プレイレポート
シンプルながらも手ごたえ十分。新感覚のぬりえアクション「ブロブ:カラフルなきぼう」
本作は,世界を真っ黒に塗りつぶしてしまおうと企む“インキー・コーポレーション”に色を奪われてしまった,“レインボーシティ”を舞台に,丸くてカラフルな主人公,“ブロブ”が縦横無尽に跳ね回る“ぬりえアクション”ゲーム。
街の色を吸い取ってしまう“イロボット”から奪われた色を取り返し,建物や看板といった,街のあらゆる物をカラフルに塗っていくのがゲームの目的だ。
本稿では,実際にプレイした感想を交えながら,ゲームの概要をお伝えして行こう。
絵の具の匂いを思い出す
斬新なのに懐かしい作品
本作のゲームモードは大きく分けて,“ストーリー”“フリーペイント”“ブロブパーティー”の三つ。
ストーリーモードはステージクリア方式となっており,街中をゴロゴロ転がって彩色しながら,色を奪われた人々“グレイディアン”を解放したり,要所要所で発生する“チャレンジ”をクリアして,“カラーエネルギー”を蓄えて行く。
一定以上のカラーエネルギーが溜まれば,ゴールへの道を塞ぐ“エリアゲート”のロックが解除され,あとは時間制限内にゴールに飛び込めばステージクリアだ。
スタート時のブロブは無色なので,色を塗るには街中を徘徊しているイロボットを踏み潰して“ペイントポイント”を獲得しなければならない。色を塗ることでペイントポイントはどんどん消費されていくので,常に補給が必要。
また,イロボットには赤/青/黄の3種類が存在し,これらの基本3色を混ぜ合わせることで紫や緑などの色を得ることもできる。
指定された色でビルなどを塗るチャレンジが多く,しばしば基本色以外の緑やオレンジ色を要求されるので,この“色を混ぜる”というシステムがゲームのポイントとなる。色の組み合わせをしっかり覚えていなければ,目的とは違う色ばかりができてしまい,無駄に時間を浪費してしまう。
最初のうちは,作る色を間違えたらそれ以上無理に混ぜようとせず,すぐさま噴水や海などの“水場”に飛び込んで,一度色を落としたほうが,結果的には時間の節約に繋がるはずだ。学生時代,図工や美術の授業で絵の具を混ぜすぎ,収集がつかなくなったという経験を誰もが一度はしたことがあると思うが,まさにそれと同様のやるせない気持ちになる。しかし,同時に妙な懐かしさも覚え,昔嗅いだ絵の具の匂いまで蘇ってくるようだった。
また,ブロブを妨害してくる“インキー”に加え,“インク”,“ホットプレート”といったさまざまな障害物も存在し,攻撃されたり触れたりすると,ペイントポイントや残り制限時間などが減少するペナルティが発生するので注意が必要だ。
ちなみに,ステージをクリアすると成績に応じて,そのステージの“スプリントモード”や“カットシーン”“特典ムービー”などのおまけ要素が解除されることもある。
スプリントモードはいわゆるミニゲームで,各ステージに二つずつ用意されている。ステージ中で“シルバーメダル”を獲得してクリアすると一つ,“ゴールドメダル”を獲得すれば二つ解除されるようだ。
そして,カットシーンや特典ムービーはメインメニューの“おまけ”で見ることが可能で,新たに追加された項目には“NEW”の印が付くので一目でわかるはず。
なお,ストーリーモードでクリアしたステージはフリーペイントモードで遊べるようになる。このモードにはインキーや時間制限が存在せず,決まった目的もない。おまけ的な要素が強いので,息抜きや操作の練習に最適だ。のんびりとぬりえを楽しもう。
最後に,ブロブパーティーは最大4人で楽しめる対戦モードだ。各プレイヤーは最初に自分のブロブの色を選択してゲームを開始する。
ゲーム中はライバルのブロブをロックオンして踏みつけることができ,また,ペイントポイントを消費して踏み付けをガードすることも可能だ。
ゲームタイプは3種類あり,それぞれルールが違う。詳しくは以下の通りだ。
●ペイントゲーム
ステージ内の建物を,なるべく多く自分の色で塗るモード。ほかのブロブが塗った建物を塗りなおせば,そのプレイヤーからカラーエネルギーを奪うことができる。どんどん自分色に染め上げてやろう!
●ブロブチェイス
最初にイロボットを踏んだブロブだけが色を塗ることができる。ほかのプレイヤーはそのブロブを踏むことで色を塗れるようになるので,壮絶な踏みつけ合いが熱い。
●ブロブレース
光っている建物に一番先に到着し,色を塗れば勝利となる。ステージの構造や障害物をしっかり頭に入れておくのが勝利への鍵だ。
シンプルながらも手ごたえ十分
大人から子供まで楽しめる作品
だが,操作がシンプルだからといって侮ってはいけない。恥ずかしながら,筆者は実際にプレイするまで,本作のほのぼのとした世界観から「どうせヌルい感じのゲームなのだろう」という失礼な先入観を持っていた。しかし,実際にプレイしてみるとチャレンジの制限時間やステージに配置された障害物の位置などが絶妙で,これがなかなか手ごたえのある作りになっているのである。
ただクリアするだけならば簡単なのだが,クリアタイムや最終的なカラーエネルギーなど,成績にこだわりはじめると,途端にシビアになるのだ。ゲーマー的には,何度も同じステージを繰り返し遊んでしまうような中毒性を持っている。
また,ステージが色を取り戻していくほどにBGMが盛り上がっていくという,本作ならではの仕様もたまらない。世界が次第に元気になっていく様子が,目と耳でダイレクトに感じられ,これがまた実に気持ちいいのだ。
クオリティの高い音楽とアクション性がシンクロした,新感覚のぬりえアクション。興味が湧いたというWiiユーザーは,ぜひ一度は体験してみてほしい。
- 関連タイトル:
ブロブ:カラフルなきぼう
- この記事のURL:
キーワード
(C)2008 THQ International GmbH. THQ, de Blob and their respective logos are trademarks and/or registered trademarks of THQ Inc. All Rights Reserved. All other trademarks, logos and copyrights are the property of their respective owners.