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アニメ映画「ドットハック」(.hack//The Movie)発表会レポート。制作中のマル秘映像やアフレコ風景のムービーも掲載
先に下記の記事でお伝えしたように,この映画は3D立体視対応の“3DCGアニメーション”で,2012年1月に全国で劇場公開される。
本作品の監督であるサイバーコネクトツー代表取締役の松山 洋氏をはじめ,メインキャストの桜庭ななみさん,松坂桃李さん,田中 圭さんらが出演した,本イベントの詳細をレポートをお伝えしよう。
また,本稿末には,PV以外の初出映像素材を掲載したので,ぜひ最後まで目を通してほしい。
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・3D立体視対応劇場版アニメ「ドットハック」が2012年1月より公開決定。舞台は“西暦2024年”の九州に。初公開のプロモーションムービーも掲載鵜之澤氏はまず,3DCGアニメ映画「鉄拳 ブラッド・ベンジェンス」が2011年9月3日に公開されることに触れ,「ドットハック」はそれに続く第2弾になると紹介。
また,本作品の原作となる「.hack」シリーズを制作しているサイバーコネクトツーについて,映画のクオリティに迫るゲームを作る企業だと紹介。ゲームで培ったノウハウや映像制作の技術を生かし,1本の映像作品として「ドットハック」を仕上げたと述べた。鵜之澤氏は,今後も映像分野において,日本のクリエイターが世界に進出する手助けをしてきたいと展望を語り,挨拶を終えた。
豊島氏は,同社ではさまざまなアニメ映画の配給を手がけてきたが,今回の「ドットハック」は世界基準の3DCGアニメで,特別なものだと認識しているとコメント。今までとは違った切り口での宣伝・営業をしていき,「鉄拳 ブラッド・ベンジェンス」「ドットハック」を成功させ,“3本目”以降も手伝っていきたいと抱負を述べた。
三戸氏は,「ドットハック」は“西暦2024年”の地方都市が舞台で,物語の世界では,世界中がネットワークでつながっていて,子供達は,生まれたときからそれが“当たり前”のものとして生活している,と説明した。
本作の主人公,有城そらは友人に誘われ,この世界で大人気のオンラインゲーム「ザ・ワールド」に参加し,次第に仮想空間での冒険に夢中になっていく。
そんな中,ゲーム内で起こったある事件が現実世界に重大な事態を引き起こし,現実世界とゲーム空間という2つの世界で,ストーリーが展開していくそうだ。
次に,「ドットハック」の監督である松山氏,脚本を担当した伊藤和典氏が登壇し,鵜之澤氏と三戸氏を交え,トークセッションが行われた。
まずは鵜之澤氏から,「ドットハック」制作の“言いだしっぺ”は自分自身であり,4年前に松山氏に話を持ちかけたところから,このプロジェクトがスタートしたと述べた。
サイバーコネクトツー代表取締役社長 松山 洋氏 |
伊藤和典氏 |
松山氏は,企画がスタートしたところで伊藤氏に声をかけ,「『.hack』を映画化するので,10年ぶりに一緒に仕事をしませんか?」とオファーしたと説明。
ただ伊藤氏によれば,パイロット版を見せられ「これ書いて」と言われたそうで,そんなに丁寧なオファーではなかったとツッコミを入れていた。また伊藤氏は,映画化の話を持ちかけられたのが2007年の春,そしてその夏にロケハンを行い,脚本の初稿を翌年2008年の1月に仕上げたと話し,続けて脚本には,「『.hack』10年分の思いの丈をぶち込みました」とコメントしていた。
松山氏は,ゲームやアニメ,漫画などいろいろなメディアで展開されてきた「.hack」だが,その中心には架空のオンラインゲーム「ザ・ワールド」が存在し,現実世界とゲーム空間という2つの世界が描かれると説明。また「ドットハック」は,今から13年後の2024年という設定で,「遠いようで遠くない未来の話」だと述べる。
ネットワークがおかしなことになって発生するデジタルハザードが事件の鍵となるが,松山氏は「もし,今の社会でネットワークがおかしくなると,社会的影響はどれくらいあるか」を考えたとき,「東京だけでなく世界中,田舎の町もそれに巻き込まれるだろう」と感じ,そのギャップも含めて,都心ではなく福岡県を舞台にしたのだという。
なお,「ドットハック」では福岡県・福岡市・柳川市や企業の協力を得て,さまざまな地名や施設が実名で登場するそうだ。このことについて松山氏は「馴染みのある絵を作れたのではないかと思います」と自信を持って答えていた。
また松山氏は,映画を見るときに“シリーズ10年分の知識”がないと楽しめないような内容にすることは避け,「.hack」シリーズを知らない人が見ても“100%”楽しめる,前情報の不要な映画にするよう意識したと語る。その完成度についても,手応えを感じているそうである。
トークでは,3D立体視についての話題も出た。
伊藤氏は,これまでに3D立体視対応の映画を5本程度見たそうだが,その感想は「3D立体視の映画は苦手」と告白。しかし「ドットハック」では,検証試写を観た限り,“負担の少ない良い3D映画”だと感じているという。
それを受けて松山氏は,3D立体視での視差による調整には時間をかけており,こだわっていると説明した。
リアルパートでは奥行き感を控えめにしているものの,“ゲームパート”では壮大なCGの世界が広がり,リアルとゲームの違いを感じてもらえるだろうとも語っていた。
ここで,初公開となる「ドットハック」のプロモーションムービーが上映され,会場では3D立体視版を鑑賞できた。ムービーは「こちら」の記事に掲載したものと同じだが,以下に2D版のプロモーションムービーを再掲載しておくので,まだ見ていない人はぜひチェックしてほしい。
そのあとは,「ドットハック」でメインキャストの声優を務めた,桜庭ななみさん(有城そら/カイト役),松坂桃李さん(田中 翔役),田中 圭さん(岡野智彦役)が登壇し,松山氏を含めた4人によるトークセッションの時間となった。
桜庭さんによれば,そらは頑固な部分もあるが,明るく活発で,芯が強い女の子とのこと。流行りには疎く,ゲームも遊ばないけど,あることをきっかけに「ザ・ワールド」を遊ぶようになるそうだ。
翔について松坂さんは,ボソボソとしゃべり,物静かでマイペースな男とコメント。随分前から「ザ・ワールド」で遊んでいるゲームマニアでもあるそうだ。
田中さんは,そらと幼馴染の智彦のことを,明るくポジティブ,脳天気なクラスのムードメーカーで,みんなで遊ぶことが大好きな男の子と評していた。
桜庭さんは,以前別の作品でアフレコの経験があったが,「何度挑戦しても難しいです」と語る。
ここで松山氏は,「ハイビジョンで映像の解像度が高く,CGで口の動きがリアルに再現されているので,それにぴったりと合わせてもらわないといけません。主役なのでセリフは多いですが,頑張ってもらいました」と桜庭さんをフォローしていた。
アフレコ初挑戦という松坂さんは,「とにかく難しかったですね」とコメント。
キャラクターの口の動きに合わせて自分の声を乗せるのは初めての経験で,アフレコで実写ドラマのような演技をやると気持ち悪く聞こえるらしく,感情を乗せるのが難しかったそうだ。
ただ,「映像と生身の違いを体験できました」とも話しており,難しくもあったが楽しかったと,アフレコを振り返っていた。
しかし,「慣れてくると,自分達にできないことを映像の中でやっているのを見られて,楽しかったです」と話し,ドラマの演技とは違う状況を楽しんでもいたようだ。
松山氏は,田中さんについて,役になりきるのが非常に早かったとコメント。収録中のディレクションルームで,田中さんの演技を見ながら「おお,智彦がいるよ」と,ほかのスタッフと話していたほどだそう。
また,翔はクールな性格なのだが,松坂さんは普段の性格がそうなのか,元気がありすぎる演技になっていたため,「もうちょっと元気をなくしてください」とリクエストしたとコメントしていた。
次は「役を演じてみての感想」についてだ。
桜庭さんは,最初に松山氏から渡されたキャラクター設定で,好きな色などの設定が自分と一緒で近くに感じられ,演じていて嬉しかったと話す。
このことについて松山氏は,「ものすごく細く設定を作るんです。一人当たり60項目程度の設定があるので,情報が多すぎて演者さんが混乱する心配もあったのですが,すんなり受け入れてもらえました」とコメント。
松坂さんは,自身が物静かでボソボソとしゃべるタイプで,そこは翔と似ていると感じたそうだ。そういったところから,過去に,収録の現場で「もっと元気出して」と言われることはあったが,「元気がありすぎる」と言われたのは初めてで新鮮だった,と笑いながら話していた。
田中さんは,自分が普段からテンションが高く,それが智彦の設定と似ていたので,とても演じやすかったそうだ。ただ,中学生ということを意識して“かわいこぶって”演技したと述べた。
「『ドットハック』に登場するゲームの世界『ザ・ワールド』に入れたら,どんなことをしたいですか?」という質問も出た。
これに真っ先に答えたのは田中さんで,「魔法を使いたい」と話す。田中さんは子供の頃,学校の帰り道で自分以外の歩いている人を“敵”に見立てて脳内で戦っていたと,いかにも少年らしいエピソードを告白。さらに,今でも魔法に憧れがあるそうで,「自動ドアの前に立ったときに手をかざして開けている」そうだ。
松坂さんは,「恐竜など,人間とは違う存在になってみたい」,桜庭さんは「男の子になりたい」とコメントしていた。
「ドットハック」には「僕たちは,思っている以上につながっているかもしれない。」というキーメッセージが掲げられているが,それにちなんで「人とつながっていることを感じるのは,どんなとき?」という質問がなされた。
桜庭さんは「私が演じているドラマを同世代の人が見てくれた時,感想や情報をみんなで話し合っている姿を見たり聞いたりすると,つながりが広がっている」と感じるそうだ。
松坂さんは「作品ごとにキャストの皆さんや,監督,スタッフの方に出会います。今やっている現場で働いているスタッフが,前の現場で一緒だった人とつながっていたりしていて,そういったことがきっかけになり,しゃべりやすかったり,仲良くなりやすいですね」と,俳優らしい“つながり”を披露。そういう経験で,人と人との出会いが大事だと感じることも多いそうだ。
田中さんは「人との出会いや別れは大事なものですね」とコメント。「自分が関わっていないニュースでも,喜んだり悲しんだりできるというのは,どこかでつながっているからだと思います」と話していた。
最後に,メインキャストの3人と三戸氏,松山氏が以下のようにメッセージを述べ,イベントを締めくくった。
桜庭さん:
今回は3DCGアニメーションで,すごく迫力ある映像に仕上がっています。私もゲームの中に入ったような気持ちで楽しめました。ゲームに興味がなかったり,遊んだことがない人でも楽しめる作品になっているので,たくさんの方に見てもらえればと思います。
松坂さん:
「ドットハック」では,現実世界とゲーム空間は違うけど,同じ自分が出てきます。僕が演じる翔の場合は,現実世界では暗いけど,ゲーム世界では明るくなるというように,疑似体験や願望を表現できるので,そういったところも含めて,作品を見ていただければと思います。
田中さん:
「ザ・ワールド」の世界をアフレコのときに映像で見たら,台本を読んで頭の中で思い浮かべていた想像を超える迫力がありました。それが3Dで見られるのですごいです。
もちろん,現実世界の映像もすごく綺麗です。全部見たいと素直に思えるし,「ザ・ワールド」に対する憧れができたり,感情移入できると思います。
こんなゲームを遊んでみたいと感じるだろうし,CGアニメの良さを感じることができる作品だと思います。
三戸氏:
今作は,現実世界とゲーム空間という2つの世界を行き来しながらストーリーを進めるんですが,「僕たちは,思っている以上につながっているかもしれない。」というキーメッセージを感じることができるような,娯楽作品になっていると思います。ぜひ2012年1月の公開を楽しみに待っていてもらえればと思います。
松山氏:
初となる全国公開の劇場アニメーションということで,我々ゲームクリエイターが持つノウハウを,映像という分野で発揮させてもらいました。おそらく,既存の映像作品とはひと味もふた味も違う,新しい作品になると感じています。
ここにいるメインキャストの3名をはじめ,演じていただいた方々の声が映像に入り,初めて一つの映像作品として完成したと思います。
幸せな気持ちになれる映画を目指して制作してきましたが,見終わったあとに,見て良かったと思える作品になっています。実は,もうちょっとだけ作業が残っているのですが,来年の公開を楽しみに待っていてもらえればと思います。ありがとうございました。
最後に,お待たせの「ドットハック」初出ムービーをお見せしよう。以下の劇中のアニメーションムービー2本は,まだ完成版ではないということで,音声が入っていない。しかし,PV以外のシーンをいち早く目にできる貴重な機会(だしネタバレも避けられるし)ということで,以下に掲載しておく。「ドットハック」に期待している人は,ぜひチェックしてみてほしい。
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