台の国内発表会を開催。「Pentium Pro以来となる重要な製品」

Xeon 5500番台のパッケージとウェハを持つGelsinger氏(Senior Vice President, General Manager, Digital Enterprise Group, Intel)
画像集#002のサムネイル/Intel,Xeon 5500番台の国内発表会を開催。「Pentium Pro以来となる重要な製品」
 Intelの日本法人であるインテルは,日本時間2009年3月31日にリリースされていた新世代の2-wayサーバー&ワークステーション向けCPU,「Xeon 5500」番台の発表会を,4月6日に都内で開催した。
 発表会には,今回のXeon 5500番台や,Core i7プロセッサなど,Nehalemマイクロアーキテクチャに基づくCPUの開発チームを率いるIntel本社のPatrick P.Gelsinger(パット・ゲルシンガー)上席副社長が来日。新製品の重要性を自らの口で語るなど,意気込みの大きさが感じ取れるものとなっていた。
 サーバー&ワークステーション向けということで,PCゲーマーと直接関係する製品ではないが,Intel的に重要なプロセッサということで,今回はポイントを絞りつつ,要点をまとめてみたいと思う。


「Xeon 5500番台は,Pentium Pro以来の重要な革新」

従来製品比で2倍以上の性能向上をアピール


開発コードネーム「Nehalem-EP」ことXeon 5500番台。クアッドコアで,「Intel Hyper-Threading Technology」をサポートする
画像集#003のサムネイル/Intel,Xeon 5500番台の国内発表会を開催。「Pentium Pro以来となる重要な製品」
 Gelsinger氏はまず,Intelのサーバー&ワークステーション向けプロセッサ製品の歴史を振り返り,「最初の製品となる『Pentium Pro』のリリース当時,x86サーバーの市場はわずか100万台程度しかなく,市場の80%はメインフレームによって占められていた。しかし今日,市場の80%をx86サーバーが占めている」と,x86サーバーのポジションを再確認。そのうえで,「(メインフレームが主流だった)サーバー市場に革新をもたらしたPentium Pro。それと肩を並べる,Pentium Pro以来の最も重要な革新がXeon 5500であり,将来のインフラに向けての布石となる製品だ」と,その意義を強調した。

Gelsinger氏自身も開発に関与したPentium Proを引き合いに出しつつ,「Pentium Proと肩を並べる重要な製品」と,Xeon 5500番台を位置づける
画像集#004のサムネイル/Intel,Xeon 5500番台の国内発表会を開催。「Pentium Pro以来となる重要な製品」

 Core i7と同じ,Nehalemマイクロアーキテクチャをベースとすることもあり,Xeon 5500番台が持つ大きな特徴は,いわゆるネイティブクアッドコアであること以上に,「Uncore」部にあるとGelsinger氏。トリプルチャネルの内蔵メモリコントローラ,「Intel QuickPath Interconnect」(QPI)といったポイントをあらためて紹介しつつ,組み合わされるチップセットが,開発コードネーム「Tylersburg-36D」こと「Intel 5520」になる点や,10Gbイーサネットコントローラ「Intel 82599」がリリースされる点なども紹介された。

Xeon 5500番台をベースとするサーバーシステムの基本構成。「Intel Intelligent Power Node Manager」は,一般PCユーザーに馴染みが薄いと思われるが,これは「消費電力管理をサーバーマネージメントツールで一括して行う」ことを可能にするファームウェアの一種。ハイエンドサーバーでは割とポピュラーな技術の一つだったりする
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金融派生商品の価格の動きを予測する「ブラック・ショールズ方程式」を計算させ,コアの稼働状態をリアルタイムに表示するデモが示された
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 またGelsinger氏は,「Xeon 5500番台に盛り込まれた機能のうち,私が最も気に入っているもの」として,Core i7でも実装されている「Intel Turbo Boost Technology」のデモを披露。Core i7だと,負荷状況に応じて最大2段階(2bin)のベースクロック引き上げを実現していたのに対し,Gelsinger氏の示したスライドでは,シングルスレッド動作時に最大3段階(3bin)のクロック引き上げを実現していたのがトピックといえるだろう。

Gelsinger氏の示したスライド。「軽量のスレッド化がされたワークロード」で最大2bin,「シングルスレッドのワークロード」で最大3binの引き上げが可能であるように見える
画像集#009のサムネイル/Intel,Xeon 5500番台の国内発表会を開催。「Pentium Pro以来となる重要な製品」 画像集#010のサムネイル/Intel,Xeon 5500番台の国内発表会を開催。「Pentium Pro以来となる重要な製品」

 Gelsinger氏は,これら新機能などにより,Xeon 5500版台が「従来製品(※筆者注:Xeon 5400番台)と比べて2倍の性能向上を実現し,さらにアイドル時の消費電力は2分の1に削減するという画期的な進歩を成し遂げた」と,パフォーマンス,そして電力効率の両面で,新製品が大きな飛躍をしたと強調する。

Xeon 5400番台と比べて,性能は2倍に向上しつつ,アイドル時の消費電力は2分の1になったという
画像集#011のサムネイル/Intel,Xeon 5500番台の国内発表会を開催。「Pentium Pro以来となる重要な製品」
サーバー製品で利用されるさまざまな用途において,「20〜30%ではなく,50,100,150%のパフォーマンス向上を実現している」とGelsinger氏。2-wayサーバーおよびワークステーションのベンチマークテストで,30以上もの世界新記録を達成したとのことだ
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「厳しい経済状況だからこそXeon 5500番台」

4-way用のNehalem-EXは年内に投入へ


 Gelsinger氏は,性能と電力効率の高さこそ,この厳しい経済状況の中にあってXeon 5500を導入する動機になり得るとする。例えば,シングルコアのXeonプロセッサを搭載した184台のサーバーは,トータル性能を一切落とすことなく21台のXeon 5500番台搭載2-wayサーバーに置き換えが可能で,その場合,年間電力コストの90%以上を削減可能。さらに,メンテナンス費用の低下も含めると,切り替えからわずか8か月で投資費用を回収できるという。
 「この試算は北米基準だ。日本の電力コストは北米の約2倍なので,リプレース費用を回収できる期間はさらに短くなるだろう」(同氏)とのことなので,心を動かされるオンラインゲームパブリッシャもありそうだ。

シングルコアXeonを採用した184台のサーバーは,Xeon 5500番台を採用したものに置き換えると,同じ台数なら性能は9倍,同じ性能なら年間の電力コストを90%削減できるという,インテルの試算。もちろん,すべてのケースには当てはまらないだろうが,経済状況が悪いなかでのアピールとしては効果的だろう
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Nehalem-EXの概要
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 さらに氏は,現行のXeon 5500番台プラットフォームで,32nmプロセス世代の次世代6コアCPU「Westmere」(ウェストミア,開発コードネーム)をそのままサポートできることや,2009年中に,開発コードネーム「Nehalem-EX」こと,4-wayサーバー用プロセッサを投入予定であることも明らかにした。ちなみに,投入が近いNehalem-EXは「各種ベンチマークで記録的な性能を示している」という。


 以上,Gelsinger氏の発言を中心にお伝えしたが,厳しい経済状況を意識しつつも,製品開発の順調さや,性能の高さをアピールするという,“いつもの発表”になっていた印象だ。2009年後半の量産開始が予定されている32nmプロセス世代にもことあるごとに触れているあたり,2009〜2010年の製品展開に,Intelがかなりの自信を持っていることは,今回の発表会からも窺えた。

Xeon 5500番台のウェハ
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 冒頭でも述べたとおり,Xeon 5500は,ゲーマーなど,一般PCユーザー向けの製品ではない。ただ,ローエンドのラインナップは,「8物理コア,16論理コア」というキーワードに反応する人なら,手を出せなくもない価格設定がなされているのも事実。ゲーム用途で,マルチコア/スレッドが“効く”ケースはごくごく限られているため,決して万人向けではないが,ハイエンド志向で,ゲームもプレイするという人のなかには,気になっている人もいるだろう。
 対応マザーボードの店頭販売もなされるようなので,興味を持った人は,しばらく,ショップの入荷状況などを,マメにチェックしておくといいかもしれない。
  • 関連タイトル:

    Core i7(LGA1366,クアッドコア)

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