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リアル志向の「シフト」と比べて思いっきりドハデにワイワイ楽しめる「ニード・フォー・スピード ナイトロ」のレビューを掲載
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印刷2010/01/20 11:00

レビュー

リアル志向の「シフト」と比べて思いっきりドハデにワイワイ楽しめる「ニード・フォー・スピード ナイトロ」のレビューを掲載

 エレクトロニック・アーツの人気レースゲーム,Need for Speedシリーズ(以下,NFSシリーズ)の新作,「ニード・フォー・スピード ナイトロ」(以下,ナイトロ)が2009年12月17日,WiiニンテンドーDSの二機種で発売された。PlayStation 3Xbox 360PCでは,リアル志向のレースシミュレータ「ニード・フォー・スピード シフト」がリリースされているが,WiiとDSではアプローチを変えて別路線の新作に挑戦してきた。
 本レビューではWii版を中心に見ていくが,最後にDS版についても触れているので,Wii版との違いも確認してみてほしい。

カウントダウン中にエンジンの回転数を高め,ナイトロゲージを溜めて,パーフェクトスタートを決めよう。これで一気にライバルを追い抜くのだ! 車種によってはフロントが跳ね上がる演出もある
画像集#001のサムネイル/リアル志向の「シフト」と比べて思いっきりドハデにワイワイ楽しめる「ニード・フォー・スピード ナイトロ」のレビューを掲載

 最近のNFSシリーズを見ると,映画「ワイルドスピード」に出てくるような,ニトロを積み,外装に派手な改造を施したマシンで公道バトルをするものや,サーキットでのバトルに重点を置いたものなどがあるが,ナイトロはこの中間に位置するような作品に仕上がっている。


タギングで街を塗りつぶせ


 ナイトロのメインとなるキャリアモードには,ブロンズカップ,シルバーカップ,ゴールドカップという三つのシリーズがある。下位のカップをクリアすることで,上位のカップに挑戦できるようになるシステムで,バトルの舞台はリオデジャネイロ,カイロ,マドリード,シンガポール,ドバイ。都市ごとに開催されるイベントをクリアしてスターを獲得していき,最終ステージとなるグランプリレースでは,この五都市を転戦することになる。ここで優勝すればそのシリーズのクリアとなり,全カップで1位になれば,エンディングを迎える。

先頭に出ると,右上に「TOP」と表示される。この状態のときは周囲にタギングし,スタイルポイントが入っていく。一定以上のポイントを獲得すれば,スターを獲得できる
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 バトルごとにスターが設定されていて,スターの獲得数によって新たな街やチャレンジ,マシンのロックが解除される仕組みだ。スターはバトルで上位入賞をしたり,「スタイリッシュポイント」(ドリフト,スリップストリームなど特殊な走り方をすると得られるポイント)で高得点をマークしたり,ラップタイムを塗り替えたりすることで獲得できる。キャリアモードで解除した要素は,アーケードモードとも連動しており,キャリアをある程度進めないと,アーケードで使えるマシンが全然増えなかったりする。

パトカーはゲームの難度が上がるごとに速い車になる。最初はHUMMER H2 SUTで,振り切るのはそんなに難しくないが,BランクではMITSUBISHI LANCER EVOLUTION X,AランクではSHELBY GT500になり,猛スピードで迫ってくる手強い存在となる
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 バトルイベントは一番速くゴールしたマシンが勝ちになる「サーキットバトル」,最後尾のマシンが時間経過で脱落していく「エリミネーションバトル」,タイムの更新に挑む「タイムアタック」など全6種類。
 サーキットバトル,エリミネーションバトルでは,一般車両が走っていたり,障害物が置かれていたりする道が登場。これらにぶつかると指名手配レベルが上がってしまい,警察に追われることになる。バトルをしつつ,さらにパトカーの追跡も振り切らないといけなくなるわけだが,とくにゴールドカップでの追跡が異常にしつこく,結構ストレスが溜まる存在だ。

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ドラッグバトルもある。ここでは必ずギアの操作もしなければならないが,画面に適切なタイミングで指示が出るので,それに従えばいい。一般車にぶつかるとリタイアになる点に注意
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ドリフトチャレンジでは,左右に車体を振ってドリフト状態を維持し,倍率を上げていくのがスター獲得のコツ。一部区画ではパトカーが道路を封鎖しているので,ぶつからずに通過したい

 従来のNFSシリーズと比べて,ナイトロで最も特徴的といえるのが「タギング」だ。このシステムは,先頭車両に設定されたグラフィティとタグが,周囲の建物や壁にも描かれていくというもの。街が“最も速いヤツ”の色に染まっていくのだ。
 街がライバルの色に染まってしまっても,追い抜いて先頭に出てしまえば,街を自分の色に塗りかえられるのが面白い。ただ風景が変わるだけではなく,スタイリッシュポイントも大量に得られるので,効率よく稼ぎたいなら,早いうちに先頭に出て,できるだけグラフィティを描いていくのがスター獲得のコツとなる。しかし,先頭に出ると強制的に指名手配レベルが上がってしまうというリスクもある。追いかけてくるパトカーをうまく対処する必要がある。
 グラフィティはヒップホップの四大要素の一つとしても知られるが(余談だがほかの三つはラップ,DJ,ブレイクダンス),ストリートカルチャーをゲームに取り込むというのは,面白い発想だ。

グラフィティとタグで街の風景がどんどん変わっていく。これらはデフォルトで多数用意されており,自分で好きなものを選べる。グラフィティはポップなもの,ハードなものなど種類も豊富だ
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 ヒップホップつながりで,ゲーム内のBGMにも触れておきたい。ナイトロでは全26アーティストの楽曲が収録されており,ジャンルはロック,グライム,レゲエ,ハウスとオールジャンル。エレクトロニック・アーツといえば過去にも,ラッパーのSnoop Doggが手がけたThe Doorsの「Riders on the Storm」のリミックスバージョンを,ゲームだけで使うという贅沢なことをしたり,人気バンドYellowcardの新曲をCDで発売される前にゲームに収録したりと,音楽で話題を作るのがうまい。今回のラインナップを見ても,2009年の音楽シーンで話題になったアーティストが多数収録されており,選曲者のセンスの良さを感じる。


エアロパーツやペイントで愛車をカスタムしよう


 登場車種は全30種類。カートゥーン調でデフォルメされているものの,すべて実在の車が使われている。マシンにはA,B,Cランクと三種類のグレードがあり,最初はCランクからのスタートとなるが,ゲームを進めることで使用できる車種が増えていく。

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 ラインナップはNissan Fairlady ZやMitsubishi Lancer Evolution Xといったスポーツカー,Porsche Cayenne Turbo S,Ford Adrenalin Sport TracといったSUV(Sport Utility Vehicle:スポーツ多目的車という意味)やトラック,Lamborghini Reventon,Pagani Zonda Rなどの数千万〜1億円を超えるスーパーカーまで,かなり多彩。
 また,「ドバイのバトルすべてで,スターを獲得する」「シルバーカップで優勝する」など,特定の条件を満たせば,市販車にはない特殊なカラーリングが施されたコレクションマシン(性能は市販バージョンと同じ)を入手できる。ただし,こちらはカスタマイズできない。

コレクションマシンは都市ごと,カップごとに用意されている。ぜひ入手したいところだが,なかなか条件が厳しく,何度も挑戦するハメになってしまうだろう
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 マシンの挙動は思いっきりアーケードタイプだ。猛スピードでコーナーに突っ込んで,豪快なドリフトで駆け抜けていくのは,純粋に気持ちいい。ゲームタイトルにもあるように,全車には標準で「ナイトロ」(ニトロ)が搭載されている。時間経過やドリフト走行などでナイトロのゲージが増えていくので,ここぞというところで使おう。ナイトロはプライマリ,セカンダリと二発用意されていて,二発ともゲージがある状態で連続して使えば,より強烈な加速の「スーパーナイトロ」となる。これで一発逆転を狙うわけだ。
 このほか,バトル中は壁やライバルへの接触で,マシンがダメージを受けてしまうという要素があり,この状態が続くとナイトロが使えなくなったり,最高速が落ちたりといったデメリットが発生する。コース上に落ちているレンチを使って修理しよう。パトカーの追跡をライバルに押し付けるアイテムなどもあり,これらの使い方がバトル結果に大きく影響してくる。状況を判断してうまく使わないと,勝つのはなかなか難しい。

ルーフスクープやリアウイングを取り付けたり,ボンネットを加工してエンジンを露出したりなど,いろいろなカスタムができる。ただし変わるのは見た目だけで性能はそのままだ
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 NFSシリーズの魅力といえば,マシンのカスタムもその一つといえるだろう。ナイトロではボンネットやホイールなど,外見のみカスタマイズ可能で,パーツはサイズの変更も可能になっている。エンジンのチューンや,ブレーキシステムの変更など,マシンの性能に関わる部分に手を加えることはできないようだ。なお,先述したグラフィティとタグも,カスタマイズ画面で設定できる。タグは既存のものをそのまま使ってもいいし,自分で手を加えてもいい。スターの獲得数によってエアロパーツやグラフィティのロックが解除されていくので,入手したらチェックしてみよう。
 さらに,バイナルを貼ってのカスタムもできる。バイナル同士を組み合わせてイラストを描き,痛車を作る……というフォルツァシリーズのようなことはできないが,ストライプを付けてみるとか,トライバル模様やフレームパターンなど,既存のバイナルを貼り付けるとか,簡単なカスタムは可能だ。

アイテムの「警察バッジ」を取ると,前方にいるライバルをロックオンして,周囲のパトカーを押し付けられる。ただし,自分が先頭にいるときに使っても意味はない。車のダメージがひどくなると,右下のナイトロゲージが赤くなるので,こうなったら「レンチ」を拾って修理しよう
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アーケードモードでは,好きな車,好きなコースを自由に設定して気軽に遊べる。このレースでは「ショウルーム」に用意しておいたものも使える
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「マシンをペイントする」を選べば,車にバイナルを貼れる。四角形や直線といった図形,ポップなイラストなどいろいろあり,色や大きさも変えられる


新しいことへの挑戦は評価できるが……


 ナイトロでは,グラフィティとタグで街を塗りつぶすという,斬新なシステムが搭載されている。NFSシリーズは毎年のように新作がリリースされる長寿のレースゲームだが,保守的にならず,どんどん新しいことに挑戦していく姿勢は素晴らしいと感じた。

 しかし,ゲーム展開が単調なところは残念だった。キャリアモードでは,難度が上がるごとにライバルのマシンも速くなるが,コースは全難度で共通なため,同じことの繰り返しとなってしまう。コースのバリエーションも決して豊富とはいえない。キャリアモードでは国ごとにNo.1ドライバーが設定されているものの,国を選択したときに流れるCGムービーで登場する程度の露出しかなく,バトル中は正直なところ存在感がない。ここをうまく生かせれば,ゲームの展開がもっと良くなったのではないだろうか。また,エンディングもスタッフロールがループし続けるというもので,あっさりしすぎな気もする。

電気駆動のスポーツカー,Tesla Roadsterも登場する。ガソリンエンジンと比べて動作音は静かだが,とても速い。Cクラスの車両の中ではトップクラスの性能を誇る
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 ほかに感じたのは,得られる賞金に対し,マシンの価格が高すぎるという点。とくにAランクの中でも最高クラスのマシンとなると,1台50万以上もする。ただ乗りたいだけならアンロックすれば,アーケードモードですぐに乗ることはできるが,キャリアモードで使いたいとなると買うしかない。しかし,1回のバトルでせいぜい最高1万5千程度しか稼げず,お金を貯めるのに相当な時間がかかってしまう。グランプリで勝ったら,いくらか賞金が出ても良かったのではなかろうか。購入する以外に,コレクションマシンのロックを解除して入手するという手もあるが,こちらは解除条件が結構厳しくて,なかなか骨の折れる作業となるし,改造もできない。

スター獲得が最も難しいと思われるタイムトライアル。制限時間が厳しいうえに,三ツ星を取るにはミスは絶対NGで,完璧な走りを求められる。何度も走りこんでコースの構造を覚えよう
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性能の良いAクラスの車は,最高速度や加速性能が抜群だが,壊れやすいという欠点がある。ぶつけているとすぐにナイトロを使えなくなってしまうので,コントロールは慎重に
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コースにはショートカットできる場所がいくつもあるので,ここを通って一気にライバルを追い抜くということも可能だ。見つけておけば展開が楽になる


DS版はどうなのか?


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 DS版ナイトロにも触る機会があったので,こちらも紹介しておこう。登場車種やBGMなど,おおまかな部分はWii版と同様だが,一部DS向けにアレンジがされている。タギングのシステムは,ゾーンごとに置かれているアイテムを入手することで発動する仕組みになっていたが,これは携帯ゲーム機のスペックを考えたうえでの変更だろう。タグのカスタマイズはもちろん可能で,これはタッチペンでドット絵を描く感覚で作れる。

 このほかDSオリジナルの要素としては,HDS(ヒーローダイナミックシステム)というシステムが追加されている。これを使うと前方を走っているライバルを飛び越えたり,警察の検問を突破したりが可能になる。上位を目指すには,うまく使っていく必要がある。

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 ゲームルールはWii版にあったものをアレンジしたものや,DS版のみのモードがある。以下にいくつか書き出してみよう。

・サーキットレース
 規定の周を走るバトル。バトルの順位とタギングの成功率でポイントが割り出され,それによって順位が決まる。ライバルは3台。

・ノックアウト
 エリミネーションバトルをアレンジしたルール。最後尾のマシンが1周ごとに脱落する。ライバルは3台。

・スマッシュタイム
 DSオリジナルのルール。障害物をいかに早く壊せるかを競う。

・チェックポイントチャレンジ
 DSオリジナルのルール。時間切れになる前にチェックポイントを通過し,ゴールを目指すバトル。

・ナイトロ
 カップ獲得後に挑戦できるバトル。各カップごとに1バトルずつ用意されている。

 携帯ゲーム機という制約はあるが,スピード感もあり,ドリフトやナイトロもしっかり再現されていて,雰囲気はなかなかのもの。マシンの操作感覚はWii版と比べ,ややクイックかなと感じた。数分でクリアできるバトルが多く,ちょっとした空き時間でさっと遊べる手軽さがいい。

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