i7-980X製品ボックスのイメージ
 |
米Intelによる正式発表から一夜明けた2010年3月17日11:00,Intelの日本法人であるインテルは,6コアCPU
「Core i7-980X Extreme Edition/3.33GHz」(以下,i7-980X)を国内でもリリースした。同社の大口顧客となるPCメーカー向けの1000個ロット時単価は
9万760円となっている。
また,i7-980Xとアーキテクチャを共有するサーバー&ワークステーション向けCPU
「Xeon 5600番台」「Xeon 3600番台」についても,価格情報が公開されたので,取り急ぎ,
表1,2のとおり,速報としてお届けしたい。i7-980X&新型Xeonの製品概要は
16日掲載の記事,i7-980Xのポテンシャルについては
11日掲載のレビュー記事を,それぞれ参照してもらえれば幸いだ。
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※i7-980Xは,Intelによる1000個ロット時単価。残る2製品は,4Gamer調べによる,2010年3月17日時点の実勢価格 [略称の説明]HTT:Intel Hyper-Threading Technology,TDP:Thermal Design Power(熱設計消費電力),AES-NI:Intel Advanced Encryption Security-New Instructions |
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※1 PCメーカー向けとなる1000個ロット時単価 ※2 1-wayのみ対応 ※3 組み込み向け製品 [略称の説明]TB:Intel Turbo Boost Technology,L3:L3キャッシュ容量,DDR3:トリプルチャネルDDR3コントローラの最大対応速度 |
Westmere世代の順調な立ち上がりをアピール
インテル社長,ボカロ&イラスタにハマる?
17日11:00から都内で開催された報道関係者向け説明会
「IAプレス・ミーティング」は,i7-980Xの発表会を兼ねるものだった。
i7-980Xのサンプルを持つ吉田和正氏(インテル 代表取締役社長)
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同説明会に登壇したインテルの吉田和正代表取締役社長は,32nmプロセス技術を採用するWestmere(ウェストミア)アーキテクチャのCPU――同社はこれらを「新2010インテル プロセッサーファミリー」と呼んでいる――が,市場で極めて順調に立ち上がっているとアピール。そのうえで,「本日,(そんなWestmere世代に)新たな最強の仲間が加わった。私たちのフラッグシップの製品になるi7-980X,いままでGulftownと呼ばれていたCPUだ」と,一般PCユーザー向け製品としては史上初となる6コアCPUを紹介した。
 32nmプロセス世代のCoreプロセッサは,Core 2 Duoと比べて“初速”がとても好調というスライド。Core 2 Duoは,当初,品不足気味だった記憶もあるので,そこは割り引く必要があると思われるが,それでもこのグラフはなかなかすごい |
 「世界で最も速く,スマートなプロセッサ」として紹介されたi7-980X。ビデオのトランスコードや3Dレンダリング,ゲームにおけるAI処理などで,4コアの「Core i7-975 Extreme Edition/3.33GHz」(以下,i7-975)と比べて,30〜50%高速だとされた |
会場では,i7-980Xとi7-975を比較するデモも行われた。トムソン・カノープス製「EDIUS Neo 2 Booster」を用いた動画のトランスコードと,Autodesk製「Maya 2010」を用いた3Dグラフィックスレンダリングでは,いずれもi7-980Xが圧勝
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i7-980X搭載PCは,10社以上のシステムビルダー(≒ホワイトボックスPCメーカー)から搭載されるほか,サイドフロ−方式を採用する新型CPUクーラー「DBX-B」を同梱したボックス版も登場し,「Intel X58 Express」チップセット搭載マザーボードとの組み合わせで利用できると強調。ここで,吉田氏と,インテル技術本部の及川芳雄氏が,自ら秋葉原でパーツを選定し,組んだ自作PCが紹介されている。
 ボックス版i7-980Xの概要。「オーバークロッキング対応」と謳われる |
 i7-980Xを使った自作に,インテルの超偉い人2名が挑戦 |
●吉田氏
自作は5台めという吉田氏は,スーツでビシっと決めた出で立ちでパーツを買う姿で笑いを取りつつ,「音楽が好き」として,DTMで曲を作ったり,オリジナルカバーイラストを作りたいと,創作向けのPCを「Enterntainment Music Station」として自作。グラフィックスカードに凝らない代わりに,プロ向けのMIDIコントローラを2製品も接続するのがなかなかマニアックだが,それ以上に,
「インテルの社長が,ボーカロイド『巡音ルカ』や,イラストツール『イラストスタジオ』を紹介しているさま」が,会場の笑いを誘っていた。
吉田氏が自作したPCは,創作用途に振った構成。ダンディなイメージで知られる氏が,恥ずかしそうに顔を赤らめながら巡音ルカを紹介している(下段中央)のがちょっとかわいい。一方,キーボードとMIDIパッドの両コントローラがAKAI Professionalで揃っているあたりに,吉田氏のこだわりも見える
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●及川氏
及川氏は,「技術本部の総力を結集」し,高性能に振った「Extreme Performance PC」を自作。「ATI Radeon HD 5870」や,Intel製SSD「X25-V Value SATA SSD」のRAID 0構成を採用しつつ,エアフロー重視でSilverStone Technology製PCケース「SST-RV02」に詰め込んだPCを披露した。さらに,この状態で動作クロックを4.32GHzまで引き上げてみせている。
及川氏のマシンは端的にまとめると本格派。冷却能力重視という意味では,4Gamer読者とも通じるところがありそうだ。ちなみに吉田&及川氏が選んだのはいずれもATIブランドのグラフィックスカード。いろいろとオトナの事情が透けて見える?
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ややもすると業界内での内輪受けっぽい雰囲気が漂いかねない,こうした企画だが,吉田氏が「コンピュータを自分で作れるというのは楽しいことだと思う」と実感を込めて語っていたのはなかなか印象的だった。ハイエンドのプロセッサを売っていく先として,インテルは「何でも思い通りに作れる自作PC市場」を,十分に重視しているということなのだろう。
会場には,まさにその自作市場向けとなるマザーボードも何枚か展示されていた。写真は5月発売予定という,MSIのゲーマー向けブランド「Big Bang」新作,「Big Bang-X Power」。6基のPCI Express x16スロットは,搭載するデジタルスイッチを駆使し,柔軟にレーン数を切り替えられる
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なお,インテルは,一人が1台のPCを持つ時代に向けて,テレビCMをはじめ,さまざまな施策をとっていくとのことだ。
「マグロとパソコンを置き換えてください」というテレビCMで,一人が1台のPCを持つべきだというメッセージを発信したインテル。マーケティング本部 本部長の江田麻季子氏は,そのマグロを持って登場し,一般層や女性にPCを持ってもらうべく,各種イベントを展開していくと発表した
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i7-980X搭載のゲーマー向けPC
インテルの発表に合わせて,パートナーとなるシステムビルダー(=ホワイトボックスPCメーカー)各社から,i7-980X搭載PCが発表になった。このなかから,ゲーマー向けモデルに絞って,4Gamerへニュースリリースの届いた順に,下記のとおり紹介したい。
BTO標準構成価格:24万9980円(税込)
Project White(九十九電機)のi7-980X搭載モデルは,DirectX 10世代のハイエンドGPUを搭載した手堅い構成。ディスプレイ,キーボード,マウスは別売り。
- メインメモリ:PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3
- GPU:GeForce GTX 285(グラフィックスメモリ1GB)
- ストレージ:HDD(容量1.5TB,回転数未公開,Serial ATA 3Gbps)
- 本体サイズ:210(W)×460(D)×460(H)mm
- OS:32bit版Windows 7 Home Premium(※64bit版も差額なしで選択可能)
BTO標準構成価格:29万5800円(税込)
クレバリーのCOORDY’Sブランドで用意されるi7-980X搭載モデル。「GeForce GTX 260」のNVIDIA SLI(以下,SLI)構成採用と,Intel製SSDの採用が特徴だ。
- メインメモリ:PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3
- GPU:GeForce GTX 260(グラフィックスメモリ896MB)×2
- ストレージ:SSD(容量80GB,Serial ATA 3Gbps,Intel製「X25-M Mainstream SATA SSD」)+HDD(容量1.5TB,回転数7200rpm,Serial ATA 3Gbps)
- 本体サイズ:206(W)×493(D)×468(H)mm
- OS:64bit版Windows 7 Home Premium
BTO標準構成価格:39万9980円(税込)
ユニットコムがパソコン工房で販売するゲーマー向けブランド「GS」の最上位モデル。「GeForce GTX 285」のSLI構成がポイントだ。ディスプレイ,キーボード,マウスは別売り。2010年3月30日12:00受注分まで1万円引き。
- メインメモリ:PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3
- GPU:GeForce GTX 285(グラフィックスメモリ1GB)×2(SLI)
- ストレージ:SSD(容量150GB,Serial ATA 3Gbps,Intel製「X25-M SATA SSD」)+HDD(容量1TB,回転数未公開,Serial ATA 3Gbps)
- 本体サイズ:210(W)×605(D)×525(H)mm
- OS:32bit版Windows 7 Home Premium
BTO標準構成価格:25万9980円(税込)
マウスコンピューターの「G-Tune」で展開されるミドルタワーモデル。DirectX 10世代のハイエンドGPUと,Intel製SSDによるRAID 0構成の搭載を考えると,コストパフォーマンスはかなり高めだ。ディスプレイ,スピーカーは別売り。
- メインメモリ:PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3(※PC3-8500動作)
- GPU:GeForce GTX 285(グラフィックスメモリ1GB)
- ストレージ:SSD(容量40GB,Serial ATA 3Gbps,Intel製「X25-V Value SATA SSD」)×2(※RAID 0)+HDD(容量1TB,回転数未公開,Serial ATA 3Gbps)
- 本体サイズ:190(W)×495(D)×435(H)mm
- OS:64bit版Windows 7 Home Premium
BTO標準構成価格:38万9970円(税込)
メインメモリ12GB仕様,GeForce GTX 285のSLI構成を採用した,マウスコンピューターのゲーマー向けハイエンドモデル「G-Tune MASTERPIECE」。Intel製SSDによるRAID 0構成も特徴だ。ディスプレイは別売り。
- メインメモリ:PC3-10600 DDR3 SDRAM 12GB(構成未公開)(※PC3-8500動作)
- GPU:GeForce GTX 285(グラフィックスメモリ1GB)×2(SLI)
- ストレージ:SSD(容量80GB,Serial ATA 3Gbps,Intel製「X25-M SATA SSD」)×2(※RAID 0)+HDD(容量1TB,回転数未公開,Serial ATA 3Gbps)
- 本体サイズ:205(W)×580(D)×543(H)mm
- OS:64bit版Windows 7 Professional
BTO標準構成価格:37万9890円(税込)
MASTERPIECE i1500BA6をベースに,GPUを「ATI Radeon HD 5850」のATI CrossFireX(以下,CFX)構成に変更したモデル。ディスプレイ,スピーカー,ゲームパッドは別売りだ。
- メインメモリ:PC3-10600 DDR3 SDRAM 12GB(構成未公開)(※PC3-8500動作)
- GPU:ATI Radeon HD 5850(グラフィックスメモリ1GB)×2
- ストレージ:SSD(容量80GB,Serial ATA 3Gbps,Intel製「X25-M SATA SSD」)×2(※RAID 0)+HDD(容量1TB,回転数未公開,Serial ATA 3Gbps)
- 本体サイズ:205(W)×580(D)×543(H)mm
- OS:64bit版Windows 7 Professional
BTO標準構成価格:32万9980円(税込)
サードウェーブ(ドスパラ)のゲーマー向けPC「Prime Galleria」で展開されるハイエンドモデル。「ATI Radeon HD 5870」のCFX構成を採用し,強烈な3D性能を実現している。なお,今回紹介するドスパラ製PCには,いずれも,メインメモリを12GB搭載し,Intel製SSD「X25-M Mainstream SATA SSD」(容量80GB)をCドライブとして採用する「スペシャル・エディション」がプラス4万円で用意されており,写真はそのスペシャル・エディションになる。ディスプレイは別売り。
- メインメモリ:PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3(※PC3-8500動作)
- GPU:ATI Radeon HD 5870(グラフィックスメモリ1GB)×2
- ストレージ:HDD(容量1TB,回転数未公開,Serial ATA 3Gbps)
- 本体サイズ:192(W)×511(D)×436(H)mm
- OS:64bit版Windows 7 Home Premium
BTO標準構成価格:25万9980円(税込)
i7-980XとGeForce GTX 285を搭載しつつ,販売価格をなるべく低く抑えたモデル。コストパフォーマンスはまずまずか。ディスプレイは別売り。
- メインメモリ:PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3(※PC3-8500動作)
- GPU:GeForce GTX 285(グラフィックスメモリ1GB)
- ストレージ:HDD(容量1TB,回転数未公開,Serial ATA 3Gbps)
- 本体サイズ:192(W)×511(D)×436(H)mm
- OS:64bit版Windows 7 Home Premium
BTO標準構成価格:30万9980円(税込)
Prime Galleria ZX-Eをベースに,GeForce GTX 285をSLI構成としたモデル。こちらもディスプレイは別売りだ。
- メインメモリ:PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3(※PC3-8500動作)
- GPU:GeForce GTX 285(グラフィックスメモリ1GB)×2
- ストレージ:HDD(容量1TB,回転数未公開,Serial ATA 3Gbps)
- 本体サイズ:192(W)×511(D)×436(H)mm
- OS:64bit版Windows 7 Home Premium