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イベント
ボードゲーム,西の祭典「ゲームマーケット2015大阪」レポート。海外の話題作から,新機軸の国産インディーズまで盛りだくさん
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4Gamerでも何度かレポートを掲載しているゲームマーケットは,国内最大のアナログゲームの祭典で,その規模はアジアでも最大級のものといえる。2000年から毎年春と秋に東京で開催されているほか,近年は大阪でも開催されるようになり,今回は底冷えのする雨模様という天候にもかかわらず,10:00の開場前には700人以上が入場列を形成していた。出展社も国内ボードゲームの主要メーカーのほか,輸入ショップ,同人サークルと142の団体が参加し,3000人を超える来場者で賑わいを見せた。
本稿ではそんな会場の模様を,写真と共にお伝えしていこう。
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ゲームマーケット公式サイト
「次のステップ」を目指すゲームデザイナー達
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例えば,江戸時代の商家をテーマにした対戦型ボードゲーム「AKINDO」で知られるProduct Artsの海外向けブランドcocolo gamesからは,新作「ART OF WAR the card game」がお目見えしている。戦争と建国をテーマにした対戦カードゲームであり,とくにアーティスティックなカードデザインが目を惹くタイトルだが,このカードイラストはブラジル在住のデザイナー,Weberson Santiago氏が手がけるものだ。日本はもちろんのこと,海外――とくにヨーロッパ市場を意識したデザインを心がけたとのことで,海外に打って出る意思を強く感じるタイトルに仕上がっている。
同人文化がベースになっているゲームマーケットは,これまでどちらかといえば「自分が欲しいものを作る」のが主流の考え方だったが,Product Artsを筆頭に,広く評価されることを目標とするサークルが増えつつある。
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クリエイター同士のコラボレーションによって,自身の作風を広げようとする試みも見られた。「惨劇RoopeR」で知られるBaka Fire Partyは,全ファミ協会とタッグを組み,紐を使ってカードに描かれた図形を作る新感覚パズルゲーム「ライデマイスター」を発売した。同作は,全ファミ会のコンセプトを元にBaka Fire Partyがゲームデザインを担当し,コンポーネントの制作を全ファミ協会支部長が担当したタイトルとのことである。
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鍋野企画と数寄ゲームズは,大手メーカーに混じって合同で大型ブースを出展していた。「王様のマカロン」「犯人は踊る」といった,どちらかといえばファミリー寄りなタイトルで知られる鍋野企画と,1人の姫騎士をオークが追いかけ回す非対照型ドラフトカードゲーム「姫騎士,逃ゲテ〜」の数寄ゲームズ。一風変わった組み合わせだが,今回はお互いの作品を題材として新作をデザインし,発表している。
鍋野企画のコラボタイトル「姫騎士の魂 〜Soul of Princess」は,ポーカーチップと8枚のカードを使った心理戦カードゲーム。数寄ゲームズの「犯人は踊るポーカー」は,わずか5枚のカードで犯人当てをする推理型のカードゲームとのことである。
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こうした流れの根底には,「グリモリア」の木皿儀隼一氏や,「ラブレター」のカナイセイジ氏らの海外での活躍により,“海外で成功するための道筋”がより具体的に見えるようになってきたことがあるのだろう。海外ディーラーが会場を視察して回る光景も一般的になってきており,ゲームマーケットでチャンスを掴んで海外デビューというのも夢物語ではない。
同人サークルがプロ化していく傾向は,大勢を見ると決して良いことばかりではない面もあるのだが……先人達に続こうとするクリエイター達が出てきたこと自体は,とても喜ばしい。個人的にも,ぜひ応援していきたいと思っている。
なお,次回の関西でのゲームマーケットは,より広い会場となる神戸国際展示場に場所を移し,「ゲームマーケット神戸」として2016年2月21日に開催となる。また関東では,2015年5月5日に「ゲームマーケット2015春」が,11月22日に「ゲームマーケット2015秋」が予定されている。関西に負けず,関東でもバラエティ豊かな新作が見られることを期待しよう。
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![]() ゲームNOWAはバッティング系ゲームの「VIVA ココノッツ」を発売。日本神話のヤマタノオロチ退治を題材にした「大蛇(オロチ)のえじき」の第2版は,和風テイストのイラストが素晴らしい |
![]() ひとじゃらしの「3秒ルール」新装版。金属球が転がる約3秒の間に,ランダムに出題されるお題をこなすゲームだが,終着点に磁石が付いたことで金属球がきれいに止まるように。これにより,プレイアビリティが向上している |
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海外の話題作からオリジナルタイトルまで。注目タイトルピックアップ
さてここからは,前回に比べ,約1.5倍の広さになったという会場から,注目のブースや話題の新作をピックアップして紹介していこう。
■アークライト
海外ボードゲームのローカライズを手がけるアークライトのブースでは,2015年に展開予定の新作が数多く展示されていた。「アクアスフィア」「オルレアン」「ヒストリア」「アルケミスト」など,2014年10月のSpiel‘14で発表された話題作が目白押しで,日本語版の発売にも期待がかかる。
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また「マジック:ザ・ギャザリング」のRichard Garfield氏の手によるサイバーパンクLCG「Android: NETRUNNER」,4Gamer読者にはなじみ深いはずのシングルRPG「The Witcher」シリーズをボードゲーム化した「ウィッチャー ザ・ボードゲーム」では,β版の試遊台も用意され,多くのファンが足を止め,プレイに興じていた。
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■オインクゲームズ
オインクゲームズの新作「トロル」は,かつてドロッセルマイヤー商會が販売していた「巨竜の歯みがき」を,オインク流にアレンジしたもの。トロルの洞窟に忍び込み,気づかれる前に宝石を持って逃げ出すという内容で,トロルの気配を読みつつ,どのぐらいの量の宝石を掴むのかがポイントとなる。
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■グループSNE / cossaic
グループSNE / cossaicブースのイチオシは,Cheapass Gamesの看板タイトル「Kill Doctor Lucky」をカードゲーム化した「キルDr.ラッキー・カードゲーム」。プレイヤー全員から恨みを買う“ラッキー博士”を殺すべく悪銭苦闘するゲームだが,博士は幸運すぎてなかなかうまくいかないという,ユーモアたっぷりのタイトルとなっている。
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ほかグループSNEに所属する友野 詳氏のファンタジーノベル「コクーン・ワールド」を原作とした「コクーン・ワールド ザ・ボードゲーム」のテスト版も出展されており,こちらも楽しみ。原作者の友野氏によれば,「原作の再現性は皆無の運ゲーですが,楽しければそれでいいんです! あと,専用のダイスタワーが付きます」とのこと。
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■ゲームフィールド
九州のボードゲームショップ「ゲームフィールド」のブースでは,国産のカードゲーム「落水邸物語」のほか,輸入ボードゲームが展示販売されていた。写真は輸入ゲームの新作「Epic Resort」。ファンタジー世界の英雄達が憩うリゾート地を経営し,世界を救う戦いを支援する……という内容だそうだ。
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■アジアからの参加者達
韓国の若手デザイナー達が新設したメーカーのGARYKIMGAMESは,クラウドファンディングで資金調達した「The DOME」を発売。サイバーパンク風の世界を舞台にした2〜4人用の対戦型カードゲームとのこと。クールなイラストが目を惹くタイトルだ。
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![]() 台湾からの参加者となるBIGFUN(大玩卓遊)の「かくにゃんぼうDX」。このサークルは「ワンニャービスケット」など,愛らしい動物ゲームが得意な様子 |
![]() 同じく台湾から,Moaideas Game Designの「忍者ボウリング」。ピンのカードに手裏剣カードを投げつけ,触れたカードで倒したピンの数を競うアクションゲーム |
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![]() サークル・ペンとサイコロの「三千世界の烏を殺し,主と朝寝がしてみたい」は,クラウドファンディング発の和風テイスト溢れるカードゲーム |
![]() 同じくペンとサイコロで販売されていた,陰陽道をテーマにしたダイスゲーム「陰陽賽」。前回紹介したポストカードゲーム企画作品をグレードアップしたものだという |
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ゲームマーケット公式サイト
- 関連タイトル:
ボードゲーム(アークライト)
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海外ボードゲーム(ホビージャパン)
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