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Intel,新世代ハイエンドCPU「Core i7-3000番台」を発表。Sandy Bridge-Eプラットフォーム,そのポイントをチェックする
2011年11月14日17:00,同社は,Sandy Bridgeマイクロアーキテクチャを採用するLGA2011版のCore i7-3000番台と,同CPUシリーズに対応するチップセット「Intel X79 Express」(以下,X79)を発表した。発表時点のラインナップは下記のとおり3モデル。いずれも,2008年11月以来のLGA1366版Core i7を置き換えるもので,LGA1155版Core iプロセッサの上位に置かれることとなる。
- Core i7-3960X Extreme Edition
3.3GHz(3.9GHz),6C12T,15MB L3,4ch DDR3-1600,130W TDP,Unlocked,7万6860円 - Core i7-3930K
3.2GHz(3.8GHz),6C12T,12MB L3,4ch DDR3-1600,130W TDP,Unlocked,4万3090円 - Core i7-3820
3.6GHz(3.9GHz),4C8T,10MB L3,4ch DDR3-1600,130W TDP,Partially Unlocked,未定(※2012年第1四半期発売予定)
※製品名の下に並んでいる表記は順に,動作クロック(最大クロック),コア/スレッド数,L3キャッシュ容量,メモリコントローラ,TDP,倍率ロックフリーかどうか(Unlockedは完全ロックフリー,Partially Unlockedは一部ロックフリー),OEM向けの1000個ロット時単価となる
LGA2011版Core i7の特徴を
部位ごとに整理する
以下,要素ごとに,LGA2011版Core i7を分析していこう。
■メモリコントローラ
Intelは,Sandy BridgeマイクロアーキテクチャをハイエンドデスクトップPC環境に移植するにあたり,メモリコントローラのDDR3-1600&DDR3L-1600対応と4ch化を図ってきた。これによりメモリバス帯域幅は51.2GB/sを実現しており,3chのDDR3-1066コントローラを搭載していたLGA1366の同25.6GB/sと比べて2倍の帯域幅を確保したことになる。
Intelでクライアント製品のベンチマークを担当するBenson Inkley氏 |
4ch DDR3-1600の後ろに記載されている「1DPC」は「1 DIMM per Channel」の意味 |
LGA2011でもXMPは「XMP 1.3」としてサポートされる。主要メモリモジュールベンダーから対応の4chキットが登場予定だ |
メモリサポート周りでは,マザーボードベンダー側の技術力が問われることになりそうな気配である。
なお,IntelはLGA2011版Core i7でもXMP(eXtreme Memory Profile)をサポートし,DDR3-2400などのオーバークロック設定を可能にしている。Intelによれば,LGA2011版Core i7の登場に合わせて,CorsairとG.Skill International Enterprise,Kingston Technology,Patriot Memoryの4社から,XMP準拠の4枚セット製品が投入される見込みになっているという。
■CPUコアとキャッシュ
なお,Core i7-3630KでL3キャッシュは12MBとなっており,1ブロック2.5MBという仕様からすると計算が合わないが,下位モデルではL3キャッシュのブロックあたり512KBずつ無効化されているため,2MB×6=12MBということになる。
■オーバークロックと冷却
その仕組みはLGA1155版Core i7&i5と変わらず,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)枠内で各コアを動的に引き上げるものだが,6コアモデルに関していうと,その伸びしろは5〜6コア動作時に+300MHz,1〜2コア動作時には+600MHzと,LGA1155版Core i7と比べて大きく設定されている。
なお,例外となる4コアのCore i7-3820だと,定格3.6GHzに対してTurbo Boost 2.0有効時の最大動作クロックは,Core i7-3960X Extreme Editionと同じ3.9GHzに抑えられているので,現状では3.9GHzが,Sandy Bridge-Eの定格電圧設定時における安定動作限界ということなのかもしれない。
実際,Intelはこれまでの「Unlocked」CPUと同じく,LGA2011版Core i7に対して,オーバークロック設定を容易に行えるソフトウェア「Intel Extreme Tuning Utility」を提供していたりする。
■PCI Express
CPUに統合されたPCI Expressインターフェースは計40レーン/最大10リンクで,(マザーボードの物理的なサイズを無視すれば),たとえば下記のようなPCI Express 2.0構成が可能になる。
- x16×2 + x8
- x16 + x8×3
- x16 + x8×2 + x4×2
- x16 + x4×4 + x4×2
- x4×10
Intelによれば,Sandy Bridge-EのPCI ExpressインタフェースはPCI Express Gen.3準拠で設計されているが,動作検証が終わっていないため,現時点ではあくまでも「PCI Express 2.0対応」になるという。断言はできないものの,今回発表されたLGA2011版Core i7がPCI Express 3.0へ対応できる可能性は残されているようだ。
参考として,Core i7-3960X Extreme EditionとGulftownコアの「Core i7-990X Extreme Edition」,Sandy Bridgeコアの「Core i7-2700K」でスペックを比較したものが下の表となる。
組み合わされるX79チップセットの仕様は
Intel 6シリーズに近い
冒頭でも紹介したとおり,組み合わせられるチップセットは1チップ仕様のX79 PCH(PCH:Platform Controller Hub)。CPUとの接続には,LGA1155プラットフォームと同じく,DMI 2.0が採用されている。サポートされるSerial ATA 6Gbpsポートは2で,USB 3.0コントローラは統合されないなど,基本仕様はLGA1155版Core iシリーズ用のIntel 6シリーズチップセットに近い。
LGA2011版Core i7の発表に合わせてIntelが公開した性能データによると,「3DMark 11」の「Physics」スコアでは,Core i7-990X Extreme Editionと比べて34%,Core i7-2600Kに比べて46%の性能向上を実現しているとのこと。また,グラフィックスカードベンダー関係者は「PCI ExpressグラフィックスインタフェースをCPU側に統合したことで,マルチグラフィックス環境におけるパフォーマンスが向上している」と述べており,SLIやCrossFireX環境ではLGA1366環境よりも優れた性能を期待できそうだ。
では,そんなSandy Bridge-E――LGA2011版Core i7のゲーム性能はいかほどか。4Gamerではさっそくゲームベンチを回してみたので,その結果はレビュー記事を参照してほしいと思う。
「Core i7-3960X&3930K」レビュー。LGA2011の「Sandy Bridge-E」は,ハイエンドPC環境に何をもたらすか
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Core i7(Sandy Bridge-E)
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Intel 7
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