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印刷2010/09/06 19:54

連載

海外ゲーム四天王 / 第58回:「Demolition Company」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第58回:今週の発破作業:「Demolition Company」
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 ドイツの人々を興奮のるつぼに叩き込んだとか叩き込まなかったとか大評判の「Farming Simulator 2009」。そのデベロッパであるGIANT Softwareの新作は,ビル解体会社をテーマとした「Demolition Company」。ビル解体会社の社長兼社員となったプレイヤーが,建築ブームに沸くとある街を舞台に,古い建物を壊して壊して壊しまくるという異色の作品。物理エンジンをフィーチャーしたリアルな破壊が本格的なこの作品に,住む部屋が崩れ始めている編集部の松本が挑んだ。

建築物解体の職人芸と破壊の美学が楽しめる異色作 壊した後の片付けもちゃんとしておこう

 

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 街は建築ブームで大賑わい。おかげで,私の会社も商売繁盛で大忙しだ。いや,うちは建築関係じゃなくて,その反対のビル解体業社。あの手この手で古い建物を解体し,更地に戻して建築会社に引き渡すのが業務。そう,それが「Demolition Company」
 2010年8月,ケルンで開催されたGamescomだが,その会場の一角にあったのがドイツのデベロッパ,GIANTS Softwareのブース。8月30日に掲載した週刊連載「奥谷海人のAccess Accepted」でも紹介したが,そこではドイツ内外でヒットを飛ばしたという農作業シム「Farming Simulator 2009」(邦題 ファーミング シミュレーター 2009 〜大地へ挑もう! ぼくらの農業生活〜 日本語版)の続編「Farming Simulator 2011」のプレイアブル展示が行われていたのだ。試遊台の椅子がトラクターのタイヤで,正面にはなんだかよく分からない農業機械が置かれるという演出が施されたブースだったが,プレス向けの説明はなく,新作の内容がさっぱり分からなかったのがタマにキズだった。とはいえ,今回の「海外ゲーム四天王」はそれではなく,ブースでビラだけ配っていたDemolition Companyを紹介したいと思うわけなのである。話が長い? すいません。

 

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 ちなみに,Farming Simulatorに続く新作として一部の好事家からリリースが期待されていた本作だが,どうせ日本では買えないだろうと思っていたところ,Valveのデジタル配信システム「Steam」での購入が可能になり,入手性がきわめて高くなった。やった!

 

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 冒頭にも書いたように,Demolition Companyの主役はとあるビル解体会社の社員兼社長だ。シミュレーションゲームと聞いて想像するような,俯瞰視点でさまざまな機械を同時に操るといったものではなく,Farming Simulator同様,一人称視点で進んでいく。FPSの銃の代わりにハンマーを持ち,鉄球つきのクレーン車(Wrecking Ballと呼ばれている)やスキッドローダー(Skid Steer Loader)などに乗り込んで建物の解体作業を進めていく。ちなみにどうやらこの会社,作業員はプレイヤーだけしかいないらしく,どんな作業も自分一人で進めていかなければならない。「そろそろ昼にすっか」「おー」,みたいな仲間がいないので,ちょっと寂しい。

 

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 ゲームモードとしては,「Career」と「Missions」の2つが用意されている。Careerは,ハンマーと小さなパワーショベル(ただし,バケットの代わりに油圧クラッシャーが取り付けられている)から始めてミッションをこなし,会社をどんどん大きくしていくもので,Missionsは,Careerに登場するミッションのうち,好きなものに好きな重機を使って挑戦していくという内容だ。

 

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 作業現場としては「Old Town」や「Financial District」「Freight」など5つが用意されており,それぞれ4〜5種類のミッションがセットになっている。もっとも,最初はOld Townからスタートしなくてはならない。空き地にポツンと建った廃ビルの壁を,ハンマーで壊すのだ。ハンマー連打! 連打連打連打! どう? 見事なハンマーさばきでしょ。まあ,ちょっと単調というか,全然頭を使わないが,最初なので仕方ない。うりゃ!
 ミッションには時間制限があるが,時間切れになってもボーナスがもらえなくなるだけで,ゲームオーバーではない。サボり癖のある人も大丈夫だ。各階の壊すべき壁を壊すと,ミッション完了だ。ここで止めてもいいし,ミッションを続けて現場を歩き回ったり,たまに落ちている鉄材を拾い集めてもいい。鉄材を拾うと,ちょっとだけお金になるが,落ちている場所がランダムで,マップは思いのほか広いので,なかなか見つからないことも。
 ミッションを完了させると,経験値と資金がもらえる。で,この経験値によってプレイヤーのレベルがアップし,新しいマップがアンロックされるという伝統と格式を誇るおなじみのシステムが採用されている。また,資金は会社の近所にある工事用品専門店「Destruct Mart」で新しい重機を購入するのに使うのだが,それぞれの機械には使用できるレベルが設定されており,それを満たしていないと購入できないのもおなじみだろう。

 

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 同じミッションに何度でも挑戦できるが,お金はもらえるものの,経験値は入手できない。もっとも,レベルアップのペースはかなり速い印象で,難度ノーマルの場合,普通にミッションをクリアしていくだけで,次々にマップがアンロックされていくという雰囲気だ。お金も同様で,ちょっと足りないなと思ったら,すでにクリアしたミッションに,いくつか再挑戦するだけで,必要な機材が買えるだけの資金は手に入る。

 

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 ミッションの内容は,当然ながら重機を使って建物を壊していくことだが,壊したあとで,必要なエリアから破片を取り除く,ビルの一部だけを壊したり,といったバリエーションがあり,あとのほうで出てくるミッションほど難しい。例えば,港の大型倉庫を解体する場合,破片が海に落ちないようにしなければいけないのだが,面倒なので爆薬を使ったら,でっかい破片が海に落ちて……。必要条件を満たせなかった場合,そのぶん違反金みたいのものが発生し,報酬からさっぴかれるのだが,あまりにもたくさんの破片が海に落ちたため,トータルで赤字になってしまった。うう。骨折り損のくたびれもうけ。
 また,重機のクレーンやアームの操作がかなり個性的で,鉄球を狙ったところに当てたり,ショベルで破片をうまくすくったりするには,ちょっとした慣れが必要だろう。コントローラに対応しており,というか,それを前提にしているっぽいので,今回は試さなかったものの,マウス&キーボードよりコントローラを使ったほうが楽なのかもしれない。
 建物の破壊シーンは,物理効果が効いているため,なかなか見事に壊れる。とくに,爆弾を使った場合,最新FPSを見ているようなリアルさだ。爆砕のムービーをこのページの下のほうに掲載したので,お疑いの向きはぜひチェックしてほしい。スクリーンショットからも分かるように,部分的にぞんざいなところもないわけではないが,全般的にグラフィックスは美しく,各種重機の描き込みは細かい。世界の重機ファンにとっては,たまらないモノがあるはずだ。

 

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 ビル解体という異色のテーマを扱った異色のゲーム,Demolition Company。ジャックハンマーがどこに当たっているのかよく分からなかったり,小さな破片がはさまっただけで重機の動きが悪くなったりといった小さな問題はあるが,ついつい「さあ,次の現場はどこだ?」とプレイを続けてしまう面白さを持っている。オンラインでほかのプレイヤーと一緒にビルを解体できたりしたらもっと面白くなるような気がするので,続編が出るなら,ぜひマルチプレイもお願いしたい所存だ。というわけで,下に4つ並んだムービーで,わが社の華麗なる爆砕シーンを堪能してほしい。また,4Gamerの「こちら」には体験版を掲載しているので,興味のある人はプレイしてみよう。

 

 

 

 

 

■■松本隆一(4Gamer編集部/四天王)■■
 チケットをもらったので,「富士総合火力演習」に出かけた松本。当日は猛暑日で,しかも出張帰りの時差ボケというコンディションだったため,カメラを持つ手もままならず,なんだかろくな写真が撮れなかったという。コンディションがいいときでも,ろくな写真が撮れないのだから,写真のできばえは推して知るべしだ。感想を聞かれると「砲撃の振動がすごくて,鼻づまりが直った」とのこと。寝てたんじゃないの,この人。
  • 関連タイトル:

    Demolition Company

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