レビュー
テクニカルライター西川善司が「パタポン」を熱く語る
パタポン 3
そもそも,「パタポン」との出会いは2009年に開催された,GDC内「Game Developers Choice Award 2009」でのこと。
同賞レースは,毎年春にサンフランシスコで開催されるゲーム開発者会議(GDC)の目玉イベントの1つで,世界のゲーム開発者達が投票して各部門の優秀作品を決めるというものだ(関連記事)。
思い返せば2009年は,同賞レースが始まって以来,初の「日本作品の受賞作なし」という痛い年だった(ちなみにこれ以降2011年まで3年連続,日本の受賞作がない)。この年の日本タイトル勢は,据え置き機でノミネートされたのは「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」のみ。唯一気を放っていたのが携帯ゲーム機作品部門で,「無限回廊」(PSP),「パタポン(PATAPON)」(PSP),「すばらしきこのせかい」(NDS)がノミネートされていた。結局,これらを抑えて受賞したのは「ゴッド・オブ・ウォー 落日の悲愴曲」(PSP)だったのだが,このとき筆者はなぜか「パタポン」に,異常に興味を持ってしまったのである。
ちなみに「パタポン」の名誉のために言っておくと,パタポンはほかの賞レースでもたくさんノミネートされ,そのいくつかで最優秀PSPゲーム賞を受賞している。詳しくは公式サイトの「こちら」を参照してほしい。
さて,なぜそこまでパタポンに惹かれたのか。それはパタポンが「ゴッドシムにリズムアクションを組み合わせたゲーム」ということを聞いたからである。
筆者は,ピーター・モリニュー氏開発の「ポピュラス」を崇拝しており,同作を開祖とするゴッドシム(自分が神様になってプレイするリアルタイムストラテジーゲーム)が大好きなのだ。そして,リズムアクションゲームはそれほど得意ではないが嫌いではない。「新手のゴッドシム」ならば,やってみるしか! というわけで,即座にAmazonでポチったのが始まりである。
「パタポン 3」公式サイト
「ナンジャ?♪」
パタポン 3からプレイしても楽しめますか?
ところで,3作目ということで,人によっては「いきなり“3”からプレイしても楽しめますか?」と質問したくなるかもしれないが,答えはYESであり,同時にNOでもある。
結論から言ってしまうとパタポン 3は,世界観とゲーム・メカニクスは従来シリーズと同じだが,ゲームデザインが過去作とはだいぶ異なっていて,いわばパタポン 3は新装開店バージョンとなっているのだ。
つまりパタポンシリーズを味わい尽くしたパタポン美食家達の「シェフ,そろそろここのメニューも食べ飽きたし,ひと味違うのをいただきたいね」という声に応えて出てきたのが,パタポン 3だと言える。
では,“3”になって何がどう変わったのだろうか。
ゲーマー向けの共通言語で語るとすると,過去作は「ゴッドシム+リズムアクション」だったが,パタポン 3は「RPG+リズムアクション」となった,というと伝わりやすいかもしれない。そう,根幹となっているゲームシステムがゴッドシムからRPGへと,衣替えしたのだ。
また,パタポン 3では,パタポンワールドの世界観を知っている人向けに作られている感じが強く出ていて,ゲーム序盤から情報量がものすごく多い。登場する用語の数々,進化して誕生するさまざまなパタポン種族達,襲いかかる敵種族のバリエーション,入手できる装備品,素材,アイテムなどの特性,そのネーミング傾向などが,ほとんど説明なしで画面に次から次へと現れる。そのため,パタポン 3から始めた人は「え,なになに!?」と驚くことだろう。
このパタポン 3の圧倒的な情報量が生み出す「不思議ワールド」感に一気に飛び込める人は本作から始めるのもいいが,「パタポンって一体なんなの?」というような「この世界の初心者」は1作目からプレイしたほうが良いように思う。PSP The Best版として発売されているので,安くてお買い得だし。
「ゴッドシム嫌い。RPG大好物なり」という人は,もちろん3からプレイしても良いだろう。
「トンチンカン・ハイ♪」そもそも,パタポンてなに?
一方,パタポンはリズムアクションゲームの要素を持ちながら,お手本リズムが存在しない。プレイヤーは自分からリズムを打ち出さなければならないのだ。
とはいっても,でたらめではダメで,プレイヤーは,ゲームシステム側から教わる,いくつかの基本的なリズムを紡いでいくことになる。
各リズムには「前進」「攻撃」「防御」といった基本的な命令が割り付けられており,プレイヤーが叩いたコマンドリズムを,この世界の住人である“パタポン”達が認識して,その命令された行動を取る。
各リズムは4拍子で,プレイヤーが4拍のリズムを打つと,次の4拍分の時間でパタポン達が命令された行動を取る。例えばプレイヤーが4拍の「前進」のリズムを打ったら,パタポン達はこれを認識して次の4拍でプレイヤーのリズムを復唱しながら「前進」する。そう,プレイヤーが先にリズムを打ち,システム側(パタポン達)が,そのリズムを復唱するので,一般的なリズムアクションゲームと順序的に“逆”になるのだ。
4拍子のリズムを叩く際に用いるボタンはPlayStaiton系ハードウェアではお馴染みの[○][□][△][×]の4種類のボタンで,それぞれのボタンは魔法の太鼓に割り当てられている。
[□]がパタの太鼓,[○]がポンの太鼓,[△]がチャカの太鼓,[×]がドンの太鼓だ。
前進のリズムは「パタ・パタ・パタ・ポン」なので「□□□○」を4拍子の各拍で押すことになる。ちゃんと4拍子のリズム感覚でボタンを押せていればパタポン達はそのリズムを復唱しながら「前進」をする。
攻撃は「ポン・ポン・パタ・ポン」となり,プレイヤーは「○○□○」を4拍子で叩くことになる。入力が決まればリズムを復唱しながら,剣を持っているパタポンは敵を切りつけ,弓を持っているパタポンは矢を射る。騎馬パタポンは,槍を立てて敵に突進を開始するのだ。
リズムアクションゲームの醍醐味は連続でパーフェクトなリズムを刻むことで獲得できるコンボボーナスにあるわけだが,パタポンにもこのシステムは存在する。
リズムによる命令を途切れさせず,連続で完璧な4拍子での命令を刻めるとコンボゲージが上昇していき,コンボを10回連続決めると(完璧な4拍子を決めれば10回未満でも)「フィーバー」状態になり,パタポン達の能力が向上する。攻撃を命令したときには攻撃力が増すし,防御をしたときには敵からの攻撃ダメージを効果的に低減するのだ。
基本的にゲームは2D横スクロール進行で,パタポン達に襲いかかる敵種族やその地を守る要塞,(ボス)モンスター達などを打ち倒しつつ,ゴールを目指すことが目的になる。
一般的なアクションゲームならば,キャラクターを方向キーで動かしてボタンを押して攻撃ということになるのだが,リズムを媒介にして操作しなければならないという「まどろこしさ」がパタポンシリーズの魅力であり,独特なゲーム性になっているのだ。
では,のんびりしたゲーム展開なのかというと,とんでもない。
「プレイヤー側の4拍のリズムコマンド発動」→「パタポン達のリズムコマンド復唱&行動」を,絶えず交互に繰り返していかなければコンボが成立しない。そのため,プレイヤーは,「パタポン達がコマンドリズムを復唱しながら行動している」わずかな時間の間に,次の戦略行動を考えて決断していなければならないのだ。せっかくフィーバー状態になっても,リズムを途切れさせた瞬間にフィーバーは終了してしまうし,プレイヤーが自分の手番のリズムを途切れさせれば,その間,パタポン達は棒立ちで無防備になり,やられ放題だ。
パタポンは「まどろこしさ」と「スピード感」という,本来ならば同時にやってくるはずのない2つの感覚がプレイヤーを襲う。だからこそ,自分の刻んだコマンドリズムに従ったパタポン達のアクションが,ゲーム展開にうまくハマったときの爽快感がたまらないのだ。
「ふぃ〜ばぁ〜!!♪」リズムアクションゲームのカタルシスと戦略ゲームの達成感が同居する奇跡
ゴッドの部分は,もう,最初の設定がそのまんまなのである。なにしろ,ゲーム冒頭でパタポン達がプレイヤーに,「かみさま,お願いです」と話しかけてくるくらいなのだから。
そう,プレイヤーはこの世界の神様であり,太鼓の音でパタポン達を導くのだ。ここがパタポンの“ゴッド”な部分の1つ。
さらに,フィーバー状態になったときにだけ,8拍子の「ミラクル」コマンドリズムを入力することができ,これが成功するとミラクルモードへ突入する。このあと「お手本通りにリズムを打つ」典型的なリズムアクションゲーム式のミニゲームがスタートし,これに成功するとゲーム世界にミラクル(奇跡)が発動する。
ミラクルとは,具体的には雨を降らしたり,追い風を起こしたりといった天変地異の発動のことで,発動後は一定時間,自軍の行動が優位になる。追い風であれば,飛び道具がより遠くへ飛ぶと言った効果がある。こうした「天変地異の発動」はまさに「ポピュラス」チックであり,ゴッドシム的な要素だと言えよう。
では,シム(RTS)な部分はどこなの? ということになるわけだが,これはゲームシステムそのものがそうだ。
パタポン族にはいくつかのクラス(職業)がおり,それぞれのクラスごとに取り扱える武器が異なっていたり,得意な攻撃レンジが違っている。
剣士タイプは防御力に優れ接近戦に強い,弓兵タイプは遠距離攻撃が得意だが防御力に乏しい,騎馬タイプは突進力に優れるがフィーバー状態にならないと本領を発揮できないなどの特徴を持っている。プレイヤーは,こうした特徴を考慮しつつ,戦場や立ち向かう敵に合わせて,任意の3つのクラスを選択して部隊を編成し,出撃することになる。
部隊は,小型パタポンであれば各クラス最大6人,大型パタポンであれば各クラス最大3人で構成できる。つまり,小型パタポンのみで構成すれば,総勢18名+α(はたポン)での出撃が可能で,PSPの画面上をパタポン達が所狭しと行進する。
この「部隊編成を行うところから戦いは始まっている」感と,この「ごちゃキャラ状態での乱戦」感は,ゲーム画面こそサイドビューの横スクロールではあるが,まぎれもないRTSだ。「数は力」だが,「戦略が伴わなければ数が生きない」というストラテジー感も,パタポンのRTSらしさと言えるだろう。
なお,各クラスを構成するパタポン達は,その誕生時に使用される条件や素材に応じて種族が変化する。各種族ごとに「火に強い」「氷に強い」などの特殊な耐性能力を持つものも出てきたりするので,同じクラス内でも種族が違えば,性能も異なるのだ。ちなみに,種族によってはへんてこな耳や角が生えていたり,毛むくじゃらだったりして,種族ごとに外観が異なるので,見た目にも楽しい。
さらに剣や盾,弓,鎧などの身に付ける武装によって,特殊耐性が付いたり,突出した能力を得たりすることと引き替えに,思いもよらぬ弱点が付加されることもある。このあたりの濃密,濃厚なカスタマイズ要素は,RTSというよりはRPGに近いゲーム性かもしれない。
「ちゅちゅラ・ちゅラちゅちゅ♪」
パタポン 3は1,2とどこが違うのか
パタポン 3は,冒頭でも説明したとおり,これまでのシリーズの新装開店バージョンだ。そのため,パタポン1,2の要素を継承した部分と,要素を断ち切った部分とが混在した作品になっている。
まず,「プレイヤーがコマンドリズムを発動して,パタポン達が復唱して従う」という基本ゲーム・メカニクスは変わらない。加えて言えば,コマンドリズムにも一切の変更はない。なお,過去作ではミッション攻略を成功させていくことで段階的に覚えられた特殊用途のコマンドリズムが,パタポン 3では最初から全部使えるようになっている。これも,パタポン 3から始めた人が最初に戸惑うところになるだろう。ちなみに,コマンドリズムの総数は全8種類。
パタポン2から誕生した,やられても一定条件さえ満たしていれば何度も復活する「ヒーローパタポン」のシステムは,3にも継承されている。
また,倒されてしまうとクエストが失敗となる非戦闘員の旗振りの“はたポン”は,今作にも登場しているが,盾持ちパタポンが生存していれば,3では基本的には無敵扱いとなった。これにより,パタポン過去作でときどき起こっていた「ゲームスタート直後の猛攻で,はたポンが死亡」という不運はほぼなくなった。
パタポン1,2では「ミラクル」と呼ばれていた天変地異の魔法は,コマンドこそ変わらないが,3では「ショカーン」という名前に変更されている。ちなみに,ショカーンは「召喚」の意のようだ。その名のとおり,ショカーン発動直後に,パタポンの姿をした巨大な“いにしえの戦士”の霊体が現れ,圧倒的なパワーで自軍に加勢をしてくれる。なお,パタポン1,2でミラクルのリズムコマンド成立直後に開始されたリズムアクションゲーム風のミニゲームはなくなり,コマンド成立直後に霊体の召喚が発生する。ここは今作の中で,もっとも爽快な改良点の1つだ。
過去作では,フィーバー状態になれば1ミッションで何度も発動できたミラクル(ショカーン)だが,パタポン 3では,この仕様が変更されている。
3では,そもそもリズム判定が甘く調整されたようで,わりと簡単にフィーバー状態にできる。このフィーバー状態を維持することで,さらにフィーバーエネルギー(ショカナジーと命名されている)がチャージでき,これを満タンにすることで初めて,ショカーンの発動が行われるようになったのだ。
さらに3では,基本的に1ミッションで1回しかショカーンが使用できない制限が設けられた。ただし,未使用でミッションをクリアし,間髪入れずに次ミッションが開始される特定の戦場では,ショカーンの「持ち越し」が可能となっている。
そして,もっとも大きく変わったのは,部隊編成時のパタポンの総数だ。これは筆者は残念でならないのだが,パタポン 3でも任意の3クラスを選択して出撃可能なのはこれまでと同じなのだが,各クラス1人ずつしか選択できなくなってしまったのだ。
パタポン 3では,3名(各クラスから1名)+ヒーローパタポン1名の総勢4名の部隊編成となり,過去作のような「ごちゃキャラによる乱戦」ができなくなってしまった。4人という人数はRTSの部隊というよりは,RPGのパーティのようだ。このあたりが「パタポン 3はRPG」というコンセプト変更をよく表している。
また,パタポン達の進化システムや通貨,素材の活用システムも本作ではRPG的になっている。パタポン1では,生命の木「マテール」と呼ばれる木の根元に,各種素材を組み合わせて埋めることで新種パタポン達を創造できた。続くパタポン2では,このマテールで既存のパタポン達に各種素材を与えることで,より上位の種族へ進化させることができた。
パタポン 3では,この種族の誕生や進化のシステムが変更され,マテールは登場しなくなった。敵を倒したりミッションをクリアしたりして経験値を稼ぎ,一定の経験値を超えるとRPG的にレベルアップする。そして特定レベルごとに,より上位のパタポンに変種したり,新しいクラスを誕生させたりすることが可能になるのだ。
なお,パタポン 3でも「チャリン」と呼ばれるパタポン世界の通貨や,木や石などの素材群は登場するが,これらはパタポンの進化や変種創造のためではなく,武装強化のために使用されるようになった。
例えば,剣の威力や魔法属性を強化するのに,そうした通貨を支払ったり素材を利用したりするのだ。
「ノッペラボ〜♪」パタポン 3はこうして進行する
今作は,前作パタポン2の時代から若干,時がたったころのお話だ。
「世界の果て」を目指してひたすら突き進むパタポン達は,ある日,その行く手を遮るかのようにたたずむ巨大な箱を発見する。よせばいいのに興味本位で箱を開けてしまい,中から飛び出してきた「悪しき者ども」の手によって隊列のパタポン達は全員,石化させられてしまう。唯一石化を免れた旗持ちの非戦闘員,はたポンは途方に暮れる。
そこに髭を生やした爺さん星,シルバーほしポンがツツツ〜と現れて,その一部始終を見ていた,この世界の“神”であるプレイヤーに向かってこう語りかける。
ちなみに,パタポン世界の住人の,ぶっ飛び気味の言葉遣いは今作でも健在だ。ゲームプレイ中,ネットスラング的な言語をしゃべるようになっているので,苦手な人はそのあたりの身構えは必要かもしれない。パタポン達が「しどすぐる」とか「orz」とかしゃべる姿に筆者も最初は驚いた(笑)。
そんな感じで,やや既存RPGをパロディチックに描いたオープニングで始まるパタポン 3だが,最初のヒーローパタポンの選択が重要になる。
ヒーローパタポンは,外見が一つ目のパタポン族と違う,ちょっと「ビューティフル ジョー」(カプコン)のような人型のシルエットを有している。
プレイヤーは,最初に攻撃に特化した槍使いの「ヤリーダ」,防御に特化した盾使いの「タテラーゼ」,遠距離攻撃に特化した弓使いの「ユミヤッチャ」の3体のうち1つを選択することになる。ほかのパタポンと同様,レベルアップすることで新種クラスのヒーローに進化させることができるし,進化を極めれば最終的には,すべてのヒーローパタポンを使えるようにはなるが,終盤までは,この最初の選択がゲーム展開を大きく左右するので慎重に選びたいところ。
筆者は,タテラーゼを選択し,防御主体で序盤を進め,現在ではバトルアックスを操る「トンデンガ」というヒーローパタポンに進化させて常用している。なお,セーブデータは複数作れるので,3つの初期ヒーローパタポンすべてで,序盤を味見プレイするのもいいだろう。
パタポン 3のゲーム進行そのものは前作とよく似ている。基本的には,今作での災いの発端となった「魔の箱」から飛び出した7人の悪しき者「ダークヒーロー」達と戦いつつ,「世界の果て」を目指して突き進む。
今作では,RPG風のゲームになり,各ステージも「クエスト」と呼ばれるようになったが,「敵を倒しつつゴールを目指す」ゲームコンセプトは過去作と同じだ。
RPGっぽい風情を出すためだろうか,「ある1つのゴールまでの旅路」を「ダンジョンの1フロア」とし,1クエストが複数フロアで構成された,難度の高いクエストも存在する。こうしたクエストの場合,たとえ,いくつかのフロアをクリアしていても途中のフロアで死亡すると,それまでに手に入れた宝箱は喪失してゲームオーバーとなるので注意したい。ただし,経験値とチャリンは獲得したと見なされて,コンティニューが可能。クエスト中のセーブは不可だ。
前作では箸休め的に楽しめた,敵が一切出てこない「動物狩りの稼ぎステージ」は殆どない。
パタポン1,2にあった,ミニゲームを挑んでくるパタポン世界に住む妖精種族パタプーカ達も,パタポン 3では登場しないが,そのかわりクエストそのものがミニゲーム的なものになっている場合がある。
敵と味方が世界の両端に陣地を構え,陣取り合戦を行う「ヘッドオン」,狭いフィールド内で飛び道具「ミサイル」を撃ち合う生き残りゲーム「ミサイルバトル」,同一地点から敵と同時にスタートして,ステージ最終地点のゴールライン超えを競い合う「デッドヒート」などは,パタポン 3で新設された独特な“クエスト”だ。
どうやら「ヘッドオン」「ミサイルバトル」「デッドヒート」などは,ほかプレイヤーと競い合うマルチプレイ対戦のために新設されたモードみたいだが,シングルプレイのストーリーモードでも,プレイ必須のクエストとしてラインナップされている。
登場する敵は,序盤までは過去作に登場したキャラクターが多く,攻撃パターンや弱点は前作どおりだ。パタポン1,2からのファンは気軽に立ち向かえるだろう。
しかし,ゲームを進めていけばいくほど敵は手強くなってくる。とくに,中盤以降は,PSPの画面に全体を表示しきれないほど,どでかいモンスター達が多数登場し,それこそ,体積比にして「数百:1のスケール感」の戦闘が勃発する。
このように戦闘に参加できるパタポン総数は,スケールダウンしてしまったが,敵のスケール感は過去作と比較して,尋常でないほどにパワーアップしている。
さて,パタポンシリーズはパタポン2から,マルチプレイの要素が搭載されたのだが,パタポン 3にもその要素はあますことなく受け継がれている。前述した「ヘッドオン」「ミサイルバトル」「デッドヒート」といった対戦型クエストのほか,シングルプレイのクエストを,ほかのプレイヤーが操るヒーローパタポンを招いて遊べる協力プレイも楽しめるようになった。もちろん,マルチプレイ専用の協力プレイ・クエストも用意されている。
また,パタポン 3のマルチプレイ要素で面白いのは,ほかのプレイヤーのアジトを覗けるところだ。パタポン 3における装備品の強化システムでは,レベル10以上の装備強化はプレイヤーが選んだ1種類だけに限定される。しかし,ほかプレイヤーのアジト内の鍛冶屋(カジヤン)が,自分とは違う種類の武器を強化していた場合,ここをオンライン接続している間だけ間借りして,シングルプレイ時の制約を無視した武器強化ができるのだ。制約を無視して強化した武器は,そのまま持ち帰ってシングルプレイ時に使えるので,ぜひともマルチプレイを活用してほしい。
なお,マルチプレイではチャットもできるようにもなっており,ゲームプレイ以外の部分でのコミュニケーション機能がかなり強化されている。一通り,パタポン 3のシングルプレイを楽しんだあとは,マルチプレイ機能もチェックしてほしい。
最後に気が早いが,個人的な次回作への要望を少し。「3」はRPG化したことで,ちょっと格好良くなりすぎた感じがする。できれば次回作では,また「ごちゃキャラ」ゲーム風な楽しみ方ができるようにしてほしいところだ。
ごちゃキャラ感を復活させて,100体くらいのパタポン軍団が,巨大な敵にまとわりつくような“ワシャワシャ”感を実現してほしい。その実現のために新作をNGPで出すというのなら,NGPと一緒に買います! 神様(プレイヤー)を見ている神様(開発者),ぜひお願いします!
今,ゲームを売るために必要なことを考える――「パタポン3」がどうすればメジャーなれるのかを開発陣と話し合ってきた
「パタポン 3」公式サイト
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