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アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー
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印刷2008/12/20 12:00

インタビュー

アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー

画像集#016のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー
 韓国EYEDENTITY GAMESが開発するオンラインアクションRPG「Dragon Nest」は,ハック&スラッシュ系のMORPGに,格闘ゲームのコンボ要素を取り入れているのが大きな特徴で,この組み合わせは日本のプレイヤーにも親和性が高そうである。韓国で公開された際のプレイレポート記事を読んで興味を持った人も多いのではないだろうか。
 しかも嬉しいことに,本作はNHN Japanを通じて国内運営されることがすでに発表されている。

 ここではEYEDENTITY GAMESの開発チームでプロダクションディレクターを務める,Woonhyung Kim氏へのインタビューをお届けしたい。なお,本稿の内容はあくまでも韓国版のDragon Nestについてのものであり,これからの開発の推移や,日本版へのローカライズによって変更される可能性があるので,この点はご了承いただきたい。

画像集#017のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー

格闘ゲームライクなゲーム性はアクションRPGを変えるか?


EYEDENTITY GAMES Production DirectorのWoonhyung Kim氏
画像集#006のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー
4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 さっそくですが,Dragon Nestを公開されてみての感想はいかがですか?

Woonhyung Kim氏(以下Kim氏):
 現在は開発作業がピークに差しかかっており,そのような中,並行して出展準備を行うのは大変でした。しかし来場客の反応は期待以上でしたので,大変嬉しく思っています。

4Gamer:
 来場客の反応や,フィードバックにはどういったものが多かったですか?

Kim氏:
 アクションRPGとしての基本的な要素,例えばキャラクターのモーションや操作のレスポンス,そして打撃感などについては,かなり満足してもらえたようです。私達としては,Dragon Nestはライトユーザーには,ちょっと操作が難しいかな? と懸念していたのですが,どうやら杞憂でしたね。

4Gamer:
 Dragon Nestの開発期間や,現在の開発進行度はどれくらいなのでしょうか?

画像集#015のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー
画像集#007のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー
Kim氏:
 実際に開発を始めてから,約1年半が経過しています。今後はクローズドβ用のクライアントを準備する予定で,その時点で考えると開発進行度は約70%といったところですね。

4Gamer:
 G★での出展バージョンをプレイしましたが,キャラクターの見た目がコミカルなのに,アクション要素がかなり重視されていたことに驚きました。

Kim氏:
 アクション要素はかなり力を入れているので,そういってもらえると嬉しいですね。ああいったグラフィックスということもあり,第一印象では,ライトなゲームだと思われる来場者が多かったみたいですが。

4Gamer:
 とくに,格闘ゲームにも通じるコンボ要素が印象的でした。あれはどういった経緯で導入されたのでしょうか?

Kim氏:
画像集#005のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー
 最近のアクションRPGって,敵をターゲットして攻撃を行うまでのプロセスが,ややマンネリ化してきているな,という思いが最初にありました。そういったなかで,新たにアクションRPGを作るからには,このイメージを打破しないと厳しいかな,と思ったわけです。
 そこで「自分が目指したいアクションとは何だろう?」を突き詰めていった結果,格闘ゲームに行き着きました。あの面白さをアクションRPGに取り入れたらきっと楽しいはず,ということでこのようなシステムが誕生したわけです。

4Gamer:
 なるほど。Dragon Nestは基本的にはアクションRPGなので,多くの格闘ゲームのような1対1のバトル形式ではありません。このゲームにおけるコンボ要素は,どの程度の比重を占めているのでしょう。

Kim氏:
 かなりの部分を占めていますよ。クラスとモンスター間の相性や,ステージ内の環境などを利用しつつ,どのようにコンボをつなげていくかを考えるのがプレイの秘訣となるはずです。例えば,それこそ格闘ゲームのように,空中に浮かせてコンボを一方的に叩き込んだり,といったこともできます。

画像集#019のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー

未発表クラス「クレリック」と「ソーサレス」のコンボは?


4Gamer:
 G★の出展バージョンでは,男性のウォーリアと女性のアーチャーのキャラクターが選べました。また,プレスカンファレンスで上映されたムービーでは,男性の僧侶と女性の魔法使いらしきキャラクターも確認できました。最終的なクラス構成はどのようになっていますか?

Kim氏:
 現在は,その4種類のキャラクターで決定しています。正式名称としてはウォーリアとアーチャーに加え,“クレリック”と“ソーサレス”となっています。

画像集#011のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー 画像集#014のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー

4Gamer:
 クラスと性別は,完全に固定されているのですか?

Kim氏:
 ええ,そうです。できれば男女別々にモデリングをしたかったのですが,Dragon Nestはキャラクター一人あたりのモーションが非常に緻密かつ動きも激しいため,ちょっと難しいと判断しました。

画像集#013のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー
4Gamer:
 プレイできた2クラスの中では,アーチャーの行う射撃に迫力があり,まるでFPSでマシンガンを撃っているかのような印象を受けました。クレリックやソーサレスのクラスコンセプトにも,意外性のあるものは含まれていますか?

Kim氏:
 アーチャーに関しては,結構インパクトがあったようですね(笑)。
 クレリックは魔法による回復,ソーサレスは魔法による支援が得意なクラスで,アーチャーほどイメージは崩してないと思いますよ。

4Gamer:
 その2クラスは,どちらかというと後衛系の役割になりそうですが,本作の特徴であるコンボ要素にどのように関わっていくのでしょうか?

Kim氏:
 クレリックは,直接攻撃もそこそこ行えますが,ソーサレスのほうはあくまでも魔法がメインなので,コンボで直接(メレーの)ダメージを与えるといったことは,あまり得意ではありません。その代わり,モンスターを弱体化させたり,状態異常を伴うコンボがいくつか使えます。

4Gamer:
 ということは,すべてのクラスでコンボの比重が大きい,というわけではないのですか。

Kim氏:
 一応,全クラスがコンボを行えますよ。ただ,クラスによって発生させる条件が違ってきます。そのあたりはプレイスタイルによって変わってくるでしょうね。

4Gamer:
 大まかにいうと,どういった流れでコンボを行うのでしょうか。

画像集#003のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー
Kim氏:
 例えば,マウスの右クリックでキックを行えるのですが,これはダメージがそれほど大きくない代わりに,攻撃相手を一瞬,空中に“浮かせる”ことができます。多くのコンボでは,これが起点となっており,その間に続けてほかのスキルを入力していく,といった流れになります。
 ただ,モンスターと自分との位置関係などにより,同じ操作キーでもアクションが変わってきます。例えば,アーチャーの場合は,平常時にキック用のキーを押すと,回し蹴りのようなアクションを行えます。しかし目の前のモンスターが倒れていたら,自動的に“蹴り上げ”に変わります。この2種類のキックでも,そのあとにつながる技が違ってきます。

画像集#012のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー
4Gamer:
 そういえばアーチャーのアクションでは,いわゆる“スピニングバードキック”もありましたね。

Kim氏:
 いろんなアクションがありますよ。気絶しているモンスターを高く蹴り上げたり,落ちる寸前に弓で攻撃したり,壁にぶつかって跳ね返ってきた敵に,さらにコンボをつなげられたりします。コンボのアクション要素については,かなり力を入れており,格闘ゲームのファンにも,きっと手ごたえを感じてもらえると思います。

4Gamer:
 そういったシステムが,オンラインのアクションRPGのゲームジャンル上で実現されているということに驚かされますね。
 Dragon Nestではマルチプレイで仲間と協力してコンボを行うのも楽しそうです。このあたりについてはいかがでしょうか。

Kim氏:
 現在開発作業を行っているなかでは,そこの部分のバランス調整に苦心しています。これは極端な話ですが,例えば自分がモンスターを蹴り上げて,それを別の仲間が再び蹴り上げて,延々とピンポンが行えてしまうと,ゲームバランス的には問題がありますよね。見た目は面白いかもしれませんけど(笑)。

協力コンボやモンスターのリアクションにも注目


4Gamer:
 「Diablo2」もそうでしたが,多くのアクションRPGにおけるマルチプレイは,どちらかというとソロプレイの集合体でした。マルチプレイにおける,クラスの役割分担や協力要素がどこまでフィーチャーされているのか気になります。

画像集#004のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー
Kim氏:
 例えば,ソーサレスが弱体化させたあとにウォーリアが粉砕したり,クラスの特性を生かしたチームプレイを実現させたいですね。協力要素が充実すれば,きっとかなり面白くなるだろうというのは同感です。現在頑張って開発しているので,ご期待ください。

4Gamer:
 コンボ以外のゲームシステムで,Dragon Nestにおけるアピールポイントはありますか?

Kim氏:
 コンボによるアクションを“インプット”だと考えると,それに対する“アウトプット”,すなわちモンスターのリアクションやモーションには自信があります。ここにも注目してもらいたいですね。

4Gamer:
 ところで,Dragon Nestは日本でのローカライズにも期待が持てそうですが(インタビュー実施は,NHN JAPANによるローカライズ発表よりも前),仮にそれが実現される場合,ジョイパッドで操作したいという要望が出てきそうです。この点についてはどのように考えていますか?

Kim氏:
 ジョイパッドに関しては開発候補として挙がっています。マウスカーソルでターゲットを行うシステムを,どのように対応させるかが悩みどころですね。

4Gamer:
 G★2008に出展されていたタイトルの中では,Dragon Nestのライバルとなりそうなのは,同じくネクソンからリリースされる「マビノギ英雄伝」なのかな? と思いました。

Kim氏:
画像集#002のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー
 そうおっしゃる方もいるようですが,作っている側からするとかなり違うという認識ですね。Dragon Nestはマビノギ英雄伝よりも,もっとプレイが優しくて,遊びやすくて,スピーディで,そしてコンボが楽しいというところをアピールしています。

4Gamer:
 クオリティにはかなり自信があるようですね。最後に,日本でDragon Nestに注目しているユーザーに向けてコメントをお願いします。

Kim氏:
 Dragon Nestを正式発表してから,ユーザーの皆さんからさまざまなご意見をいただきました。その関心度の高さにスタッフ一同,驚くと共に,とても励みにもなっています。
 日本は格闘ゲームの発祥ともいえる国で,コアなプレイヤーも多いと思いますが,そういった人にも満足してもらえるタイトルを目指し,現在頑張って開発しています。期待して待っていてください。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

画像集#018のサムネイル/アクションRPGに格闘ゲームのコンボ要素を持ち込んだ意欲作「Dragon Nest」開発者インタビュー

 いかがだっただろうか。どうやらDragon Nestの最大のアピールポイントは,“アクションRPG+格闘ゲーム”の融合,という認識で間違いなさそうだ。コンボによるアクションをオンラインRPG上で実現するというシステムは,なかなかのインパクトを与えてくれそうな予感がする。

 冒頭でも触れたとおり,Dragon NestはNHN JAPANを通じて日本で展開されることが発表されている。NHN JAPANのアクションRPGというと「アラド戦記」が有名だが,もしかするとDragon Nestは,アラドと肩を並べるタイトルに育ってくれるかもしれない。個人的には,初めてアラドをプレイしたときの嬉しさを,再び思い出させてくれたインタビューであった。

 それにしてもアラドといいDragon Nestといい,日本から世界へ広まったゲームシステムが,韓国のゲームに上手に取り入れられていることは嬉しくもあり,ちょっぴり悔しくもある。日本のメーカーにも頑張ってほしいところだ。
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