レビュー
まさに侍生活シミュレーター。幕末好きなら間違いなく楽しめる1本
侍道4
レンガ造りの洋風な屋敷や,長屋が並ぶ町など,同じ町内でもエリアごとに個性がある |
最新作「4」の舞台となるのは,幕末の日本。阿弥浜という港町に英国からの黒船が来航し,鎖国が解かれて日本国内に外国人が住み始めたという設定だ。
本作の舞台は幕末の日本ではあるが,史実通りの世界が描かれているわけではない。外国人の排除と開国政策を進める幕府への抵抗を目的とする「攘夷」,開国を推し進めつつも何やら企んでいる様子の「幕府」,日本と英国の友好関係を築いて日本の発展を目指す「外国」の3勢力が対立し合っているという,ゲームオリジナルの設定になっている。プレイヤーは事あるごとに,どの勢力に協力するかを適宜判断しながら,物語を進めていくのだ。
イベント時のムービーシーンでは,吹き出しが出ることがある。ここで○ボタンを押せば,会話に割り込んで自分の意見を言えたり,抜刀して戦闘に持ち込めたりする |
キャラクターメイクでは,主人公の外見に手を加えられる。複数ある顔から好きなものを選んだり,好きな服を着せたりできる。なんならふんどし一丁でゲームを始めることだって可能だ |
ゲームの基本的な流れは,複数ある勢力がそれぞれ任務を依頼してくるので,そのなかから好きなものを選び,それをクリアすると新たな任務が発生して……といった具合。
侍道4ではマルチエンディングが採用されており,プレイヤーの選択肢の選び方,行動の仕方によって物語が分岐するのが特徴だ。特定の勢力のために奉公してもいいし,一度手を貸した勢力を裏切ってもいい。なお任務に失敗しても,そこで終わりにはならず,物語は異なった展開を見せていく。何もしないという選択も可能で,どう行動するかはプレイヤー次第だ。そんな本作を,詳しく紹介していこう。
幕府
琴吹光(CV:江川大輔) 侍道4の舞台,阿弥浜の代官を務める人物。攘夷派とは激しく対立しており,彼らを撲滅するため,日々警戒に当たっている |
茂呂茂(CV:遠藤大輔) 輸出入貨物の監督や税金の徴収を行う「運上所」の頭取を務める。眠たそうな顔をしているが,こう見えて格闘の腕はかなりのものだ |
鬼怒川怨仙(CV:納谷六朗) 幕府から阿弥浜に派遣されてきた人物で,役職は大老。穏やかな語り口だが血を見ることが好きで,残忍な一面を見せる場面も多々ある |
鬼怒川三姉妹(CV:沢城みゆき) 鬼怒川怨仙の娘で,阿弥浜の監査役として働いている。美人ぞろいだが父と同じく残忍な一面を持っており,そこから「拷問三姉妹」という通り名で怖れられている |
外国
ローラ・リータ(CV:安士百合野) 公爵家の一人娘で英国の公使として来日している。日本と英国の将来のことを考えるなど,大人びた態度をとることもあるが,子どもらしい無邪気な笑顔を見せることもある |
ジェット・ジェンキンス(CV:大川透) 貴族生まれのお坊ちゃんで,ローラの補佐役として来日。スリルを求めており,幕府と攘夷の戦闘に遭遇し興奮するなど,ちょっと危ない一面を見せることもある |
メリンダ・デカメロン(CV:田中敦子) 英国海兵隊の隊長を務める人物で,公使護衛を任務としている。規律を遵守する人物で,部下の不祥事には厳罰を与えたり,芯の通った兵士である |
攘夷
赤城烈斗(CV:小上裕通) 攘夷派「般若党」を率いる青年。外国からの脅威を感じており,日本を守るために外国と,それに協力する幕府と激しく対立している |
朱美(CV:小島幸子) 般若党の溜まり場,居酒屋「真実」を切り盛りする若女将。主人公には般若党のことや,町の中でどういったことが起きているか,情報を教えてくれたりする |
小暮迅雷(CV:細谷佳正) 赤城の幼馴染で,般若党では暗殺の任務を任されている。居合いを得意としており,党内では赤城に次ぐ実力の持ち主。寡黙な人物で自分からしゃべることは少ない |
まずは主人公を作成し,幕末を生き残るための腕を磨け
続いて,戦闘システムについて紹介しよう。侍道4では一度に複数の敵が出現するが,自動的に相手一人がロックオンされ,一対一の勝負となる。戦闘を終えると次の敵に切り替わり,また新たな戦闘が始まるという仕組みだ。ロックオンしている以外の敵が襲ってくることはなく,目の前の相手だけに集中できる。見た目の印象は,時代劇の殺陣シーンに近いかもしれない。
戦闘で主に使用するキーは,左スティック(キャラクターの移動),□ボタン(小技)と△ボタン(大技),L1ボタン(抜刀),R1ボタン(ガード)で,操作はさほど複雑ではない。最初に選ぶゲーム難度を「易しい」にすれば,適当にボタンを押しているだけでボスも倒せるほどだ。
だが,難度を上げると敵の動きが賢くなる。むやみに攻撃しても反撃されるだけなので,こちらの攻撃を防がれたときや,敵の攻撃を防いだときに,タイミングよく左スティックを左右のどちらかに倒してみよう。うまくいけば相手の体勢を崩して隙を作れる。この機能をうまく使いこなせるかどうかが,戦闘の鍵を握っているわけだ。
戦い方については,ゲーム開始時のイベントがチュートリアルになっており,そこで学べる。チャンバラアクションに自信がない人も心配しなくていい。
戦闘時には,画面左下に表示される自身の「活力」(紫色のゲージ),「命」(緑色のゲージ),「つま斬りゲージ」に注目したい。命が0になればゲームオーバーだが,同じく重要なのは活力で,これはスタミナと捉えてもらうと分かりやすいだろう。
活力があるうちはダメージを受けても自動的に回復していくのだが,プレイヤーの行動によって活力は徐々に減っていき,なくなれば命を回復できなくなる。戦闘時ならば活力回復アイテムを使う,平常時なら眠ったり飯屋で食事を摂るなどして,常に一定値以上を維持するようにしておきたい。
そしてつま斬りゲージは,「また、つまらぬものを斬ってしまった」という必殺技を使う際に必要になるものだ。敵を倒したり,特定のアイテムを使用するとゲージが増えていき,全体の半分以上になるとつま斬りを行えるようになる。この最中は通常時と比べ行動速度が大幅にアップし,凄まじい勢いで敵を攻撃可能だ。ボスに一気にダメージを与えたいときに重宝するし,敵の大群もあっという間に片付けられて非常に爽快だ。ひとつ注意してほしいのは,ゲージが空になる前につま斬りを止めないと,主人公がよろめいて大きな隙を作ってしまう点。これはくれぐれも忘れないように。
自分好みの武器を見つけて強化する楽しみ
侍道4に登場する武器は刀や槍などがあり,種類は豊富。そして戦闘中に使用するものを3本選んで「帯刀」し,それを状況に応じて切り替えながら戦っていくのだ。さらに,「武器袋」というスペースがあり,そちらには10本まで収納できる。つまり,同時に最大13本までの武器を持ち歩けるのだ。また,町の道場には「箪笥」という設備があり,武器やアイテムなどを保管できる。
武器には「攻撃力」「殺害数」「耐久度」「質」「魅力」という5つのパラメータが設定されており,この中で重要なのは耐久度だ。耐久度は敵を攻撃したり,攻撃をガードすると減っていき,なくなりそうになると画面左下にある武器のアイコンが点滅する。そのまま使い続けると折れてしまい,殺傷力が激減してしまう。それを防ぐには砥石で砥ぐなり,鍛冶屋に持ち込んで磨いてもらうなどしなければならない。
武器を創作するときは,刃,鍔,柄についている魅力の並びに注目したい。なぜなら,同じ魅力を縦か斜めになるよう配置すると,完成時に属性がついた状態になるからだ |
流派の習練度を上げるには,とにかく使い続けるしかない。段位が上がるほどやれることも増え,強力な技も使えるようになる |
ほかのパラメータについても紹介しよう。攻撃力と殺害数はそのままの意味で,前者は与えられるダメージ,後者は何人倒したのかが表示されている。
質とは武器を強化できる回数を表しており,例えば「1/9」と表示されている場合は,あと8回鍛えられるという意味だ。強化するほど要求される手間賃もアップするので,そこは懐具合と相談といったところだろう。
また魅力は,武器に設定された特殊効果のことで,「昼の時間帯に攻撃力がアップする」「武器の耐久度減少率が低下する」など,その内容は武器によってさまざま。全部で10種類が用意されている。
続いて鍛冶屋について紹介しよう。ここでは武器の強化や修理のほか,いらない武器を溶かして「鉄地金」というアイテムに変換できる。鉄地金は武器を鋳直す際に必要になり,これで武器の質を上げられるのだ。質の上がった武器は「鑑定」が可能になり,一定以上の殺害数と質があれば,銘を入れて性能をさらに伸ばせるので,ぜひ試したい。
さらに,オリジナルの武器作成も可能だ。必要なのは刀か槍の刃,鍔,柄の3つ。これらは武器を解体して入手したり,アイテムとして拾えたりする。あとは好きに組み合わせればOK。パーツさえあればいいので,作成にお金がかからないのも嬉しいところだ。
それぞれの武器には「流派」があり,戦闘で使用できる技が異なる。刀なら基本の構えが中段のものもあれば,下段,居合いといった具合に種類があり,使い勝手も全然違う。
生きた証システムで,町の状況は常に変化
侍道4の大きな特徴として「生きた証」というシステムがある。これはゲームのエンディングを迎える,もしくは死亡した際,そこまでのプレイ結果が保存されるというもので,そのセーブデータを使ってリスタートした場合,達成した任務,流派の段位などが引き継がれるほか,プレイヤーの行動が町の状況に反映されているのだ。
例えば初回プレイ時は講師がいないため語学所は閉鎖されているが,任務をクリアして施設をオープンさせ,そのセーブデータで結末を迎え次回のプレイに引き継げば,語学所が開設された状態でゲームを始められる。初回プレイ時は語学所が機能していないため,居留地にいる外国人とは話ができなかったが,語学所があれば意思疎通ができ,利用できるお店なども増えて,プレイの幅が広がるのだ。
また,無益な殺生や商店での踏み倒しといった悪行を繰り返していると治安が悪化してしまい,ヤクザ者が大手を振って歩き出す。悪者が町民や同心,岡っ引きに因縁をつけるようになるなど,町の様子が激変するのだ。
治安の良し悪しは主人公が捕縛された際に受ける「拷問」の内容にも影響する。拷問の種類は「超石抱(ちょういしだき)」「人間水車(にんげんすいしゃ)」「煉獄吊責(れんごくつるしぜめ)」の3種類で,治安状況によって,どれか一つを体験することになる。
ちなみに拷問は,一定時間耐え切れば無罪放免となるが,ダメだった場合はその場で命を落としてしまう。ボタン連打で耐えなければいけないため,苦手な人はちょっと厳しいかもしれない。
エンディングを迎えた場合は,「侍評価」というシステムで自身の行動が判定され,「侍点」というポイントのほか,称号を得られる。侍点はゲームの隠し要素をアンロックするのに必要なポイントで,難度「難しい」の解除や,カスタマイズ用パーツの取得などいろいろなことに使えるのだ。
主人公の行動によって,獲得できる侍点や称号が変化する。これを使って特典を解除していこう。なお,侍点はエンディングを迎えたとき得られ,死亡時には獲得できない |
同じ時間帯に発生するイベントは,どれか一つしか選べない。同じ勢力の任務だけやってもいいし,裏切りを繰り返してみてもいい。好きなように遊ぼう |
依頼をこなしてお金を稼ぎ,町での生活を楽しもう
侍道4には攘夷,幕府,外国と3つの勢力があり,それらからの依頼が「メインクエスト」となる。これで報酬を得ることもできるし,主人公の選択によっては物語の展開が変わっていくので,それを追っていくのも面白い。
また,町民からの頼みごと「なりわい」というものがあり,これらは「サブクエスト」と捉えると分かりやすいだろう。必ずしもクリアする必要はないが,報酬は悪くないのでやってみるといい。なりわいは各勢力からの依頼と比べても,制限時間が緩いものが多く,手の空いたときにこなせるので,プレイするのは好きなときでOK。受注できる場所はマップ上にピンク色の看板が出ており,基本的にはそこへ向かえばいいが,ほかにも話しかけた町民から突発的に依頼されることもある。
これらは主人公の行動として記録され,どういったなりわいをこなしたかを,あとから確認できる。用意されたなりわいはかなり多く,それらをコンプリートするという遊び方もあるだろう。
最初の道場はぢぢい以外に人がいなくて寂しいが,弟子を増やしていくと賑やかになる。繁盛してくると鍛冶屋の代金が割引にされたり,ぢぢいが門下生からの礼金を使い,着飾り出したりする変化が見られる |
さて,門下生が増えることで,道場は徐々に活気を取り戻し,評判も上がってくる。ただし,そうなるとやってくるのが道場破り。放置しておくと弟子が殺されて評判が落ちるので,早急に戻って撃退しなければならない。これがなかなかの頻度でやってくるので,そこそこ苦労するだろう。
道場にある武器箪笥は,道場の師範にならなくても自由に使える。ここに預けておいたアイテムはセーブデータを引き継いだ際にも残っているので,強化したお気に入りの武器,お金などを預けておくと,後々の展開が楽になるかもしれない。ちなみに,武器箪笥は侍点を消費して,収納スペースを拡大させられる。多くのアイテムを預けたいのなら,ゲームをクリアして侍点を稼ごう。
さらに道場では,「白紙の目録」というアイテムがあれば,「俺流」というオリジナルの流派を作ることもできる。
ポーカーは最大10枚のコインをかけて挑戦できる。役が揃った場合はそれに応じたコインが払い戻され,ダブルアップでさらに倍,その倍とチャレンジできる |
夜になると賭場やカジノでギャンブルも楽しめる。それぞれ花札,ポーカーで遊べるが,前者はお金を獲得でき,後者はお金でコインを購入し,貯めたコインを景品に交換可能だ。なお,物語の展開次第ではカジノは利用できないので,その点には注意しておきたい。
タイトルにああ書いた手前,あまり強くお伝えするのもなんだが,やはりこれを紹介しないことには締まらないことこの上ないだろう。さて,夜這いだが,これは文字通り,女性キャラクターに夜這いを仕掛け,千人斬りを達成しちゃおう(そんなに女性キャラクターはいないと思うが)という,夢のシステムだ。対象となる女性は町娘から老婆まで幅広い。子ども以外の女性なら誰にでもアプローチできるという,なんとも素晴らしいシステムになっている。ラブイズピース!(言ってみたかっただけ)
女性に声をかけると,このように選択肢が登場する。中には下ネタや,歯の浮くようなきざなセリフがあり,どれを選ぶかが重要になる |
ナンパの流れは,女性に声をかけ,表示される選択肢を選ぶというシンプルなもの。選んだ答えによって喜んだり,呆れたりなど異なる反応を見せるので,それをヒントにして挑戦しよう。断られた場合は……諦めも肝心だ。ちなみに筆者は試しに話しかけた老婆に気に入られてしまい,あとで確認したら,ご婦人はなんと76歳。「うちの祖母とあんまり変わらないじゃないか」と嫌な汗をかいてしまった。というか,これは熟女好きとかいうレベルを超えている。
さて,ナンパに成功すると女性から待ち合わせ場所が指示されるが,夜這いの本番はここから。女性がいる場所には家人やライバルなどがおり,家人に見つかってしまった場合は岡っ引きを呼ばれてしまうので,そうなる前に背後から近づいて手刀でおとなしくさせておきたい。ターゲットは布団に隠れているが,画面左下に亀の頭が出ており,女性に近づくほど頭を突き出すのがヒントとなる。それを参考にして進めばいい。
一般女性の家なら警備も手薄,家の規模も小さいので見つけるのは簡単だが,キャラクターによっては,広大な屋敷であったり,大量の護衛がいたりと,夜這い成功への壁がとても高い場合もある。
無事女性を見つけられた場合は,旅籠へ移動し,お待ちかねのたわむれタイムへ。ここでは「□ボタン」で女性にタッチし,画面左上にあるゲージを空にして着物を剥ぎ取ってしまおう。ただし,女性も抵抗してくる。主人公のゲージは左下にあり,これが空になってしまうと負け。しかし,旅籠に連れ込むことには成功しているので,夜這いの記録は残る。
これぞ侍生活シミュレーター。やり込み要素満載で,長く遊べる一本
2周目以降は,過去にプレイ経験がある任務を,違う勢力の側から見られるというのが興味深い。筆者は初回プレイ時,見事なバッドエンディングを迎えてしまったが,そこで見た出来事から対策を考え,物語を別の展開に進めることができた。勢力を裏切ったり,選択肢を敢えて無視して放置してみるなど,遊び方次第でストーリーの分岐が起きるようなので,とにかくいろいろと好きなように試してみよう。
メインの物語を進めてもいいし,なりわいをこなしたり,武器をコレクションしたり,道場の門下生を集めたりなど,やり込み要素はとても多い。さらにオンラインにも対応しており,「いま,斬りにゆきます」というシステムが搭載されている。これは自身のデータを専用サーバーに自動的にアップロードし,その際にほかのプレイヤーのデータをダウンロードできるというもの。すると町内にほかのプレイヤーが作ったキャラクターが「辻斬り」として登場し,それと戦えるのだ。倒せば相手の武器を奪えるというメリットもあり,なかなか興味深い。
本作はやれる事がかなり多く,システムを覚えるのが大変だが,長く遊べる作りになっている。シリーズのファンだけでなく,一風変わったオープンワールドゲームを体験してみたい人にオススメの一本だ。
「侍道4」公式サイト
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