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GeForce GTX 400
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  • 発表日:2010/03/26
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GTX 470のクロックアップモデル「風神」で,GTX 480相当の性能を目指してみた
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印刷2010/05/24 10:30

レビュー

オリジナル設計のGTX 470カードでGTX 480相当の性能を目指してみる

Galaxy GF PGTX470-OC/1280D5 FUJIN

Text by 宮崎真一


GF PGTX470-OC/1280D5 FUJIN
メーカ−:Galaxy Microsystems

問い合わせ先:[email protected]
実勢価格:4万6000〜4万7000円程度(※2010年5月24日現在)
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 最安値では3万円台半ばから購入できるようになったことで,「ATI Radeon HD 5850」の対抗馬として,ようやくその立ち位置を確保できるようになりつつある「GeForce GTX 470」(以下,GTX 470)。価格がこなれてきたのと歩を合わせるように,カードベンダーのオリジナルデザインを採用した製品も登場し出している。今回取り上げる,Galaxy Microsystems(以下,Galaxy)の「GF PGTX470-OC/1280D5 FUJIN」(以下,GTX 470 FUJIN)もその一つだ。
 「風神」の名を冠した,Galaxyオリジナル仕様のGTX 470カードは,従来のリファレンスデザイン採用モデルと比べて,どういったメリットがあるのか。Galaxyから実機の貸し出しを受けられたので,その実力を検証してみたい。


メンテナンス性を確保する「開閉式クーラー」搭載

カードサイズ短縮も,実運用上は短くなっていない


GPUクーラーは,ファンの部分を扉のように開けられる
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 GTX 470 FUJINの外観で,最も目を引くのが,カード全体を覆うオリジナルGPUクーラーであることに,異を唱える人はいないだろう。
 グレーという色もけっこうユニークだが,真にユニークなのは,ファン部分が開閉式になっており,ヒートスプレッダ部に溜まりやすい埃(ほこり)を掃除しやすくなっていること。長期間使っていると,どうしても吸気部分には埃が付着しやすくなるが,これをエアダスターなどで簡単に取り除ける,というわけである。
 ちなみに公称の動作音は最大42dBAで,Galaxyによると,これはリファレンスクーラー比で4dBA小さいとのこと。実際に聞いてみた筆者の主観になることを断ったうえで続けると,試聴印象も,たしかにリファレンスクーラーより静かだった。

マニュアルでは,「2か所あるストッパー部分をつまめば簡単に開く」といった感じで紹介されている開閉式ファンだが,少なくとも貸出機だとストッパーが固く,「片方の手でストッパーを緩め,もう片方で持ち上げる」ようにしないと開かなかった。まあ,使っている最中,勝手に開かないと思えば,この仕様もアリか
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スケジュールの都合で,リファレンスデザイン採用モデルと並べた写真を撮影できなかったため,Galaxyの製品情報ページより引用。カードサイズは0.5インチ(12.7mm)短いとされる
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 もう一つの大きな特徴が,GTX 470のリファレンスデザインより0.5インチ(約12.7mm)短いとされるカードサイズだ。実測だと227mm(※突起部除く)だったので,リファレンスデザインの同243mmより16mm短いことになる。
 ただ,「短くなった=扱いやすくなった」というわけではない。というのも,リファレンスデザインだと,マザーボードに差したとき,マザーボードに対して垂直方向に取り付けられていたPCI Express補助電源コネクタが,GTX 470 FUJINだと,水平方向へと変更になっているのである。つまり,カードサイズは短くなったが,補助電源ケーブルで,その短縮分は相殺されてしまう(あるいは,ケーブルの硬さ次第ではむしろ全長が長くなってしまう)のだ。この点は気に留めておくべきだろう。

補助電源コネクタが6ピン×2という仕様である点そのものはリファレンスデザインと同じ。カード裏面を見ると,リファレンスデザインにあった吸気口がなくなっており,確かにGalaxyオリジナルの基板になっていることが分かる
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 GPUクーラーを取り外して基板レイアウトを見てみると,オリジナルデザインが「どの方向」を向いているのかが分かる。GPUを取り囲むように10枚のメモリチップを搭載し,容量1280MBを実現している点はリファレンスデザインと変わらないが,電源供給を担うVRM周りは,まったく別物だ。

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外部出力インタフェースはDual Link DVI-I×2,Mini HDMI×1で,リファレンスデザインと同じ。Mini HDMI−HDMI変換ケーブルが付属していた(左)。GPUクーラーは,4本のヒートパイプが走るタイプで,メモリチップとVRM部には単体のヒートスプレッダも取り付けられている(中央,右)
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リファレンスデザインとは電源部のデザインがまったく異なるGTX 470 FUJIN(左)。搭載するGPUのヒートスプレッダに刻まれる刻印は「GF100-275-A3」で,これはリファレンスデザインと同じだ(中央)。搭載するメモリチップはSamsung Electronics製のGDDR「K4G10325FE-HC05」(0.5ns品)で,これもリファレンスデザイン採用モデルと同じ(右)

 ちなみに,製品名に「OC」とあることからも分かるとおり,GTX 470 FUJINは,ベンダーレベルのクロックアップが下記のとおりなされている。またGalaxyは貸し出しに当たって,同社がWebサイトで公開しているオーバークロックツール「Xtreme Tuner HD」を利用することで,さらなるオーバークロック設定も可能と述べていた。

  • コア:625MHz(リファレンス607MHz)
  • シェーダ:1250MHz(リファレンス1215MHz)
  • メモリ:3348MHz相当(実クロック837MHz,※リファレンスと同じ)

オリジナルデザインの効果か

オーバークロック耐性は大きく向上


Xtreme Tuner HD
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 というわけで,パフォーマンス検証へ入る前に,Xtreme Tuner HDを使ったオーバークロック動作を試してみたい。

 Xtreme Tuner HDは,コアクロックとシェーダクロック,メモリクロックのカスタマイズに留まらず,コア電圧の設定と,ファン回転数およびコア温度のモニタリングができるツールだ。

Xtreme Tuner HDでは,定格だけでなく,2Dアプリケーション実行時や,3Dだが,負荷の高くないアプリケーションを実行するときのクロックも設定できる
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 今回は,後述するテスト環境を用い,GPUストレスツール兼ベンチマークソフトである「FurMark」(Version 1.8.2)で負荷を掛け,システムがフリーズすることなく,6時間動作し続けたことをもって「安定動作」と判断することにしたが,結論からいうと,GPUコア電圧を定格937mVから1087mVまで引き上げた状態で,

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  • コア:810MHz(カード定格比約1.3倍)
  • シェーダ:1620MHz(カード定格比約1.3倍)
  • メモリ:3600MHz相当(実クロック900MHz,カード定格比1.07倍)

という動作クロックで安定動作している。
 リファレンスデザイン採用のGTX 470のテストに当たって(当時はオーバークロックツール側の制約があったため,必ずしも同列の比較ではないものの)コア700MHz,シェーダ1400MHz,メモリ3.6GHz相当までしか上がらなかったことを考えると,Galaxyのオリジナルデザインには,一定のオーバークロック耐性向上効果を認めていいだろう。

※注意
グラフィックスカードのオーバークロック動作は,グラフィックスカードメーカーやGPUメーカーの保証外となる行為です。最悪の場合,グラフィックスカード本体やマザーボードなど構成部品の“寿命”を著しく縮めたり,壊してしまったりする危険がありますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。本稿を参考にしてオーバークロック動作を試みた結果,何か問題が発生したとしても,メーカー各社や販売代理店,販売店はもちろん,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。

Rampage III Extreme
ブラッシュアップを果たしたゲーマー向けボード
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) [email protected]
価格:未定(※2010年5月24日現在)
画像集#019のサムネイル/GTX 470のクロックアップモデル「風神」で,GTX 480相当の性能を目指してみた
 テスト方法は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション9.2準拠。ただ,それではDirectX 11環境のテストが少なくなるため,リファレンスデザイン版GTX 470カードのテスト時と同様,DirectX 11モードで実行した「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat」(以下,STALKER CoP)公式ベンチマークテストも加える。一方で,テストスケジュールの都合から,レギュレーション9.2準拠のタイトルは「3DMark06」(Build 1.2.0)と「バイオハザード5」,そしてDirectX 11モードで実行した「Colin McRae: DiRT 2」(以下,DiRT 2)に絞り,さらに解像度は1680×1050&1920×1200ドットの二つとした。

 このほかテスト環境はのとおり。今回はATI Radeon HD 5000シリーズを比較対象に加えていないので,同シリーズとの力関係は,先に掲載したGTX 470のレビュー記事と見比べながら推測してもらえれば幸いだ。

画像集#020のサムネイル/GTX 470のクロックアップモデル「風神」で,GTX 480相当の性能を目指してみた

 なお,差すグラフィックスカードによってその効き具合が異なることを避けるため,CPUの自動オーバークロック機能である「Intel Turbo Boost Technology」はBIOSから無効に設定した。一方,「Intel Hyper-Threading Technology」は有効にしたままとなる。
 また以下,昇圧してクロックを引き上げた状態を「GTX 470 FUJIN[OC]」と表記することを,あらかじめお断りしておきたい。


パフォーマンスは基本的にGTX 470を踏襲

OC効果は限定的だが,確かにある


 さて,グラフ1,2は3DMark06のテスト結果である。GTX 470 FUJINは,メーカーレベルのクロックアップがなされているものの,そのメリットはほとんどない。GTX 470 FUJIN[OC]だと,1680×1050ドットだとスコアを伸ばすが,1920×1200ドットで,メモリ周りのパフォーマンスがより問われるようになると,逆にスコアを落とす結果となってしまった。オーバークロックによる不安定さが垣間見える結果といえよう。
 また,1680×1050ドット設定時も,GTX 480のスコアに届いていない点は,押さえておきたいポイントだ。

画像集#022のサムネイル/GTX 470のクロックアップモデル「風神」で,GTX 480相当の性能を目指してみた
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 続いてグラフ3は,STALKER CoPを「標準設定」で実行した結果だが,GTX 470 FUJINとGTX 470の間に有意なスコア差がないのは3DMark06と同じ。
 よりグラフィックス描画負荷の低い「Day」と「Night」の1680×1050ドットで,GTX 470 FUJINのスコアがGTX 480をわずかに上回るのは目を見張る一方,「Rain」や「SunShafts」といった負荷の高い条件だと,1680×1050ドットでもGTX 470 FUJINの定格動作時と変わらないスコアに留まった。

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 グラフ4に示した高負荷設定時も,状況は変わらない。

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 グラフ5,6にその結果をまとめたバイオハザード5だと,メモリ周りよりも,純然たる演算性能が問われることもあって,GTX 470 FUJIN[OC]が安定的に高いスコアを示し,GTX 480と同等の水準に達する。

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 DiRT 2のテスト結果も,バイオハザード5と同じ傾向を示した(グラフ7,8)。さすがに高負荷設定だとGTX 480が地力を見せたが,標準設定でGTX 470 FUJIN[OC]がGTX 480を上回るスコアを示した点は注目に値しよう。

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アイドル時の消費電力は若干改善?

オーバークロック時は相当に高くなる


オリジナルデザインを採用したGTX 470 FUJINでは,ファン部分に青色LEDが埋め込まれており,動作中,青く点灯する
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 オリジナルデザインの採用で気になるのは,高いことで知られる消費電力に改善があったのかどうかだ。
 そこで,ログを取得できるワットチェッカー「Watts up? PRO」で,システム全体の消費電力を計測してみることにした。OSの起動後,30分間放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,各タイトルごとの実行時としている。

 結果はグラフ9に示したとおり。動作クロックが若干高い分,アプリケーション実行時の消費電力はGTX 470 FUJINがGTX 470よりも高くなっているものの,その違いはわずか。むしろ,アイドル時の消費電力が(こちらもわずかだが)下がっている点には,相応の価値を見い出せるかもしれない。
 一方,コア電圧を高めてオーバークロック設定を行ったGTX 470 FUJIN[OC]は,“あの”GTX 480をも上回る数字を叩き出した。昇圧を伴うオーバークロック設定に当たっては,電源ユニットに対する配慮も必要になると思われる。

 ちなみに,GTX 480の消費電力だが,GTX 480リファレンスカードを用いたレビュー時と比べて,全体的に20Wほど低下している。今回,店頭で購入してテスト用いたEVGA製品もリファレンスデザインなので,先にテストした個体とそれほど大きくは変わっていないはずなのだが,ことによると,EVGAは独自にVBIOSから電圧設定を変更している可能性もありそうだ(※リファレンスカードはすでに返却済みだったので,比較できなかった)。

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 最後に,3DMark06の30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,室温20℃の環境に置いたバラック状態におけるGPU温度をチェックし,GTX 470 FUJINの搭載するオリジナルクーラーの冷却能力を見てみたい。
 「GPU-Z」(Version 0.4.2)から取得したテスト結果をまとめたのがグラフ10になるが,ご覧のとおり,GTX 470 FUJINの搭載するGPUクーラーは,リファレンスカードよりも10℃弱低い値を示している。少なくとも,「リファレンスクーラーより静かで冷える」ことは間違いない。

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オーバークロックは試す価値あり

しかし,最大のネックは価格


製品ボックス
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 GTX 470 FUJINは,オリジナルデザインを採用することで,リファレンスデザインの製品よりも高いオーバークロック耐性を発揮し,限られた条件下ではあるものの,GTX 480と同等か,それ以上のパフォーマンスを引き出すこともできる。もちろん,今回のオーバークロック耐性がすべての個体で保証されるわけではないので,その点は注意が必要であるものの,オーバークロック前提で遊びたいという場合には,なかなか面白い存在といえる。
 また,高い冷却能力を持ち,メンテナンスへの配慮もあるクーラーを搭載するメリットを生かし,長く使っていきたいというニーズにも応えられるだろう。

 ただ,それをもってお勧めとするには,さすがにコストパフォーマンスが低すぎる。GTX 470 FUJINの実勢価格は4万6000〜7000円程度(※2010年5月24日現在)で,3万5000円前後から購入できるリファレンスデザイン採用モデルと比べると,相当に割高なのだ。静音性と冷却性能,オーバークロック耐性は確かに魅力なのだが,1万円もの価格差を納得できるほどのギミックかというと,そうではない人のほうが多いのではなかろうか。
 その意味でGTX 470 FUJINは,6月以降,夏のボーナス商戦に向けて,4万円程度にまで店頭価格が下がってくれば面白い存在だとまとめておきたい。
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