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[G-Star 2010]「魔界村オンライン」のプロデューサーに,あの魔界村のオンラインゲーム化にあたって苦労したポイントを聞いてみた
G-Star 2010のCJ Internetブースは魔界村オンライン一色といったところ。4Gamerでは先日,プレイアブルデモのインプレッションを紹介しているので,そちらもぜひ参考にしてほしい。
Kim氏が率いるSeed9は,10年前の設立以来「開発一筋」というゲームデベロッパだ。同社はこれまで,「Tomak」「R2 BEAT」などの作品を手がけ,2010年,CJ Internetの傘下に入っている。
Kim氏によれば,魔界村オンラインの開発が始まったのは今から4年前。横スクロールタイプのアクションRPGには,開発に要する時間が比較的短いカジュアルな作品が多く,4年以上もかけていると聞くと,意外に聞こえるかもしれない。
しかし今回取材した限り,魔界村オンラインはオンラインゲームとしてかなり本格的な内容となっている印象で,Kim氏は,本作で横スクロール型RPGの最高峰を目指すとともに,このタイプの作品に対するゲームファンの印象を一変させたいとアツく語ってくれた。
次に,もともと日本のカプコンが持っているIPを,オンラインゲーム化することになった経緯について尋ねた。
Kim氏の話では,まず,Seed9側からカプコンにコンタクトをとって交渉を開始し,ライセンス供与を受けることになったという。
その後,しばらくのあいだSeed9が独自に開発を進めていたが,開発中のバージョンを見たCJ Internetからグループ傘下へと招き入れられたそうだ。
現在はCJ Internetによる全面的なバックアップ体制が敷かれ,今回のG-Star 2010では他社の大作MMORPGなどにも引けをとらないブース展開が行われており,同社の力の入れようがうかがえる。
G-Star 2010では,本作以外にも,日本オリジナルのIPを元にしたオンラインゲームの名前をちらほら見かけるが,韓国のゲームファンは,この魔界村というIPをどのように認識しているのだろうか。
Kim氏に聞いてみたところ,第1作は20年以上も前に開発されたタイトルであり,2006年にPSP用ソフト「極魔界村」が登場しているとはいえ,若い世代には詳しく知らない人も多いそうだ。
かくいうKim氏も熱心なカプコンファンの一人で,魔界村をオンラインゲーム化していることにプレッシャーを感じる一方,やりがいをもって取り組んでいるそうだ。
ところで魔界村といえば,アーケードゲームの中でもとりわけ難度が高かった作品である。当時と同じ方向性でオンラインゲーム化しても,今どきのゲームファンに受け入れられるとは限らない。
そのあたりのさじ加減について,Kim氏は,オリジナル作品の雰囲気をできる限り残しつつ,変えるべき点は変えるという方針をとったものの,それは容易ではなかったと語る。
例えば,2段ジャンプの最中にキャラの向きを変えられるようにすべきか否か? など,細部の仕様について社内で連日協議を重ねてきたのだそうだ。
そのうえで,アクションRPGにとって重要な“打撃感”の表現を工夫したり,物理エンジンを独自開発してアクション表現を磨いたりしたほか,オンラインゲームにとって重要な要素を一つ一つ追加してきたそうだ。
Kim氏の話を踏まえ,実際に動いているところを見てみると,確かにオリジナル作品から受け継いでいる要素はとても多いと感じる。プレイレポートで触れたように,アクの強いグラフィックスは,3Dになってもまさしく魔界村といった印象だ。
また,ボスモンスター達のトリッキーな動きを見ていると,苦しめられたあの頃の,ほろ苦い思い出が浮かび上がってくる。そんな感想をKimに伝えたところ,「実は,今回のG-Starに展示する特別バージョンを用意するにあたり,ボスモンスターの動きについてギリギリまで頭を悩ませていたんです」と教えてくれた。
今回取材した限り,現段階でもかなり遊べるのではないかと感じるが,Kim氏にとってはまだまだ物足りないようだ。韓国では,2011年下半期にオープンβテストが予定されており,Kim氏は「来年のG-Starでも注目を集めるタイトルに仕上げたい」と話していたので,全貌が明らかになるのは相当先となりそうだ。
ちなみに,ビジネスモデルについては今のところ未定だが,Kim氏は,より高性能な武器といった,ゲームバランスに影響を与えるタイプのアイテムは販売しないと説明した。
アーケードゲームが元になっていることもあり,例えば,コンティニュー用のコインを販売するといった形になる可能性はあるとのことだった。
懐かしさのあまり飛びついた,オールドゲーマーとしての期待感を差し引いても,魔界村オンラインはオンラインゲームとしてかなり充実した内容に仕上がりそうな気がしている。
それは,Kim氏をはじめとする開発スタッフがオリジナル作品をリスペクトしつつ,オンラインゲーム化にあたって,どのようなアレンジが必要となるか,日々検討を重ねてきた結果といえるかもしれない。
Kim氏も話していたが,これはカプコンが自社でオンラインゲーム化したタイトルだと言われても,素直に信じてしまいそうな出来であり,完成が待ち遠しいタイトルだ。
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