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AMD,2009年下半期のPC戦略説明会を開催。未発表CPUの投入公表や,新たなバッテリー駆動時間表示法の提案も
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印刷2009/08/10 18:12

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AMD,2009年下半期のPC戦略説明会を開催。未発表CPUの投入公表や,新たなバッテリー駆動時間表示法の提案も

Leslie Sobon氏(Vice President, Product Marketing, AMD)
画像集#002のサムネイル/AMD,2009年下半期のPC戦略説明会を開催。未発表CPUの投入公表や,新たなバッテリー駆動時間表示法の提案も
 2009年8月10日,AMDの日本法人である日本AMDは都内で説明会を開催し,2009年下半期の一般PCユーザー向けPCプラットフォーム戦略を公表した。今回は,AMD本社のプロダクトマーケティング担当副社長であるLeslie Sobon(レスリー・ソボン)氏が語った内容を中心に,そのポイントをまとめてみたい。


「Ultrathin」ノートPCに注力するAMD

未発表の「RS880M」搭載ノートを世界初公開


AMDによる,2008年3月時点の調査結果。一般PCユーザーの過半数が,PCをテレビ以上のエンターテイメント機器と認識しているという
画像集#003のサムネイル/AMD,2009年下半期のPC戦略説明会を開催。未発表CPUの投入公表や,新たなバッテリー駆動時間表示法の提案も
 説明会の冒頭,Sobon氏は,一般PCユーザーがPCで何をしているかについてAMDが行った調査の結果を公開。「単にメールのやりとりとオフィスソフトを使っているだけではない。テレビ番組や映画の鑑賞,写真やムービーの編集。今やPCは,iPodやテレビと同じく,エンターテイメント用のデバイスになっている。AMDは,こういった調査結果を基に,将来のプラットフォームの計画を立てている」(Sobon氏)として,同社が「Ultrathin」(ウルトラシン)と呼ぶ,薄型のノートPCに,2009年後半は注力していくとした。

 Sobon氏によると,AMDの考えるノートPC市場は,14インチ以上の液晶パネルを搭載した「Mainstream」(メインストリーム)と,厚さ1インチ(=25.4mm)以下を実現したUltrathinの2セグメントに分けられる。「AMDとしては,Ultrathinに時間と人的リソースを割いて最適化を進めている。Netbookを対象としてはいないが,それは,エンドユーザーが機能の充実を求めているからだ」(Sobon氏)。

AMDの見据えるノートPC市場。ちょっと分かりにくいが,第1世代(1st Gen,旧「Yukon」)と第2世代(2nd Gen,旧「Congo」)は棲み分けるのではなく,後者が全体をカバーする
画像集#004のサムネイル/AMD,2009年下半期のPC戦略説明会を開催。未発表CPUの投入公表や,新たなバッテリー駆動時間表示法の提案も

 従来,開発コードネーム「Congo」(コンゴ)と呼ばれていた(が,コンゴの政情などの理由から,最近ではそう呼ばれなくなっている)第2世代のUltrathinノートPCで,第1世代のUltrathinノートPCが持っていた市場も含め,広い価格帯に訴求していくという。「市場のスイートスポットは550〜800ドルくらいだろう」(同氏)。

Intel製プラットフォームとの違い。Atomプラットフォームに対してはほとんどの項目で圧倒し,CULV(Consumer Ultra Low Voltage)に対しては,互角以上の機能を,より低価格で提供できると謳われる
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 とはいえ,この第2世代のUltrathinノートPCプラットフォームが狙う市場は,それだけに留まらない。Sobon氏は,MainstreamノートPCと,超小型もしくは一体型のデスクトップPCにも展開すると予告する。

TDP 18WのデュアルコアCPU(※ここではAthlon Neoとされている)とAMD M780G(ATI Radeon HD 3200,DirectX 10対応)をベースとする,第2世代のUltrathinノートPCプラットフォームが,2009年後半の主役。これをベースに,MainstreamのノートPCと,低消費電力型デスクトップPCの市場も狙っていく
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●MainstreamノートPCに展開される「Tigris」


Tigrisプラットフォームの概要
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 第2世代のUltrathinノートPCプラットフォーム(=Congo)をベースとする,MainstreamノートPCプラットフォームの開発コードネームは「Tigris」(タイグリス)。氏は「世界初公開だ」として,未発表のチップセット「RS880M」(開発コードネーム。製品名は順当に行けば“AMD M785G”か?)を搭載したMSI製のノートPCを披露した。
 グラフィックスブランドは「ATI Mobility Radeon HD 4200」。Tigrisは,世界初のDirectX 10.1対応プラットフォームとして,Windows 7と連動する形で訴求される見通しだ。

画像集#009のサムネイル/AMD,2009年下半期のPC戦略説明会を開催。未発表CPUの投入公表や,新たなバッテリー駆動時間表示法の提案も
世界初公開とされた,Tigrisプラットフォーム採用のMSI製ノートPC(写真中央)。Windows 7が動作していた
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そのデバイスマネージャ。「AMD Turion II Ultra Dual-Core Mobile M640」とATI Mobility Radeon HD 4200の搭載を確認できる


●小型&一体型PC向けに,未発表CPUを多数投入


デスクトップPC市場のシェア推移(上)と,AMDが狙う低消費電力デスクトップPC市場の概要(下)。ミニタワーPCの置き換えを,AMDが提唱するDTXフォームファクタベースの小型PCで図るほか,超小型PC市場もターゲットとなっている
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 「デスクトップPCの市場は,日本では全体の30%程度であるなど,縮小が続いている。だがそんななか,唯一伸びているのが,『Small Form Factor』(以下,SFF),もしくは『All-in-One』(以下,AIO)といった省電力PCだ」とSobon氏。500〜1000ドル程度の価格帯に,UltrathinノートPCプラットフォームベースのSFFやAIOを投入するというのが,AMDの計画である。

 その市場で投入される予定とされたプロセッサのリストが,下のスライドになる。「Athlon II X4」や「Athlon II X4 energy efficient」,「Athlon II X3 energy efficient」「Athlon II X2 energy efficient」「Athlon II X2 ultra low power」「Athlon II ultra low power」といった,未発表のCPUがズラリと並んでいる点に注目してほしい。詳細は明らかにされなかったが,2009年後半とされている以上は,順次市場投入されるものと思われる。

未発表CPUだらけのスライド。Athlon II X2は新規開発のデュアルコアCPU(関連記事)なので,Athlon II X4/X3は,開発コードネーム「Propus」「Rana」とされてきた,Phenom IIベースのCPUである可能性が高い。Athlon IIはAthlon II X2のシングルコア版か。なお,AMDでは,TDP 65WのモデルをSFF向け,同45/25WをAIO向けと位置づけているようだ
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アプリ実行時とアイドル時

携帯電話風のバッテリー駆動時間を提唱


携帯電話のように,複数のバッテリー駆動時間情報を提供してはどうか,とSobon氏は提案する。「AMDの意見を押しつけたいのではない。提案だ」(同氏)
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 説明会ではもう一つ,バッテリー駆動時間の計測方法も話題となった。
 Sobon氏は,米国でバッテリー駆動時間表示法のスタンダードとなっている「MobileMark 2007」を挙げて,「エンドユーザーは,PCでビデオを観たり,メールソフトとFacebookを同時に使ったりと,いろいろな作業をこなしている。それに対し,MobileMark 2007は,CPUの使用率が7%程度だったり,無線LANが無効化されていたりと,実際のユースケースと乖離がある」と指摘。そのうえで,「携帯電話の『連続通話時間』と『連続待ち受け時間』のような表示はできないだろうか?」と問いかけた。両方の値があれば,エンドユーザーは,「現実的なバッテリー駆動時間が,その二つの数値の間にあること」を理解できる,というわけである。

 そこで,携帯電話における連続通話時間に相当する,「いろいろな作業をこなしている」ときの妥当な負荷状況を仮想的に作れるものとして,Sobon氏はHDビデオのスクリプトと,「3DMark06」を挙げる。CPUとGPUに適度な負荷がかかっており,PCがかなりヘビーに動いているときの指針になるからというのが,氏の主張だ。
 そして,MobileMark 2007実行時と,HDビデオのスクリプトおよび3DMark06実行時で,Intel製プラットフォームとバッテリー駆動時間を比べた結果を示したのが,下のスライドになる。「低負荷時のバッテリー駆動時間は,確かに競合のほうが優れている。しかし,負荷がかかっているときは,ほぼ互角。AMDは,アイドル時,スリープ状態の最適化ではなく,今後もPCを使っているときの消費電力改善を図っていく」(Sobon氏)。

CPU以外のシステム構成を可能な限り揃えた状態で比較した4パターンのテスト結果をまとめたスライド。MobileMark 2007のスコアではIntel製プラットフォームの優秀性が光るものの,HDビデオ再生や3DMark06といった負荷のかかった状態では,バッテリー駆動時間に違いはほとんどないという。要するに,今回の提案でAMDが訴えたいポイントはここである
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AMDの提案する「Active Time」「Resting Time」別バッテリー駆動時間表記のロゴ。Active Timeの計測方法とそのアップデート方法さえ関係各社の合意が取れるなら,今すぐ世界規模で始めてもいいほどのアイデアだと,個人的には思う(※サムネイルをクリックすると,別ウインドウで全体を表示します)
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 それをエンドユーザーに理解してもらうため,AMDは欧米市場で,「Active Time」(=ヘビーな利用時)と「Resting Time」(=アイドル時),二つのバッテリー駆動時間情報の提供を始めたという。一部の小売店舗では,実際にそれを表示してもらう方向で動いているそうだ。
 日本では,「JEITAバッテリ動作時間測定法」(Version 1.0)が主流だが,この点に関して,日本AMDでPCプラットフォーム・プロダクトマーケティング部 部長である土居憲太郎氏いわく「JEITAの会員でもあるノートPCメーカーに,今のルールを捨てて,AMDの提案を採用してもらうことは,現時点では考えていない」。ただし,小売店舗での表示については,今すぐではないとしながらも,交渉していく可能性を示唆していた。


 以上,ハイエンド志向のPCゲーマーからすると,肩すかしもいいところだが,オンラインゲームなど,3D描画負荷の低いゲームタイトルをターゲットに,ノートPCや小型PCの購入を考えている人,とくに,Windows 7の登場に合わせてシステムを刷新したい人には,価値のある情報が多くもたらされた印象だ。未発表CPU群も,コストパフォーマンスや,消費電力の低さを重視する自作派ゲーマーにはなかなか興味深いだけに,製品の市場投入が順調に進むことを大いに期待したいところである。
  • 関連タイトル:

    AMD M7

  • 関連タイトル:

    Athlon II

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