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[Gamescom]Raven Softwareの新作FPS「Singularity」がプレイアブル展示。さっそく時間を早めたり巻き戻したりしてみた
Singularityを開発しているのは北米のデベロッパであるRaven Software。1990年の設立以来,もっぱらPC向けFPSを専門にしてきたメーカーであり,バイオレンス度の高いFPS「Soldier of Fortune」(2000年)がFPSプレイヤーに最も知られる代表作だろう。
とはいえ,最近はPC専業というわけにもいかないようで,マルチプラットフォーム展開を積極的に進めている。このSingularityもPCのほか,PLAYSTATION 3とXbox 360版が用意されている。基本的に独立系のデベロッパだが,1994年の「Heretic」でid Softwareの「Doom Engine」を使って以来,同社との関係が深く,そのつながりで1990年代後半以降のRaven Softwareのタイトルは,すべてActivisionがパブリッシングを担当している。
ちなみに,Activisionブランドでつい先日発売された「Wolfenstein」も,彼らが制作したタイトルだ。
Singularityは「時間」をテーマにした作品であり,似た題材を扱ったゲームとしてSierraが2007年にリリースした「TimeShift」や,Electronic Artsが2005年にコンシューマ機向けに発売した「TimeSplitters Future Perfect」があるのを思い出す人も多いだろう。本作では2010年と1950年を行き来して戦い,謎を解いていくことになる。
もっとも,主人公がどうしてここにいるのか,ここが正確にどこなのかはゲームをプレイした限りでは分からない。デモはゲームの途中から始まるし,なにしろテキストもセリフも完全ドイツ語版なので……えへへ。
言い忘れたが,デモに使用されていたのはXbox 360版だ。
いずれにしろ,そこはどうやら旧ソビエト連邦のどこか,今は廃墟となった研究施設らしい。主人公は銃のほか左手にTMD(Time Manipulation Device)と呼ばれる装置をはめており,これが本作のミソだ。TMDはさまざまなオブジェクトに対して時間を早めたり巻き戻したりできるというハイテク機器で,例えば階段が壊れて進めない場合,時間を巻き戻して壊れる前の姿に戻せばいいというわけ。壊れた箱にTMDを使えば元に戻り,壊れた8mm映写機に使えば,リールにかかっていたフィルムの再生が可能になり,ちょっとした手がかりが得られるという寸法だ。
ただ,デモ版では「壊れたものが元に戻る」便利な機械という以外の使い道はなく,あまり時間をいじっているような感じは受けない。また,TMDが使えるオブジェクトはそのように表示されるので,あれこれ工夫するという要素も薄そうだ。製品版ではもうちょっと頭を使うパズルが出てくるのかもしれない。
TMDにはオブジェクトを宙に浮かせるという機能もあり,床に落ちている電池を拾って壊れた自動ドアを修理するというシーンなどで使うことになる。この機能は事前に対象物を時間ライトで照らしていなければならないが,拾える位置関係がシビアで,なかなかオブジェクトをうまく浮かせられない。どうしてもできなかった筆者はブースの担当者を呼ぶことになったが,彼もまたちょっと苦労していたので,コツを飲み込むのには時間がかかりそうだ。
主人公は,過去に何が起きたのか見られる能力も持っている。ゲームを進める途中,特定の場所に立つと,「時間の波」が爆発的に訪れ,そこで起きたことがフラッシュバックするのだ。どうやらこの施設では時間に関する研究が行われており,それが失敗して大事故を引き起こしてしまったらしい。ええ,画面の雰囲気だけで言ってますけど。
ときおり襲いかかってくる不気味なクリーチャーは,そうした研究の結果,生み出されてしまったもののようだ。クリーチャー以外,銃を持ったソ連兵もこちらを攻撃してくる。
武器は最初にピストルとアサルトライフルを持っているが,途中でショットガンを拾った。弾丸も倒した敵が落としたものを拾うことになるが,拾う動作は必要ない。
さらにデモ版のクライマックスでは,名称不明ながら,焼けた鉄の棒(のようなもの)を撃ち出す遠距離攻撃武器が手に入り,これをアイアンサイトで撃つと,弾丸視点になる。Max Payneシリーズでも出てきたが,自分が弾丸となり,まっしぐらに敵に飛んでいくところが見られるわけで,これは非常にカッコよく,必要以上に撃ちたくなる魅力がある。
デモ版はゴッドモードになっていたため,銃撃ダメージの入り具合が分からず,本作がランボースタイルなのか,ある程度のカバーを取る必要があるのかは不明。敵AIの動きは良く,遮蔽物の背後に自ら飛び込んだりする。ヘルスは自動回復式が採用されている。
本作はこのように,TMDに関係するパズルを解いてルートを開拓し,ときどき現れる敵と撃ち合い,さまざまな証拠を集めてこの施設で行われていたことや,その背後に見え隠れする陰謀を暴いていくというゲームスタイルだ。基本的に一人で行動するタイプで,タクティカルな要素はなく,FPSとしてはきわめてオーソドックスな作り。別に新しくなければいけない理由もないので,個人的には好きである。
時間を操作するTMDは本作ならではの要素なので,壊れたオブジェクトの修理や戦闘時に使うだけでなく,これをさらにうまく生かした場面が出てくれば評価は高まりそうだ。また,ストーリー展開での意外さなどにも期待したい。
「Unreal Engine 3」によって描かれるグラフィックスは水準以上。掲載したスクリーンショットでもお分かりのように,暗い廃墟の雰囲気やモンスターの造形なども良好だ。デモをプレイした印象は,「ベテランのデベロッパによる手堅い作りの一本」。上述のように発売は2010年内が予定されている。Wolfensteinと雰囲気がカブっているので,ちょっと影が薄くなって損をしているところもあるが,FPSファンなら期待できる作品だ。
- 関連タイトル:
Singularity
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シンギュラリティ
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シンギュラリティ
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(C)2010 Activision Publishing, Inc. Activision is a registered trademark and Singularity is a trademark of Activision Publishing, Inc. All rights reserved. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.
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