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[GDC 2009#21]「バイオハザード5」を彩るインゲームムービー制作。技術がどんなに進んでも“最後の10%は手作業”
平林氏はまず,日米共同で作業することの難しさを話題にした。バイオハザード5のインゲームムービーが,ハリウッドのクリエイターとのコラボレーションで作られたのは有名な話だが,その裏では当然のように言葉や文化,習慣の違いというものに直面したという。
ちなみに,ムービー制作にはカプコンのインハウスのチームと,日本の社外チーム,そしてロサンゼルスのチームが関わっているが,比率で見ると写真のように,ほとんどがロサンゼルスで制作されていることが分かる。なお,余計なお世話かもしれないが,写真にある“MoCap”とは,モーションキャプチャーのことだ。
こうした日米の共同作業を円滑に行うため,平林氏は「Middleman」(ミドルマン)という役職を新たに設けた。単数形だが実は一人というわけではなく,双方の間に立ってさまざまな折衝や交渉を行うチームの名称だ。アメリカ側のスケジュールが遅れ,アニメーターの増員が必要になった際,ミドルマンに依頼することでスカウトおよび人員配置が問題なく行えた例もあったとのことで,彼らの存在がポイントの一つになったと語る。
プレビズの素材となったのは,モーションキャプチャー時のビデオや簡単なCGなど多種多様で,ほとんどすべてのシーンがビジュアル化されたという。
さらにバーチャルカメラやフェイシャルアニメーションといった最新技術に関するトピックが登場したが,いかにも日本的だと思えたのは平林氏の「オートメーションで90%までいけるが,残りの10%は手作業」というところだろう。これは写真にあるフェイシャルアニメーションの自動化に関して語られたもので,こうした自動化操作を経てなお,最後はデザイナーが微調整するというのだ。
これがプロデザイナーの間では常識だったら申し訳ないのだが,このこだわりはやはり日本の職人芸だという印象を受けた。
「ラスト レムナント」でUnreal Engine 3に挑戦したスクウェア・エニックスの苦労話を昨日紹介したばかりだが(関連記事),ここでも日本とアメリカの協力の必要性と難しさが語られていたのが印象的だった。それにしても――昨年(2008年)からコンシューマ機を扱うことになった4Gamerの編集者としては,機会がなかっただけだが――サンフランシスコで日本人のレクチャーを受けるのは筆者的にはかなり新鮮だった。そういう時代なのであるって,いまさらですか。
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(c)CAPCOM CO., LTD. 2009 ALL RIGHTS RESERVED.
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