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[GDC 2012]誰もが楽しめるコアゲームとは。大ヒットFacebookアプリ「Indiana Jones Adventure World」の秘密
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印刷2012/03/07 19:55

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[GDC 2012]誰もが楽しめるコアゲームとは。大ヒットFacebookアプリ「Indiana Jones Adventure World」の秘密

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 ソーシャルゲームと聞くと,やはりカジュアルなものを想像しがちだし,実際にそういうものが市場に溢れているが,中にはコアな要素を盛り込んで成功しているタイトルもある。その一つがFacebookアプリの「Indiana Jones Adventure World」だ。

 本作は2011年9月にサービスが始まるやいなや北米を中心に大ヒットを飛ばし,“ソーシャルアドベンチャー”という新たなジャンルを打ち立てるに至った。高い人気を獲得した要因はいくつかあるが,ソーシャルゲームでありながらコアなゲーマーでも納得できるようにさまざまな工夫を施したことが,とくに重要だっだという。

 3月6日(現地時間)に行われた講演「Indiana Jones Adventure World: Making Core Gameplay for Everyone」は,そんな本作の人気の秘訣を紐解くというものだった。さっそく,開発元であるZynga Bostonのリードゲームデザイナー Seth Sivak氏によって行われた講演の内容を紹介していこう。

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 Sivak氏は,Indiana Jones Adventure Worldの開発にあたって,いわゆる“村ゲー”ではなく,ちゃんとした物語のあるゲーム性を求めたという。これは単に作り込んだという話ではない。

 アクションアドベンチャーには,ゼルダの伝説やトゥームレイダーといった大ヒット作がいくつもあるが,はっきり言ってどれも難しいゲームだ。そもそも謎の解き方が分からなかったり,やり方は分かっているのにキャラクターをうまく操作できずに先へ進めなかったりといった経験をしたことのある人も多いだろう。Sivak氏達は,Indiana Jones Adventure Worldではそういったことが極力発生しないように注力したという。

 そこで,最初に彼らは本作のマップに「Bush Mazes」「Metal Detector Minesweeper」「Memory Puzzle」という3つのゲームの要素を取り入れた。

 Bush Mazesは,最短距離で目的地までキャラクターを誘導するという迷路ゲーム。Metal Detector Minesweeperは,いわゆるマインスイーパーだが,地雷の代わりに鉱物を見つける。そしてMemory Puzzleは,画面に表示された順番通りにボタンを押すといった記憶力がカギになるゲームである。

 どれも目新しいものではないが,先人達によってその面白さは実証されている。また,多くの人が一度は触れたことのあるゲームをベースにすることで,初めて触れる人へのハードルを下げた。

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 ただ,こういったマップを用意してみたものの,最初は簡単過ぎてゲームが作業感に溢れたものになってしまったのだという。そこで,マップの大改修が始まった。最終的には612か所もの変更をしたそうだが,この作業によって下に掲載した30の教訓を得たとSivak氏は言う。

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 「一度に多くのことを教えない」とか,「プレイヤーが求めているのは驚きと興奮である」とか,いずれの教訓も当たり前と言ってしまえばそれまでだが,これだけのこだわりをもとに本作のマップは作られている。マップ内のどのタイルにも必ず意味があり,見た目のおさまりがいいから岩を置いてみた,といったようなことはない。つまり,あらゆるタイルが計算のもとに配置されているわけだ。

 ソーシャルゲームは,短期間で開発されているものが多いと言われているが,本作は違う。Sivak氏は常に自分達がやっていることに疑問を持ち,それを解決した。そして,早めにプロトタイプを作りあげ,それを磨き上げることに時間をかけたそうだ。

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 またSivak氏は,本作を生み出す過程で,発明はどこにでもあるわけでもないということをあらためて学んだという。いままでにないものを作るのは大変で,それでいて面白いという保証はどこにもない。それであれば過去に成功したもののエッセンスを取り入れて面白いものを作るほうが効率的だ。ビジネスとしてゲームを作っていくのであれば,後者のほうが正解といえるだろう。

 最後にSivak氏は「フィードバックに惑わされて,自分のビジョンを失うな」ということを強調していた。いまのゲーム作りは昔と違い,正式リリース前に一般の人達にテストしてもらえる機会があり,多くの意見をもらえる。
 氏も意見は基本的に取り入れるが,ゲームの本質を揺るがすようなことは行わないという。ゲーム開発者とプレイヤーでは視点が異なるため,ゲームに必要な修正かどうかをしっかり見極めたうえで判断するわけだ。

 ソーシャルゲームの開発というと効率ばかりが優先されがちで,ゲームの内容よりも,いかにお金を使わせるかといった部分に工夫がこらされているといったイメージを持っている人は少なからずいるだろう。筆者もどちらかといえば,そういったイメージを持っていたわけだが,今回の講演では,それが見事に覆された。実際に本作を遊んでみると分かるが,手軽でありながらゲーム性が豊かで,しっかりと遊べる。運だけが頼りといったことは決してないのだ。

 また,何らかの設定を行ったあとは待つだけといったこともないので,能動的にゲームを遊びたい人の欲求もしっかりと満たしてくれる。ソーシャルゲームの新たな方向性を示す作品と呼んでも差し支えないゲームだと思うので,一度体験してみてほしい。すべてのタイルに意味があるという言葉が嘘ではないと実感できるはずだ。

「Indiana Jones Adventure World」公式サイト

  • 関連タイトル:

    Indiana Jones Adventure World

  • 関連タイトル:

    Facebook向けアプリ

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