米国時間2018年8月8日,Qualcommは,ミドルクラス市場向けの新型SoC(Sys
tem
-on
-a
-Chip)となる「
Snapdragon 670 Mobile Platform」(以下,Sn
ap
dra
gon
670)を発表した。
ミドルクラス市場向けSoCの従来製品「
Snapdragon 660 Mobile Platform」(以下,Sn
ap
dra
gon
660)と比べて,Sn
ap
dra
gon
670は,端末側で動作するエッジAIの処理性能が最大1.8倍,GPU性能は最大25%向上したという。搭載製品は2018年第3四半期以降に登場する見込みである。
Snapdragon 670のブロック図
![画像集 No.002のサムネイル画像 / Qualcommが新型SoC「Snapdragon 670」発表。ミドルクラス市場向け端末におけるAI処理性能を強化](/games/128/G012876/20180809008/TN/002.jpg) |
ミドル〜ミドルハイクラス市場向けのQualcomm製SoCには,国内でも多数の搭載端末が流通しているSn
ap
dra
gon
660のほかにもう1つ,2018年5月に発表されたばかりの「
Snapdragon 710 Mobile Platform」(以下,Sn
ap
dra
gon
710)がある。
3製品のスペックは
表のとおりだが,採用する製造プロセス技術が10nm世代である点や,GPUがAdreno
61x系である点や,搭載するISP(Image
Signal
Pro
ces
sor)が「Spectra
250」である点,統合型モデムが「Snap
dragon
X12
LTE」である点を見るに,全体としてはSn
ap
dra
gon
710をベースとする下位モデルといった印象がある。
表 Snapdragon 670とSnapdragon 710および660の主なスペック
|
Snapdragon 670 |
Snapdragon 710 |
Snapdragon 660 |
型番 |
SDM670 |
SDM710 |
SDM660 |
製造プロセス |
10nm |
10nm |
14nm |
CPUコア |
Kryo 360(2.0GHz)×2+Kryo 360(1.7GHz)×6 |
Kryo 360(2.0GHz)×2+Kryo 360(1.7GHz)×6 |
Kryo 260(2.2GHz)×4+Kryo 260(1.8GHz)×4 |
最大動作クロック |
2.0GHz |
2.2GHz |
2.2GHz |
GPUコア |
Adreno 615 |
Adreno 616 |
Adreno 512 |
ISP |
Spectra 250 |
Spectra 250 |
Spectra 160 |
カメラ |
1600万画素(デュアル),2500万画素(シングル) |
2000万画素(デュアル),3200万画素(シングル) |
1600万画素(デュアル),2500万画素(シングル) |
統合型DSP |
Hexagon 685 |
Hexagon 685 |
Hexagon 680 |
APIサポート |
DirectX 12,OpenGL ES 3.2,Vulkan,OpenCL 2.0 |
DirectX 12,OpenGL ES 3.2,Vulkan,OpenCL 2.0 |
DirectX 12,OpenGL ES 3.2,Vulkan,OpenCL 2.0 |
メモリコントローラ |
LPDDR4X 1866MHz |
LPDDR4X 1866MHz |
LPDDR4X 1866MHz |
統合型モデム |
Snapdragon X12 LTE |
Snapdragon X15 LTE |
Snapdragon X12 LTE |
通信仕様 |
LTE Cat 15,下り最大600Mbps |
LTE Cat 15,下り最大800Mbps |
LTE Cat 12,下り最大600Mbps |
QualcommがSnapdragon 670の特徴として挙げているエッジAI性能の強化は,Android OSやスマートフォン向けアプリでのエッジAI活用が進んでいる現状を反映したものであろう。今まではハイエンドのスマートフォンでしか利用できなかったような,エッジAIによる画像および音声認識が,今後はミドルクラス市場向けスマートフォンでも普通に利用できるようになるかもしれない。
QualcommがSnapdragon 670の大きな特徴としてアピールしているのが,Snapdragon 660比で最大1.8倍にも向上したというエッジAI処理性能だ
![画像集 No.003のサムネイル画像 / Qualcommが新型SoC「Snapdragon 670」発表。ミドルクラス市場向け端末におけるAI処理性能を強化](/games/128/G012876/20180809008/TN/003.jpg) |
Snapdragon 670におけるエッジAIは,CPUとGPU,DSPを協調動作させることで実現している
![画像集 No.004のサムネイル画像 / Qualcommが新型SoC「Snapdragon 670」発表。ミドルクラス市場向け端末におけるAI処理性能を強化](/games/128/G012876/20180809008/TN/004.jpg) |
ゲーマーにとって気になるGPUコアの強化についての公式情報は,冒頭でも示した「Sn
ap
dra
gon
660比で最大25%向上」くらいしかない。ただ,Sn
ap
dra
gon
660の資料にはなかった,「DisplayPort
over
USB
Type-C
support」の文言が見られるので,Sn
ap
dra
gon
670搭載端末では,USB Type-CポートにUSB Type-C to DisplayPortケーブルを使って端末とテレビやディスプレイに接続することで,ゲームアプリの映像を大画面で楽しむといった使い方が,今よりも簡単に可能となるかもしれない。
Qualcommが発表したスケジュールどおりであれば,国内市場でも2018年末〜2019年初頭に搭載端末が出てくるであろう。Sn
ap
dra
gon
660搭載端末と比べて,どれくらいゲームにおける性能が変わるのか,今から楽しみだ。