2019年7月22日17:00,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)は,ゲーマー向けスマートフォン「
ROG Phone」の第2弾となる「
ROG Phone II」(アールオージーフォン ツー)を発表した。
ROG Phone IIは,前モデルの6インチよりもやや大きな6.59インチ有機ELパネルと,Qualcommの最新ハイエンドSoC(System
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Chip)となる「
Snapdragon 855 Plus」の採用でスペックを強化したのが特徴だ。
価格や発売時期は明らかになっていない。
ROG Phone II(右)と前モデルのROG Phone(左)を並べて
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メディアイベントの開催を宣言するASUSのJonney Shih(ジョニー・シー)会長
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なお,今回レポートする台湾で行われたメディア向け事前イベントにおける発表内容は,プレビューといった位置付けであるそうで,7月23日には中国・北京で中国語圏向けの製品発表を行い,世界市場における正式発表は2019年9月4日となるそうだ。日程的に,ドイツ・ベルリンでこの時期に行われる大規模見本市「IFA 2019」開催のタイミングに合わせるのだろう。発売日や価格などは,中国語圏向けは7月23日,グローバル向けは9月4日に明らかとなる。
ROG Phone IIの背面。基本的なデザインは,前機種を踏襲している
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ROG Phone IIのスペックは以下のとおり。前モデルと比べて大きく変わった部分は赤字で示した。ディスプレイやSoC,メインメモリなど,多くの要素をパワーアップしたことが見てとれる。
表 ROG Phone IIの主なスペック
メーカー |
ASUSTeK Computer |
OS |
Android 9.0(Pie)+ROG UI |
ディスプレイパネル |
6.59インチ有機EL,解像度1080×2160ドット,アスペクト比 9:19.5,最大リフレッシュレート120Hz,最大輝度 550cd/m2,HDR対応 |
プロセッサ |
Qualcomm製「Snapdragon 855 Plus」 ・CPUコア:Kryo 485(最大2.96GHz)×8 ・GPUコア:Adreno 640 ・モデム:Snapdragon X24 LTE |
メインメモリ容量 |
12GB |
ストレージ |
512GB(UFS 3.0対応) |
アウトカメラ |
2眼式,メイン:約4800万画素,サブ:約1300万画素 |
インカメラ |
約2400万画素 |
対応LTEバンド |
未公開 |
対応3Gバンド |
未公開 |
無線LAN対応 |
IEEE 802.11ad |
Bluetooth対応 |
5.0+LE |
待受時間 |
未公開 |
連続通話時間 |
未公開 |
バッテリー容量 |
6000mAh |
USBポート |
USB 3.0 Type-C×1,USB 2.0 Type-C×1 |
公称本体サイズ |
77.6(W)×170.99(D)×9.48(H)mm |
公称本体重量 |
約240g |
本体カラー |
ブラック |
ROG Phone IIのデザインコンセプト。Bezeled Designとは,額縁(ベゼル)はあるけれど幅はそれほどでもないという意味だそうだ
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ROG Phone IIは,有機ELパネルのサイズが6.59インチと前モデルより大きくなっているが,縦長になったので横幅はそれほど増えてはおらず,1.5mm大きくなっただけであるという。ASUSは,78mm以下の幅は,95%のユーザーにフィットすると主張していた。
アスペクト比は,9:19.5とより細長い比率となった。78mm以下のグリップであれば,95%のユーザーにフィットするという。
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画面の最大リフレッシュレートは120Hz,タッチのサンプリングレートは240Hzに向上した
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有機ELパネルの最大リフレッシュレートは,90Hzから120Hzへと高速化され,より滑らかに表示できるようになるという。入力側にも改良が加えられており,タッチパネルのサンプリングレートも240Hzとなって,より精密なタッチ操作が可能となる。
ちなみに,タッチパネルの入力遅延は49msとのことで,具体名は明らかにされなかったが,競合製品を上回るそうだ。
有機ELパネルは10bitカラー表示でHDRにも対応(左)。SDR映像をHDRにアップコンバートして表示する機能もある(右)
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搭載SoCのSnapdragon 855 Plusは,7月15日にQualcommから発表があったばかりのものだ。ベースとなる「
Snapdragon 855」に対して,CPU最大クロックが2.84GHzから2.96GHzに向上しており,GPU性能も15%アップしているという。
Snapdragon 855 Plusの概要
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Snapdragon 855 PlusにおけるCPUコアの動作イメージ。最高速で駆動可能なCPUコア1基だけが高速化されており,それ以外はSnapdragon 855と変わらない
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統合型GPUコアのAdreno 640も動作クロックが向上しており,最大675MHz駆動で約15%の性能向上を実現した
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メインメモリも,前モデルの8GBから12GBに容量が増えた。ストレージ容量は512GBと変わっていないのだが,SoCとの接続インタフェースに高速なストレージ用インタフェース規格「UFS 3.0」を採用したことで,データ転送速度の向上を実現したそうだ。
高速化したSoCに対応すべく,放熱機構にも改良が加えられている。本体内部の放熱機構には,一般的なヒートパイプではなく「3D Vapor Chamber」を採用。背面への排気構造や改良を加えた付属の外付け空冷ファンユニット「AeroActive Cooler II」と合わせて,3段階の放熱対策を導入している。
外付けクーラーと合わせて3段階の冷却構造を採用する
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本体側の冷却構造を示したスライド(左)。有機ELパネルとフレームの間に空気の入る部屋があり,背面に排気を行うという。右は,本体内の冷却に関連するパーツだ
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AeroActive Cooler IIを取り付けた状態の背面
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内蔵バッテリー容量も,前モデルの4000mAhから最大6000mAhと,大きく増えた(※発売地域によっては基準が異なるため,5800mAh表記になる場合もあるとのこと)。スマートフォンの内蔵バッテリーでは,最大級の容量と言っていい。
ROG Phone IIでは,充電機能に「ROG Hyper Charge」という名称を付けており,出力30Wの付属ACアダプターと一般的な3A対応USB充電ケーブルを用いて充電が可能だ。Qualcommの急速充電技術「QuickCharge 4.0」にも対応しており,バッテリーが空の状態から,1日に必要とASUSが想定している4000mAhまで,約58分で充電可能であるという。
QualcommのQuickCharge4.0に対応。3A対応ケーブルを利用して30W充電が行える
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急速充電は,0mAhから約58分で4000mAhまで充電できる
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前モデルの特徴でもあったタッチセンサー「AirTrigger」も改良されて,「AirTrigger II」になった。横持ち時(ランドスケープモード)の上側面左右端を仮想的なトリガーボタンにする機能だが,タッチ入力のレイテンシが約63msから約20msへと高速化されたそうだ。それに加えて,指先をセンサー部分置いたままでの操作や,指をスライドする操作にも対応する。
AirTrigger IIは上側面の左右端をトリガーボタンにする機能で,指のスライド操作も可能になったという
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内蔵スピーカーは,前モデルと同様にフロントステレオスピーカーを採用する。バーチャルサラウンドサウンド再生機能として,新たにDTSの「DTS X:Ultra」に対応したのもポイントであるという。
また,内蔵マイクを本体に4基も搭載しており,ボイスチャット用にノイズキャンセル機能を備えているそうだ。
横持ち時の左右にフロントステレオスピーカーを搭載(左)。DTS X:Ultraにも対応するという。ノイズキャンセル機能付きのマイクを4か所に搭載(左)。横持ち時を考慮して,側面にも付いている
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ゲーム向け動作モードのArmoury Crate
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ソフトウェア部分の見どころは,ASUS独自のゲームモードである「Armoury Crate」(旧称:Game Center)の強化にある。ゲームだけをまとめたランチャー機能のほか,端末の動作モードや,通知とバックグラウンドアプリの動作制限をアプリごとに設定し,プロファイルとして保存しておくことが可能だ。
CPUの動作クロックやタッチのレイテンシなどをゲームごとにカスタマイズできる(左)。プレイ中の通知やバックグラウンドアプリの動作も,ゲーム別に設定可能だ(右)
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ASUSによると,ROG Phone IIはローンチ時点で,Gameloftの「
アスファルト9:Legends」,MADFINGER Gamesの「
Shadowgun Legends」,そして国内未発表タイトルであるカプコンの「ROCKMAN X DiVE」とパートナーシップを結んでいるそうだ。ROG Phone IIユーザーは,これらのタイトルで専用の車や武器などを入手できるという。
ROG Phone IIユーザーは,カプコンが台湾でリリース予定の「ROCKMAN X DiVE」で特典武器をもらえるそうだ
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ROG Phone II本体に合体できる周辺機器も新型に
TwinView Dock IIの概要
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前モデルに引き続き,ROG Phone IIも多彩な周辺機器が魅力である。本体には,先述した外付けクーラーのAeroActive Cooler IIと,背面のカラーLEDを見せるデザインをした「
Aero Case」が付属。別売りオプションとしては,ROG Phone II本体をはめ込むと2画面ゲーム機のようになる「
TwinView Dock II」や,本体左右に合体させるゲームパッド「
ROG Kunai GamePad」(以下,Kunai)が登場するそうだ。
TwinView Dock IIを装着したROG Phone II。ドック自体のデザインもだいぶ変わった。上下それぞれの画面で別々のゲームを実行することも可能で,イン画面で処理の重いゲームを,サブ画面でソーシャルゲームといったプレイも可能であるという
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Kunaiは,専用ケースを使ってROG Phone IIの左右に取り付けるだけでなく,Kunai同梱のグリップに取り付けて,独立した外付けゲームパッドとしても利用できる。TwinView Dock IIと組み合わせることもできるので,すべてを合体させると,かなりごつい2画面ゲーム機になるわけだ。
TwinView Dock IIにKunaiを取り付けた状態。ASUS曰く「究極のポータブルゲーム機」とのこと
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閉じた状態の背面(左)。このまま持ち運び可能だ。右はKunaiをグリップに取り付けて単体のゲームパッドにした状態。Nintendo Switchにおける「Joy-Con」とグリップのようなものだ
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ROG Phone IIの周辺機器をまとめたスライド。PC用ディスプレイやUSB機器などをつなげる「Mobile Desktop Dock」と「Pro Dock」,IEEE 802.11ad対応の「WiGig Display Dock Plus」などが用意されるとのこと
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