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ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」
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印刷2009/03/05 17:17

連載

ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」


画像集#001のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」
 前回は,「ストリートファイター」の映画としては2本目で,チュンリーを主人公に据えた「ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー」を取り上げた。そこでも軽く1本目の映画については触れたが,せっかくだから今回はもう少し踏み込んでみることにしよう。

 映画「ストリートファイター」は,ジャン=クロード・ヴァン・ダム扮するガイル大佐(ゲームでは少佐)が主人公だ。
 東南アジアの国「シャドルー」で内戦が勃発し,国際連合軍に自国の首都を占拠されたことに対する腹いせに,独裁者バイソン将軍(日本ではベガとしておなじみだが,海外では名前が変更されている)は,救助部隊のボランティア達を人質にする。
 そこで連合軍のガイル大佐率いる部隊は,極秘の人質奪還ミッションを計画し,実行に移すのである。

画像集#002のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」 画像集#003のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」 画像集#004のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」

 ……と,せっかくカプコンの世界的大ヒットコンテンツを映画化したのに,ゲームのファンが喜べるような要素がほとんどない。これは一体,なぜなのだろうか。ひょっとしたら,もともと脚本家で監督経験のなかったスティーヴン・E・デ・スーザがシナリオだけでなく,どういうわけだか監督まで担当してしまったのが敗因だったのかもしれない。
 そういえば,1993年に公開されて賛否が分かれた(どちらかというと否寄りか)映画「スーパーマリオ」も,アナベル・ジャンケルとロッキー・モートンという,監督としてのキャリアが未知数だった二人を起用していた。
 かつて,Lucasfilmが開発したゲーム「Maniac Mansion」は,テレビシリーズ化されたが,もともと実写映像化するにあたって登場人物や設定をいじる必要がないような作品だったため,とくに破綻はなかった。
 しかし,非現実的なキャラクターが登場するゲームを実写映画化するのは非常に難しく,作り手の技量が問われるものである。にも関わらず新人監督に任せた結果が……。

画像集#005のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」
画像集#006のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」

 話を元に戻そう。ストリートファイターが実写映画化されることを最初に聞いたとき,筆者はかなりの衝撃を受けた。なんせ主人公が,リュウでもケンでもなく,ガイルなのだから。
 映画が作られるのがハリウッドである以上,アメリカ人であり軍人でもあるガイルをメインにするのは,マーケットを意識した正しい選択だとは思う。
 が,日本で生まれたコンテンツのメインキャラクターであるリュウとケンは,映画の中では腕っ節の良いチンピラあがりのような小さな役にされており,劇場で目の当たりにしたときには絶句してしまったものだ。

画像集#007のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」
 なお,バイソン将軍を演じた名優ラウル・ジュリア(映画「アダムス・ファミリー」のゴメス役で人気に)にとって,本作が遺作となった。
 なんでもお子さんがゲーム版ストリートファイターの大ファンだったために,この作品への出演を決めたらしいのだが,映画が全米公開される直前に脳卒中で亡くなった。その時点で,ガンも患っていたらしいのだが,ひょっとしたら故 松田優作と同じような“役者バカ”っぷりを発揮していたのかもしれない。この作品が遺作で良かったのか悪かったのかは,なんとも判断しにくいことではある。

 余談だが,ラウル・ジュリアのことを考えていると,同じくカプコンの「クロックタワー3」でイベントCGムービーのパートを,すべて深作欣二監督が演出したことを思い出す。
 深作監督は,映画「バトル・ロワイアルII 鎮魂歌」を監督するつもりだったのだが,わずか1シーンを撮影したのちに入院し,ガンによって亡くなってしまった。その後,息子の深作健太監督が残りの全シーンを演出して映画は完成。
 東映側は,バトル・ロワイヤルIIこそが深作欣二監督の遺作であるとしたがっていたが,筆者的には最初から最後まで関わったという意味において,クロックタワー3こそが遺作だと思っている。ゲームの内容やムービー演出に賛否はあるが……。

画像集#008のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」

 再び話をストリートファイターに戻そう。
 いま振り返ってみると,ラウル・ジュリア以外にも,脇を固めるキャストもなかなか豪華だった。
 例えば,完璧なまでのコスプレを披露したザンギエフ役のアンドリュー・ブリニアースキーは,その後「テキサス・チェーンソー」で殺人鬼レザーフェイス役を演じたり,マイケル・ベイ監督に「パールハーバー」で気に入られたのをきっかけにチャンスが舞い込んだりと,現在でも活躍中だ。
 また,キャミィ役はミュージシャンのカイリー・ミノーグが,これまた素晴らしいコスプレで体当たり演技を披露。さらに,映画オリジナルの日本人キャラクター,キャプテン・サワダを演じた澤田謙也(現 澤田拳也)は,その後「デッドヒート」でジャッキー・チェンと戦ったり,「武勇伝」でキックボクサーの魔裟斗と共演したり,さらには残酷描写が原因で中国では上映が見送られている「新宿事件」でジャッキー・チェンと再共演したりと,着実にキャリアを積み重ねている。

画像集#010のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」
画像集#009のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」

画像集#011のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」
 ちなみに,本作の格闘シーンやスタントコーディネートは,「スパルタンX」や「サイクロンZ」でジャッキー・チェンと共演した“怪鳥”ことベニー・ユキーデ(キックボクサー&空手家で,マーシャルアーツを全米に普及させた立役者。1991年に選手としては引退し,現在は俳優業を中心に活躍中)が担当している。なお,ベニーは裏方としてだけでなく,本編にも少しだけ登場しているのだ。
 ただ,本作は銃器によるドンパチ戦がメインになってしまっているのだが……。ストリートファイターなのに。

 ところでハリウッド関係者筋から,この映画にもジャッキー・チェンの出演が内定していたという話も出ている。信憑性は定かではないが,ひょっとしたらジャッキー・チェンが「シティーハンター」でチュンリーなどのコスプレを披露したのは,過去にこういった接点があったからなのかもしれない。
 当時は「レッドブロンクス」で全米一位を獲得する前だったため,ハリウッドのプロデューサー陣からは“無名のアジア系アクション俳優”ぐらいのイメージしかなかった可能性もあるが,実際にストリートファイターに出演していたら,もっとこの作品の価値も上がっていたのではないだろうか。
 また,ベニー・ユキーデを映画スタジオ側へ推薦したのは,この映画にキャスティングされたジャッキー・チェンだったとの説もあるが,確証はない。

 さて,そんなベニー・ユキーデは,ストリートファイターの裏で別の大がかりな仕事を,Capcom USAと行っていた。それについては,次回お届けしよう。

画像集#012のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」

■ドブ漬けゲームスープレックス(34)

Xbox 360 / PLAYSTATION 3
「FIFA 09 ワールドクラスサッカー」(エレクトロニック・アーツ)

 前回はストリートサッカーゲーム「FIFA ストリート3」をプレイ
したので,今度はきちんとしたサッカーゲームをやってみることに。

 筆者のサッカーゲーム歴は,エポック社の「Jリーグ エキサイトステージ」シリーズとKONAMIの「ウイニングイレブン」シリーズがメイン。エレクトロニック・アーツの「FIFA」シリーズも気にはなっていたのだが,これまでプレイする機会がなかったため,今回が初プレイ。

 ウイイレシリーズと比較されがちだが,こちらのほうがより能動的にフィールドの選手を動かせるように感じた。とくに,右スティックを駆使してコマンド入力する細かい足さばきなどは,格闘ゲームのよう。このあたりにハードルを感じてしまう人もいるのだろうが,個人的にはプレイするつど,さまざまな足さばきを覚えていけるのが楽しい。

 で,いろいろ覚えてくると,誰かに見せたくなってくるもの。まだ一人用でもトレーニングしか終えてないのに,Xbox LIVEへ接続。週末だったこともあってか,前回と異なりプレイヤーが大勢いた!
 本作のオンラインマルチプレイでは,最大20人が同時に参加して,フィールドの選手を一人ひとりのプレイヤーが操作できる。だが,筆者以外の19人はどう見ても実力者ばかり。そこであからさまなまでに見劣りする筆者のプレイっぷり。それが足を引っ張ったのか,筆者のチームが見事敗北。もちろん,ドリブルテクニックを披露することもできずに終わったとさ。
 やっぱり,試合も練習しておかないとダメだったわ……。

画像集#013のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」
画像集#014のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第34回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(2)」

「FIFA 09 ワールドクラスサッカー」公式サイト



■■ジャンクハンター吉田(シネマゲーム研究家)■■
ウーヴェ・ボル監督がゴールデンラズベリー賞で最低監督賞と共に最低生涯功績賞を獲得したことが嬉しくてたまらない様子の吉田氏。「もうね,本人だけじゃなくて周囲も最低なところに巻き込んでるからね。俳優,脚本家,撮影監督含むカメラマンが,ワースト・スクリーン・カップル賞まで受賞してるし。キングボンビーみたいで,凄くゲーム的なんだなぁ」と大喜びの吉田氏は,いつかウーヴェ・ボル監督と直接対決したいとか……。リング上で?
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