レビュー
愛する妻の一言で,今度はコーヒーショップの経営にも乗り出すことに!?
レストラン エンパイア II 日本語版
世界一の五つ星レストランを経営する
マネージメントシムのリメイク版が登場
シェフでありながらレストランのオーナーでもある“アルマンド”が,レストランの内外装の改良,従業員の雇用,レシピの研究,スキルの向上,広報活動までもを行いながら,お客さま満足度No.1の五つ星レストラン経営を目指して奮闘する,レストラン経営シミュレーション「レストラン エンパイア II 日本語版」がズーから発売された。
ナンバリングからも分かるとおり,本作は5年前に発売された「レストラン エンパイア 日本語版」(発売元:メディアクエスト)の続編となる。しかしどちらかというと完全新作というより,グラフィックスレベルを引き上げ,新たなキャンペーンを追加した,前作のリメイク版といった位置づけでの登場だ。
店内にテーブルを並べ,スタッフを雇用し,メニューの料理を選んで値段を決める。レストラン,コーヒーショップ経営はやることが多い |
前作でズームアップ時にポリゴンポリゴンしまくっていた人々が,綺麗になった。とくに女性陣は可愛い&綺麗な人が登場するのが妙に嬉しかったりする |
キャンペーンモードには,駆け出しのシェフ“アルマンド”が,業界を牛耳る悪徳大手食品会社「オムニフード」を相手に,叔父さんが残してくれたレストランを再建すべく奮闘する「キャンペーン1」と,その続編として,アルマンドのレストラン経営と並行して妻“デリア”の「コーヒーショップ」「デザートハウス」の経営を行っていく「キャンペーン2」が用意されている。
ピンと来た人もいると思うが,キャンペーン1は前作に収録されていたものとまったく同じもので,前作をプレイしている人ならば,すんなりとゲームの世界に入れるだろう。いきなり新たな物語となるキャンペーン2から始めても構わないが,前作発売から数年が経過していることもあるし,もう一度,打倒オムニフードを目指してチャレンジ1からプレイするのがオススメだ。もちろん,今回,初めてレストラン エンパイアをプレイするという人は,本作のキャンペーン1をプレイすれば前作「1」を遊んだも同然なので,こういったパッケージもなかなか便利だなぁと思った次第だ。
前作よりもグラフィックスレベルが上がりゲーム画面は美しくなった。視点も自由に変えられるので,さまざまな角度から店内を見渡せる |
キャンペーンモードではムービーシーンが多用される。選択肢が現れることもあるが,どれを選んでもストーリーが変わることはない |
それにしてもビックリするほどではないがグラフィックスレベルは向上しており,女性スタッフや女性のお客さんの中に美人がいたりして(2の新要素といえる),ちょっぴり嬉しい。また,アルマンドの奥さんも登場するキャンペーン2は,今までとは異なるシナリオを楽しむことができ,コーヒーやケーキなどのレシピの追加,さらに舞台はパリ,ロサンゼルス,ローマに加えて「ミュンヘン」も登場し,ドイツ料理を含む600種類以上のレシピが収録されるなど,全体的なボリュームアップが図られている。
というわけで,本作は前作のリメイク+追加キャンペーンといった内容なので,ゲームの内容やレストラン経営方法などについては変わっていないため,基本的なところは前作のレビュー記事を併せてご覧いただくことにして,本稿では新要素とキャンペーン2に絞って見ていこう。
前作と同じキャンペーンが収録されているから,当然,ミシェル叔父さんも登場。何でも聞いてこいと言うくせに酷いことを言い放つ |
料理の鉄人ならぬ料理コンテストでの妙なダンスも健在。それにしてもアルマンドのズボンのデザインが格好悪いったらもう…… |
レストラン経営と並行して
コーヒーショップ&デザートハウス経営
キャンペーン2では,世界で最も偉大なレストラン店主となったアルマンドが,デリアとのハネムーンから帰ってきたところから始まる。いきなり「さあ,ハネムーンは終わった。今,僕たちは何をしなくてはいけないのかなあ?」と,新婚旅行から帰ってきたばかりとは思えない会話が飛び出し,ここで新妻デリアから「コーヒーショップをやりたかったの」と打ち明けられる。夫の知名度に頼った便乗行為にしか思えなかったので,「うまく行くとは思えないなぁ」という選択肢を選んでみたが,やっぱり応援するハメになるのだ。
コーヒーショップ,デザートハウスの経営もレストラン経営とやり方は同じだが,コーヒーショップには厨房のほかにカウンターエリアが必要になる。日本で見かけるコーヒーショップではカウンターエリアにお客さんが並び,注文を受けて品物を渡し,お客さんが席に着いてコーヒーを飲んだり,食事や会話を楽しんだりという流れが思い浮かぶ。「さっそくカウンターにお客さんをズラッと並ばせなくては!」と勝手に想像していたのだが,これは見事にハズレた。
実はカウンターエリアはあくまでシェフが調理をする場所であり,レストランと同様にお客さんは空いているテーブルに案内されて,キャプテン(注文をとる人)が注文を取り,シェフが調理してサーバーがテーブルまで運ぶという流れで,筆者の知っているカウンターエリアとは違っていてちょっぴりガッカリした次第。厨房かカウンターエリアのどちらかを用意すればいいじゃんとも思ったが,コンロや皿洗い機などの厨房にしか設置できない“必需品”もあるので,自ずと厨房とカウンターエリアの両方が必要になる。
取り扱う料理タイプはキャンペーン1のレストランタイプとしてフランス料理,イタリア料理,フランス料理,アメリカ料理に加え,キャンペーン2ではレストランタイプにドイツ料理が加わり,さらにコーヒーショップタイプ,デザートハウスタイプが増えて6種類になった。それぞれの料理タイプは五つのカテゴリに料理レシピが分類されており,全部で600種類以上の料理レシピが登場するというから,凄い数である。
ドイツ料理,コーヒーショップ,デザートハウスが増えて目新しい料理がたくさん登場する。良い食材を使って料理ランクを上げよう |
テレビ出演することになったアルマンド。パズルゲームに挑戦して視聴者に華麗なパフォーマンスを見せつければ名声がアップする |
料理タイプが増えたということは,それぞれのシェフが持つ得意料理を示す種類別技能も増えたわけだ。フランス料理をメインに育ててきたアルマンドをコーヒーショップに異動させると,コーヒーショップタイプの技能力を上げられる。すべての料理タイプに対して高い技能を持つスーパーシェフを作り上げるというのも面白そうだが,やはり基本的にレストランタイプのシェフはレストランで,コーヒーショップタイプのシェフはコーヒーショップで働かせたほうがいい。料理がマズいなどのクレームは,サービス業には致命的である。
キャンペーン1では料理コンテストに出場したとき,料理を作るシェフのサポートとしてミニゲームに挑戦し,その結果により集中力,正確性,技術力を向上させて,料理の質を上げることができたが,キャンペーン2も似たようなモードが用意されている。
今回は隣接するタイルを入れ替えて同じ絵柄を三つ以上揃え,消していくことで食材を集めるというパズルゲームに挑戦する。必要とされる基本食材をすべて集めると終了となるが,コンボ(連鎖)もできたりして,単純だが面白くてなかなかハマってしまうシロモノだ。
お客さんは携帯電話やノートPCを使うなど,行動を眺めていると面白い。個人の詳細をチェックすることも経営者の重要な仕事の一つだ |
注文頻度を高めるには特別な食材を仕入れて品質の高い食材を使い,任意食材で隠し味を加えて料理ランクを上げる。もちろん価格設定も重要だ |
前作のプレイ中,高級レストランなら生演奏とかしてるよなぁと思った人がいると思うが(筆者だ),キャンペーン2でついに生演奏を行うパフォーマンスが利用できるようになった。パフォーマーにより評価や条件,出演料(時給)が異なり,それぞれのパフォーマーが求めるパフォーマンスステージを店内に配置し,パフォーマンスを行う時刻や何時間行うかを設定すれば,ピアノやバイオリン演奏をしてくれる。もちろん,店舗の評価は上がり,多くのお客さんを引きつけられて効果てきめん。
生演奏パフォーマンスで店舗の評価も上がり,集客力を稼げる。多くのパフォーマーと契約すればさまざまなパフォーマンスを利用できる |
人気店ともなると数人のシェフを雇わないと賄いきれない。厨房とカウンターエリアは,移動中すれ違いができるように広めに配置しよう |
また,不思議アイテムという,とっても不思議なアイテムを持つお客さんが来店してアイテムを売りつけてくる。不思議アイテムにどんな効果があるのかといえば,例えば「美食ガイド:フランス料理」は,任意のシェフに使うとフランス料理技術が+5される。「マリンパーク休日ファミリーパックチケット」は,任意のスタッフにプレゼントすると,家族と楽しいひとときを過ごして仕事への意欲が+15にもなる。こんなとっても不思議なアイテムをお客さんが売りにくる(変な話だが)ので,資金に余裕があれば買っておくといいだろう。
お客さんから売りつけられる不思議アイテムは,価格が安いものも多くつい買ってしまう。しっかり使って経営に生かしていきたい |
キャンペーン2もプレイ中にチュートリアルが入るので初心者も安心だ。必要なければESC→チュートリアルをスキップで飛ばすこともできる |
こんな具合に,ほかにもいくつか変更点はあるものの,主だったところをピックアップしてみた。以前と比べていろいろと追加されたことがお分かりいただけただろう。キャンペーン2のコーヒーショップやデザートハウスの経営は,基本的にレストラン経営と大きな違いはないが,新たな要素の関係で前作(またはキャンペーン1)とは異なるテクニックが必要になるので,ぜひこのへんの違いを楽しんでほしいところだ。ちなみにキャンペーン2のシナリオ展開も非常に面白く,あまり大きな声で言いたくはないが,まさかアルマンドがそんなことをするとは……とニヤリとしてしまった。なかなかやるな! アルマンド!
レストランオーナーの苦渋を味わえる?
そんな経営シムに挑戦しようじゃないか
やはり,ミニチュアを並べるように店舗の内外装をレイアウトできるのは時間を忘れて作業してしまうし,シェフやその他のスタッフ,店舗の内外装を飾るアイテム,料理レシピの一つ一つにさまざまなパラメータがあり,それぞれが複雑に絡み合っている。どれか一つだけが飛び抜けても経営はうまく転がらず,黒字に繋がらないため,どうバランスを取っていくのかがキモになる。
店内レイアウトは使いたいアイテムを選んで向きをあれこれ変えてフロアに置いていくだけだ。配置できるかできないかは色で判断できる |
客席が足りないからといっても詰め込みすぎは厳禁。お客さんとスタッフがすれ違えずに身動きが取れなくなってしまう |
客席が少なくて店内に入れないから客席を増やせば,賑やかでうるさいとクレームが来るし,同時に注文される料理が増えて調理&給仕に時間がかって遅いと文句が出る。スタッフの誰々が無作法だ! というので,やる気を出してもらおうと給料を上げてみたり,スタッフトレーニングに予算を割いたり,それぞれのお客さんにお勧め料理を提供したり……などなど経営者のやることは非常に多い。
すべてのお客さんが満足できるお店にするのは難しいが,お客さんからのクレームに目を通し,改善できる点は改善し,割り切るところは割り切ってクレームを減らすように努力していくのが,大変だけれど面白い。もしかすると本物のレストラン経営者も似たような苦労をしているんじゃないかと錯覚してしまうほどだ。前作をプレイした人ならもちろんのこと,じっくり挑戦できる経営シムを遊びたい,ちょっと変わった経営シムをプレイしたいという人は挑戦して損はないと思う。
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