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イベント
コア向けのゲームや追加サービスも続々発表。2016年第1四半期のローンチに向けた「Oculus Connect 2」基調講演を写真や映像でまとめてみた
この基調講演は,ランチタイムを挟んで4時間にわたって行われ,Iribe氏をMCに,さまざまなメンバーが入れ代わって自分達の専門分野について語っていくというスタイルだった。なんと,Oculus VRを20億ドルで買収したFacebookのMark Zuckerberg(マーク・ザッカ―バーグ)氏も檀上に上がり,短いながらも会場に集まったソフトウェアエンジニアやゲームデザイナー達に対して,「君達が未来を形作っている」と檄を飛ばしていた。
![]() Oculus VRのCEO,Brendan Iribe氏。「Sid Meier's Civilization IV」のユーザーインタフェースをデザインしたり,Gaikaiの制作チームを統括していた経歴もある |
![]() Facebookの会長,Mark Zuckerberg氏は,VRに将来性を見出し,2014年3月に20億ドルという巨額買収を果たすことで,Riftの開発を軌道に乗せた |
すでに,Samsungが発表したコンシューマ向けの「Gear VR」や,「Minecraft: Windows 10 Edition」のRift対応の情報は個別の記事にしているが,それらのニュースを含めた基調講演の概要を,写真や映像でまとめて紹介しておこう。
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Samsungがコンシューマ版「Gear VR」を2015年11月に99ドルで発売
あの「Minecraft」がVR対応HMD「Oculus Rift」「Gear VR」に対応。Rift対応の“Windows 10 Edition”は2016年春リリースへ
Samsung Electronicsが「Gear VR」のコンシューマ向けモデルを99ドルで2015年11月にリリース
Samsung Electronicsが,「Gear VR」のコンシューマ向けモデルを2015年のホリデーセールに向けてローンチすることをアナウンスしたのは既報のとおり。同社の技術戦略およびモバイルコミュニケーション部門副社長であるPeter Koo(ピーター・クー)氏が壇上でチョイ見せした以外,残念ながら今回のイベント会場では最新型モデルは展示されなかった。市販版は,22%の軽量化が行われたことで,三叉だったストラップが直線的なスキーゴーグルのような形状に変化している点が目を引く。99ドルというお手頃な価格帯でモバイルVRの市場浸透を狙っているようだ。
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「Mobile SDK 1.0」は,11月中にリリースされる予定。クラシックゲームをRiftに移植する「Oculus Arcade」も発表
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さまざまな映像コンテンツがRiftプラットフォームに参入
Cohen氏は続けて,RiftのFacebookの360度全周映画への対応を発表し,ILMxLabによる「惑星ジャクー」を使ったデモムービーを公開している(関連記事)。さらに,TwitchのVR対応により,Gear VRを使った複数のプレイヤーがアバターを使って動画を同時視聴できるようになっているほか,20世紀フォックスやLiongateなどの映画制作会社がコンテンツの提供を発表している。
これに加えて,NetfilxやVimeo,Huluなどの映像配信サービスが,Riftプラットフォームに対応することが明らかにされるなど,映像分野で多くの協賛獲得を果たしている。
もちろん,今すぐにNetflixなどが360度映像をストリーム配信し始めるというわけではないものの,VR映像や“VRストーリーテリング”が成功すれば,このあたりのサービスが大きく進化していくのは間違いないはずだ。
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「Minecraft: Windows 10 Edition」のRift対応が発表
Riftの「発明家」として知られる今年23歳のPalmer Luckey(パルマ―・ラッキー)氏が基調講演に登壇すると盛大な拍手で迎えられた。彼が発表したのは「Minecraft: Windows 10 Edition」のRift対応というニュースだ。Microsoftは,すでに自社で開発中の「HoloLens」向けMinecraftの開発も行っているが,このMinecraftがVR(仮想現実)とAR(代替現実)という似て異なるプラットフォームで,どのような異なる体験を提供してくれるのかは興味津々なファンも多いはずである。現時点では,Rift対応版の映像などは公開されておらず,その続報には大いに期待しておきたいところだ。
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OculusによるPCシステム公認プログラムが発足。1000ドル以下でのパソコン販売予定
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こうした事態に備えて始まるのが公認プログラムであり,すでにASUSTeK Computer,Dellといったメーカーと提携していることがMitchell氏から語られており,1000ドル以下で購入できる推奨PCも用意されるとのことだった。
これに加えて,ミッチェル氏は「Rift SDK 1.0」が12月中にリリースされることを発表した。
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短編映画「Henry」は,「DK2」以降のプレイヤーすべてに無償提供へ
Oculus Connect 2で正式に発表された,Oculus VRの内部映像開発部門であるOculus Story Studiosによる短編映像「Henry」は,ゲームや映画とは一線を画した「VRストーリーテリング」という新しいジャンルであることが謳われている。このHenryはRiftのプロトタイプ機である「DK2」および「Crescent Bay」のプレイヤーすべてに無償提供されることがアナウンスされた。
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プレイヤー向けコミュニティサイト「Oculus Room」や早期アクセスサービス(?)の「Oculus Concepts」を発表
続いては,過去10年にわたってGoogleやMicrosoft,Valveといった超優良企業を渡り歩き,現在はOculus VRのビジネス開発部門で手腕を振るう,Anna Sweet(アナ・スウィート)氏が,Riftプレイヤーのポータルとなるロビー「Oculus Room」をアナウンスした。
このOculus Roomには,マッチメイキングやリーダーズボード,アチーブメント(実績)の確認といったコミュニティ活動の拠点となるだけでなく,ソフトを購入するストアや,開発者がプロトタイプを公開して開発の助言を乞うことができる「Oculus Share」といったサービスが統合されるという。
また,このOculus Roomの一部として,新たな機能となる「Oculus Concepts」のサービス開始もアナウンスされた。まだ,その実態までは詳しく明らかにされていないが,Sweet氏は「RiftやGear VR向けプロジェクトのプロトタイプを公開する」というような解説を行っていたので,早期アクセスサービスのようなものなのかもしれない。
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VR専用コントローラ「Touch」は2016年第2四半期に発売開始予定
ここで,再びBrendan Iribe氏へバトンタッチされ,いよいよ「Touch」についての解説が始まった。その発売は,Riftの発売よりも少し遅れる,2016年第2四半期になることがアナウンスされたが,そのSDKは当然ながら製品の発売に先駆けてリリースされるとのことだった。
この「Touch SDK」では,今回のOculus Connect 2で(東京ゲームショウでも限定的に)公開された「Toy Box」にも登場したことで知られる,青いホログラフ風のプレイヤーキャラクター(正式にはアバターと呼ばれる)が提供されることになる。このアバターは,Touchコンテンツのデフォルトとしてゲーム制作に活用できるが,もちろん独自のスキンを施すことも可能だ。
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この「Touch」をサポートするゲームデモも公開されており,Epic Gamesの新作である「Bullet Train」(関連記事)のほかに,「Nimbus Knights」(Otherworlds),「Surgeon Simulator ER」(Bossa Studios),「I Expect You to Die」(Schell Games),「Zero Transform」「Moon Strike」(Big Dorks Entertainment),「Job Simulator: the 2050 Archives」(Owlchemy Labs)といった,すでにRift対応のデモが公開されている作品や,これまで知られていなかった新作がアナウンスされた。
筆者は,「Surgeon Simulator ER」のデモをプレイする機会に恵まれたが,宇宙空間でエイリアンを相手に外科手術するという難度の高いコメディタッチのアクションが,Touchの操作性と非常に相性が良いという印象だった。
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3Dモデルを造型できる「Oculus Medium」が無料公開へ
続けてIribe氏は,「Oculus Medium」というVRコンテンツを発表した。これは,3Dモデルを作成する「スカルプティングツール」と呼ばれるもので,プレイヤーがTouchを使ってオブジェクトを自在に作成できるだけでなく,スプレーペイントのような具合に色を塗ったり,サイズを変更したりと細かい作業も可能だ。筆者も実際にデモをプレイしてみたが,こればかりは言葉よりも映像で見たほうが分かりやすいだろう。
Iribe氏は,このMediumを「我々にとってのペイントツール」と呼んでいたが,Touch向けに無料で配布されることが合わせてアナウンスされていた。
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基調講演を賑わせた,ゲーム業界の重鎮3人
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「Unreal Engine」の生みの親であるEpic GamesのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏と,「Zen of Graphics Programming」などの著書を持つMichael Abrash(マイケル・アブラッシュ)氏,そして「DOOM」の生みの親のJohn Carmack(ジョン・カーマック)氏の3名だ。
Sweeney氏は,既報のとおり,Touch専用ゲームとしてアナウンスされた「Bullet Train」を発表するために参加したのだが,Abrash氏はValveで「Steam VR」のプロトタイプ開発に関わったのちOculus VRに移籍して,現在はチーフ・サイエンティストとしてVRの研究開発を行いつつ,同社の未来像を描き上げている人物だ。また,Carmack氏もチーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)としてOculus VRのソフトウェア開発面を統括している。
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どちらも,基調講演ではゲーム開発者にとって非常に興味深い内容のトークを行っていたが,まとめるのに相当な労力を要するので,申し訳ないが割愛させてもらう。どうしても気になるという人は,TwitchのOculus VR公式チャンネルで動画が無料公開されているのでそちらを参照するとよいだろう。
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Oculus Connect 2公式サイト
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