いや,自分,ハマってないです! そりゃXbox 360版の
「DREAM C CLUB」と
「DREAM C CLUB ZERO」とPSP版の
「DREAM C CLUB Portable」,さらにPS Vitaまだ持ってないのにPS Vita版の
「ドリームクラブ ZERO ポータブル」も買っちゃって,おまけにCDとかDLCとか攻略本も手に入れて,もう終わったけど,カラオケチェーン「パセラ」とのコラボカフェ(
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「ツンデレフライドポテト」のツンのほうのソースをつけすぎて口から火を吹いたりもしたが,ちゃーっ,はまってないってばよ! あっ,そういえば,
「マージャン★ドリームクラブ」と,なんだかよく分からないけど
「肉の高円寺」と書かれたタオルも持っているんだった。
……と,そんな「ドリームクラブ」シリーズ初心者の筆者が僭越ながらここに紹介するのが,2013年1月17日にディースリー・パブリッシャーから発売された
「ドリームクラブZERO Special Edipyon!」(以下,ZERO Special エディぴょん!)だ。昨年(2012年)11月15日に発売された
「ドリームクラブ Complete Edipyon!」(以下,Complete エディぴょん!)に続く,PlayStation 3版ドリクラ第2弾であり,タイトルからも分かるように,基本的なゲームシステムはXbox 360版のDREAM C CLUB ZEROを踏襲したものになっている。とはいえ,PlayStation 3への出店ということで,今回,いろいろなパワーアップも施されており,例えば受付ちゃんとか受付ちゃんとか受付ちゃんとか。
ちなみに,発売中のComplete エディぴょん!については,2012年11月17日に
簡単なインプレッション記事を掲載しているのだが,書いた人はどうやらドリームクラブというゲームをかなり誤解していたらしく,女の子をとっかえひっかえ指名して,おしゃべりを楽しんだり,バナナやフランクフルトやソフトクリームを食べさせたり食べさせそこなったり,オムライスにケチャップで字を書いたりして1年間を過ごし,
「酔っぱらったセッちゃんは面白いなあ。あははは」と喜びながらそれを繰り返し,最後はいつも,あまりうまいとはいえない男性合唱によるエンディングテーマを聞いていたという話だが,実はそういうゲームではない……と言い切るのもホントはちょっと難しくて,そこらへんも楽しいっちゃ楽しいのだけど,そうじゃなくて,基本はお店で働く女の子の一人と必要以上に親密になることを目的とした,恋愛シミュレーションなのだ,って,今さらですか? そうですか。
物語の舞台となるのはピュアな心の人しか行けないという,ある意味きわめてハードルの高い紳士の社交場
「ドリームクラブ」で,主人公は,どういうわけかそこの会員証を手に入れることになる。ドリームクラブとは,受付で女の子を指名して,所定の時間,二人でお酒を飲んだり,お話したりすると,最後にそれなりの料金が発生するという不思議な場所で,なんだか現実の世の中にも類似のシステムを採用した施設が存在するらしいのだけど,ここはそういうところとは無関係の,なんというか,もっとドリーミーな場所なのだって,同じことを前にも書いたような気がするが,気にしないように。
ちなみにドリームクラブは
明朗会計が自慢であり,一回だけ延長もできるが,基本的に滞在できる時間は決まっていて,入場料やお酒代などもあらかじめ分かっているうえ,無料ドリンクまで用意されているというお店だ。渡された勘定書を見て「なんだよこの,“サービス代3万円”って?」といきどおった経験をお持ちの人でも,安心していいのよ。
Complete エディぴょん!に続くZERO Special エディぴょん!のポイントは,本作がComplete エディぴょん!の
「5か月前」になっていることだ。そのため,ゲーム開始時にはまだ入店していない女の子がいたり,5か月後にはもう在籍していない女の子がいたりするほか,「Complete エディぴょん!で彼女はこんなだが,それはこういう理由によるものだった」みたいな流れが楽しめたりもする。続編の時間が前作より“以前”であるという設定は面白く,前作をプレイしていればより興味深く楽しめるはずだ。とはいえ,Complete エディぴょん!を遊びながら「おまえ,実は5か月前に男がいたろ?」みたいな視線で女の子を見ても意味がないのでやめておいたほうがいいだろう。
「オムライスラブ」「お口あ〜ん」「アゲアゲ合戦」,そして「チョコレートラブ」など,お酒を飲む以外,紳士のお遊びは多数用意されている。筆者的には,お口あ〜んに熱中しているところを家族に見られ,説明に窮したことも記憶に新しい
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ただし,必ずしもComplete エディぴょん!と直線的につながっているわけではなく,やはりZERO Special エディぴょん!なりの世界観みたいなものがあり,なんというか,女の子達の設定は同じだが,過去に干渉したことで未来がちょっと異なったという感じだが,言ってるほうも意味はよく分かっていない。
まあ,ややこしいことはともかく,あなたを迎えてくれるのは,
13人※の魅力的なホストガール達。ホストガールとは,ドリームクラブで働く女の子の呼称で,公式には「純真で素直な乙女」とされているが,それを信じるも信じないもあなた次第だ。上にも書いたように,13人の女の子の中から一人を選んでお店に通いつめ,好感度を上げ,いずれはうっしっしが目的となる。うっしっし。
※隠しキャラ2名がいるので,最初は11人
季節ごとに,衣装や髪型が変わる「コスプレデー」も用意されている
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基本,プレイヤーが店内でできるのは,お酒を飲みながらホストガールとおしゃべりすることで,会話中,出てくる三択から正しい答えを選んで,彼女の好感度を上げたりすることになる。それ以外にも,例えばそのホストガールの好きなお酒を選んであげるとか,プレゼントをあげるとか,ミニゲームをうまくこなすとか,好感度を上げる方法はいろいろあり,例えば,出てきたお酒を一気飲みしてもなぜか上がるので,これは「まぁ,男らしい」という気持ちの現れかもしれないが,もしかしたらお店にさらにお金を落としてくれることを喜んでいるだけなのかもしれない。
この,二人でお酒を飲むという行為には
「IIS」(インタラクティブ飲酒システム)というたいそうな名前がついているが,実際はコントローラのスティックを操作して画面上のグラスを傾け,クイクイっとやるだけだ。とはいえ,自分をギリギリ酔っぱらった程度にとどめつつ,ホストガールに十分なお酒を飲ませるには,割とコツがいる。
ドリームクラブに通って女の子と一緒に過ごすのがゲームの基本だが,「ドリガチャ」を回したり,そこで手に入れたグッズで自宅の模様替えをしたり,買い物に出かけたりもできる。出先でホストガールにバッタリ,なんてことも起きる
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お店や女の子からメールが届くことがある。Xbox 360版に比べて,PlayStation 3版はスマートフォンになった。だからどうしたと言われても困るけど
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見たところ彼女達は,こちらがグラスを傾けるのに合わせて自分もお酒を口に含むらしいので,傾ける間合いみたいなものが重要になるし,ホストガールそれぞれにお酒の強さが設定されており,さらに,それぞれのお酒にもアルコール度みたいなものがあるので,こうしたさまざまな要素を,あたかもヘアピンカーブを曲がるF1ドライバーのように瞬時かつ的確に判断しなければならない。また,黙って飲んでいると,退屈したホストガールが向こうから話しかけてくることもあり,そうなると飲酒は一時中止になり,会話のために時間が消費されてしまう。言うまでもなく,こちらが飲み過ぎてぶっ倒れても,向こうが飲み過ぎてぶっ倒れてもサービス中止となるので,よく考えてみると,一見簡単そうだが実は奥が深い。さすがはIISだ。立派な名前だと思う。
でまあ,なんでそんなことに苦労するのかといえば,ホストガールが都合よく酔った状態になってくれる必要があるからで,うまく酔ってくれると,会話の選択肢に専用のものが出てきて,ここでしかできない質問ができたりするのだ。このような,お互いに酔ってて「で,ぶっちゃけそのへんどうなの,チミ?」的な会話を繰り広げている状況には
「ETS」(エモーショナル・トーク・システム)というたいそうな名前がついているが,基本的にETSに持ち込んでお話しなければゲームが進まないし,彼女達のプロフィールも埋められないので,かなり重要な要素となる。立派な名前だと思いますよ,ええ。
「ETS」になると,会話の選択肢がこうなる。分かんないよ,もう
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プロフィールについてはComplete エディぴょん!のインプレッション記事でも書いたとおり,誕生日や年齢,スリーサイズなどを聞き出してリストを埋めていく。ただし,例えば誕生日は,そのホストガールと親しい別のホストガールがメールで教えてくれるが(例外あり),そもそも彼女と親しいホストガールが誰なのかはすぐには分からないといった調子……と,システムの説明はまあ,これくらいにするけど,このように女の子と仲良くなるのは非常に
大変な作業だ。現在に至るまでの約半世紀,筆者が現実世界で一度も成功したことがないくらいの難事業であると呼んで過言ではないが,うるさいな,ほっといてよ。
とはいえ,話がうまいこと進めば,それぞれのホストガール達はあなたに意外な側面を見せてくれるだろう。わがまま一杯,歯に衣着せぬストレートな発言でピュアなプレイヤーのハートをグサグサ突き刺してくれるセッちゃんこと雪だが,仲良くなると「えっ?」と聞き返したくなるような昔話をしてくれる。ああ,そうだったのか,だからオレのことを「お兄ちゃん」って……。それを聞いてしまうともう,セッちゃんのどんなわがままでも許せそうな気分になるはずだ。セッちゃんも,がんばってるんだよね。
仲が良くなると,店外デートやアフターのお誘いなどが発生する。彼女達の,お店での姿とは違った一面に触れるチャンスだ
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また,Complete エディぴょん!の,一応隠しキャラだったけど大人の力で速攻プレイも可能だったアイリは,前作でようやく指名できるようになったとき,
「ロボットですと!」と驚いたものの,終わってみれば,一番ホロリとさせてくれた愛らしいホストガールだった。あのときから5か月ほど若い,というか新しい彼女にも,前作とはちょっと違った,でも,やっぱり切ない恋物語が用意されており,泣けるよ,ほんと。
ZERO Special エディぴょん!で初登場となるホストガールとしては,遙華,ノノノ,そしてあすかの3人がいる。2人のボディガードを連れている遙華さまは,買い物に行くのにもいちいち赤い絨毯を敷くというマンガみたいなウルトラセレブで,プレイヤーを悪気なく華麗に罵ってくれるが,酒癖が妙に悪く,酔っぱらうとオヤジ化してかなり面白い。お客さんを「あんた」って呼んじゃダメですよ,遙華さま。
遙華さま。遙華さまから来るメールは,背後のボディガードが代筆している
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また,「未来から来たタイムエージェント」だと自称するノノノは,ヘンなものでも食べたんじゃないかというほどアブない下ネタを連発する,ちょっぴり痛い感じのホストガールだが,人類の未来が彼女の双肩にかかっているらしい。彼女で大丈夫なのか,未来の人? とはいえ,自分が好かれていると分かると,とたんに照れまくって狼狽するという,卑怯だろというほど可愛いところを見せてくれるので,かなり卑怯だ。
小麦色のアスリート,あすかは3人の中で最も普通のホストガールかと思いきや,個人的にかなりビックリさせられたシナリオが用意されている。そう考えると,あすかの持ち歌である「ココロのコトバ」の歌詞も意味深。
ノノノ。最初からこれ
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聞いてはならないことを質問するノノノ
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……このほか,それぞれのホストガールにそれぞれの物語が新たに用意されており,ちょっと付き合っただけでは分からない,彼女達の夢や希望,悩みや悲しみを聞けるようになれば,もうこっちのもの,じゃなくて,どんどん深みにはまっていくはずだ。
もっとも――と,ここで水を差しちゃうのだけど,彼女達はある意味プロであり,一から十まで彼女達の話を信じるかどうかはあなた次第。だーって,悩み事を打ち明けられ,その成り行きが気になってご指名を続ければ,彼女達にとっては
「ふふ,計画どおり」なわけでしょ。まあ,いわゆるウィンウィンの関係だから問題はないのだが,しかし,プレイヤーというか,プレイヤーが操作する主人公はそんなことは毛の先ほども考えない。
あすか。ビーチバレーの選手で,事故にあって現在はリハビリ中
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このゲームの魅力の一つは,そんな彼の生き方にもあるはずだ。週日はアルバイト暮らしで定職にも就かず,週末になるとドリームクラブに通ってホストガールを口説く。世間的にはかなりダメっぽいけど,本人はそういう暮らしを全面的に肯定しており,相手がたとえメカっ娘だろうと,激辛ツンデレだろうと,超セレブだろうと,後先考えず口説く。可愛いから口説く。そして,悩みがあれば親身になって相談に乗る。当然ながらその背後には,彼女達と仲良くなりたいという下心がある――というかそれしかなくて,そのためにこそ懸命に働いたりするのだが,彼の人生のシンプルさは,つい余計なことを考えてしまう現代社会の我々にとって,
まさにピュア。人生,かくありたいと思わせてくれる。
もっとも,こちらが「オレはそんなこと言わない!」という感じの(主にセクハラ)発言を,よりによって深刻な話の途中に繰り出したりするのは困りものだけど。
お泊まりで温泉に行ったりするというイベントも発生する。それがどんなものであるのかは,プレイしてのお楽しみだ。まっ,お互い大人だし
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というわけで,最後に楽曲について少々。ご存じのように,ホストガールとある程度親密になると,彼女達はこちらのリクエストに応えて
「カラオケ」を披露してくれる。中央の噴水がたちまちステージに早変わりするのだが,いずれの楽曲も非常にいい感じで,懐かしのアイドルソングから昭和歌謡,テクノ,ロック,ファンク,パンクなどバラエティも豊富。ないのは演歌と民謡ぐらいじゃないかと思われるほどだ。さらに,ほろ酔いのため歌詞を忘れたり間違えたり,ダンスで足をもつれさせたりする
「カワオケ」も必見かつ必聴で,亜麻音の「スピード違反です」には,すっかりやられてしまいました。
もっとも,カラオケに付随するミニゲームの難度は個人的に高めな印象で,しかもそれをうまくこなしたとしても,好感度は
「お口あ〜ん」と同程度にしかアップしないので,だったらソフトクリームを玲香の鼻だのおでこだのにぶつけて「なんや〜」とか言われていたほうが面白いかもと思ってしまうところがやや残念だ。例えば,ノーミスでカラオケのミニゲームをクリアすると好感度がいきなりマックス×2,「抱いて!」みたいな展開になればモチベーションが上がると思うが,そんなうまい話はないよね。まあ,無理にパーフェクトを狙う必要はないけれど,どれもすごく魅力的な曲ばかりなので,ぜひ聞いてほしいと思う。ただし,もし
「ミニゲーム,簡単すぎだろ」という人がいれば,以上の話はそっと胸にしまって忘れてほしい。約束だよ。
「VIPルーム」では,受付さんの歌や踊りが楽しめる。衣装の交換や「カワオケ」もオッケーだ。
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誰かとハッピーエンドを迎えると,そのあとはそのホストガールに
「VIPルーム」で好きなだけ歌ってもらえるようになるので,いろいろと安心しよう。実は,ZERO Special エディぴょん!の目玉フィーチャーの一つである受付さんも,ある条件を満たすことで,このVIPルームにご指名できるようになるわけだ。着替えさせることも可能だが,衣装の交換についてはマージャン☆ドリームクラブですでに実現されており,筆者の場合,雀荘の受付さんは胸に
「うけつけ」という白いネームタグを付けたスクール水着を着ている。うふふ。だが,歌って踊ってくれるのは今回が初となるはずだ。肝心の「ある条件」は,まあ,それほど大変ではないと思う。
店外デートや
アフターのお誘い,
同伴出店にお,お,
温泉旅行など,いろいろなアトラクションも用意されているので,“ドリームクラブ”という名前は聞いたことがあるけど,それがどんなところなのかは知らないというPlayStation 3ユーザーはぜひ試してほしい。で,気に入ったら,Complete エディぴょん!もどうぞ。5か月後のホストガール達がどうなっているのか,もう一つの彼女達の物語が楽しめるはずだ。あらかじめ滝に打たれたり座禅を組んで精神統一したりしてから挑むような難しいゲームではないが,漫然とプレイしてハッピーエンドを迎えられるわけではない。なんで本名教えてくれないの? とか,なにこのクリスマス? みたいなことも起きるはずで,しつこく言うけど,女の子と仲良くなるのはなかなか大変。そこのキミ,若いと思って安心していると,あっという間なんだよ(涙目)。
さあ,あなたも週末のひととき,ドリームクラブで大人の遊びを遊んでみよう。内心
「また来たよ」と思っているかもしれないが,ステキなホストガール達があなたを100万ドルの笑顔で迎えてくれるはずだ。ようこそ,ドリームクラブへ!