ニュース
[GDC 2013]NVIDIA,クラウドゲームサーバー向けデザイン構想「Project Madrox」を公表。「PS4は次世代Xboxより性能が高い」という情報も
下に示したスライドは,NVIDIA製GPUと据え置き型ゲーム機とで3D性能を時系列順に比較するもの。たとえば,最新の「GeForce GTX TITAN」とPlayStation 4(以下,PS4)を比較すると3倍,といった具合になっている。
全体的に見ても単体GPUのほうが進化が速いので,今後は性能差がさらに広がっていくことが予想される。そうなればGeForce GRID側でゲームを動かすことの意義も高まっていく,というわけだ。
NVIDIAはこの位置関係について何も語っていないが,このデータの出典がコンサルタント会社・Jon Peddie Researchとなっているので,相応の根拠はあるということなのだろう。GDC 2013の会場では,「次世代Xboxはややカジュアル寄りになる」という噂も流れているが(関連記事),さて……。
Brent Oster氏(Senior Applied Engineer, NVIDIA) |
マルチプレイが前提のゲームを,クラウドサーバー上でどう実装するか? |
これまでのクラウドゲームサーバーでは,ユーザーの数だけ,クライアントアプリケーションをサーバー上で起動し,結果をストリーミング配信する形になっていた。100人が接続していれば,サーバー側で100本のゲームクライアントが動くわけだ。
それに対し,「マルチプレイヤーが前提のゲームでは,ゲームプログラム本体を共通化し,入出力部分を切り分けるようにすれば効率がよくなるのではないか」という話は以前からあった。同じデータを複数人がアクセスするタイプのマルチプレイタイトルやオンラインタイトルでは,サーバーが同じなら,データのやり取りもサーバー内だけの処理で完結するので,いろいろと都合がよくなる。
また,リアルな造形のキャラクターをたくさん出したい場合など,それぞれのクライアント用に演算した結果を使い回せば,効率的に処理できるようになる。
また,DirectXパイプラインの一部を2名のプレイヤーが共有し,より効率的にGPUをマルチプレイヤーで運用していくようなアイデアや,非常にリッチなグラフィックス表現を伴うゲームであっても,サーバー側で計算結果を流用すれば,それほど負荷をかけずに実行できるようになるというアイデアも述べられた。下に示したのは後者のデモ画像だ。
そして,実際にそのようなサーバープログラムを作る構想として,「Project Madrox」(プロジェクトマドロックス)が動いていると,Oster氏は述べる。
「次のステップ」として紹介されたProject Madroxは,グリッドサーバー向けのマルチプレイ対応ゲームエンジンと位置づけられており,レンダーターゲットから複数個あるバッファの内容を並列転送する「NVIFR」を活用することで,サーバーあたり32クライアントを捌けるようになるとのこと。リアルタイムのグローバルイルミネーション(Global Illumination)をクライアント間で共有したりできるようになるほか,開発者向けには,複数のユーザーで協力できるようにするためのツールも提供予定になっているそうだ。
本格的なクラウドゲーム時代に,どんなゲームが登場するのか,非常に楽しみだ。元来,チカラワザを得意とするNVIDIAだけに,Project Madroxがどれくらいのスピードで実現の日を迎えるのか,注目して待ちたいところである。
NVIDIAのGeForce GRID日本語紹介ページ
Game Developers Conference公式サイト
- 関連タイトル:
GeForce NOW
- この記事のURL: