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「ROG Swift PG278Q」レビュー。解像度2560×1440ドットで垂直144Hz&G-SYNC対応のディスプレイはゲーマーへの福音となるか?
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印刷2014/09/13 00:00

レビュー

唯一無二のスペックを持つディスプレイはゲーマーへの福音となるか?

ROG Swift PG278Q(R.O.G. PG278Q)

Text by 米田 聡


ROG Swift PG278Q
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ASUSサポートホットライン TEL 0800-123-2787(平日9:00〜18:00,土日9:00〜17:00)
実勢価格:9万500〜10万円程度(※2014年9月13日現在)
画像集#002のサムネイル/「ROG Swift PG278Q」レビュー。解像度2560×1440ドットで垂直144Hz&G-SYNC対応のディスプレイはゲーマーへの福音となるか?
 2014年1月の2014 International CESで発表された,「R.O.G.」(Republic of Gamers)ブランドの27インチワイド液晶ディスプレイ「ROG Swift PG278Q」(国内製品名:R.O.G. PG278Q,以下 PG278Q)が,日本市場で発売となった。
 解像度2560×1440ドットで垂直リフレッシュレート最大144Hz対応,そしてNVIDIA独自の画面同期技術「G-SYNC」に対応と,いずれも国内初となる,注目の製品だ。

 今回4GamerではASUSTeK Computer(以下,ASUS)から実機を入手し,テストすることができたので,その性能を評価してみたい。


基本仕様は文句なしだが

入力がDisplayPortのみなのは大いに人を選ぶ


製品ボックスから取り出した状態のPG278Q。台座を取り付けたりする必要はない。スタンドを外せば100×100mmのVESAマウンタにも対応する
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 さっそく製品ボックスから取り出して,外観をチェックしていこう。
 ゲーマー向けディスプレイの場合,2ピースだったり3ピースだったりして,製品ボックスの開梱後,エンドユーザーが組み立てるタイプが多いのだが,PG278Qはスタンドと台座がはじめから取り付けられているため,組み立ての手間は一切かからない。
 分解を前提としていないこともあって,スタンドと台座の安定感は非常に高く,ガタガタするような心配はまずもって無用だ。

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 本体の横幅は実測約618mm。かなりの狭額縁デザインであり,結果,27インチワイドタイプのディスプレイとしてはかなりコンパクトな印象になった。
 本体の高さは440〜560mmの範囲で調整可能だ。スタンドに組み込まれた高さ調整機構の動きは滑らかで,抵抗なく動かせる。

高さの調整範囲は120mm。調整機構の動きは滑らかだ
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スタンド部にはケーブルを束ねるための穴も用意されている。なかなか有用
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 スイーベル(首振り)機構は,スタンドと台座の根元部分に用意されている。可動範囲は±60度なので,120度の範囲で回転可能だ。こちらも動きはスムーズで,非常に便利な機構といえるだろう。
 ちなみに,そのスイーベル機構を囲むような格好で,台座部には赤いリングがあり,電源オン時には光るようになっていた。とくに意味があるわけではないので,純然たるイルミネーションということになるが,このあたりはいかにもR.O.G.ブランドの製品らしいギミックといったところだ。

滑らかに動くスイーベル機構。スタンドの根元部分には赤いリングがあって光るギミック付きだ
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 液晶パネル部のチルト(上下回転,傾き)も調節可能だ。公式スペックによると上側に20度,下側は5度。27インチサイズともなると画面の角度調節はあまり頻繁に使う機会はないと思うが,こちらも動き自体はスムーズである。

画面のチルトは上が20度,下が5度の範囲で動かせる
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画面の回転もサポート。縦画面時の本体横幅は実測約362mmだった
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 もう1つ,製品ボックスに入っていた状態が縦位置だったので,すぐにピンときた人も多いだろうが,PG278Qはピボット(回転)にも対応している。特定のゲームジャンルでは使うこともある機能なので,嬉しいと思うゲーマーは少なくないだろう。
 なお,縦画面時の高さは632682mmの範囲で調整可能。最も低い状態では,ディスプレイの下端が台座に触れることになる。

 電源はACアダプター式だ。27インチサイズの液晶ディスプレイだと,電源部を内蔵するものが多数派なので,評価は分かれるだろうが,そのサイズは実測約88(W)×88(D)×30(H)mmとコンパクトなので,否定派からしてもギリギリ許容範囲ではないかと思う。
 ちなみに出力は19V,4.74A,約90Wだった。公式の最大消費電力が90Wなので,ぴったりの仕様ということになる。

電源は専用のACアダプターによる供給
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 気になるビデオ入力インタフェースは,驚くなかれ,DisplayPort 1.2が1系統のみ。あとは2ポートのUSB 3.0ハブ機能が,PG278Qに用意されるインタフェースのすべてである。

入力はDisplay Portが1系統のみ。あとはUSB 3.0のハブ機能が用意されるだけだ。その隣には「Service Use Only」と書かれたカバーがあり,その下に20ピン端子があった。おそらくASUS社内でテストやファームウェア書き換えなどに使うものだろう
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 解像度2560×1440ドットで最大144Hzの垂直リフレッシュレートに対応できるインタフェースとしては,DisplayPortのほかにDVIもある。なので,2系統入力などをサポートしてもいいと思うのだが,2月24日のテストレポートで紹介した,ASUS製ディスプレイ「VG248QE」をG-SYNC対応化する改造キット「G-SYNC DIY KIT」も1系統のDisplayPort入力のみのサポートに留まっていたので,ひょっとすると,あのキットとほぼ同じ機構がPG278Qに搭載されているのかもしれない。

 信号仕様の関係で,DVI→DisplayPortやHDMI→DisplayPortの変換は割とハードルが高い(※逆は簡単)ので,事実上PG278Qは,DiplayPort接続専用ということになる。つまり,PG278Qを利用するためには,DisplayPort出力を持つグラフィックスカード――G-SYNCを使う前提に立てばGeForce搭載モデル――が必須というわけだ。この点で,大いに人を選ぶ製品だということになる。

 DisplayPort接続でPCとつないで初めて気づいたこととしては,OSDメニューの操作性が非常によい点が挙げられるだろう。
 PG278Qは最近の流行でもあるフラットデザインを採用しており,OSDメニューを操作するためのボタン類が本体向かって右下の裏側に配置される。このタイプは得てして,OSDメニューが操作しづらかったりするのだが,本機の場合,ボタンの1つが小型ジョイスティック風になっており,OSDメニュー内の上下左右移動や設定変更の多くをこのスティックボタンで行えるようになっているのだ。

本体向かって右下に印刷された各種アイコン群(左)と,その背面にあるボタン群(右)。下から順に電源,「Turbo」,「ゲームモード」,キャンセル,そしてOSD操作用スティックとなる
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 PG278Qではスティックの上下左右で選択し,押し込みで決定もしくは選択という操作性になっている。OSDメニューは左階層から右階層へ掘り進むタイプだが,スティックを左に倒せば簡単に上位階層へ戻れる(=いちいち[戻る]ボタンまで行かなくていい)のは,精神衛生上とてもいい。
 誤操作を100%しなくなるわけではないので,完璧とはいわないが,ボタンがただ5個縦に並んでいるよりは何百倍もマシだろう。ここは大いに評価できる。

問題の照準強制表示機能(上)と,使い道がよく分からないストップウォッチ機能(下)は,本体側の[ゲームモード]ボタンから呼び出せる
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 上の写真キャプションで触れた「Turbo」と「ゲームモード」用のボタンだが,Turboのほうは,押すごとに垂直リフレッシュレートを60Hz120Hz144Hz60Hz→……と順繰りに切り替えるものである。ゲームタイトルに合わせてリフレッシュレートを変えたいときに使えそうだが,ディスプレイ側で強制的に切り替えるためか,まれに,[Turbo]ボタンを押すと画面が乱れることもあった。使い方は慎重にしたほうがよさそうだ。
 一方の「ゲームモード」は,ASUSが最近やたらと力を入れている機能を呼び出すもので,照準を画面の中央に強制表示させる機能と,あまり使い道の浮かばないストップウォッチ機能を呼び出せるようになっている。後者はともかく,前者は明らかなチートなので,いい加減ASUSも実装をやめるべきだと思うのだが……。


TNパネルにしては相当に優秀な見栄え

“TNっぽさ”をあまり感じずに使える


画面の回転もサポート。縦画面時の本体横幅は実測約362mmだった
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 PG278Qが搭載するのは,応答速度最速1ms(Gray-to-Gray)が謳われる,高速なTNパネルだ。
 ASUSは「PB287Q」で,4K解像度対応のTNパネルを採用した実績がある(関連記事)ので,2560×1440ドットのTNパネルというのは驚くに値しないが,TNパネルということで,見栄えが気になる人もいることだろう。

 一般論として,TN方式の液晶パネルは,応答速度が速い代わりに視野角が狭いのが難点で,そのため発色もあまり良好に見えないことが多い,ではPG278Qはどうかというと,発色は鮮やかで,輝度を下げたときのいわゆる輝度ムラもそれほど目立たない(※ないとは言わない)。パネルの表面がノングレア(非光沢)加工されているため,映り込みも気にならない。

 27インチワイドという大型パネルのため,ディスプレイから50cm以内に寄って見ると,画面の上下左右端で変色を確認できるが,それ以上離れて,かつ正面から見る限りにおいて,変色は感じられないレベルに抑えられている。
 27インチワイド液晶ディスプレイは通常,50cm以上離れたところから見ることになると思われるので,いわゆる“TNっぽさ”をあまり感じることなく利用できるディスプレイだといえそうだ。

正面(左)と,スイーベル機能を使って少し角度をつけたところ(中央),さらに台座ごと回転させた状態(右)。中央でも変色は認められるが,正面から見たときの色合いは鮮やかなのも分かるだろう
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OSDメニュー内,「色」→「OD」の先にオーバードライブ動作の選択肢が用意される
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 TN方式らしい応答速度が見られるかどうかは,実際にテストを行ってチェックしてみよう。
 PG278Qには,パネルの応答速度を高めるオーバードライブ機能が搭載されている。強度設定は「オフ」「通常」「Extreme」で,工場出荷時の設定は「通常」だ。

 今回は,EIZOが配布している「Motion Blur Checker」(β)を使って4Gamerのロゴ壁紙を1フレーム単位で横スクロールさせ,それをカシオ製のハイスピードカメラ「HIGH SPEED EXILIM EX-FH100」(以下,EX-FH100)から240fps設定で録画して,フレームがしっかり応答しているかを調べてみることにした。
 テストにあたって,垂直リフレッシュレートは最高の144Hzに設定。Motion Blur Checkerが144Hz設定で動作することも確認している。144Hzのとき1フレーム約7msなので,1msの応答速度があるかどうかは確かめられないが,フレームレートにしっかり追随できていれば合格と見なしていいだろうと思う。

 テスト結果は下に示したとおりで,「オフ」だとやや残像感がある一方,「通常」と「Extreme」ではロゴの切り替わり方がシャープになっている。「通常」「Extreme」の順にシャープさは増している印象だ。
 オーバードライブの“効きすぎ”によって生じがちなゴーストや表示異常が「Extreme」設定時にほとんど見られないのも特筆すべきポイントだろう。ムービー上では,「Extreme」設定時にエッジ部分で多少のジャギーが出ているが,肉眼で見た限りではそれほど不自然でもないので,「Extreme」でも十分に使えると述べておきたい。
 もちろん「通常」も,144Hz駆動時のフレーム切り替わりにしっかり応答できている。


画質関連の設定は「画像」以下にあるが,非常にシンプルだ
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 ちなみに,これも前述したG-SYNC DIY KITと同じなのだが,PG278Qにはゲーマー向けディスプレイによくある「画質モード」は用意されていない。画質に関連した設定は「明るさ」「コントラスト」「カラー」の3つのみだ。色合い調整を行える「カラー」も「通常」「温かい」「冷たい」と,赤緑青の強度をそれぞれ0〜100の範囲で調整できる「ユーザーモード」のみと,これまたシンプルである。

 ASUSはこれまで,独自の映像エンジンである「Splendid」を前面に出したディスプレイ製品展開で知られてきた。それゆえに,PG278QにSplendidエンジンを載せていないのは不思議だが,「G-SYNCに対応させようとすると,Splendidエンジンは載せられなかった」ということはあるかもしれない。映像処理エンジンはリフレッシュレートに合わせてフレーム単位で処理を行うが,G-SYNCではリフレッシュレートが一定でなくなるため,Splendidで処理できなくなる,というのは考えられる話だ。
 ASUSが明確にそのとおり説明しているわけではないため,現時点では単なる推測となるが,仮にそうであれば,G-SYNCへ対応することのトレードオフは意外に大きいということになるだろう。


G-SYNCの効果は120Hz超級の

リフレッシュレートでも確認


G-SYNC DIY KITのテストレポート記事より,G-SYNCモジュール。これと同じか,ほぼ同じものがPG278Qにも搭載されているはずだ
画像集#030のサムネイル/「ROG Swift PG278Q」レビュー。解像度2560×1440ドットで垂直144Hz&G-SYNC対応のディスプレイはゲーマーへの福音となるか?
 「そもそもG-SYNCとは何か」という話は,G-SYNC DIY KITのテストレポート,そしてG-SYNCの解説記事をチェックしてほしい。また,G-SYNCの効果自体もテストレポートのほうで紹介済みだ。なので,本稿でG-SYNCの基礎概念や効能をくどくどと繰り返すつもりはないが,やはり気になるのは,120Hz超級の垂直リフレッシュレートでもG-SYNCの効果を体感できるか,という点だろう。

 よく知られているように,垂直リフレッシュレート120Hz超級の環境では,ゲームのフレームレートが追随できる限り,極めてスムーズな,俗にいう「ヌルヌル」の画面表示が得られる。ただ,G-SYNCを前提にした場合,1フレームの表示時間が10ms以下――120Hzでは約8.3ms,144Hzでは約7.0ms――となるため,60Hz表示時の約13.3msと比べて,テアリング(tearing,ただし日本では語義からすると誤読となる「ティアリング」読みが主流)やフレームの欠損が目立たなくなり,結果,G-SYNCの効果を目で見て確認できなくなるのではないかという疑問もある。

GV-N78TGHZ-3GD
メーカー&問い合わせ先:GIGA-BYTE TECHNOLOGY
実勢価格:8万3000〜9万円程度(※2014年9月13日現在)
画像集#031のサムネイル/「ROG Swift PG278Q」レビュー。解像度2560×1440ドットで垂直144Hz&G-SYNC対応のディスプレイはゲーマーへの福音となるか?
 というわけで,実際に試してみることとしたい。今回は,4Gamerのベンチマークレギュレーション15.2で採用している「Battlefield 4」(以下,BF4)のテスト用シークエンスを,240fps設定したEX-FH100で録画し,比較することにした。
 テストに用いるPCは,「GeForce GTX 780 Ti」搭載のGIGA-BYTE TECHNOLOGY製グラフィックスカード「GV-N78TGHZ-3GD」と,「Core i7-4770T」を組み合わせた64bit版Windows 7 Professional機だ。

 まずは(1)ゲーム側のフレームレートが120fpsに達していないケースからだが,今回用いたPCの場合,BF4のグラフィックス設定プリセットである「グラフィックのクオリティー」を「最高」に設定すると,フレームレートは60〜80fps程度にまとまり,120fpsにはまったく届かない。
 この状態でG-SYNCの有効時と,Vsync(垂直同期)有効時,そしてVsync無効時を比較したものが下のムービーである。


 G-SYNC有効時におけるフレームの動きは,垂直同期を有効にしたときの表示と似ており,実際,肉眼で見た限りだと,両者の間には「比べるとG-SYNC有効時のほうが気持ち滑らかかな?」という程度の違いしかない。
 ただ,上に示したビデオを使ってスロー再生で細かくチェックしていくと,垂直同期を有効化したとき,明らかに欠落しているフレームの存在を確認できた。人が飛び出してくるところのシーンに注目してみてほしい。
 一方,垂直同期を無効化すると,盛大なテアリングを確認できる。G-SYNC有効時,そして垂直同期有効時と比べて,見た目にも荒れた印象を受けた。

 では,(2)ゲームのフレームレートが120fps以上で安定するケースではどうだろうか。ここでは,「グラフィックのクオリティー」を「中」まで引き下げ,安定して120fps以上のフレームレートをキープできるようにしたうえで,先ほどと同じシーンを録画することにした。その結果が下のムービーだ。


 G-SYNC有効時とVsync有効時の結果は極めて近く,見た目にも違いはほとんどない。Vsync無効時にはわずかにテアリングが感じられるものの,ごくわずかといった印象で,それほどは気にならなかった。

 一般的に,最新世代のグラフィックスエンジンを用いたゲームタイトルをプレイするにあたってゲーム側のグラフィックス設定を高めにしている場合,120fps以上のフレームレートをキープできるようなケースはあまりない。その意味において,多くのユーザーにとって,垂直リフレッシュレート120Hz超級でのG-SYNCには有意な価値があるということになるだろう。
 このヌルヌル感を文章で説明するのは非常に難しいのだが,G-SYNCがハマったときの“異次元”感は相当である。グラフィックス設定を下げて120fps超級のフレームレートを実現しているときとは明らかに異質で,これは素直に素晴らしいといえる。

ULMBは垂直リフレッシュレート120Hz時のみ設定が可能。「ULMB Pulse Width」で黒挿入の時間(=パルス幅)を変えられるようになっている。標準は100で,値を下げるほど黒挿入の時間が長くなる
画像集#027のサムネイル/「ROG Swift PG278Q」レビュー。解像度2560×1440ドットで垂直144Hz&G-SYNC対応のディスプレイはゲーマーへの福音となるか?
 ちなみに,G-SYNC DIY KITのテストレポートで紹介した,G-SYNCのオマケ的な機能である,フレームに黒挿入を行って映像のシャープさを増そうという技術「Ultra Low Motion Blur」(以下,ULMB)は,PG278Qでもサポートされていた。

 ULMBをオンにすると1フレームおきに黒挿入がされるため画面が暗くなるが,その代わりにシャープさが向上する。ゲームにおいては,「確かにシャープになるが,ネイティブ120Hz超級表示のメリットが失われるため,積極的に選択する意義はあまり見出せない」といった感じである。
 下に示したムービーは,ULMBを有効にしつつGRID 2のベンチマークモードを実行し,それをEX-FH100の240fps設定で録画したものだ。1フレームおきに黒挿入されていることがはっきり分かるだろう。黒挿入により,見た目のシャープさは増すので,ヌルヌルさがそれほど必要ないタイトルでは,ひょっとするとULMBのほうがいいかもしれないが,基本的にはビデオ鑑賞用機能と見たほうがいいのではないか,とは思う。



25x14で垂直120Hz表示,G-SYNC対応という「唯一無二さ」が最大の魅力。あとはそれがハマるかどうか


画像集#029のサムネイル/「ROG Swift PG278Q」レビュー。解像度2560×1440ドットで垂直144Hz&G-SYNC対応のディスプレイはゲーマーへの福音となるか?
 以上,テストを行ってきた。「あれ,いつもの遅延検証は?」と思った読者もいると思うが,残念ながら,PG278Qの遅延を検証するのはなかなか難しい。
 先にも述べたとおり,PG278Qのビデオ入力はDisplayPortのみである。PCからのDisplayPort出力を分岐させる業務用スプリッタ製品は存在するが,今回のテストには手配が間に合わなかった。
 グラフィックスカードを使った検証も難しい。今回テストに用いたGV-N78TGHZ-3GDは,DisplayPort×1,Dual-Link DVI-D×1,Dual-Link DVI-I×1,HDMI×1いう外部出力構成なのだが,DisplayPort出力とDVI出力との間に遅延があるかどうかを(PG278QにはDVI入力がないため)検証できないからだ。

 そのため,あくまでも参考だと断ったうえで,ムービーも掲載せず書いておくと,4Gamerのディスプレイレビュー用リファレンス製品であるBenQの「XL2410T」とDVI接続,PG278QとはDisplayPort接続して,解像度1920×1080ドットのクローン表示を行って「RefreshRateMultitool」(Version 1.4)を実行し,それをEX-FH100の240fps設定で録画して比較したところ,120Hz表示時,60Hz表示時とも,PG278Qはきっちり1フレーム遅れていた。
 誤解のないよう繰り返しておくが,グラフィックスカード側でDVIとDisplayPortとで遅延が異なっている可能性はある。なので,この1フレームが「G-SYNC処理によるもの」だとは断言できない。ただ,筆者の経験上,グラフィックスカード側の出力インタフェースが変わっただけできっちり1フレームも遅延するというのはなかなか考えにくいのだが,G-SYNC回路を通ることによるペナルティが多少なりとも存在する可能性は指摘できるのではないかと考えている。

 ともあれ,PG278Qは,相当に尖った製品だとまとめることができるだろう。解像度2560×1440ドットで垂直リフレッシュレート144Hzに対応し,さらにG-SYNCをサポートするディスプレイというのは,2014年9月時点において,PG278Qをおいてほかにない。文句なしに唯一無二の存在だ。できる限り高解像度のヌルヌル液晶が欲しい人,できる限り高解像度のG-SYNC液晶が欲しい人にとって,PG278Qはベストの回答ということになる。

画像集#028のサムネイル/「ROG Swift PG278Q」レビュー。解像度2560×1440ドットで垂直144Hz&G-SYNC対応のディスプレイはゲーマーへの福音となるか?
 しかし,DisplayPort×1しかビデオ入力インタフェースを持たず,しかも実勢価格は9万500〜10万円程度(※2014年9月13日現在)というのが,かなり高いハードルであるのも,また確かだ。その意味でPG278Qは,明白かつ強力なメリットに大きな価値を見出せる人向けのアイテムといったところに落ち着くのではないかと思う。
 個人的には,どうしても少し割高な印象が否めなかった。もう少し価格が抑えられていれば,喜んで手を出すのだが……。

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ASUSのPG278Q製品情報ページ

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