レビュー
国内ブランド初のマウスは持ち方にハマるかがカギ
DHARMA TACTICAL MOUSE(DRTCM01)
» 発売から半年。光学センサーを搭載したシリーズ第2弾製品の足音も聞こえてきたこのタイミングで,第1弾となるレーザーセンサー搭載モデルのレビューをお届けしたい。リフトオフディスタンス調整機能など,かゆいところに手の届く製品だが,fumio氏はどう見ただろうか。
そんな同社の第1弾製品となるレーザーセンサー搭載ワイヤードマウス「DHARMA TACTICAL MOUSE」(型番:DRTCM01,以下型番表記)を長期的に使う機会が得られたので,今回は,現役のゲームプレイヤーとして感じたことを忌憚なくまとめてみることにしたい。
日本人の手に合わせた小ぶりなデザイン
軽量で動かしやすいがデメリットも
この点DRTCM01は,国内メーカー発の製品ということで,サイズを小さくし,さらに本体側面を深くくぼませることで,手の小さい日本人でも扱いやすいようにデザインされている。
また,ケーブル込みで110gという重さは,ゲーマー向けマウスとしても相当軽量な部類だ。ゲーム中の激しい動きに堪えられる小ぶりなマウスとなると,DRTCM01以前に選択肢はほとんどなかった。そういった現状に一石を投じたというだけでも,DRTCM01はたいへん重要な存在といえる。
ただ,「この形状こそが『最終回答』であって,すべての日本人ゲーマーに適している」かというと,さすがにそういうわけではなく,合わない人もいる。というか,残念なことに,筆者がその「合わない人」の一人なのだ。
一方,手のひらをマウスに触れさせず,指先で本体中央付近をホールドすることの多い「つまみ持ち」だと,くぼみに指がほどよく収まって,俄然快適になる。DHARMAPOINTはDRTCM01を確かに「つまみ持ち」用としているが,「かぶせ持ち」が考慮されていないあたり,「『つまみ持ち』を推奨」というよりも「『つまみ持ち』特化型」として考えている,と述べるほうが正しそうだ。
採用する部品の品質は平均以上
とくにケーブルの完成度は秀逸
チルト機能付きスクロールホイールの感触も,若干固めだが悪くない。Logitech(ロジクール)の「G5 Laser Mouse」から,ノッチとチルトを少し固くしたような感触である。
一つだけ難点を挙げるとすれば,サイドボタンの反応が軽すぎる点だろう。
とくに気になったのは,マウスを持ち上げるとき,本体右サイドのボタンに指が触れ,意図せず反応してしまうことが多々あったこと。ちょうど指の腹が当たる位置にボタンがあるため,「積極的に使おうと思ったときに押しやすい」といえばそのとおりなのだが,“押しやすすぎる”のも困りものといえる。専用ユーティリティソフト「ダーマコントロール」を使えば無効化できるので,大勢に影響ないといえばそれまでだが……。
筆者は普段,ケーブルの反発力を緩和するためのケーブルアンカー(ケーブルホルダー)を使っているが,そういった製品を別途必要とさせないあたりは,国内ブランドならではの粋な計らいといえるかもしれない。
追従性能はまずまずだが
後部寄りのセンサー位置がネック
このあたりでセンサーの話に入っていこう。テスト環境は表のとおりとなる。
DRTCM01はレーザーセンサーを採用しているため,端的に述べて,光学センサーを採用したゲーマー向けマウスと比べると追従性はやはり劣る。とはいえ,レーザーセンサー採用マウスのなかでは間違いなく上位の追従性は確保されており,よほど思い切り振って回したりしない限り,異常な挙動は示さない。中〜高センシティビティ設定のプレイヤーであれば問題なく使用できる範疇だ。
さて,ファームウェアV44から提供されたリフトオフディスタンスの調整機能にも触れておきたいと思うが,まずリフトオフディスタンスとは簡単にいうと,「センサーが設置面を認識しなくなる距離」のこと。これが短ければ短いほど,「マウスをパッドの端まで動かした後,持ち上げてパッドの中央に戻す」動作を小さくできる。持ち上げるときに生じる,ポインタのブレも軽減可能だ。このリフトオフディスタンスの短さを売りにしたマウスは過去にあったが,ユーザー側で自由に調整できるというのは,DRTCM01が初めてとなる。
リフトオフディスタンスの調整は0〜5631(※単位は未公開)の範囲で1刻み。マウスの出荷状態では4638に設定されているという。スライダを動かし,[OK]ボタンを押せば適用されるという,実にお手軽な機能だが,だからといって極端な設定にすると,センサーがまったく反応しなくなるので注意が必要だ。試すときは,緊急時にすぐスライダを動かせるよう,予備のマウスを手元に置いておくことを勧めたい。
「設定」ウインドウ。対応バージョンのファームウェアとダーマコントロールが導入されていれば,ここからリフトオフディスタンスの設定が可能になる |
「リフト機能をカット」のチェックボックスを外し,スライダを変更。最後に[OK]ボタンを押せば,設定がマウス本体に書き込まれて有効化される。極端に低い設定を行うと,容赦なく無反応になるので要注意 |
とりあえず筆者の環境でいろいろな設定を試してみたところ,反応する距離は設定値によって確かに変わる。値を小さくすることで,持ち上げるときの“ブレ”が小さくなるのを確認できた。マウスパッドによっては調整次第で相性問題が緩和されることもあるので,お気に入りのパッドと相性があまりよくなかった場合は変更してみるのもいいだろう。
実際に複数のマウスパッドで実際に試用した結果は下記のとおりだが,DHARMAPOINT製マウスパッドを含め,やや相性の悪い点が気になった。なお,テストは解像度2000cpi,レポートレート500Hzで行っている。
- DHARMA TACTICAL PAD[HARD TYPE](DRTCPW40H):○(問題なし)
- DHARMA TACTICAL PAD[SOFT TYPE](DRTCPW40S):△(DRTCPW40Hと比べネガティブアクセルが発生しやすい。リフトオフディスタンス設定値を下げるとさらに発生しやすくなる)
- Icemat Purple 2nd Edition:×(一応認識するがリフトオフディスタンスを上げてもポインタがすぐ飛ぶので使用不可)
- Razer eXactMat Control:△(ある程度高速に動かすと飛ぶ)
- Razer eXactMat Speed:△(明らかに飛ぶことは少ないが,DRTCPW40H以上にネガティブアクセルが発生する)
- Razer Mantis Speed:△(DRTCPW40Sに近いが,リフトオフディスタンスの調整を行ってもとくに挙動は変化せず)
- SteelSeries QcK mass:○(問題なし)
さて,DRTCM01を用いて「ロスト プラネット コロニーズ」(以下,LPコロニーズ)と「Warsow」をプレイしてみた。
一方,「つまみ持ち」にしてみると,慣れない持ち方のためにaimはしづらかったが,激しくマウスを動かなければならないシーンでも指先で楽々切り返せるようになった。
繰り返しになるが,DRTCM01は「つまみ持ち」でこそ真価を発揮するマウスと結論づけるのが正解だろう。
万人向けとまではいえないが
持ち方が合えばお勧めのマウス
実勢価格が7200〜8000円程度(※2008年8月上旬現在)と安くはなく,また,「かぶせ持ち」派にはまったく合わないことを考えると,とにかく,自分のマウスの持ち方を確認することを勧めたい。「つまみ持ち」派には,十分にオススメできる製品だ。
DHARMAPOINTは,DRTCM01と同じ筐体デザインを採用した光学センサー搭載製品も発表済みだが,こちらも大いに期待できそうだ。できれば次回以降は,「かぶせ持ち」派に向けた製品の発売もお願いしたいところである。
- 関連タイトル:
DHARMAPOINT
- この記事のURL: