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印刷2017/07/01 12:00

プレイレポート

冥王星までとんでけー! 初代「旋光の輪舞(センコロ)」の魅力を今こそ振り返ってみよう

 アクションシューティングと言われて連想するゲームもFPS/TPS系が主流となってきた気がする昨今にあって,“純粋なシューティングゲーム(以下,STG)”の血を色濃く保ちながら,対戦ゲームとして完成度を高めた作品が,2017年9月7日にキャラアニから発売されることとなった。そう,ファンが待ち望んだ「旋光の輪舞2」PS4 / PC)である。

 前作のリリース日から数えると,今回は約10年の期間が空いた。アーケードゲームの筐体「NESiCAxLive」では今もシリーズタイトルの提供が続けられているが,実際に触ってみた新規プレイヤーの数となると,同時に配信されている新作ゲームと比べればやはり少なくなるだろう。

 そんなわけで今回は,新作発表でシリーズの存在を知ったという人たちに向け,本シリーズの原点「旋光の輪舞(せんこうのろんど,通称センコロ)」について知ってもらおう! という主旨の特集記事を作成した。センコロがどのようなゲームなのか,当時はどのように見られていたのか,その一端を知ってもらえれば幸いだ。

本稿では,Xbox 360向けソフト「旋光の輪舞 Rev.X」のスクリーンショットを用いて紹介していく
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※注記:センコロにはアーケードの初期稼働バージョン「旋光の輪舞」,アップデートバージョン「旋光の輪舞 NEW Ver」,細部をブラッシュアップしたXbox 360版「旋光の輪舞 Rev.X」,Rev.Xの要素を盛り込んだアーケードの最終バージョン「旋光の輪舞 SP」が存在し,それぞれ仕様が異なる。本稿ではこのうち,「旋光の輪舞 Rev.X」および「旋光の輪舞 SP」に準拠して説明を進めていく


「旋光の輪舞」という名のジャンル


 まだ見ぬ栄光への野心を抱いて,あるいは過去の趨勢への回帰を願って,バリエーション豊かな新規STGタイトルがゲームセンターへと投入されていた2005年。そんな時勢に産声を上げたのが「旋光の輪舞」である。

 本作はグレフが送りだしたアーケード向けの弾幕対戦アクションシューティングゲームで,プレイヤーは自機を選択し,対戦相手と1対1で撃ち合い,相手のアーマーゲージ(耐久力)を0にして撃墜すれば勝利と,まさに対戦格闘スタイルのSTGを提唱した作品だ。

 センコロは当時の対戦ゲームとは一風異なり,3Dで描画された自機を,2Dのバトルエリアの中,トップビュー視点で操作する。画面を彩るド派手な飛び道具の応酬により,パッと見ではSTGそのままの弾幕の撃ちあい&避けあいに見えるが,プレイ感覚はSTGといえばSTG,アクションといえばアクションと,どちらに取っても正解かもしれない。

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 センコロはSTGチックな風体でありながら,対戦に主軸が置かれたことで,アーケードでは2台1セットで設置されていた。これにより,仮想敵が従来のSTGのようにステージやボスになることはなく(ラスボスは鬼のように強いけど),生きたプレイヤーとなり,ゲームを通してプレイヤー同士のコミュニティが生まれやすくなったのだ。

 ただ先に言っておくと,“センコロのようなゲームジャンル”はこれまでにも結構あった。一例を挙げると,タイトーの「サイキックフォース」,サミーの「チェンジエアブレード」,ADKの「ティンクルスタースプライツ」などは内容は異なれど,先の時代に生まれた対戦(アクション)STGといえる。

 センコロは同ジャンルの先駆けというわけではない。だが,本シリーズのゲームデザインのオリジナリティは随一で,上記の作品群との類似性もジャンルやルールなどの大枠くらいだ。実際,センコロをリスペクトした作品というのも世に出回っている(※いろんな意味でいろいろあったが)。

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 また一方で,センコロはキャラクターコンテンツという側面が強く,漫画家・曽我部修司氏と,イラストレーター・高山瑞季氏によって描かれたビジュアルや,未来宇宙を舞台としたストーリーも魅力の1つに数えられる。

 物語に登場するキャラクター達は,アーリア連邦軍のランダー部隊「トリプルエス(S.S.S)」や民間警察「ゴディヴァ保安機構(G.S.O)」をはじめ,「脱走者」「人工人間」「暗躍する者」など,いずれもさまざまな勢力・立場に属している。登場人物たちは物語に隠された大きな思惑の中で絡み合い,各々の結末へと向かっていくのだ。

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 本作はアーケードゲームのため,ストーリーの真相にたどり着くには,2ラウンド先取制のCPU戦をクリアする必要がある。だが,残念ながらアーケードモードのシナリオだけでは情報量が足らず,登場人物たちの軽い相関関係と,大きな出来事くらいしか理解できない。正直なところ,本モードだけで物語を読み解くのは困難であった。

 しかし,初の家庭用移植となったXbox 360版では,物語に焦点を置いた「ストーリーモード」が追加され,幕間のエピソードの導入や,戦闘中に起きるキャラクター同士の会話が増量されたことで,事の顛末をより深く楽しめるようになった。筆者はここにきてようやく「センコロってこういう話だったのか!」と理解できた類だ。

 ストーリーモードの体裁は,オリジナルのアーケードモードとほぼ同じなため新鮮味には欠けるが,それでも「旋光の輪舞2」に向けた前作の予習や,キャラクター&ストーリーへの興味が強いという人には,今さらながらこのXbox 360版がイチオシといえる。まあ現状,Xbox 360ともなるとハード/ソフト的に手に入りづらい環境となっているが(Xbox One後方互換機能にも非対応)。

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対戦はAボタンに始まり,Aボタンに終わる


 センコロでは,計8名のプレイヤーキャラクター(操縦者+搭乗機体で1セット)から1人を選んだ後,特性の異なる「Aカートリッジ」「Bカートリッジ」を搭載したいずれかのランダーを選択し,対戦に臨む。

 8名が搭乗する機体はビジュアルや性能がそれぞれ差別化されていて,誰を選ぶかで戦い方もガラリと変化する。また,A・Bのカートリッジの選択によっても「Aは通常技が強く,Bは弾幕技が強い」など,戦法が大きく変わってくる。対戦においては,8キャラクター×2=計16キャラクターと見るほうが賢明だ。

 ちなみに,パイロット/ランダーにはカラーリングが複数存在するが,パイロットに関してはカワイイ,カッコいい,キレイ系など,キャラクターイラストのファッションや雰囲気が七変化する。なので,キャラ推しな選び方であっても,それはそれで真理といえよう。

ミカ・ミクリの場合(一部)。イラストはバージョンアップで追加されたり,Xbox 360版ではDLCの配信もされたりしていた
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 対戦ではレバーを操作し,円形のエリアのなかで,キャラクターの搭乗機体「ランダー」を360度方向に移動させて戦っていく。

 以下はアーケード版のボタン名称での説明となるが,基本は3ボタン(+α)。バトルではアクションボタン(Aボタン)でダッシュ&バリアを使い分け,マシンガンやライフルを撃ち出すメインウェポン(Mボタン)や,ミサイルやホーミングレーザーなどのサブウェポン(Sボタン)を発射したり,接近時にはM or Sで近接格闘を繰り出せる。

 相手に攻撃を当ててチャージゲージを蓄えれば,M+S同時押し,もしくは専用のCボタンで「弾幕技」が発動可能だ。レバー入力との組み合わせで,キャラ固有の複数の技が使い分けられる。そのほか,周囲の敵弾消去+無敵付与の緊急回避「アンチフィールド」,アーマーゲージを減らして自己強化する「オーバードライブ(OD)」,そして本作の象徴ともいえる「B.O.S.Sモード」が存在する。

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 対戦の基本は,とにもかくにもダッシュを多用する高速機動戦術――これが“全機体の基本・応用のキモ”である。直線的なダッシュばかりでは相手に気取られやすく,終了モーションの硬直も急所となりうるので,急激な方向転換を可能とする「クイックターン」,ダッシュを隙なく終える「急停止」,敵弾を低ダメージで受け止める「シールド」を駆使し,メリハリをつけて動くことが大切だ。

 しかし,この基本は奥が深く,それでいて操作量が並ではない。なにもしていない時間を作らないよう,弾を撃っては避け,避けては撃ってを繰り返す。レバーとAボタンをひたすら小刻みに酷使しつつ,ほかの攻撃アクションを並行して行う。避けとシールドの使い分けや,ダダキャンや八橋(※)と呼ばれるテクニックを狙ってできるようにするのも難しい。

※ダダキャンは“ダッシュ攻撃キャンセル急停止”の通称。ダッシュの持続時間内にダッシュ攻撃を終了させて急停止することで,移動と攻撃の両面を支えられるテクニック。八橋は“クイックターンショット”の通称。ダッシュ方向転換と射撃を同時に行うことで,方向転換前の方向に射撃しながら,任意の向きへ方向転換できるテクニック。

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 そして,対戦中の節目に待ち受けるのがセンコロ名物「B.O.S.S(Booster of Over-armed Shell System)モード」の応酬だ。各プレイヤーは特殊アイコン「B.O.S.Sストック」と,その時点で保有しているチャージゲージの両方を消費すると,外装支援兵器「シェル」と合体し,さながら“STGのステージボスのような姿”で相手の前に立ち塞がることができる。

 シェルの形状は機体ごとにさまざまだが,超巨大である点は共通している。攻撃方法も多彩で,画面全体に弾幕をばら撒くもの,絨毯爆撃をするもの,極太レーザーを放つものなど,いずれも恐ろしい。自動で弾を周囲にまき散らし,強烈なアクションで相手を釘付けにし,追い詰めるように移動する。まさにボスになりきるショータイムだ。

 原則ルールとして,片方がB.O.S.Sを発動している間は,もう片方はB.O.S.Sを発動できない。同時にB.O.S.Sになれないことから“発動する or させる”の駆け引きが生まれている。B.O.S.Sのアーマーゲージはチャージゲージの保有量により1〜5段階で決まり,多いほど頑丈という仕組みだ。アーマーゲージは弱点攻撃でのみ減少し,0になると強制終了を迎え,元のランダー形態へと戻る。

 また,B.O.S.Sには制限時間が存在し,一定時間経過でも強制終了となってしまうが,その際【ボスの残りアーマーゲージ>(B.O.S.Sモード前の)ランダーのアーマーゲージ】で終えられると,その差分だけランダーのアーマーゲージを回復させられる。回復用途の運用も一手ということだ。なお,いずれのパターンであっても,B.O.S.S終了時にはチャージゲージがスッカラカンになる。

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 「チャージゲージがたっぷりあるから,長時間ボスになって相手を苦しめる!」。こう考えて発動するのは常道だ。ただ“ここが怖いよセンコロ”の1つとして,B.O.S.SモードはSTGスタイルが色濃いことを忘れてはいけない。そう,常人は避けようとも思わない弾幕も,知識とパターンを叩き込んだシューターの手にかかれば,それらはスルスルっと避けられ,器用にも安地からの反撃を叩き込まれてしまう。

 相手が潤沢にゲージを吐きだし,弾幕技の連発でこちらのシェルをズタボロにしてきたら,せっかくのボスも一転守勢に回るハメになる。ボスの部位を破壊され,ボーナスでゲージをモリモリと溜められてしまうと,さながら悪夢だ。こちらがランダーへと戻った瞬間,準備万全の相手にボスで仕返しされようものなら,窮地に陥るのは必然である。

 誤解を恐れず言うのであれば,通常のB.O.S.Sモードで大逆転するのは難しい。これが通用するのは対策を練っていない初級者までだ。人によってはボス自体がまったくといって通用しない。だからハイランダーは怖いのだ(※優れたパイロットを指すゲーム内用語,ここではプレイヤーの意)。

 しかし,そんなハイランダーたちにしっぺ返しを食らわす一手として,センコロにはさらなる奥の手が存在する――。

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 対戦中,ランダーのアーマーゲージが0になると「Vanish」という状態になる。センコロでは,この状態の相手に大小なにか一撃を与えることでラウンドが決着する,いわば“トドメのラストショットを決めなければいけないルール”が採用されている。

※Vanishになると強制的に無敵のダウン状態へと移り,以降は当たり判定が大幅に縮小される(弾幕STGの自機並)。いかにアーマーゲージの残量を上回る攻撃を放とうとも,相手が起き上がるまでの1クッションを置かねば,決着はつけられない。そして,ダウン状態でもB.O.S.Sモードは使用可能なので,Vanish直後や前後にB.O.S.Sを使う or 使われるのがよくある光景だ

 そしてこのVanish時にB.O.S.Sモードを発動すると,危機感を煽ってくるWARNINGな警報,使用キャラクターのカットイン,最終決戦を告げるイカした決め台詞とともに,「FINAL B.O.S.Sモード」へと移行する。見た目は変わらずとも,性能強化+最終奥義をひっさげた強化版シェルのお目見えだ。

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 使われた側は,より恐ろしくなったボスの異形に震えながら,ダウン状態を使ってコソコソと時間を稼ぎ,要所を無敵技でやり過ごし,絶体絶命をアンチフィールドで切り抜け,相手のシェルが帰ってくれることを祈り,待つ。これをやり過ごすことができたなら,あとはすべてのリソースを持たざる者となった瀕死の相手にトドメの一撃を叩きつけるだけだ。まあ,生き延びられればの話だが。

 FINAL B.O.S.Sは個体差はあれど,対応を知らない相手に「知らないなら死ね!」を強要できる,一線を越えた戦闘力を備えている。格上のプレイヤーに正攻法で勝つには,「ボスとか出さなくてもいけるし……」といったデキる風の態度をチラつかせるのではなく,ゲージ管理をしたうえですぐさま発動するのが賢明だ。互いが同時にVanishになったときなどは,発動の早押しで勝負が決まるといってもいい。

 ただし,事ここに至っても,最後の一撃をテクニックだけで全力回避しきれるプレイヤーというのも,時にはいる。当たらなければ何とやらの実践なのか,FINAL B.O.S.Sをどうにかやり過ごし,Vanish状態の相手に,調子に乗って死体蹴り気分でボスを発動したら,パーフェクト対応を決められて逆転負け……ということも起きる。純粋なSTGの技術とは異なるものの,弾避けの技術の差は顕著に表れる。

 相反したことを語っていると思うかもしれないが,奴ら(ハイランダー)はマジでこうなのだ。どの対戦ゲームにも言えることだが,上手な人はゲーム的なゲージ差を,テクニックだけで埋めてくる。ちなみに,FINAL B.O.S.Sのアーマーゲージを削りきれると,通常のB.O.S.Sモードとは違い,倒した時点でラウンド決着がつく。


やめろ。Aチャンポ1択やめろ


 ここから各キャラクターについて振り返っていくが,先に申告しておくと,筆者はアーケードではズタボロの落ち武者,家庭用版ではハイランダー(Xbox 360版のプレイヤーランク上位)にギリギリなれた程度の腕前なので,攻略に関してはあまり期待しないでほしい。むしろ体験談混じりに書いていたら,ものの見事にトラウマの羅列ばかりになった。経験者には以降の記述で腕前を察してほしい。

 プレイヤーキャラクターのうち,「ペク・チャンポ」「ミカ・ミクリ」「ファビアン・ザ・ファストマン」はオフェンシブ,「ツィーラン」「三条櫻子」はディフェンシブ,「リリ・レヴィナス」「ペルナ」はテクニカルなキャラに該当し,「カレル・ヴェルフェル」は初心者向きでもあり,上級者向けでもありなタイプといえる。

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チャンポのランダー:「シトロネット」
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ミカのランダー:「ヴェントゥーノII」
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ファビアンのランダー:「グラフライド」
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ツィーランのランダー:「オランジェット」
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櫻子のランダー:「トライアド」
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リリのランダー:「ブリンスタ」
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ペルナのランダー:「カストラート」
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カレルのランダー:「アズレウス」

 中でも,腕の差がハッキリしているうまい人にツィーラン,櫻子を使われると,相手への攻撃がまったく通らず,こちらのアーマーゲージだけがチクチクと削られていく――そんな真綿で首を絞められるかのような,どうしようもない詰み体験が味わえる。

 この2人のサブウェポンは固有の防御能力を活かすことで,ほとんどの敵弾を防ぐことができるため,鉄壁の防御パターンを構築したプレイヤーに出会ってしまうと,その装甲にキズ1つ付けられなくなるわけだ。あらかじめ打開策を考えていないプレイヤーはその後,相手の操作事故を願うしかなくなる。

 本作における最も分かりやすい悪夢の事例だと思う。

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 カレルを使っている人は,そのセンスが恐ろしい。彼のメインウェポンは高威力&高弾速の単発狙撃ライフルとなるが,この武器は連射性に乏しく,また距離を離して左右に動かれるだけで着弾率がガクンと下がる……はずなのだ。スペック上は。

 それなのに,左右への移動を予測してくる緻密な偏差射撃,一瞬の硬直も見逃さずに撃ちこんでくる瞬発力と,カレル使いは自身を鍛えすぎている。弾幕技の性能もうまい具合にかみ合っているものだから,堪ったものではない。このキャラは,シューターはシューターでも,FPS/TPSのセンスを体現できるタイプである。

 補足として,シェルの名前がちょーオシャレ。

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 B.O.S.Sの尖りっぷりでいえば,ミカを忘れてはいけない。どこかで見覚えがあるような,スタイリッシュな宇宙戦艦型の彼のシェル「ラストアービター」は,挙動が素直で装甲も柔らかく,実直すぎるその性能はまるで,初心者でもボム連打で安心して越せるSTGのステージ1に出てくるボスのようであった。一言でいうと,めっちゃ弱い。

 悪あがきで出そうものなら,さあ大変。画面上下へと怯えるように逃げつつ,早く終わって! と祈ってしまうほどである。使った側が。奥の手の奇襲技も備えているが基本的には封印安定なので,攻めに見せかけて最初から回復用として意表を突くか,ランダーの「ヴェントゥーノII(通称,弁当)」だけで堅実かつ的確に攻めることがベストなキャラだ。

 筆者はミカ使いです。

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 リリはトリッキーなキャラクターで,メインウェポンの癖が強く,耐久力も低い。特殊なワープ技を持っているものの,痒いところに手が届かない。強キャラになりきれないテクニカル系ならではの葛藤を抱える幸薄の美少女であるが,彼女のランダーが“画面上下”に陣取ったときは,嗜虐の限りを尽くす地獄の悪鬼と化す。

 自機を停止しながら弾丸を高速で撃ち続ける弾幕技「運命の輪舞」は,“横画面ならまだ避けられるが,縦画面なら無理ゲー”という,4:3の画面比率に乗じた性能変化を巻き起こす。縦方向と横方向では,弾速の体感速度が段違いなのだ。眼球運動の弱点を突いた攻撃といってもいい。そのため,画面上下から運命の輪舞をねじ込むパターンを確立されてしまうと,筆者程度の腕前ではほぼ確実にダメージをもっていかれる。鬼,悪魔,リリとはこのことだ。

 ちなみに彼女のランダー「ブリンスタ」は,とっても可愛い。

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 続いてのペルナは正直なところ,真っ当な戦術を有しているレベルのプレイヤーとはあまり戦ったことがない。高火力+低機動+レーザー主体のランダー「カストラート」は,外見は脳筋っぽいのに,かなり頭を使う性能のようであった。なんかこう,ドビューンとか,バビューンとか,ペルナちゃんのお通りでーすとか,そういう感じの子だ。

 さらにファビアンも申し訳ないことに印象が薄い。彼はスタンダードな性能でありつつ,特殊な軌道のサブウェポンと弾幕,奇襲に強い突撃など,高水準な技が揃っているため,対戦環境においては普通に戦っているのが強い,正攻法な戦術が強い,みたいな覚えしかない。彼に関してはむしろ,成長した姿が見られる続編のストーリーほうが印象に残っている。

 ごめんね,ペルナとファビアン。

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 そして,これらの個性的なキャラクターたちの中でもひときわ輝く大人気キャラといえば,センコロの顔役にして,初心者から上級者までみんな大好き,G.S.Oの切れたナイフこと,王道を往く主人公兼ヒロイン「ペク・チャンポ」である。

 彼女の名は漢字にすると“白菖蒲”と,清楚で可憐な花の名になる。サイドポニーの元気娘,天才だけど不良,サバサバしていてお洒落好き,家族思いの姉御肌,CV.野中 藍さんといった属性の数々はもとより,AC版ではキャラクター選択画面の初期位置にいたことで,このゲームのキャラクター選択率ではおそらく断トツでトップを誇っていただろう。

 彼女の愛機“シトロネット”は,オーソドックスな射撃性能,相手を追尾するホーミングレーザー,無敵付きの弾幕技を持つ,扱いやすい万能型だ。相手を狙わずとも攻撃が当たり,かつ攻撃を狙うことの大切さも教えてくれる。直観的な操作で戦えるので初心者には安心,武装が高水準にまとめられているので上級者にも嬉しい,そんな良機体である。

 つまり,彼女はあらゆるファクターに恵まれ,愛されすぎてしまっていた。

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 結論からいうと,チャンポは強かった。あまりに強く,そして強すぎた。熟練者がしのぎを削り合う激戦区でもないかぎり,町中のゲーセンや家庭用版の初中級者帯では,ほかのキャラに1回出会う確率と,チャンポに10回出会う確率は等しかった。まあ,言いすぎなのだが,そう言いたくなる程度には,誰も彼もがチャンポチャンポチャンポであった。

 スタンダードな直線火力とバリア射撃のばらまきで使い勝手を自己アピールしてくるシミターガン。図々しさMAXの無敵ひき逃げを敢行してくる恐怖のスイートロール。用途ごとに打ち分けられるWAY弾のチョコトッピング,ビタースイング,ストラップミサイル。そして何よりの決め手となったのがサブウェポン「ホーミングレーザー」の存在だ

 ホーミングレーザーはその名のとおり,誘導系の射撃武装だが,「撃ってりゃ当たる」「避けられたらそこを潰す」の押し付け2択が,ほかの機体よりも突出していた。ダッシュで避けることや,弾幕技やシールドでさばくこと自体は容易だが,対応するためのリソースもそうだし,基本的に防御・回避を強要させられるので,攻防のアドバンテージが揺るがない。

 ホーミングレーザーはシトロネットの背面から射出されるが,攻撃の出がそこそこ早く,動きながら撃つことも可能。それでいて射撃ゲージの回転率も悪くない。弾幕を撒き,ホーミングレーザーを出し,シミターガンで刈る。ほかのキャラと比べて簡単な操作で鉄板の攻めパターンを構築できる点,つまり“圧倒的な使いやすさ”が対戦環境における強みを支えていた。

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 さらに,彼女のシェル「カブスカート」はFINAL B.O.S.Sモードがえげつない。えげつないといっても,FINAL B.O.S.Sに関してはどのキャラクターも非常に強い。だが,チャンポがこのカブスカートまで持っていることに,撃たれて爆散するミサイルと,やわらかラストアービターを持たされたミカ使いのヘイトがピークに達するのだ(※あくまで個人的な恨みです)。

 「冥王星までとんでけー! 来いッ! カブスカート!」

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 本シリーズにおいて最も有名であろう,おまえを太陽系外縁天体くらい遠くまでぶっ飛ばしてやるよという意味合いの決め台詞とともに呼ばれて飛び出るこのシェルは,純白な天使の羽,あるいは醜悪な悪魔の腕とでも形容すべきか,シトロネットを中心に据えた巨大な外装ユニットの形状をしている。

 カブスカートはエリア内の上下左右のうち,どこに陣取るかで脅威度が変わってくるが,リリの戦法と同じく上下がヤバい。通常のカブスカートから放たれる弾幕は,苛烈すぎず,濃密すぎず,意外と普通であるが,FINAL B.O.S.S時は避けようもない弾幕が襲いかかる。上手なチャンポ使いは機体を左右に揺らし,自動弾の規則性を殺しつつ,弾幕を浴びせながら,当然の権利のようにボス版ホーミングレーザーを撃ってくる。はい,死んだ。

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 また,FINAL B.O.S.S版のカブスカートは必殺技「移動攻撃」が解禁される。その攻撃モーションは“画面の上下左右,いずれかに向かって移動しながら,スカートをぶん回して攻撃をする”というものだが,これがまた本作きっての分からん殺しで,移動すると同時に,画面の約3分の1の面積が高威力のスカートによって薙ぎ払われてしまう。

 とはいっても,あくまで分からん殺し以上の性能ではなく,動き出しの起点がどこなのか,スカートは右回りか左回りか,これらの移動パターンを知っておけば対処は容易だ。発生までのモーションもそれほど軽くはないので,相手を見ずに乱用していては,弱点を狙い撃ちにされるだけである。まあ,それでも奇襲用途としては一級品なのだけど。

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 非常識なほど強いわけではないが,明らかに強い。それが筆者にとってのペク・チャンポであった(※彼女の全盛期である初期Ver.は除く)。店舗によっては「チャンポ出禁」と言われるほど,突出した強みが明るみになっていたらしいが,個人的にはツィーラン&櫻子に受けた古傷のほうが痛む。

 なので,あとは各々が体験したチャンポとの対戦経験を存分に思い出しつつ,友人と喧々諤々やってほしい。「だからってBチャンポやめろ!」とか。


今度こそランダーの高みを目指して


 好き放題に言ってきたが,チャンポは風当たりが強かったものの,キャラクター自体のヘイトはそれほど高くなかったと思われる。どちらかというと,彼女は愛されキャラなのだ。可愛いし。それに強さの反面,初心者でも扱いやすく,それっぽく戦えるというのは,それはそれで重要なキャラといえる。アップデートで何度も何度も何度も調整されて,最終的にはマイルドになったことだし,まあ,なんていうか,良かったよね。

 なお,新作に向けた注意点を1つ。「旋光の輪舞2」のベースは,今回紹介した「旋光の輪舞」ではなく,第2作め「旋光の輪舞 Dis-United Order(旋光の輪舞 DUO)」となる。センコロDUOからは物語の進行に伴うキャラクターの一新,挙動の調整や新機能「パートナーシステム」の導入によって,バトル面の内容・仕様が大幅に変わっている。

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 センコロDUOではチャンポの性能も大分落ち着いた。初見時のアサルトテイルは許さないが。それに新作ということで,DUOからのさらなる調整も加えられていることだろう。つまり今回紹介した戦術などは,言ってしまえば,「旋光の輪舞2」をプレイするうえではまったくもって役に立たない。純粋に“初代センコロってこうだった!”ことだけを知ってもらえれば幸いである。

DUOからは,シトロネットもカブスカートも武装やビジュアルが変化している
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 なお,先日発表された「旋光の輪舞2」のキャラクター情報第3弾にて,“ペルナ”“三条櫻子”のプレイアブル参戦が決定した。シリーズ続投のチャンポ,ミカ,ファビアン,ツィーラン,そして発売決定記念イベントで発表されたリリとカレルのDLC参戦を合わせると,これで初代のキャラクターが全員揃うことになった。

 また,7月以降には大阪,愛知,東京の該当店舗にて体験会が実施される予定だ。気になる人はこちらも公式サイトでチェックし,会場に足を運んでみよう。

「旋光の輪舞2」バージョンのペルナ&櫻子
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 さて,ここまで「旋光の輪舞」を振り返ってきたが,「まあこんなとこだろうな」と言いたくなるような解説もあったことだろう。でも,このご時世なので,ハイランダーの方々にあっては,センコロの話題と再会したこの縁だけで満足してくれると助かる。そしてシリーズ最新作「旋光の輪舞2」に向けて英気を養いつつ,新世代のゲーマーたちにバシバシ広めてほしい。


「旋光の輪舞2」公式サイト

  • 関連タイトル:

    旋光の輪舞 Rev.X

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    旋光の輪舞2

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    旋光の輪舞2

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