連載
【ヒャダイン】「FF」の想い出をレコードキープする2015年。
ヒャダイン / 音楽クリエイター
ヒャダインの「あの時俺は若かった」 |
第37回「『FF』の想い出をレコードキープする2015年。」
そんな中,どうしても見逃すことができないCM。それが「ファイナルファンタジー レコードキーパー」(iOS / Android。以下,FFRK)のものでした。TVから流れる「ファイナルファンタジー」のメインテーマ,さらに第一作から始まる数々の名場面が流れてくる。これは反則だよ! 見入ってしまうじゃないか!!
そんなわけで,年末年始にインストールしました,FFRK。自分の中でかなりハードルが上がった状態で始めたのですが,これがまあ面白い面白い。面白いし,懐かしいし,新しいし。ここ数年で作り上げられたスマホゲームのお約束を組み込んでいることもあってか,すんなりと入って行けます。
ストーリーは,とても単純かつ画期的。舞台は従来のFFシリーズの「記憶」によって秩序と安定がもたらしていた世界。ところがある日,謎の力によってその記憶が散り散りになってしまったため,主人公はそれを取り返すための冒険に出るのです。
その記憶を取り返す過程が大変面白く,例えば「ファイナルファンタジーIV」の記憶を取り返すときには,「IV」という扉をガチャンと開けて世界に入っていくのですが,一度入るとBGMから敵キャラからダンジョンから,何から何までFFIVの世界!!!
攻略の流れとしては一般的なスマホゲームを踏襲していて,一定量のポイントを消費してダンジョンに突入。大体3体(※ランダムで変動)の敵を倒して,アイテムやギルをゲットする流れを約3回。最後は中ボスを倒してクリア報酬。ポイントは時間が経てば回復するけど,有料のアイテムでも回復できるという例のヤツです。
ストーリーを進めていくと,歴代シリーズの人気キャラクター達がプレイアブルキャラクターとして出てくるのが,とても嬉しいんですね。しかも時間軸が違うキャラクターで一つのパーティを組むこともできるので,まさにドリームチームを編成できるわけです。リディアとティナとレナが同じチームにいる。なんて素敵なことでしょう。
武器や防具はガチャだったりドロップアイテムだったりといった形でゲットできるのですが,それも各シリーズでおなじみのもの。それをシリーズをまたいで装備できるので,これまた胸熱です。
アビリティを習得するためにオーブを集めたり,武器防具を精錬したり,いろいろとやりこみ要素が満載である一方,スマホゲームならではの手軽さもあって,バトルをオートモードにすると勝手に戦ってくれます。つまり,ほかの作業をしながらもレベル上げや素材狩りができちゃうわけです。ズボラぶっこける。よく出来てますよ。
だけど,今回に関してはちょっと違うと思うんですよ。基本,今までのFFシリーズのストーリーをなぞっていく形なので,プレイヤーとしても次にどんなボスが出るか,何が弱点か,とか大体想像つくんですよ! これが楽しい部分でもあるんですが,そうなるとプレイする前から壮大なネタバレが行われているようなもので。その上,放っておいても攻略サイトは作られるんですから……となると,潔いですねえ。ゲーム内に攻略Wikiへのバナーを貼っているほどに潔い。今の時代,って感じがします。
でね。今回FFRKをやって痛感したのが,音楽の重要さなんです。僕はFFRKと同じスクウェア・エニックスから配信されている「乖離性ミリオンアーサー」(iOS / Android)のBGMを伊藤賢治さんと一緒に担当したこともあって,スマホゲームにおける音楽の重要度が増してきているなあと体感しているのですが,今回FFRKで使われている音楽って,ほぼすべて過去シリーズの音源なんですよ!
「FFIII」までは3和音+1ノイズのチップチューン。その後はスーパーファミコンサウンド。そしてPlayStationへ……と,音源自体が進化していく過程も味わえます。音を消しながらプレイしたらそうでもないけど,イヤフォンしてプレイしたら郷愁が一気に襲いかかってくるんですよ!
小学校から帰ってきてイソイソとファミコンに電源を入れて,ブラウン管の前でまばたきもせずにプレイしたあの日の空気感がゾゾゾーと蘇ってきます。このゲーム,FFRK,憎いことに思いもよらないところでいろんなシリーズから曲を引っ張ってくるんです!
いきなりFFVIのチーム分けの曲がかかったりした日にゃ,テンションがぶち上がりますよ! もちろん,懐かしいグラフィックスや昔のフォントを見てプレイバックするところもありますが,音の破壊力がパないです。一小節聞いただけで臨場感が蘇ります。今風にリメイクするんじゃなくて当時の雰囲気をそのまま楽しめるのがミソなんでしょうねえ。これはこのシリーズにしかできない特権ですね。
このようにドハマりしてしまったFFRKなんですが,スクエニさん,これって発明だと思うんです! 過去の作品をこのように新しい作品に組み込むって,発明ですよ。ということはですよ。スクエニさん! 「ドラゴンクエスト」! 「ロマンシング サガ」! 「聖剣伝説」! などなど,たくさんレジェンドが眠っているので,これらもぜひぜひレコードキープさせてほしいんです。お願いします!
FFRKに話を戻しますが,きっとこれからもっと参戦キャラクターも増えるでしょうし,アップデートで全体魔法も使えるようになるでしょうし,レイズやアレイズにもいずれ対応するんだろうなと期待しております。これはFFファン,マストプレイですよ!
■■ヒャダイン(音楽クリエイター)■■ 現在上映中の映画「海月姫」で,初めて劇判を担当したヒャダイン氏。この作品でメガホンを取った川村泰祐監督と,綿密な打ち合わせを重ねて作り上げた楽曲が,「映画『海月姫』オリジナル・サウンドトラック」として,2015年2月25日にリリースされることになりました(※iTunes Storeでは先行配信中)。必聴です。 |
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ファイナルファンタジー レコードキーパー
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