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日本マイクロソフトはXbox 360やXbox LIVEで,今後どのような展開を目指すのか。泉水 敬氏へのショートインタビューを掲載
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印刷2011/07/06 20:17

インタビュー

日本マイクロソフトはXbox 360やXbox LIVEで,今後どのような展開を目指すのか。泉水 敬氏へのショートインタビューを掲載

日本マイクロソフト 執行役 インタラクティブ・エンターテイメント・ビジネス ゼネラルマネージャー 泉水 敬氏
画像集#006のサムネイル/日本マイクロソフトはXbox 360やXbox LIVEで,今後どのような展開を目指すのか。泉水 敬氏へのショートインタビューを掲載
 日本マイクロソフトは本日(2011年7月6日),2012年度(2011年7月1日〜2012年6月30日)の開始にあたり,新年度の経営方針を説明する記者会見を開催した。また,記者会見後には懇親会が開催され,同社執行役 インタラクティブ・エンターテイメント・ビジネス ゼネラルマネージャーの泉水 敬氏に話を聞くことができた。ここでは,泉水氏に聞いた,Xbox 360/Xbox LIVE関連の話を中心にお伝えしていこう。
 なお,記者会見については以下にレポート記事を掲載済みなので,興味のある人は,こちらにも目をとおしてほしい。

関連記事:
日本マイクロソフト,2012年度の経営方針を発表〜Windows Phone 7の投入を明言し,実機も披露

 記者会見では,2012年度には「デバイス/コンシューマー」「クラウド」「ソリューション」の3分野に注力していくと説明され,その一環として,社内体制を強化するため,「コンシューマー&パートナーグループ」が設立された。

画像集#002のサムネイル/日本マイクロソフトはXbox 360やXbox LIVEで,今後どのような展開を目指すのか。泉水 敬氏へのショートインタビューを掲載 画像集#003のサムネイル/日本マイクロソフトはXbox 360やXbox LIVEで,今後どのような展開を目指すのか。泉水 敬氏へのショートインタビューを掲載

 それに伴い,泉水氏の肩書きは,「ホーム&エンターテイメント事業本部長」から「インタラクティブ・エンターテイメント・ビジネス ゼネラルマネージャー」に変わった。同社の経営執行チーム体制図では2011年度と大きな違いは見えないが,泉水氏が携わる業務がどのように変わるのかを聞いてみた。

「昨年度までは私が担当していたホーム&エンターテインメント事業部というのは,Xboxのビジネスと,それ以外のリテール,販売店でのOfficeやWindowsのビジネスも含まれていまして,私がその両方を担当していました。
 今期からは,Xboxのビジネスの専任として,Xbox 360,Kinect,そしてオンラインサービスの強化に取り組んでいくことになります。範囲は若干狭まりましたが,Xboxビジネスの責任が少し重くなったというか。……あまり変わらないですね(笑)」(泉水氏)

画像集#004のサムネイル/日本マイクロソフトはXbox 360やXbox LIVEで,今後どのような展開を目指すのか。泉水 敬氏へのショートインタビューを掲載

 コンシューマー&パートナーグループの事業には,Xbox 360だけでなくWindows Phoneなど関連デバイスも含まれることになる。これについてはどのような展開がなされるのだろうか。

「関連デバイスに関しては,たとえばWindows PhoneであればWindows Phoneの部隊がいますが,Windows Phone上で提供されるXbox LIVEのサービスや,その他エンターテイメントサービスに関しては,インタラクティブ・エンターテイメント・ビジネスの範疇になるので,私の担当になります。
 基本的に私は,プロダクトであるとかサービスそのものの担当なので,たとえばWindows Phoneであれば,実際に販売したり,通信事業者さんといろいろと話をしたりするのは,フィールドの部隊です。それをコンシューマー&パートナーグループに集約して活動することになります」(泉水氏)

 先述の記事でも紹介したように,説明会の後には,日本語対応したWindows Phone 7の次期バージョン「Mango」(マンゴー,開発コードネーム)の搭載端末実機が披露され,Xbox Live関連も問題なく動作していた。では,日本におけるWindows PhoneでのXbox LIVE関連コンテンツは,どのような展開を考えているのだろうか。

「北米ではすでに展開されていますが,たとえばアバターや実績を共有したり,LIVE上でのプレゼンスを共有したり,Xbox LIVE関連の商品を購入することもできるようになっていますので,日本でWindows Phoneを提供するときには,同様に展開できると思います。
 それ以外の機能がXbox LIVEにはたくさんありますので,今後はオンラインプレイも含めて,機能を拡張していきたいと思っています。ゲームタイトルにおいても,Windows Phoneとの連携を含めた展開が将来的には考えられると思います」(泉水氏)

 Xbox LIVEでは,Zune Videoのような,ゲーム以外のエンターテイメントコンテンツの配信も行われているが,今後は既存分野と新規分野で,どのようなコンテンツをどのようなバランスで提供していくことになるのだろうか。

「ゲームやZune ビデオ以外にもFacebookやTwitterもありますし,Kinectやアバターを使ったビデオチャットもあります。そういう意味では,コミュニケーション,ソーシャル・ネットワーク,そしてエンターテイメント,それぞれの分野でのサービスの幅を継続して広げていきたいと思います。まだまだやることはいっぱいありますね。
 皆さんにご提供する商品/サービスとしては半々くらいになると思いますけど,気持ちでは,新しいものをいっぱい入れていきたいですね」(泉水氏)

 またオンラインサービスといえば,最近のPlayStation Networkのネットワークサービス停止問題が記憶に新しいように,セキュリティ対策が気になるところだ。Xbox LIVEでは,セキュリティ対策にどのように取り組むのか,泉水氏の見解を聞いた。

「ハッキングは,ゲームに限らずオンラインでサービスやコンテンツを提供する業界にとっては,非常に大きな脅威です。日本マイクロソフトとしても,過去からゲームコンテンツ以外,たとえばWindowsやOfficeのアップデートもオンラインで配信していますので,以前からセキュリティに関しては,非常にプライオリティを上げて配慮して展開しているつもりです。
 この件は,我々としても教訓として,再度セキュリティを見直して,今後もユーザーの皆さんに安心して使っていただける,安全な環境を提供するために,セキュリティを強固なものにしていこうと思っています」(泉水氏)

 2011年度においては,Xbox 360ではKinectに注力した展開が行われていた。ワールドワイドでは好調で,2011年1月には,世界総計で800万台の売上を記録したことが発表された(関連記事)が,日本ではそこまでの勢いが感じられない状況だ。泉水氏に,これまでのKinectの展開を振り返っての感想と,今後の戦略について教えてもらった。

「正直に申し上げて,もっともっと日本の消費者の皆さんに,Kinectを知っていただくとともに遊んでいただきたかったですし,もちろん購入していただきたかったです。
 やはり,日本の消費者の皆さんの中には,まだまだKinectを知らない方が多いので,そういう方々にきちんとKinect体験をお伝えして遊んでいただき,購入していただいて,もっともっと普及させていけたらいいなと思います。
 我々の当初の戦略としては,Kinectが提供する体験の独自性や新鮮さを味わっていただくために,Kinect専用タイトルを中心に展開し,またゲームメーカー様にもお願いしてきました。
 今後はいかにコントローラとうまく組み合わせて使うか,ユーザーの皆さんがどちらかを選べるような,そういったタイトルが増えてきますので,そういう意味では,ハードルを少し下げられるかもしれません」(泉水氏)

 2011年6月には,KinectをWindows 7で使用するためのソフトウェア開発キット「Kinect for Windows SDK beta」が,非商用利用を前提に無料で公開された(関連記事)ことで,今後はゲームのデバイスという枠を超えた使い方も出てきそうである。また,同社で提供しているXNA Game Studioにも今後Kinectが対応すれば,Kinect対応タイトルが増えてくるであろうことも期待できる。そのあたりについて,泉水氏はどのように考えているのか聞いてみた。

「今回提供を始めたのはWindows版ですけど,今まで我々が提供してきているXNA Game Studioについても,今後Kinectに対応させて,ユーザーの皆さんがもっと自由にKinectのゲームを作れるようになればいいと思います。
 一方で,Windows版でご提供させていただいている開発環境はまだβ版ですけれども,ほぼXboxと同等の機能をKinectに関して持っていますので,想像力を働かせて,新しいものを作る機会が提供できるんじゃないかなと思います。ぜひ皆さんにいっぱい作っていただきたいですね。
 Kinectは,学術界を含めて,非常に多くの皆さんに興味を持っていただいています。今はゲーム機の操作のインタフェースとして商品化していますけど,デバイスと人とのインタフェースという意味では,非常に大きな第一歩だと思うんです。
 これまでは,コントローラ,キーボード,マウスというような,デバイスを通してしかインタラクティブ体験ができなかったものが,体の動きであるとか,声,さらには顔の表情であるとか,そういうものを含めて機械が認識して,反応できるようになると,適応エリアの範囲の広さは非常に大きいと思います。今後,何が出てくるのか私も想像が付きませんけど,非常に楽しみです。
 Kinectというデバイスの中には,ハード的にもそうですけど,とくにソフトウェアの面で,非常に多くのノウハウと研究の成果が詰まっています。そういう意味では,Kinectは姿勢インタフェースの中では,他社さんにはなかなか真似できないものだと思いますし,今後リードしていけるものなので,皆さんに使っていただきたいと思います」(泉水氏)

 日本マイクロソフトでは,2011年はKinectタイトルを押し出した展開だったが,2012年度はどうなるのだろうか。

「まず,Xbox 360を広く普及させていくためには,これまでの範囲を超えた,新しいユーザーの皆さんをプラットフォームにお迎えしなければいけないと思いますので,そういう観点では,Kinectのタイトル,ゲームが中心になると思います。
 一方で,我々にとって非常に大切な今までのユーザーさん,非常に熱心なゲームファンの皆さんに向けては,今まで以上に,よりハイクオリティで,非常に楽しめるゲームというのを,継続して提供していかなければならないと思っていますので,そこは二本柱で進めていきます。
 今年は,Kinectに話題が集まりがちなんですけど,コントローラゲームであったり,ハイブリッドゲームであったり,非常に充実しているので,ゲーム業界としては楽しみな1年になるんじゃないかなと思いますね」(泉水氏)

 Xbox 360のゲームタイトル,とくに日本マイクロソフトからリリースされるタイトルでは,海外スタジオ開発のものが多いという印象を持つ人は,少なからずいるだろう。海外スタジオ制作のタイトル,いわゆる“洋ゲー”については,海外で大ヒットしたものでも,日本では苦戦することもある。その点について,泉水氏の見解を聞いてみた。

「日本の市場でゲームビジネスを展開していくうえで,日本のコンテンツが非常に重要だというのは以前から認識していますし,その認識のもとに,日本のメーカーさんにもさまざまなゲームを作っていただいています。
 今までにも,Xbox 360が販売のピークを迎えた時期には,やはり日本のメーカーさんのゲームがきっかけになっているケースが多いので,今後も同様の取り組みはしていきたいと思います。
 一方で,なかなか日本市場で100万本を超えるような販売数を達成するのは,メーカーさんにとっても非常に難しい状況になってきています。
 そういう意味では,日本のメーカーさんにも海外で勝負していただきたいと思いますし,我々もそのご支援をする体制・基盤は,インストールベースを含めて持っていると思うんですけど,なかなかメーカーさんがそこに踏み込めない状態なのかなという気もしています。
 そうは言いましても,カプコンさんのように,海外を含めてマルチミリオンのタイトルを継続して出されているメーカーさんもありますので,ほかのメーカーさんもそういう実績を上げられるように,最大限のお手伝いをしていきたいと思います」(泉水氏)


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