10年の歳月を経て確かめられた，変わらない友情……「テイルズ オブ グレイセス Anniversary Party」レポート

　2019年12月10日は，「テイルズ オブ グレイセス」(Wii)の発売からちょうど10年となる日だ（PS3版の「グレイセス エフ」からは約9年）。そんな記念すべき10周年の日に先立ち，11月24日に千葉・舞浜アンフィシアターにて，「テイルズ オブ」シリーズタイトル単独イベント第2弾となる「テイルズ オブ グレイセス Anniversary Party」が開催された。


　「テイルズ オブ」シリーズのイベントではおなじみのスキット（朗読劇）を始め，キャストによるトークコーナー，オリジナルショートアニメの上映など，楽しい催しが目白押しで，ファンにとって夢のような2時間となった。

開場前，舞浜アンフィシアターの前を「グレイセス」ファンが埋め尽くす

　開演の約15分前，河原木志穂さんが演じるシェリアと，植田佳奈さんが演じるパスカルの寸劇形式での「場内の注意」が始まると，客席は一瞬水を打ったかのように静まり返る。しかし，すぐにふたりの声を邪魔しない程度のひそやかな歓声がそこかしこから漏れ，場内の空気は一気に和やかなものとなった。
　おそらくその場にいた誰もが，シェリアとパスカルに「再会」しただけでなく，「グレイセス」をプレイしていた頃の自分とも再会したのではないだろうか。

　今回出演が発表されていたキャストは，櫻井孝宏さん（アスベル・ラント役），花澤香菜さん（ソフィ役），水島大宙さん（ヒューバート・オズウェル役），河原木志穂さん（シェリア・バーンズ役）， 植田佳奈さん（パスカル役） ，中原 茂さん（ラムダ役）だ。「グレイセス」のキャラクターとあらすじを振り返る朗読と共に，キャストが次々とステージへ登場していく。
　

　そしてサプライズとして，浪川大輔さん（リチャード王子役）が姿を現すと，会場は大きな歓声に包まれた。
　今回のイベントの大半を占めたのは，作中の名場面を再現した朗読劇だ。東地宏樹さん演じる"教官"マリク・シザースから届いた手紙を，アスベルが読み上げていくという形で，「グレイセス」の懐かしい場面が再現されていく。

　アスベルたちによって窮地から逃れたシェリアだが，それでもすれ違い続けるアスベルとシェリアの心を，無垢なるソフィが取り持つ場面。
　世界の中心の島で見せたアスベルの優しさ，そしてリチャードの非情なる裏切り。
　そしてラムダが示す正論に，ただまっすぐに自分の思いと言葉をぶつけるアスベル──。

　朗読劇の終盤で，クロソフィの花が風花となって空を舞う場面では，観客たちが手にしたケミカルライトは，かすかに震えているようだった。

　朗読劇のあとは，パスカル役の植田佳奈さんを司会に，キャストの7人によるトークショーが始まった。残念ながら会場に来られなかった東地宏樹さんのビデオレターが再生されたあと，話題は「テイルズ オブ」シリーズのオーディションへと移る。


櫻井さん「『テイルズ オブ』シリーズはオーディションがあるたびに，仲間内でも話題になるんですよ」

浪川さん「僕はリチャード役が決まるまで3回落ちているんです。それなのに，スタッフの方にはもう出演したことがあると思われていたり（笑）」

河原木さん「私は最初にシェリア役のオーディションを受けたんですが，その後ソフィーのセリフも読んでくださいと言われて，やってみたら一瞬で『なんか違うかな……』というその場の空気が感じられました」

水島さん「記憶がはっきりしないんですけど，僕はヒューバート以外にも，アスベルも受けたような……」

櫻井さん「俺もヒューバートやリチャードのオーディションを受けた気がする。でも，あいまいな記憶のまま，この場を盛り上げるために嘘を言っているかもしれない（笑）」

浪川さん「もう全キャラ櫻井になりかねない（笑）」

花澤さん「私もオーディションの頃の記憶は，すでにモヤがかかっていて……」
中原さん「モヤモヤ？　ラムダ役も受けた？（笑）」

植田さん「（花澤さんは）あのころはかわいかったね，今でもかわいいよ！（笑）。私も浪川さんと同じく『テイルズ オブ』の新作のたびにオーディションで落ち続けていたんですけど，『グレイセス』のときはオーディションを受けなかったら，たまたまパスカル役のお話をいただけたんです……」

普段はゲームを遊ばないという中原 茂さん。最後に遊んだゲームを聞かれると「昔のテーブル筐体から止まっている。それこそ『インベーダー』とか……」と答え，ステージと会場を沸かせていた

　トークショーのあとは，リチャード王の戴冠式の日，アスベルが治める領地で起こった波乱含みのドラマを描いたスキットが演じられ，さらにオリジナルショートアニメも上映された。


　ステージのラストは，作中でアスベル，ソフィ，リチャードが交わした「友情の誓い」のセリフで締めくくられた。
　櫻井さん演じるアスベルの「たとえこの先何があっても，僕たちは友達でいよう」というセリフに，観客たちも「友達でいよう」と答え，作品の発売から約10年を経ても「変わらない友情」を確認した形となった。


　なお，今回の「テイルズ オブ グレイセス Anniversary Party」の模様は，2020年4月24日にBlu-rayとして発売される。イベントの思い出を振り返りたい人や，イベントの様子に興味がある方は，バンダイナムコアーツ公式オンラインショップ A-on STORE（https://a-onstore.jp/shop/tog-anniversary-party/）などで予約してはいかがだろうか。

　今から10年前といえば，WiiやPS3がまだ現役だった時代。「グレイセス」などをきっかけにこれらのゲーム機を手に入れ，思い入れたっぷりにプレイしたという人も多いかもしれない。
　いまだに冷めやらない「グレイセス」ファンの熱量に驚かされると同時に，「テイルズ オブ」シリーズが支持され続ける理由を再確認できたステージだった。

キャラクターたちの等身大パネルや，物販コーナーからは人の途切れる瞬間がなかったほど

「テイルズ オブ グレイセス」公式サイト