【PR】クリア後の世界を見ればプレイヤーの人間性が分かる!?　壮大な王様適性テストとしても楽しめるPC版「Fable III」プレイレポート

　日本マイクロソフトは，Games for Windows版（以下，PC版）「Fable III」を5月20日に発売する。前回，こちらの特集記事を通じて，あらためて「Fable」シリーズの特徴と魅力について紹介したが，いよいよ発売日も迫ってきたということで，今回はより詳細なプレイレポートをお届けしようと思う。

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「Fable III」公式サイト

数々の出会いが主人公を強くする！

アルビオンの革命を目指す第1部

　前回の記事でも軽く触れたが，Fable IIIには，メインストーリーがシリーズ初の2部構成になっているという大きな特徴がある。主人公が少年（少女）時代に自らの運命を大きく左右する事件に遭遇し，何年かの時を経て成長してから冒険の旅に出るという流れになっていた「I」「II」とは違い，本作の主人公はゲーム開始時から立派な大人。しかも，アルビオン王国の王子（王女）という何不自由のない立場にある。

　ただし，主人公は亡き先代国王の第二子であり，現国王として国を統治しているのは冷酷非道な性格で民から恐れられている実の兄。ある日，エスカレートする兄王の暴政について意見したことで怒りを買ってしまい，「恋人を処刑するか，民衆を処刑するか」という残酷な選択を迫られ……それがきっかけで主人公は城から出奔。恐怖に支配された国を救うため，仲間を集めて兄王の打倒を目指すというのが第1部のおおまかなストーリーだ。


　第1部時点でのゲーム内容は，基本的にFableシリーズの特徴を踏襲したものになっており，従来作と比べてプレイフィールに大きな違いはない。アクション面では，攻撃ボタンをタイミング良く押すだけのシンプルな操作で，近接攻撃/遠隔攻撃/魔法攻撃を使い分けられるし，下着泥棒や誘拐など，本作特有のブラックなセンスが光るサブクエストも豊富に用意されている。

　なお，武器に関しては新たな強化要素が導入されており，例えば「ゾンビを300体倒す」などの条件をクリアすることで，性能や見た目が変わっていくというシステムになった。最初は弱い武器でも，使い続けると見違えるほど強くなることがあるので，武器を収集/強化する楽しみが大きく増している。


　もちろん，ストーリーを進めていくうえで突きつけられる“善悪の選択”や，それに伴う“モラル”の上下によって，主人公の容姿が変化していくという特徴的なシステムも健在だ。プレイヤーは“勧善懲悪”を押し付けられることなく，自分の好きなようにゲームを進めていくことができる。善行を重ねて民衆に愛されるヒーローになるも良し，逆に悪行三昧で指名手配を食らうような悪党になっても，それはそれで面白いので冒険が楽しめるので，ぜひ色々と試してみてほしい。筆者は断然，気に入らない奴がいれば顔に放屁してやり，金持ちからは遠慮なく妻と財産を奪うというデキル外道スタイルがお気に入りだ。そんなプレイが可能なほどの懐の広さを備えるRPGは，Fable IIIだけ！

NPCを相手に様々なアクションをとり，仲を深めていくことが可能。妊娠出産に同性婚に性病感染……なんでもアリだ

ゲームが進行すると不動産売買も可能になる。本作においては最も効率の良い金策方法なので，早いタイミングで手を出したい

　また，Fableシリーズを手がけているピーター・モリニュー氏は，野暮ったいUI（ユーザーインタフェース）が好きでないことで有名なのだが，本作ではその傾向がさらに極まっている。ほかのゲームならば，メニュー画面でパパっと済ませてしまう装備変更などですら，“聖なる間”という部屋でわざわざ着替える形にしているうえ，レベルアップ時のスキル成長も“統治の道”という異空間で，欲しい能力の宝箱を開けていくという，何もかも世界観に盛り込んだスタイルをとっている。分かりやすく説明すると，装備やスキル成長は，「ドラゴンボール」における“精神と時の部屋”のような場所で行う必要があるのだ（もちろん，そこまで面倒じゃないけれど）。「ゲームゲームしたUIをなくすと，RPGはこうなるのか……」と，思わず感心してしまうこと請け合いのシステムである。

聖なる間へはボタンひとつで飛ぶことができる。実質的にはメニュー画面を開くのと変わらないため，ゲームをプレイするうえでストレスにはならないはずだ

統治の道では能力のアップグレードやスキルの獲得が可能なほか，新たなアクションや知識を学ぶこともできる

ここからが本番！

世界の命運を左右する第2部

　第2部では，革命を成功させた主人公が王座につき，アルビオンを統治していくことになるのだが，ある意味本作はここからが本番だ。「王様ならやりたい放題だぜヒャッハー！」と思いきや，実際のところは胃に穴が空くような仕事が待っている。アルビオンの全てを滅ぼさんとする“闇の軍勢”が迫っているということが判明し，「365日で6,500,000Gの防衛予算を確保しなければ国が滅ぶ！　国が滅びますぞー！」という状況に追い込まれるのである。ここからは，定期的に臣下達からの提案イベントが発生し，プレイヤーは税率の設定だけでなく，各種施設を建設するか否かの検討まで，国政に関するさまざまな選択を迫られることになるのだ。


　民衆のためになる選択は大金がかかり，かといって国家の利益を追求すると暴政を敷いた兄王と同じ轍を踏むことになる……あっちを立てればこっちが立たず。プレイヤーは王という役目がいかに大変であるかを思い知らされるが，その一方で，国の行く末を自分の決断で左右できる快感に，病み付きになってしまうこと間違いなしだ。

　まぁ実際のところは，6,500,000Gという予算を確保するのはそれほど難しいことではない。非情な選択で民を苦しめずとも，ポケットマネーを国庫に突っ込めばいいのである。序盤から不動産業に着手していれば，あっという間に億万長者になれるので，自己犠牲の精神さえあれば楽勝だ。ポケットマネーを国庫に突っ込めば，モラルもドカンと上昇するので，善人プレイヤーにはオススメの方法である。

　逆に，国費を横領して贅沢三昧することも可能なのだが，さすがに国家の危機にそんな不謹慎なこと……まぁ，せっかくだしやっちゃうよね!!　闇の軍勢？　国王としての責任？　そんなの知ったこっちゃねぇ！　俺はアルビオンが滅ぶその日まで欲にまみれて生きるぜ！　みたいな，信じられないくらいクズまっしぐらなプレイも可能なのが，本作の凄いところだ。

　なお，第2部における国王の選択は，物語の結末に大きな影響を及ぼす。みんなが幸せになれる大団円を迎えるも，荒れ果てたアルビオンで虚しさに打ちひしがれるも，すべてプレイヤー次第だ。国民のためを思って心を鬼にしたはずが，最終的にアルビオンの人口を半分以下にまで減らしてしまった筆者は，大いにヘコんだものである。国王って難しい……。


　とまぁ，大筋の紹介は以上だが，本作には，ストーリーの本筋とは関係のないやり込み要素も多いので，隅から隅までぜひ遊びつくしてほしい。とくに施錠された宝箱や，プレイヤーにさまざまな要求をしてくる“デーモンの扉”からは，非常にレアなアイテムが入手できることもあるので，積極的に探していきたいところだ。

　また本作では，PC版のプレイヤー同士でオンライン協力プレイが可能なので，別世界の英雄と一緒にアルビオンを冒険する醍醐味も，ぜひ味わってほしい。一緒にメインストーリーを進められるのはもちろん，自分の世界にアイテムやお金を持ち帰ることもできるので，ゲームを攻略するうえでも，メリットは非常に大きい。
　さらに，腕に自信があるプレイヤーならば，PC版で新たに追加された“ハードモード”でプレイしてもいいだろう。これは体力を回復するのに食事や睡眠が必要となるモードで，よりリアルな冒険を楽しむことができる。ドMの筆者としては強くオススメしたいモードだ。


　誰もが一度は胸に抱いたことがあるだろう，「王様になってみたい」という願望。それを叶えてくれるようなゲームは多々あれど，本作ほど本格的なタイトルはそうそうない。プレイヤーの言動や選択が，主人公を取り巻く世界に大小さまざまな影響を及ぼす「Fable III」。その物語は，まさに人生の縮図だ。じっくりと腰を据え，本気で悩みながらプレイできるちょっと大人向けのRPGを探しているという人は，ぜひPC版「Fable III」に挑戦してみてほしい。

「Fable III」公式サイト