イベント
「ニコニコ超会議」の最終赤字額は4億7081万25円。けれど2013年4月に「ニコニコ超会議2(たぶん)」を開催。「ニコニコ町会議」の詳細も明らかになった「ニコニコちょうかいぎ発表会」をレポート
今回の発表会では,ドワンゴ 代表取締役会長の川上量生氏と,同社取締役の夏野 剛氏が登壇。開催間近の「ニコニコ町会議 全国ツアー 2012」詳細や2012年4月に幕張メッセで行われた「ニコニコ超会議」の最終赤字額の報告,そしてまさかの「ニコニコ超会議2」の開催が明かされた。発表会の模様を詳しくレポートしていこう。
「ニワンゴ」公式サイト
今は“無駄なこと”が不足しているから,僕らは「ニコニコ超会議」をやったんです――ドワンゴ川上量生氏との対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第6回
ネットとリアルの断絶の終わり――「ニコニコ超会議」が示したものを考えてみた
全国5か所を回る「ニコニコ町会議 全国ツアー 2012」
輪ゴム銃での“チート”も大歓迎
まず最初に発表されたのは,この夏に全国各地で行われる「ニコニコ町会議 全国ツアー 2012」(以下,「ニコニコ町会議」)の詳細について。ニコニコ町会議は,2012年4月に行われた「ニコニコ超会議」の「町」版として全国各地を回る,移動式文化祭という位置づけだ。
開催場所については,各地から4400通以上もの応募が寄せられたとのことで,その中から今回は以下の5か所が選ばれた。
7月29日(日) 鳥取県 八頭町「きらめき祭」
8月5日(日) 佐賀県 唐津市呼子町「水光呼子港まつり」
8月11日(土) 北海道 長万部町「飯生神社例大祭」
8月16日(木) 福島県 三春町「三春盆踊り」
8月30日(木) 東京都 八丈島(八丈町)「離島甲子園」
ニコニコ町会議の具体的な内容として,大きく4つの要素が紹介された。
まずは,ニコニコ超会議で用意されていたコンテンツの町会議版となる「ニコニコ町会議コンテンツ」……ではよく分からないが,具体例として,祠を乗せたニコニコカーが定点生配信を行う「ニコニコカー神社」,企画メニューが食べられる「町ニコニコフード」,ニコニコ本社出張所としてグッズ販売を行う「町ニコニコグッズ」,JOYSOUNDの協力による「町ニコニコのど自慢」「マギカ調べ上映会」などが紹介された。
さらに,「niconico 5周年記念動画」として,企画・監修を小山薫堂氏,企画・演出を片岡K氏が手がける「本当にジワジワくる動画」が各会場で1話ずつ上映されていくという。
また,ニコニコ町会議ならではの地域交流コンテンツとして,「似顔絵&大道芸コーナー」「ゴム銃作ってみた〜ニコニコ射的〜」「町ユーザーマーケット」「町踊ってみたレッスン」などの例が発表された。中でも「ゴム銃作ってみた」は,ニコニコ動画の「ニコニコ技術部」でも人気のゴム銃で実際に射的が楽しめる企画で,来場者による自作ゴム銃の持ち込みも大歓迎とのこと。そのため,川上氏は「“チートあり”の射的ゲームなので,(景品を)持っていってくれ」とアピールしていた。
さらに,地域PRコンテンツとして,方言レッスンや,町長による地元PRコーナー,地元名産品のグルメショップなども紹介。
そして,ニコニコ大会議やニコニコ超会議では恒例となっている,niconico新サービスなどの発表も,各会場ごとに行われるそうだ。
今回,5か所で行われるニコニコ町会議だが,その出発地として鳥取県が選ばれたことについて夏野氏は「鳥取県は,ニコニコ動画的に課題の県で,登録ユーザー数が香港に負けている」とし,「我々は鳥取県を掘り起こす」と続けた。
そのほか,各会場の地域特産物やお祭りの内容にちなんだイベント企画が多数用意されており,例えばファイナル会場となる東京・八丈島の「離島甲子園」においては,全国の離島中学校の頂点が決定する決勝戦の模様を生放送するそうだ。
以上のように盛りだくさんで,書いているほうも消化し切れていないが,さらに現地の方言を用いた「時報」や,ユーザーマーケットの出展者,ボランティアスタッフ,そして射的で使うための輪ゴム銃などの募集も告知されたので,各会場の近所に住んでいる人や,自慢の輪ゴム銃を持っている人,面白そうだと思った人は,応募してみてほしい。
4億7081万25円の最終赤字額となった「ニコニコ超会議」
来年の「ニコニコ超会議2」では協賛企業を募集
続いて,「あまりやりたくないんですけど,関心のある方が多いので一応ご報告しなければ」と夏野氏が述べ,2012年4月28〜29日に開催された「ニコニコ超会議」の最終報告が行われた。
その発表に続いて,「会長」と「取締役」による反省会の模様や,赤字の額に対するインターネット上の反応を紹介,そして,「超会議の思い出は,もう忘れて下さい。」というメッセージとともにムービーは終了した――と思いきや,最後に「あの場所で,再び。」「集めれば,強くなる。」「2013年 4月27・28日」「幕張メッセ」「ニコニコ超会議2(たぶん)」と,驚きのテロップが立て続けに映し出されたのだ。
まさかのニコニコ超会議2が明らかになったあと,川上氏と夏野氏がふたたび登壇。夏野氏は「私どもはこれ(赤字)に懲りず,今度はもうちょっとマシなかたちで,たぶん,2を開催させていただこうと思っている」と述べ,開催“希望”日は2013年4月27日,28日,開催“希望”場所は幕張メッセ,と,必要以上に「希望」を強調しながら開催予定を改めて発表した。
そして,川上氏は「ユーザーさんは来てくれるような気がするけど,問題はスポンサーさんが来てくれるかどうか」と述べ,次回は協賛企業を募集していく方針を明らかにした。
最後に,川上氏と夏野氏に対して取材陣からの質疑応答が行われた。
――ニコニコ町会議も,やはり赤字の予定ですか?
川上氏:
基本無料ですので,黒字になりようがないですね(笑)。
夏野氏:
ただ,(赤字の)金額としては微々たるものでしょう。基本的には車で回っていきますから。
――ニコニコ町会議の会場に四国がありませんでしたが,スケジュール的に難しかったのでしょうか?
川上氏:
僕は生まれが四国なので,ぜひ入れたかったんですけど,スケジュールやいろんな理由で,できませんでした。
夏野氏:
なにしろ,お祭りの予定が関係しますので。最後が八丈島だと(最初から)決めているので,スケジュールがキチキチになってしまいました。
――ニコニコ町会議は赤字が前提だと思いますが,「地方のユーザー」を増やすなど,ビジネス上の狙いなどはあるのでしょうか。
夏野氏:
――ところで,ニコニコ超会議の赤字額は想定よりも多かったのでしょうか? もし多かったなら,どれくらい多かったのかをお教えください。
川上氏:
(夏野氏に)最初「(赤字額は)2億円」とか言っていたんですよね?
夏野氏:
そうだっけ? 「1億円までなら」とか言ってたじゃない。まあ,そういう話です。
――当初は1億円ほどを想定されていた赤字額が,結果としては4億7000万円になったわけですが,どうしてこういった額になったのでしょうか?
川上氏:
「成功するためには,やっぱりこれは必要だろう」「あれも必要だろう」という風に積み上げていったら,こういう結果になってしまった。次回からはもう少し計画性をもってやりたいと思います(笑)。
――(ニコニコ生放送のコメントから)秋祭りには対応しないんですか?
夏野氏:
それは夏祭りが終わってから考えます。
――ニコニコ超会議をやることによって,プレミアム会員数の増加など,具体的にどういったプラス効果があったのかを教えてください。
夏野氏:
メリットはたくさんあったと思います。とくに,メディアにあれだけ取り上げられたことは予想以上でしたね。
川上氏:
そうですね。
夏野氏:
連休中の出来事として,ほとんどすべての放送局さんに超会議を報道していただいたりして,「これで初めて知った」という方もたくさんいらっしゃったと思うんです。これを契機に,川上のメディア露出が多くなっております。
川上氏:
それは関係ないですよ(笑)。
夏野氏:
それから,実は企業ブースさんもたくさんあったんですけども,幕張メッセや東京ビッグサイトで行われる普通のショーを上回る集客を実現してしまったので,皆さん,非常に驚いていらっしゃって。いろんな企業さんとの提携も,非常にやりやすくなってきたと感じています。
やはり我々としては,ユーザーさんが楽しめるイベントを実現できたことが,ニコニコ動画にとって一番重要だったのかと思っていますが。
――私は鳥取に住んでいたので,八頭町に本当に人が集まるのか非常に疑問なんです(会場笑)が,勝算はどのあたりにあるんでしょうか? 例えば政治家の石破 茂さんのお膝元でもあるので,そういったところに働きかけをされているとか。
夏野氏:
石破さんについては,考えていませんでした。
川上氏:
(夏野氏に)来てもらえるといいですね。
夏野氏:
いいですね。いいお話をいただきました。ただですね,単純な生放送のコンテンツとしてもかなり面白いと思うんです。
ライブエンターテイメントって,お祭りも含めて,行けば楽しいのものでしょう。だけど「それは分かっているけど,行けない」とか,触れる機会がないという人も多い。そういう人に,ネットを通じて感動をお伝えしたい。そういうインフラにニコ動がなり得るのではないかと思っているので,単純な生放送であっても,かなりイケるんじゃないかと思っています。現場にたくさんの人が来ていただくことはもちろん目指しますが,それと同時に,ネットでも展開するということが大きな意味を持っていると思います。
川上氏:
日本にはもっと面白いものが,いろいろあると思うんです。日本の伝統芸能など,そういうことをやっていらっしゃる方がニコ動の中にはたくさんおられるので,そういうものに光を当てていけたらいいなと思います。実は今,将棋の中継が大変な人気になっていたりするんですよ。
以上の質疑応答のあと,夏野氏が「これから我々は全国を回って,日本を盛り上げたいと思っておりますので,今後ともニコニコ動画をよろしくお願いします」と述べ,発表会は終了した。
「ニコニコ町会議 全国ツアー 2012」公式サイト
- 関連タイトル:
ニコニコ
- この記事のURL: