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HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
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印刷2014/08/20 12:00

テストレポート

HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?

画像集#002のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
 2014年8月19日,HTCの日本法人であるHTC NIPPON(以下,HTC)は,東京都内にて製品発表イベント「HTC Conference Tokyo 2014」を開催し,KDDIから8月下旬に発売予定のAndroidスマートフォン「HTC J butterfly HTL23」(以下,HTC J butterfly,関連記事)を披露した。

乃木坂46によるステージイベントでは,本邦初公開の新曲が披露された
画像集#005のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
 HTC J butterflyをベースにした製品がアジア各国でも発売される予定とあって,アジア圏の海外プレスが目立ったのはHTCらしいところか。製品アンバサダーを務める「乃木坂46」が登壇して,新曲をお披露目するという一幕があるなど,アジア圏の会社によるものらしい,ショーアップされた内容だったといえるだろう。

 ともあれ,タッチ&トライコーナーでHTC J butterflyをベタベタと触ってきたので,そのインプレッションをまとめてみたい。


HTCが考えるスマホの4本柱は

カメラ・音・ヌルサク・デザイン


 イベントに登壇したHTCのCEOであるPeter Chou(ピーター・チョウ)氏は,HTCがスマートフォンの開発において重点を置いているのは,「カメラとサウンド,ヌルサク,デザイン」の4つであるという。気軽にスナップ写真を撮れるカメラと,満足できる音質のサウンド,快適な操作性,そして所有感を満たすデザインがキモというわけだ。
 それにKDDIのネットワークによる良質な通信品質を加えた5本の柱が,HTC J butterflyの特徴であると,Chou氏は語っていた。スペックはコンシューマーに対するアピールにはならないとHTCは割り切っているようで,今回の発表会でも,搭載SoC(System-on-a-Chip)や画面サイズへの言及は一切ないという割り切りぶりだ。

 それでは外観から見ていこう。HTC J butterflyの外観は,率直に言って,ごくごく普通な印象だ。5インチサイズで解像度1080×1920ドットの液晶パネルを搭載した本体前面は,ハードウェアボタンのないスッキリしたもので,背面はオーソドックスなラウンドフォルムである。地味と言ってもいいくらいだろう。

画像集#006のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
本体前面。写真では見えないが,前面の上下にステレオスピーカーを内蔵するため,上下方向が長い。人によっては目障りに感じるメーカーやキャリアのロゴが前面にないことには,好印象を受けた
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本体背面。1300万画素と200万画素という2つのアウトカメラを装備し,後述する「DUO CAMERA」機能を実現している。背面のロゴも悪目立ちしないデザインとなっていた

 本体サイズは約70(W)×145(D)×10.0(H)mmで,重量は約156g。取り立てて薄かったり軽かったりするわけでもない。ただ,手に持ってみると収まりがとてもよく,開発陣による使い勝手への細やかな配慮を感じ取れる。外観の奇抜さではなく,使いやすさにフォーカスした設計といったところだろうか。

画像集#008のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場? 画像集#009のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
本体上側面には,[電源/スリープ]ボタンと赤外線通信用のセンサーがある(左)。本体下側面で並ぶのはマイク用の孔とUSB Micro-B端子,ヘッドセット端子(右)。いずれの端子もキャップレス防水仕様だ

画像集#010のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場? 画像集#011のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
本体左側面にボタンやインタフェースはなく,Nano SIMカードスロットのカバーが用意されるのみ(左)。本体右側面には音量調節ボタンとmicroSDカードスロットがある。microSDカードスロットの位置は,ほかのスマートフォンなら[電源/スリープ]ボタンがある位置なので,ファーストタッチで間違える人はいるかも

画像集#012のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
microSDカードスロット(写真左)とNano SIMカードスロット(写真右)を引き出したところ
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カラーバリエーションは,左から,キャンバス(白),ルージュ(赤),インディゴ(青)の3色展開

 4本柱の1つであるカメラの特徴とされているのが,「DUO CAMERA」と呼ばれる機能だ。これは,背面に搭載された2つのレンズとカメラを使って撮影時に奥行き情報も保存しておくことで,撮影した写真にあとからピントの調整をかけられるというもの。とくにピントを変えて,一眼レフで撮影したような背景のボケた写真を作れるので,スマートフォンのカメラで撮影することが多い人は,重宝するのではないだろうか。

画像集#021のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場? 画像集#022のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
DUO CAMERA機能の例。左が撮影直後の状態で,右が画面右上端にピントを調整し直した状態なのだが,違いが分かるだろうか? 肉眼だと違って見えるのだが,画面を別のカメラで撮っても分かりにくいかもしれない


HarmanとのコラボでJBLブランドのヘッドフォンやバーチャルサラウンドソフトを搭載


前面の上と下にステレオスピーカーを装備
画像集#019のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
 同じく4本柱として挙げられたサウンドに関しても見てみよう。写真のキャプションで前述したとおり,HTC J butterflyは本体前面にステレオスピーカーを備えている。配置は本体前面の上端と下端なので,ステレオで音声を聞くためには横位置にする必要があるのだが,ゲームのサウンドをステレオで再生できるのは利点といえよう。音質面も,内蔵スピーカーの割にはそつがなく聴きやすいものだった。

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HTC J butterfly付属のカナル型ヘッドフォン(左)
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付属ヘッドフォンに最適化されているというJBL LiveStageだが,他社製のヘッドフォンでも使用可能。ただし,付属ヘッドフォンと同じように聞こえるとは限らないそうで,筆者所有のBose SIE2i sport headphonesで試してみたところ,逆に音がこもる結果となった
 また,Harman Internationalとのコラボレーションにより,JBLブランドのカナル型ヘッドフォンが付属するのに加えて,付属ヘッドフォンに最適化された「JBL LiveStage」というソフトも搭載しているという。
 JBL LiveStageは一種のバーチャルサラウンドソフトで,音楽や動画の再生だけでなく,「ほとんどのゲームにも対応する」(説明員氏)のだという。残念ながら実際のゲームで試せるものが用意されていなかったのだが,説明員によれば「音がクリアになる」とのこと。ゲームのサウンドがどう変わるのかは,実際に試してみたいところだ。
 余談だが,筆者はゲームのボイスチャット代わりに,スマートフォンのIP音声通話アプリを多用している。そこで,JBL LiveStageがIP音声通話アプリでも使えるかと試してみたのだが,残念ながら現時点では対応していなかった。


2014年のハイエンドスマートフォンとして

不足のないスペック


 イベントでは光の当たらなかったスペック面もチェックしておこう。搭載SoCは,Qualcomm製の「Snapdragon 801 MSM8974AC」で,CPUコアの動作クロックは最大2.5GHzとされている。メインメモリ容量は2GBで内蔵ストレージ容量は32GB,搭載OSはAndroid 4.4(KitKat)。特筆すべきところはないものの,2014年のハイエンドスマートフォンとして不足ない仕様といえよう。

 実際,試用機を使ってみてもレスポンスがよく,指先の操作に動きが追従する「ヌルサク感」を実現できていたように思う。筆者がとくに気に入ったのはソフトウェアキーボード入力時のレスポンスだ。早すぎも遅すぎもしない絶妙な感覚で,実に打ちやすかった。

 このほかに,IPX5/7相当の防水性能やIPX5の防塵性能,おサイフケータイ機能やワンセグ/フルセグチューナー内蔵など,日本市場向けのAndroidスマートフォンではお約束の機能はきちんと備えている。「ソツのない優等生」といった印象か。
 なお,ワンセグ/フルセグの試聴には,付属の「HTC TVアンテナケーブル01」を接続する必要があるので,テレビ機能の手軽さという点では,国内メーカー製スマートフォンに一歩及ばない。

 ところで,Androidスマートフォンでは,独自のホーム画面やマルチタスク機能を備える製品が珍しくない。HTCも長年,独自の「Sense UI」を展開し,マメにアップデートしているのだが,驚くことに,HTC J butterflyにはSense UIが用意されていない。HTC J butterfly独自のUIも備えないという。説明員に尋ねたところ,ユーザーからもそうした機能に対する要望は多くなかったそうで,HTCしては不要と判断したのことだ。
 その一方で,操作面で目を引く独自機能として,「Motion Launch」というものを備えている。これは,スリープ状態からでもタップやドラッグといった操作で機能を呼び出せるというものだ。たとえば,液晶パネルを2回タップするとスリープが解除され,上にスワイプでロック解除,下にスワイプすると「音声ダイヤル」が起動するといった感じ。慣れれば便利に使えそうだ。
 また,近接センサーを利用して,着信中に端末を耳に当てると,自動で受話するといった使い勝手を向上させる機能も備えているという。

画像集#014のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
ホーム画面はシンプルなもので,独自のウィジェットもないようだ。独自アプリをてんこ盛りした製品よりは,こういうシンプルな物のほうがいいという人もいるのではないか
画像集#015のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
オプションの「HTL23 Dot View Case」を装着した状態。全面の孔から液晶パネルが透けて見え,簡単な情報を表示できる。装着状態でも,Motion Launch機能は使えるそうだ

画像集#016のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
ホーム画面から右スワイプで呼び出せるアプリ「HTC BLINKFEED」。新着ニュースやSNSへの投稿をチェックできる
画像集#017のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
Motion Launch機能により,1本指で上端から下方向にスワイプすると通知エリアが,2本指では設定画面が表示される


ベンチマークテストで実力を検証

3DMarkスコアは2014年夏モデルのトップクラス


 さて,それではベンチマークテストでHTC J butterflyの性能を確認してみよう。まずは恒例のAndroid版「3DMark」によるグラフィックス性能の計測からだ。
 「Ice Strom」プリセットと「Ice Strome Extreme」プリセットが,測定上限の「Maxed out!」になるのはもはやお約束。Graphics test 1のフレームレートは,Ice Strome Extremeプリセットでも60.2fpsを記録しているほどだ。
 GPU本来の性能を見るのに利用する「Ice Storm Unlimited」プリセットのスコアは「19599」。2014年夏モデルで最高とまではいかなかったものの,トップクラスの性能といっていい。
 現在プレイできるゲームなら,グラフィックス性能面で不満を感じることはなさそうだ。

画像集#023のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場? 画像集#024のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
Ice Strome Extreme(左)とIce Storm Unlimited(右)のスコア。2014年のハイエンドスマートフォンの中でも上位に位置する性能を発揮した

ズガガ連打での計測結果。24タップめまでストレートに伸びていったので,まずゲームプレイで不満を覚えることはなさそうだ
画像集#025のサムネイル/HTC製Androidスマートフォン「HTC J butterfly」インプレッション。2014年夏スマホの真打ちがようやく登場?
 次なる連射の応答性計測だが,いつも使っていた連射測定アプリ「ぺしぺしIkina」が,画像を保存しているサーバー側の問題で使用できなかったため,同種のアプリである「ズガガ連打」を使用した。そのため,ぺしぺしIkinaでの計測とは精度が異なる可能性があることをお断りしておく。

 それを踏まえたうえで,93〜96になるよう連射した結果のスコアは「88」だった。
 立ち上がりの応答は良好で,24タップめまでストレートに検出。24で一度飽和したあとは,34,55,60タップめで飽和を確認している。最初に飽和して以降の飽和間隔が短いことは気になるが,タイミング重視のゲームでも問題のない挙動だといえるだろう。


見た目は平凡だが,スペック,使い勝手ともに良好でお勧めの1台


 見た目こそ,普通のスマートフォンといったHTC J butterflyだが,手に馴染むデザインは,筆者がこれまで触ったスマートフォンの中でも,上位にランクインするほどの良さがある。手に持ったときの“持ち心地”がいいのだ。連射計測時に片手で握っていても,安定したホールドが可能だった。
 OSのチューニングもレスポンスを改善することに注力しているようで,余計なアプリが少ない点も好評価できる。

 また,ステレオスピーカーの存在は,(移動中はともかく)自宅など,落ち着いた環境でのゲーム用途では見逃せないポイントになりそうだ。発売日は8月29日なので,店頭でモックアップや試用機を触れるようになるのも遠い話ではない。携帯電話の機種変更を考えている人なら,HTC J butterflyは有力な候補に挙げる価値がある製品といえるだろう。

●HTC J butterfly HTL23の主なスペック
  • メーカー:HTC
  • OS:Android 4.4(KitKat)
  • ディスプレイパネル:5インチ,解像度1080×1920ドット
  • プロセッサ:Qualcomm製「MSM8974AC」(クアッドCPUコア,最大CPU動作クロック2.5GHz)
  • メインメモリ容量:2GB
  • ストレージ:内蔵(容量32GB)
  • アウトカメラ:約1300万画素
  • インカメラ:約500万画素
  • バッテリー容量:2700mAh
  • SIM:microSIM
  • LTE対応:受信時最大150Mbps
  • 無線LAN対応:IEEE 802.11a/g/n/ac
  • 連続通話/3G待受時間/LTE待受時間:約1010分/約490時間/約430時間
  • 本体サイズ:約70(W)×145(D)×10.0(H)mm
  • 本体重量:約156g
  • 本体カラー:ルージュ,キャンバス,インディゴ
  • 主な対応サービス&機能:Eメール(@ezweb.ne.jp),SMS,グローバルパスポート(LTE/GSM/UMTS),ワンセグ,フルセグ(アンテナ内蔵),おサイフケータイ,NFC,Bluetooth 4.0,Wi-Fiテザリング(最大8台),キャリアアグリゲーション,WiMAX 2+,WIN HIGH SPEED,緊急速報メール,防水,防塵

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